JPH0311737Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は反応容器に収容され、表面に固定化し
た抗体または抗原を有する免疫学的分析に用いた
不溶性の担体を、反応容器から取出す担体取出し
装置に関するものである。

近年、医療の進歩に伴ない極微量の生体成分の
分析が可能となり、各種疾患の早期診断等に役立
つている。例えば、α−フエトプロテイン、癌胎
児性抗原等で代表される悪性腫瘍、インシユリ
ン、サイロキシン等で代表されるホルモンの異常
分泌疾患、免疫グロブリン等で代表される免疫疾
患等の難病とされていた各種疾患の診断が早期に
できるだけでなく、それら疾患の治療後のモニ
タ、あるいは最近では薬物等の低分子のハプテン
（不完全抗原）も測定可能となり薬物の投与計画
作成にも役立つている。

これらの生体成分や薬物の多くは抗原抗体反応
を利用した免疫化学的な方法で分析され、このよ
うな免疫化学的反応を利用する分析法は従来種々
提案されているが、最近では抗体または抗原に検
知感度の高いマーカを標識した標識抗体または標
識抗原を用いる分析法が主流になつている。この
ようなマーカを用いる分析法としては、マーカと
して放射性同位元素を用いる放射免疫分析法、螢
光性物質を用いる螢光免疫分析法、酵素を用いる
酵素免疫分析法等が知られているが、なかでも酵
素免疫分析法は特殊な設備や測定技術を必要とせ
ず、一般に普及している比色計を用いて容易に行
なうことができるので、最近特に注目を集めてい
る。この酵素免疫分析法は、免疫化学的反応の有
無により標識されている酵素の活性の変化量を直
接求めて被検物質を定量するホモジニアス
（Homogeneous）酵素免疫分析法と、不溶性の
担体、例えばプラスチツク等の合成樹脂やガラス
ビーズを用い、抗原または抗体と反応した酵素標
識抗体または酵素標識抗原と未反応のそれとを洗
浄操作によりＢ・Ｆ分離し、このＢ・Ｆ分離後の
標識酵素の活性量を求めて被検物質を定量するヘ
テロジニアス（Heterogeneous）酵素免疫分析法
との２つの方法に分類される。しかし、前者のホ
モジニアス酵素免疫分析法は、単純な操作で行な
うことができるが、薬物等の低分子のハプテンし
か分析できず、高分子である生体成分の分析がで
きない欠点がある。これに対し、後者のヘテロジ
ニアス酵素免疫分析法はＢ・Ｆ分離を行なうため
の洗浄操作を必要とするが、被検物質が低分子で
あつても高分子であつても適正に分析でき、その
分析対象が極めて広範囲であるところから一般化
されつつある。

かゝるヘテロジニアス酵素免疫分析法として
は、競合法、サンドイツチ法等が知られている。
競合法は、第１図に示すように、不溶性の担体１
にサンプル中の被検物質と抗原抗体反応を起す抗
体または抗原を予じめ固定化し、この担体１とサ
ンプルおよびその被検物質２と同一物質に酵素標
識した標識試薬３との抗原抗体反応を行なわせ、
その後洗浄を行なつて抗原抗体反応により担体１
に競合して結合した被検物質２および標識試薬３
と、結合していないそれらとをＢ・Ｆ分離してか
ら、標識試薬３中の標識酵素と反応する発色試薬
を加えて反応させた後その反応液を比色測定して
標識酵素の酵素活性を求めて被検物質２を定量す
るものである。また、サンドイツチ法は、第２図
に示すように、競合法と同様サンプル中の被検物
質と抗原抗体反応を起す抗体または抗原を予じめ
固定化した不溶性の担体５を用い、先ずこの担体
５とサンプルとの抗原抗体反応を行なわせてサン
プル中の被検物質６を担体５に結合させ、次に洗
浄を行なつてＢ・Ｆ分離した後、その担体５に被
検物質６と抗原抗体反応を起す物質を酵素で標識
した標識試薬７を作用させて抗原抗体反応を行な
わせ、その後再び洗浄を行なつてＢ・Ｆ分離して
から標識試薬７中の標識酵素と反応する発色試薬
を加えて反応させた後、その反応液を比色測定し
て標識酵素の酵素活性を求めて被検物質６を定量
するものである。

これら競合法、サンドイツチ法による免疫学的
分析は従来用手法で行なわれているが、この場合
においては、最終的な検液の比色測定前あるいは
比色測定後、反応容器内に残存する担体を手動に
より取出して廃棄するようにしている。一方、本
願人はかゝる免疫学的分析を自動的に行なう分析
装置を開発しているが、この場合においては最終
的な検液が作成された後、所定の担体取出し位置
に順次搬送される反応容器から担体を自動的に順
次取出して廃棄している。このような免疫学的自
動分析装置に用いる担体取出し装置としては、例
えば第３図に示す構成のものが考えられる。

第３図に示す担体取出し装置は、負圧を利用し
て反応容器１１内の担体１２を吸引して廃棄用容
器１３内に排出するようにしたもので、反応容器
１１の開口部にクチゴム１４を介して着脱自在に
連結される吸引管１５を具える。吸引管１５の他
端部は下方に傾斜させて２つに分岐し、一方の端
部１５Ａは吸引ポンプ１６に連結し、他方の端部
１５Ｂはその出口１７を廃棄用容器１３に臨ませ
る。なお、端部１５Ｂの出口１７は垂直面に対し
て内側に傾斜させると共に、この出口１７には開
閉自在なベロー１８を設ける。また、吸引管１５
の分岐部分には吸引した担体が端部１５Ａに入い
らず、端部１５Ｂに有効に導びかれるようにメツ
シユ状のガイド部材１９を設ける。かゝる担体取
出し装置においては、吸引管１５をクチゴム１４
を介して反応容器１１の開口部に連結し、吸引ポ
ンプ１６を作動させることにより、端部１５Ｂの
出口１７をベロー１８によつて閉塞し、これによ
り反応容器１１内の担体１２を吸引管１５の分岐
部分まで吸引案内する。その後吸引ポンプ１６の
作動を停止させることにより、ベロー１８による
出口１７の閉塞を解除すると共に、分岐部分にあ
る担体をその自重および吸引による慣性により端
部１５Ｂに案内して出口１７から廃棄用容器１３
内に落下させる。しかし、この担体取出し装置は
反応容器１１が、図示のように開口部を２個有す
るＵ字状のものである場合には好適であるが、開
口部が１個しか無い試験管状のものにおいては、
担体を有効に吸引排出できないため、汎用性に欠
ける不具合がある。

本考案の目的は、いかなる形状の反応容器を用
いる場合でもその中に残存する担体を簡単な構成
により確実に取出して廃棄し得るよう適切に構成
した担体取出し装置を提供しようとするものであ
る。

本考案は、反応容器に収容され、表面に固定化
した抗体または抗原を有する免疫学的分析に用い
た不溶性の担体を、反応容器から取出す担体取出
し装置であつて、前記反応容器内に侵入可能なア
ームを有し、このアームを反応容器に対して選択
的に昇降させる手段と、前記アームの先端部に開
閉可能に設けた担体保持部材を有し、この担体保
持部材を選択的に開閉して前記反応容器から担体
を取出して落下させる手段と、前記担体保持部材
から落下する担体を廃棄用容器へ案内するための
斜板と、この斜板を前記アームの昇降通路に選択
的に挿入する斜板挿入機とを具えることを特徴と
するものである。

以下図面を参照して本考案を詳細に説明する。

第４図Ａは本考案の担体取出し装置の一例の構
成を示す線図である。本例では、反応容器２１内
に侵入可能なアーム２２を設け、このアーム２２
を昇降機２３により選択的に昇降させると共に、
アーム２２の先端部には開閉可能な担体保持部材
２４を設ける。担体保持部材２４は第４図Ｂに詳
細に示すように、固定支点２４ａと可動支点２４
ｂとを有するパンタグラフ構造をもつて構成す
る。この担体保持部材２４は、固定支点２４ａと
対向する可動支点２４ｂにワイヤ２５の一端を連
結し、このワイヤ２５をアーム２２に沿つて延在
させてその他端をアーム２２と一体に昇降するソ
レノイド２６のプランジヤ２６ａに連結して、こ
のソレノイド２６のオン・オフにより開閉する。

すなわち、本例ではソレノイド２６を例えばオ
フにして担体保持部材２４を開いた状態で昇降機
２３によりアーム２２を所定の位置まで下降させ
てから、ソレノイド２６をオンにすることにより
担体保持部材２４を閉じて反応容器２１内の担体
２７を担体保持部材２４で保持し、その後昇降機
２３によりアーム２２を上昇させて反応容器２１
から脱却させることにより、担体２７を反応容器
２１から取出す。本例では、このようにして担体
２７を反応容器２１から取出した後、斜板挿入機
２８により斜板２９をアーム２２の昇降通路に挿
入し、その後ソレノイド２６をオフにすることに
より担体保持部材２４を開いて保持していた担体
２７を斜板２９上に落下させ、この落下した担体
２７を斜板２９で案内して廃棄用容器３０内に落
下させて収納する。

なお、本考案は上述した例にのみ限定されるも
のではなく、幾多の変形または変更が可能であ
る。例えば、担体保持部材２４の開閉はソレノイ
ド２６を用いることなく、他の手段で行なうよう
にしてもよい。

以上述べたように、本考案においては先端部に
開閉可能な担体保持部材を有するアームを反応容
器に対して挿脱させると共に、このアームの昇降
通路に斜板挿入機により斜板を選択的に挿入し
て、担体保持部材により反応容器から担体を取出
して落下させると共に、その落下した担体を斜板
を介して廃棄用容器へ案内する簡単な構成によ
り、反応容器がいかなる形状のものでも、この中
に残存する担体を確実に取出し、これを廃棄用容
器に廃棄することができる。また、最終的な検液
を残し、担体のみを取出すことができるから、反
応容器を通しての直接測光も可能となる。なお、
このように直接測光を行なう場合には、反応容器
２１として第５図に示すように対向する一対の平
坦面２１ａ，２１ｂを有する底面が彎曲したカマ
ボコ形のものを用い、他の一対の彎曲面２１ｃ，
２１ｄの方向で担体保持部材を開閉させて担体を
取出すようにし、一対の平坦面２１ａ，２１ｄを
通して直接測光を行なうようにするとよい。

【図面の簡単な説明】

第１図は競合法による酵素免疫分析法を説明す
るための図、第２図はサンドイツチ法による酵素
免疫分析法を説明するための図、第３図はＵ字状
の反応容器を用いる場合に好適な担体取出し装置
の構成を示す線図、第４図ＡおよびＢは本考案の
担体取出し装置の一例の構成を示す線図、第５図
は直接測光を行なう場合に好適な反応容器の一例
の構成を示す斜視図である。 ２１……反応容器、２１ａ，２１ｂ……平坦
面、２１ｃ，２１ｄ……彎曲面、２２……アー
ム、２３…昇降機、２４……担体保持部材、２５
……ワイヤ、２６……ソレノイド、２６ａ……プ
ランジヤ、２７……担体、２８……斜板挿入機、
２９……斜板、３０……廃棄用容器。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 反応容器に収容され、表面に固定化した抗体ま
   たは抗原を有する免疫学的分析に用いた不溶性の
   担体を、反応容器から取出す担体取出し装置であ
   つて、前記反応容器内に侵入可能なアームを有
   し、このアームを反応容器に対して選択的に昇降
   させる手段と、前記アームの先端部に開閉可能に
   設けた担体保持部材を有し、この担体保持部材を
   選択的に開閉して前記反応容器から担体を取出し
   て落下させる手段と、前記担体保持部材から落下
   する担体を廃棄用容器へ案内するための斜板と、
   この斜板を前記アームの昇降通路に選択的に挿入
   する斜板挿入機とを具えることを特徴とする担体
   取出し装置。