JPH0310781Y2

JPH0310781Y2 -

Info

Publication number: JPH0310781Y2
Application number: JP1986184445U
Authority: JP
Priority date: 1986-11-29
Filing date: 1986-11-29
Publication date: 1991-03-18
Also published as: JPS6392638U

Description

【考案の詳細な説明】〔産業上の利用分野〕本考案は所望時のみ芳香を放出することのでき
る放香具に関するものである。

〔従来の技術〕

最近では、心地よい香りは気分をリフレツシユ
させ、身体をリラツクスさせたりする効果がある
ことが注目され、アロマテラピー（芳香療法）等
に見られるように、個人的に香りを楽しむ人が増
えている。

一般に、個人的な香りの楽しみ方としては香
水、オーデコロン等がある。

また、従来、室内用または自動車客室内用放香
具としては、固形香料を容器に収納したものや、
スプレータイプのものが使用されている。

容器入り固形香料は容器を開放すると放香を放
ち、容器を閉じると香りの放出が防止されるタイ
プが多用されている。一般に使用されている固形
香料は揮散の速度が緩かであるので、例えば室内
または車内に香りを漂わせるには、かなり長時間
容器を開けておくことが必要である。また、容器
を閉じても完全な密閉状態とならず、隙間が開い
ていることが多く、固形香料が比較的短時間で消
耗してしまう。

一方、スプレータイプの放香具は必要なときに
直ちに室内に芳香を放出できるので便利である。

また、特開昭53−106281号公報には、容器の一
部もしくは全部に押圧変形に対して復元する機能
が具備され且つ容器の壁部に気体流出入機構が備
えられている中空状容器内に、中空状容器の下壁
に容器の変形を実質的に阻害しない形状の放香材
が装着されている放香容器が開示されている。

〔考案が解決しようとする課題〕

香水やオーデコロンは非常に高価であるので、
誰もが気軽に楽しむわけにはいかない。しかも、
これらは匂いが強いので周囲の人に気を使わなけ
ればならず、また、匂いが長時間持続するので、
気分転換のためにちよつと香りをかぐというよう
な楽しみ方には不向きである。

また、従来の放香具は室内または車内全体に香
りを漂わすことを目的としたものであり、個人的
に香りを楽しむのには適していない。すなわち、
一般に香りに関しては個人個人により好みが異な
つており、家族であつても好みが一致するとは限
らないので、室内全体に香りを漂わせることがで
きない場合もある。しかも、室内全体に芳香を漂
わせるために、香料を多く消費することになる。

特開昭53−106281号公報に開示されている放香
容器は容器が複数個の部品からなるものであり、
従つて、容器の組立て工程が必要であり、また、
内部に収納する香料の封入も自動化が困難であ
る。更に、容器が複数個の部品からなるものは密
封性で問題が生じ易く、密封性を高めようとする
と、製造コストが高価になつてしまう。

〔考案の目的〕

本考案は、香料を収納する中空体の製造が組立
て工程を必要とせず、一工程で製造でき、しかも
香料含有固形物を中空体に封入することが自動化
可能であつて、製造費用が極めて安価となるよう
な放香具を提供することを目的とする。

〔課題を解決するための手段〕

本考案によれば、ブロー成形または真空成形に
より一体的に製造された中空体であつて、該中空
体は空気の出入りが可能な小孔を有するだけでほ
ぼ完全な密封状態であり、香料を含有した液体を
ゲル化してゼリー状とした香料含有固形物が前記
中空体の内部に封入されており、前記中空体は押
圧されたときに凹み且つ圧力が除かれると元の形
状に戻るように可撓性の素材で形成されているこ
とを特徴とする放香具により前述の問題点を解決
し、前述の目的を達成した。

〔作用〕

本考案の放香具によれば、ブロー成形または真
空成形した中空体を用い、香料含有固形物として
液状（流動体）から固形状に変化可能なものを使
用するので、中空体の製造が一工程でよく（すな
わち、組立て工程を必要とせず）、その製造費用
が安価となる。

また、本考案の放香具によれば、香料含有固形
物として香料を含有した液体をゲル化してゼリー
状としたものを使用するので、香料含有固形物を
中空体に封入することが自動的でき（すなわち、
香料を含有した液体を中空体の小孔から内部に注
入することは自動化でき、中空体の内部で液体が
固化して固形状となる）、従つて、本考案の放香
具の生産コストを安価にすることができる。

本考案の放香具によれば、中空体が一体物であ
り、中空体の内部は小孔により外部に通じている
だけであるので、中空体内部の空気は中空体を押
さなければ外部に排出されないので、中空体の外
部に香料が散逸し難く、従つて、長時間効果を維
持することができる。

〔実施例〕

以下図面に示した本考案の実施例に基いて詳細
に説明する。

第１図は本考案の放香具の一実施例の正面図、
第２図はその背面図、第３図は第１図に示した実
施例の縦断面図である。

本考案の放香具は、内部が中空の中空体１と、
この中空体１の内部にほぼ密封状態で封入されて
おり、香料を含有した固形物２とからなる。

中空体１は任意の箇所に空気の出入りが可能な
小孔１１が少なくとも１つ形成されている。小孔
１１の大きさは、余り大きいと、内部に封入した
固形物２のから香料の揮散が大きく、早く消耗し
てしまうので、0.5mm〜２mm程度とするのが好ま
しい。

中空体１を構成する素材は、中空体１が手でも
つて押圧したときに凹み且つ手を離して圧力を除
くと元の形状に戻るような可撓性の素材を使用す
る。このような素材としては、ポリエチレン、ポ
リプロピレン等のオレフイン系樹脂、EVA、軟
質塩化ビニル樹脂、ゴム等を使用すればよい。な
お、ポリエチレンは低密度ポリエチレンが好まし
いが、高密度ポリエチレンの場合も厚みを薄くす
ればよい。また、軟質塩化ビニル樹脂やゴムの場
合は、これらの素材が損傷されないように固形物
２の香料を選定して使用する。

中空体１の外観は特に限定されないが、看者に
美観や興味を与えるような形状が好ましく、例え
ば動物、人形の形にするとよい。

第１図に示した中空体１はブロー成形または真
空成形によつて一体的に製造されたものであり、
中空体１は描の形をしており、小孔１１は第３図
に示すように、頭頂部に形成されている。

第１図に示した実施例では中空体１の内部に香
料含有固形物２を入れるための入口は小孔１１し
か存在しない。このため、香料含有固形物２は液
状（流動体）から固形状に変化可能なものを使用
する。すなわち、香料含有固形物２は中空体１の
内部に封入する際は液状であり、これを小孔１１
から注入し、中空体１の内部に入つてから時間が
経つと、または冷えると、固形化するものを使用
する。なお、中空体１に注入する香料含有固形物
の分量は、中空体１の全体の容積の1/4以下とす
ることが好ましい。香料含有固形物２の分量が多
すぎると、放香具が重くなり、また中空体１を手
で押した際に凹み難くなるからである。

このような香料含有固形物２は次のようにして
製造したものを使用するのが最適である。

すなわち、アルコールにセルロース誘導体を少
量、例えば重量比で１〜５％程度、溶解させ、こ
れに香料（香油）を加えて混合撹拌する。一方、
Ｎメチル−２ピロリドンにベンジリデンソルビト
ールを溶解して飽和溶液とする。次に、前者の香
料入りアルコール溶液と後者の飽和溶液とを混合
撹拌する。この混合溶液を中空体１の小孔１１か
ら中空体１内部に注入する。前記中空体１内部に
注入された溶液はベンジリデンソルビトールの作
用によりゲル化し、そのまま放置しておくと、ゲ
ルが固化して膠化状固形物（すなわち、凝膠体、
ゼリー）となる。

香料は天然のものでも合成のものでもどちらで
もよい。天然のものは動物性でも植物性でもどち
らでもよい。例えば、ラベンダー油、ジヤスミン
油、バラ油、ゼラニウム油、バジル油、ローズマ
リー油、ネロリ油、ベルガモツト油、ゲラニオー
ル、シトロネラール、リモネン、メントール、ペ
パーミント、スペアミント等種々である。

香料は香りがよいというだけでなく、例えば、
ラベンダー油、バラ油、ゼラニウム油等は鎮静作
用と気分を明るく高揚させる作用がある。

また、バジル油、ローズマリー油、メントー
ル、ペパーミント、スペアミント等は匂いに清涼
感があり、静神疲労や緊張をほぐし、頭をリフレ
ツシユさせる作用がある。従つて、自動車の運転
中或は夜間の勉強中に眠くなつたとき、これらの
匂いをかぐと眠気が取れる。特に、メントールは
その効果が大きい。また、このような香料と共に
カフエインを一緒に使用すると、眠気を覚ます効
果がより一層高まる。

アルコールとしては、ベンジルアルコールが保
留剤の役目も行うので好ましいが、メチルアルコ
ール、エチルアルコール等の低級脂肪族飽和アル
コールを用いてもよい。また、持続性を高めるた
め、フタル酸ジエチル等の保留剤と共に使用して
もよい。

ジベンジリデンソルビトールの代りにリン酸ビ
ス（４−ｔ−ブチルフエニル）ナトリウムを用い
てもよい。これらはゲル化作用を行うものであ
る。また、ジベンジリデンソルビトールやリン酸
ビス（４−ｔ−ブチルフエニル）ナトリウムは常
温ではアルコールに均一に混合しないので、相溶
性を持たせるために、Ｎ−メチル−２ピロリド
ン、ジメチルスルホオキシド、ジメチルホルムア
ミド等の溶剤を用いる。

特に、Ｎ−メチル−２ピロリドンはアルコール
および水の両方に溶ける液体であり、常温におい
て揮発性が小さく、且つジベンジリデンソルビト
ールまたはリン酸ビス（４−ｔ−ブチルフエニ
ル）ナトリウムを非常によく溶解し、無臭且つ淡
色であり、ジベンジリデンソルビトールまたはリ
ン酸ビス（４−ｔ−ブチルフエニル）ナトリウム
のゲル化作用を助け、また、公害となる毒質も殆
ど無いので好ましい。

上述の組成だけでもよいが、香料の揮散量をよ
り一層平均化し、長時間持続させるためにセルロ
ース誘導体やグリコール類またはグリセリンを添
加するのが好ましい。

セルロース誘導体はアルコールを不活性化し
て、常温における揮発性を低下させる役目を果
す。セルロース誘導体はアルコールおよび水に溶
解するものが好ましく、このようなセルロース誘
導体としては、ヒドロキシプロピルセルロース、
ヒドロキシエチルセルロース等がある。

また、セルロース誘導体の代りにポリビニルピ
ロリドンを使用したり、混合して使用することも
可能である。

グリコール類またはグリセリンは保湿剤の役目
をし、また、ゲル化促進作用があり、更に、香料
とアルコールとの分離を防止して、両者を均一に
揮散させる役目を果す。グリコールとしては、例
えばプロピレングリコール、ポリプロピレングリ
コール、ポリエチレングリコール等を用いる。こ
れらは単独で用いてもよく、また２種類以上混合
したものを用いてもよい。

前述したような香料含有固形物２を使用した本
考案の放香具の一実施例を説明する。

（実施例１）濃度95％のエチルアルコールにヒドロキシプロ
ピルセルロースを３％（重量比）を溶解させ、こ
れにラベンダー油20％（重量比）を混合し、２時
間撹拌した。一方、Ｎ−メチル−２ピロリドンに
ジベンジリデンソルビトールを溶解し、飽和溶液
とした。次にこれらを、前者95、後者を５の割合
（重量比）で混合し、８分間撹拌した。この粘稠
液を第１図に示した中空体１に内部空間の４分の
１程度の分量を注入し、そのまま放置し、前記注
入された溶液を固化させて、本考案の放香具を得
た。

前述した実施例１では、アルコール類をゲル化
してゼリー状とした香料含有固形物２を使用して
いるが、香料含有固形物２の別の実施例としてア
ルコールを使用せず、香料と水溶性ゲル化剤を用
いた水系のものとしてもよい。香料は前述とした
ものと同じものを１種または２種以上使用すれば
よい。

水溶性ゲル化剤としては、ポリアクリル酸ナト
リウム、アルギン酸ナトリウム、ゼラチン、寒
天、ジエランガム（gelan gum）、サクシノグル
カン等がある。また、ゲル化助剤としてセルロー
ス誘導体も用いることができる。

以上、第１図から第３図に基いて説明したよう
に、ブロー成形または真空成形した中空体１を用
い、香料含有固形物２として液状（流動体）から
固形状に変化可能なものを使用する場合は、中空
体１の製造が一工程でよく（すなわち、組立て工
程を必要とせず）、その製造費用が比較的安価と
なり、また、香料含有固形物２を中空体１に封入
することが自動化でき、従つて、本考案の放香具
の生産コストを安価にすることができる。しか
も、中空体１が一体物であり、中空体１の内部は
小孔１１により外部に通じているだけであるの
で、放香具周囲の空気が動いても、中空体１の内
部の空気には影響せず、従つて、揮散した香料は
中空体１の内部に滞留し、中空体１の外部に無駄
に揮散することが少なく、香料が長持ちする。

〔考案の効果〕

本考案の放香具によれば、ブロー成形または真
空成形した中空体を用い、香料含有固形物として
液状（流動体）から固形状に変化可能なものを使
用するので、中空体の製造が一工程でよく（すな
わち、組立て工程を必要とせず）、その製造費用
が安価となる。また、香料含有固形物として香料
を含有した液体をゲル化してゼリー状としたもの
を使用するので、香料含有固形物を中空体に封入
することが自動化でき（すなわち、香料を含有し
た液体を中空体の小孔から内部に注入することは
自動化でき、中空体の内部で液体が固化して固形
状となる）、従つて、本考案の放香具の生産コス
トを安価にすることができる。

本考案の放香具は、香料の容器となる中空体を
任意の形状とできるので、芳香を楽しむだけでな
く、室内または自動車内の飾りや、頑具等として
も使用できる。特に、動物や人形の形をして中空
体とすると、頑具として楽しめるだけでなく、よ
り香りをかげるので子供の情操教育にも役立つ。

本考案の放香具によれば、自分の好みの香りを
何時でも何処でも簡単に楽しむことができ、好み
の香りをかぐことにより、気持ちをリラツクスさ
せたり、快適な気分が得られたり、或は精神疲労
や緊張をほぐし、頭をリフレツシユさせて眠気を
覚ましたりできる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案の放香具の一実施例の正面図、
第２図はその背面図、第３図は第１図に示した実
施例の縦断面図である。１……中空体、２……香料含有固形物、１１…
…小孔、１２……開口、１３……蓋。

Claims

【実用新案登録請求の範囲】

ブロー成形または真空成形により一体的に製造
された中空体であつて、該中空体は空気の出入り
が可能な小孔を有するだけでほぼ完全な密封状態
であり、香料を含有した液体をゲル化してゼリー
状とした香料含有固形物が前記中空体の内部に封
入されており、前記中空体は押圧されたときに凹
み且つ圧力が除かれると元の形状に戻るように可
撓性の素材で形成されていることを特徴とする放
香具。