JPH0310134Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 【産業上の利用分野】

この考案は、自転車用全カバー型チエンケース
に関し、詳しくは、チエンケースの幅方向最外側
面に目玉固定用のねじの頭部が露出することを回
避し、外観の見栄えが良くなるように改良された
ものに関する。

【従来の技術】 全カバー型チエンケースは、ギヤとチエンの塗
油部に塵や泥が付着したり、走行時において乗員
の衣服がギヤとチエンとの間に食い込まれるのを
防止するために、自転車の前ギヤおよび後ギヤな
らびにこれらに掛け回される駆動チエンを全面的
に覆い隠すように設けられるものであつて、前後
ギヤとこれらに掛け回されたチエンの内側および
外側を覆うように薄い鋼板をプレス成形すること
により形成された内面板と外面板とを、その互い
の周縁を衝合結合して略構成される。 すなわち、上記チエンケースの前部は、あらか
じめ前ギヤが外されたクランク軸に内面板に開け
た孔を通し、ハンガナツトを締め付けて内面板を
ハンガラツグとハンガナツトとの間に挟圧するこ
とにより固定される。そして、外面板における前
ギヤを覆う部分に形成された円形の取付け穴から
前ギヤがチエンケース内に入れられ、かつクラン
ク軸に固定されるとともに、チエンが上記取付け
穴からチエンケース内の前後のギヤに掛けられ
る。 そして、上記外面板の取付け穴にいわゆる目玉
と呼称される、クランク軸通し穴を中央にもつ円
板が填め込まれる。この場合、上記目玉の前方の
縁に形成された係止片を取付け穴の前方内周縁に
形成された係合部に引つ掛けるとともに、目玉の
後方の縁に開けたねじ通し穴から通挿したねじを
取付け穴の後方内周縁に形成された支持片のねじ
穴に螺合させることにより、上記目玉が外面板に
対して固定される。

【考案が解決しようとする問題点】

ところで、上記従来例における全カバー型チエ
ンケースにおいては、目玉の後部をその外面側か
らねじ付けたねじにより外面板に対して固定する
構造となつているため、ねじの頭部がチエンケー
スの幅方向最外側面、すなわち上記外面板の表面
に露出し、これがチエンケース前部における外観
の見栄えを悪化させる原因となつていた。 特に最近においては、チエンケースの外面板の
表面に装飾模様などを印刷することが好んで行わ
れるようになつていることから、上記ねじの頭部
をチエンケースの外面板の表面に露出させること
なく目玉を取付け、チエンケースの外側表面のデ
ザイン的な美麗さを維持し、その外観をすつきり
とした見栄えの良いものにしたいというニーズが
ある。 この考案は、以上の事情のもとで考え出された
もので、チエンケースの幅方向最外側面に目玉固
定用のねじの頭部が露出することを回避し、外観
の見栄えが良くなるようにした、自転車用全カバ
ー型チエンケースを提供することをその課題とし
ている。

【課題を解決するための手段】

上記の課題を解決するため、この考案では、次
の技術的手段を採用した。 すなわち、この考案にかかる自転車用全カバー
型チエンケースは、内部空間を有するように衝合
結合させられる外面板および内面板をもつチエン
ケース本体と、上記外面板に開けられた取付け穴
に填め込まれる目玉とを備え、上記目玉はこれの
一側における周縁に形成された係止片を上記取付
け穴の内周縁に形成された係合部に引つ掛けるこ
とにより係止されるようになつている自転車用全
カバー型チエンケースにおいて、 上記目玉に、上記係止片が設けられる部位と略
反対側における周縁部から上記内部空間に向け略
直角に延びる部分を有するブラケツトを一体延出
形成する一方、 上記外面板または内面板に、固定穴を開けた座
部を設け、かつ、 この座部の固定穴を通したねじを上記ブラケツ
トに設けたねじ穴に螺合して上記目玉を固定する
ことにより、上記ねじが、チエンケースの幅方向
最外側面より内方に配置されるように構成したこ
とを特徴とする。

【作用および効果】

本考案においては、目玉に、係止片が取付けら
れる部位と略反対側における周縁部から内部空間
に向け略直角に延びる部分を有するブラケツトを
一体延出形成する一方、外面板または内面板に、
固定穴を開けた座部を設ける。 上記ブラケツトは、幅方向最外側に位置する目
玉の周縁部から内部空間に向けて略直角に延びる
部分を有するため、上記ブラケツトに設けられる
ねじ穴は、上記チエンケースの内部空間におけ
る、上記外面板から幅方向内方へ向かつて離れた
部分に形成されることになる。 しかも、本考案においては、上記外面板または
内面板に形成される固定穴が上記ねじ穴に対応す
る部位に形成されており、上記固定穴に挿通した
ねじを上記ねじ穴に螺合させて、上記目玉を上記
チエンケースに連結固定すると、上記ねじが、チ
エンケースの幅方向最外側面より内方に配置され
る。 上記構成によつて、上記目玉を取付けるための
ねじの頭部をチエンケース本体内に隠れるように
して配置することができ、あるいは、上記ねじを
上記チエンケース本体の裏面側からねじ付けるこ
とが可能となる。 このため、上記ねじ穴に螺合されるねじの頭部
がチエンケースの幅方向最外側面に露出しないよ
うにすることができる。 その結果、上記チエンケースの幅方向最外側面
に、連続的に装飾模様などを印刷形成することが
可能となり、従来のように、上記装飾模様等が露
出する上記ねじの頭部によつて損なわれるといつ
た不都合もなくなる。 したがつて、従来例のものに比べ、チエンケー
ス本体表面上の美観を格段に向上させることがで
きる。

【実施例の説明】

以下、この考案の実施例を第１図ないし第５図
を参照して具体的に説明する。 まず、第一の実施例を第１図ないし第３図によ
り説明する。 第１図および第２図に示すように、本実施例に
おける自転車用全カバー型チエンケース１は、外
面板２および内面板３をもつチエンケース本体４
と、上記外面板２に開けられた取付け穴５に填め
込まれる目玉６とを備えて大略構成される。 上記チエンケース本体４は、第２図に示すよう
に、幅方向外方に配置される外面板２と、幅方向
内方に配置される内面板３とを備える。これら内
面板２および外面板３は、薄板をプレス成形する
ことにより形成されるとともに、互いの周縁を衝
合結合されることにより上記チエンケース本体４
を構成しており、上記内面板２と外面板３の間に
は、所定厚みの内部空間Ｓが形成されている。そ
して、上記内部空間Ｓに、図示しない前ギヤ、後
ギヤおよびこれらに掛け回されるチエンの全てが
収容され、これら全ての部材を、上記チエンケー
ス１によつて覆い隠すことができるように構成さ
れている。 上記内面板３には、図示しないクランク軸に套
挿され、かつ縁部が図示しないハンガラツグとハ
ンガナツトとの間に挟着されるべき円孔１４が開
けられている。 一方、上記外面板２の前部には、上記目玉が填
め込まれる取付け穴５が形成されている。上記取
付け穴５は、内面板３に形成される上記円孔１４
と同心円状に形成されており、前ギヤおよびチエ
ンを入れることができる程度の大きさに開口形成
されている。そして、前ギヤおよびチエンが組入
れられた後、上記取付け穴５は上記目玉６を取付
けることにより封鎖される。 上記目玉６は、上記取付け穴５に填まり込みう
る大きさをもち、かつ中心にクランク軸挿通穴９
を備えた略ドーナツ状をしている。 さて、本考案における上記目玉６は、これの一
側における周縁に形成された係止片７を、外面板
２の上記取付け穴５の内周縁に形成された係合部
８に引つ掛けて係止するとともに、外面板２また
は内面板３に設けた固定穴１９に通挿したネジ２
２を、目玉６に設けたブラケツト１０のねじ穴１
２に螺合することにより固定される。 上記目玉６の、上記取付け穴５における係合部
８と対応する部位には、係止片７が延出形成され
ており、この係止片７が上記係合部８の裏側に係
合することにより、目玉６が外方に脱落するのを
阻止するように構成されている。 一方、外面板２の上記取付け穴５の内周縁に
は、その外面部から内部に向かつてのびる筒状部
１５が形成されており、この内端部の適部に取付
け穴５の周方向にある程度の長さをもち、かつ、
上記取付け穴５の中心方向に折曲する支持片１
６，１７，１８が形成されている。これら支持片
１６，１７，１８により、上記目玉６はその周縁
を支持され、チエンケース本体４内方への脱落を
阻止される。さらに、上記支持片１６と支持片１
７との間、および支持片１７と支持片１８との間
の、支持片が設けられていない部分の上記筒状部
１５の内端部には、上記目玉側係止片７と係合し
て目玉６の上部が外方に脱落するのを阻止する上
記係合部８が形成されている。そして、上記目玉
６は、上記係止片７を上記掛合部８に引つ掛ける
ようにして、上記チエンケース本体１の外面板３
に係止される。 さらに、本実施例においては、第３図に示すよ
うに、上記目玉６に、上記係止片７が設けられる
部位と略反対側における周縁部に上記内部空間Ｓ
に向け略直角にのびる部分を有するブラケツト１
０が一体延出形成されている。 このブラケツト１０は、チエンケース本体４の
内方に向けて、上記目玉６ないし外面板２と略直
角に延びる部分を有し、上記外面板２から所定距
離内方において、台座１１を形成するとともに、
この台座１１にねじ穴１２をもつ雌ねじ１３を填
め込み、両者を溶接などにより固定することによ
り構成される。 一方、外面板２の上記取付け穴５の下方におけ
るる縁部には、第３図に示すように、チエンケー
ス本体４の幅方向内方に向かつて、上記ブラケツ
トと同様に略直角方向に延出され、かつ上記ねじ
穴１２に対応する部位に固定穴１９を開けた座部
２０が設けられている。また、上記外面板２の周
縁部における上記固定穴１９に対応する部位に
は、上記固定穴１９と同心のねじ通し穴２１が開
けられている。 そして、上記外面板２のねじ通し穴２１からチ
エンケース１の内部に挿入されたネジ２２が、上
記固定穴１９に通挿され、かつ上記目玉６のブラ
ケツト１０に形成されたねじ穴１２に螺合させら
れる。これにより、上記ねじ２２が、チエンケー
ス１の幅方向最外側面、すなわち外面板２の外側
面より内方に配置された状態で、上記目玉６が上
記チエンケース１に対して固定される。 次に、上記の構成のチエンケース１における、
上記目玉６の組付け方法について説明する。 まず、目玉６を外面板２の取付け穴５に填め込
み、かつ、その係止片７を取付け穴５の係合部８
に引つ掛けるようにして係合させることにより、
上記目玉６がチエンケース１に対して係止され
る。次に、ねじ通し穴２１からチエンケース１内
に挿入されたねじ２２を、固定穴１９に通挿して
ブラケツト１０のねじ穴１２にねじ付けることに
より、上記目玉６が、上記チエンケース１に対し
て固定され、上記取付け穴５が隠蔽される。 上記構成によつて、上記目玉６を固定するため
のねじ２２を、上記チエンケース１の幅方向最外
側面より内方に配置し、上記ねじ２２の頭部２２
ａをチエンケース本体内に隠れるようにして配置
することが可能となる。 このため、上記ねじ穴１２に螺合されるねじの
頭部２２ａがチエンケース１の幅方向最外側面に
露出しないように構成することができる。 その結果、上記チエンケース１の幅方向最外側
面に、連続的に装飾模様などを印刷形成すること
が可能となり、従来のように、上記装飾模様等
が、露出する上記ねじ２２の頭部２２ａによつて
損なわれるといつた不都合もなくなる。 したがつて、従来例のものに比べ、チエンケー
ス本体１の外側面の美観を格段に向上させること
ができる。 次に、この考案の第二の実施例を第４図により
説明する。 この例においては、上記外面板２の周縁部にお
けるブラケツト１０のねじ穴１２に対応する部分
が、内方に向けて筒状に突出させられ、筒胴部２
０ａから構成される筒状のねじ通し穴２１が形成
されている。そして、この筒胴部２０ａの底部
に、固定穴１９を開けた座部２０が一体形成され
ている。 上記構成により、上記ねじ２２が、チエンケー
ス１の幅方向最外側面より内方に配置され、この
ねじ２２の頭部２２ａをチエンケース本体内に隠
れるようにして配置することができ、上記第一の
実施例と同様の効果を発揮することができる。ま
た、本実施例においては、上記ねじ通し穴２１
が、上記座部２０と一体形成された筒胴部２０ａ
から構成されているため、取付けの際上記ねじ２
２をこの筒胴部２０ａに案内させることができ
る。このため、締結作業を容易に行うことがで
き、作業の便宜上、好都合である。なお、その他
の構成は、上記第一実施例におけるものと同様で
ある。 第５図に、本考案の第三の実施例を示す。 本実施例においては、上記ブラケツトの外面板
２と略直角方向に延びる部分を、内面板３の内面
に当接するまで延長するとともに、その先端部を
内面板３の内面に沿つて屈曲させ、この屈曲部に
ねじ穴１２を形成している。そして、上記内面板
３における上記ねじ穴１２に対応する部位に固定
穴１９をもつ座部２０を設け、この固定穴１９か
らねじ２２を通して上記ねじ穴１２に螺合させる
ことにより、上記目玉６を上記チエンケース１に
対して固定している。 上記構成によつて、上記第一実施例および第二
実施例におけるねじ通し穴２１が不要なり、製造
工程をさらに削減することができる。また、固定
穴１９が、チエンケース１の内面板３に形成され
ているため、上記ネジ２２は上記第一実施例およ
び第二実施例のようにチエンケース本体４の下縁
側から螺合させるのでではなく、チエンケース本
体４の裏面側から螺合させることができるため、
組付け作業がさらに容易になる。さらに、螺締さ
れたねじ２２の頭部２２ａがチエンケース本体４
の裏面側に臨むこととなるため、上記チエンケー
スの外側面から上記ねじを締結するためのねじ通
し穴等が全く見えなくなり、その見栄えがさらに
向上する 本考案は上述の実施例に限定されることはな
い。第一の実施例および第二の実施例において
は、上記ねじ２２は、上記内面板３および外面板
２にその軸が略平行に配置されるように構成した
が、上記内面板３および外面板２と所定の角度を
なすように構成することもできる。 また、上記のチエンケース１は、本考案の範囲
内において、その他、種々設計変更可能であるこ
とはいうまでもない。

【図面の簡単な説明】

第１図はこの考案の第一実施例における正面
図、第２図は第１図の−線に沿う断面図、第
３図は第１図の−線に沿う断面図、第４図は
この考案の第二実施例の説明図、第５図はこの考
案の第三実施例の説明図である。 １……自転車用全カバー型チエンケース、２…
…外面板、３……内面板、４……チエンケース本
体、５……取付け穴、６……目玉、７……係止
片、８……係合部、１０……ブラケツト、１２…
…ねじ穴、１９……固定穴、２０……座部、２２
……ねじ。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 内部空間を有するように衝合結合させられる外
   面板および内面板をもつチエンケース本体と、上
   記外面板に開けられた取付け穴に填め込まれる目
   玉とを備え、上記目玉はこれの一側における周縁
   に形成された係止片を上記取付け穴の内周縁に形
   成された係合部に引つ掛けることにより係止され
   るようになつている自転車用全カバー型チエンケ
   ースにおいて、 上記目玉に、上記係止片が設けられる部位と略
   反対側における周縁部から上記内部空間に向け略
   直角に延びる部分を有するブラケツトを一体延出
   形成する一方、 上記外面板または内面板に、固定穴を開けた座
   部を設け、かつ、 この座部の固定穴を通したねじを上記ブラケツ
   トに設けたねじ穴に螺合して上記目玉を固定する
   ことにより、上記ねじが、チエンケースの幅方向
   最外側面より内方に配置されるように構成したこ
   とを特徴とする、全カバー型チエンケース。