JPH0310019Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 （産業上の利用分野） 本考案は射出成形機におけるスクリユーの位置
決め装置に関するものであり、可塑化工程終了時
あるいはノズルからの溶融樹脂のドルーリングを
防止するためのスクリユー引き抜き（以後サツク
バツクと称す）完了時から次の射出工程開始まで
の時間、スクリユーの位置の変動を補正する制御
装置に関するものである。

（従来の技術） 従来の技術では、金型キヤビテイへの溶融樹脂
の充填速度を制御する射出速度制御工程におい
て、射出速度の切換制御はスクリユーのシリンダ
に対する絶対位置（スクリユーの最前進位置を零
とした位置）を予め設定し、該設定値とスクリユ
ー位置検出器の検出値とを比較して行われてい
た。また、射出工程直前のスクリユー設定位置は
溶融樹脂の計量位置およびサツクバツクストロー
クの設定値等により決定される。そして、この射
出工程直前のスクリユーの設定位置は、スクリユ
ー最後退位置設定器によつて設定される。ただ
し、サツクバツクを行わない場合は、計量位置設
定器がスクリユー最後退位置設定器に相当する。

（考案が解決しようとする問題点） 一方、実際の射出成形時、スクリユーの射出工
程直前の位置は、予め設定された値に対し偏差を
生じることは通常避け難い。

例えば第２図に示す如く計量完了点あるいはサ
ツクバツク完了点における、シリンダ１内の溶融
樹脂圧力は逆流防止リング２−ｂ前後では、スク
リユー先端２−ａ側よりもスクリユーフライト２
−ｄ側（第２図中右方）の方が高いために計量完
了後あるいはサツクバツク完了後にあつても、溶
融樹脂は２−ｃの矢印に示す如くスクリユーフラ
イト２−ｄ側からスクリユー先端２−ａ側へと若
干量流れる。その際、反作用によつてスクリユー
２は射出ラム３側へと押されることとなり、スク
リユー２の位置は変動することとなる。

すなわち、スクリユー最後退位置設定器８にて
設定された値と、実際の射出工程直前のスクリユ
ー位置は異なることになる。更に、実際の射出工
程直前のスクリユー位置は成形サイクル、スクリ
ユー回転数、あるいはその回転慣性、背圧等の諸
条件により異なることになる。そしてこの値が変
動することは一方において、射出工程中、射出速
度を切換える位置はスクリユーシリンダに対する
絶対位置により決められているため、最初に速度
が切換えられる位置迄の射出量に変動をもたらす
ことになる。この射出工程中、射出速度の切換え
位置迄の射出量の変動は、射出工程終了迄維持さ
れるので、成形品の表面状態の変動および成形品
寸法変動、重量変動の原因になるという問題点を
有している。

（問題点を解決するための手段） 問題点を解決するための手段を本考案実施例の
ブロツク図（第１図）により説明する。

本考案は、上記問題点を解決するため、スクリ
ユー位置検出器６およびスクリユー最後退位置設
定器８に加えて、制御装置として可塑化工程時に
使用される比較器７と制御器９、ならびに射出と
可塑化の両動作時ポンプ１１からの吐出油を制御
する流量調整機能付方向切換弁５により、可塑化
工程あるいはサツクバツク完了後から次の射出工
程まで、スクリユーの後退現象による位置変動を
解消するものである。

（作用） スクリユー２が、上記した原因により、後退し
始めると、スクリユー位置検出器６の出力信号
と、あらかじめスクリユー最後退位置設定器８に
設定された設定値との間に偏差が発生する。この
時、比較器７から信号が制御器９に送られ制御器
９は流量調整機能付方向切換弁５のｂソレノイド
（射出動作位置側）を励磁して、そのスプールを
適当量移動させて、ポンプ１１からの作動油を射
出ラム３に導入し、スクリユー２を前方に押圧す
ることにより、後退距離分だけ復帰させ、スクリ
ユー位置検出器６の検出値とスクリユー最後退位
置設定器８の設定値との偏差が０となつた時点で
作動を停止する。この制御は、次の射出動作開始
まで継続させる。

（実施例） 本考案実施例のブロツク図を第１図に示す。６
はスクリユー２の位置を検知するためのスクリユ
ー位置検出器であり、８はスクリユー最後退位置
設定器である。スクリユー位置検出器６の検出値
とスクリユー最後退位置設定器８の設定値とを比
較器７によつて比較し、両者に偏差が生じた場
合、比較器７は制御器９に信号を発する。制御器
９は、比較器７からの信号により、射出ラム３す
なわちスクリユー２を前進させるため、流量調整
機能付方向切換弁５を適宜励磁するよう制御す
る。該切換弁５は射出動作、可塑化動作に応じ
て、作動油の方向切換えおよび流量調整をも行
う。３は射出ラム、４は可塑化用油圧モータ、１
０は可塑化時の背圧制御用リリーフ弁、１１はポ
ンプ、１２は他の油圧機器への分岐回路である。

（考案の効果） 本考案は以上のような構成なので、可塑化終了
後から、あるいはサツクバツク完了後から次のサ
イクルでの射出開始までスクリユーの位置変動を
解消できるので、毎サイクルの射出条件が安定し
てバラツキの少ない精密成形を行うことが可能と
なる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案実施例のブラツク図である。第
２図は計量完了時のスクリユー内の溶融樹脂の流
れ説明図である。 １……シリンダ、２……スクリユー、３……射
出ラム、４……可塑化用油圧モータ、５……流量
調整機能付方向切換弁、６……スクリユー位置検
出器、７……比較器、８……スクリユー最後退位
置設定器、９……制御器、１０……背圧制御用リ
リーフ弁、１１……ポンプ、１２……分岐回路。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 射出成形機において、スクリユー位置検出器
   と、スクリユー最後退位置設定器と、前記スクリ
   ユー位置検出器の検出値と前記スクリユー最後退
   位置設定器の設定値とを比較する比較器と、比較
   器からの信号により流量調整機能付方向切換弁を
   制御する制御器を設け、該流量調整機能付切換弁
   によりポンプ吐出油を射出ラムへ導入することに
   より、可塑化工程終了時あるいはサツクバツク完
   了時から、次のサイクルの射出工程開始までスク
   リユーの位置変動を補正することを特徴とするス
   クリユー位置制御装置。