JPH029319B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 この発明は沸騰水型原子炉発電所の原子炉にお
ける制御棒駆動機構の交換装置に関する。

一般に、この種の制御棒駆動機構（以下CRD
と略称する）は原子炉圧力容器の炉底部に多数挿
入されているが、毎年定期点検のために抜き取つ
て補修交換等を行う必要がある。このCRDの抜
き取り交換作業は炉底部下方の放射線量の高い作
業室内で行うことになるので、作業者の被爆と言
つた労働安全衛生上の問題がある。そこでCRD
の抜き取り及び差し込みと言つた交換作業を機械
化して、出来るだけ炉底下の作業室内に入る作業
者の人数を減らすようにするためのCRD交換装
置が開発されて実用化されつつある。

つまり、第１図は従来のCRD交換装置の概略
的構成図で、先ず原子炉圧力容器１の炉底下方に
円筒状のコンクリート遮蔽壁２によりCRD交換
用作業室３があり、この作業室３内の環状レール
４上に全て外部遠隔操縦により動作する無人作業
車５が設けられている。この無人作業車５は、旋
回可能なプラツトホーム６と、この上の直線走行
可能な走行台車７と、この台車７にピン８を支点
として垂直状態と転倒傾斜状態とに回動できる回
動フレーム９と、このフレーム９に沿つてCRD
１０を掴み昇降動する昇降台車１１等からなり、
原子炉圧力容器１の炉底部に差し込んである
CRD１０を真下に垂直に引き抜いて作業室３の
搬入出口１２方に向け傾斜状態に転倒させて放し
たり、逆にCRD１０を傾斜状態で掴んで垂直に
起立して押上げるように炉底部内に差し込み装着
する作業をなす。一方上記無人作業車５により炉
底部から引き抜かれて転倒傾斜状態とされて放さ
れるCRD１０を受け取つて作業室３内から原子
炉格納容器１３外部へ搬出したり、逆に外部から
CRDを搬入して上記無人作業車５に受け渡した
りする運搬カート１４が設置されている。この運
搬カート１４の走行路１５は上記プラツトホーム
６にCRD１０の転倒状態に沿うべく取付けた急
勾配の傾斜架台１６と、同傾斜で作業室３の搬入
出口１２内に取付けた短尺な傾斜架台１７と、原
子炉格納容器１３内にて支点１８を中心に巻上機
１９により傾斜状態から水平状態に可変できるよ
う取付けた可動架台２０と、原子炉格納容器１３
の搬入出口２１内から外部に延出して設けた水平
架台２２とでもつて構成され、その走行路１５の
各架台１６，１７，２０，２２上を運搬カード１
４が車輪走行できるようになつている。ここで、
その運搬カート１４の走行駆動手段としては水平
架台２２の終端に電動ウインチ２３が設けられ、
これに巻装した牽引ロープ２４に運搬カート１４
が連結されている。しかして作業室３内より無人
作業車５から受け取つたCRD１０を外部へ搬出
する場合は、ウインチ２３のロープ巻取りにより
運搬カート１４を傾斜架台１６から１７を介して
可動架台２０まで牽引走行させ、そこで一時停止
して巻上機１９により可動架台２０を水平に引き
上げ、その後再び牽引して水平架台２２上を走行
させてCRD１０の搬出を行い、逆に外部から
CRD１０を作業室３内に搬入する場合は、ウイ
ンチ２３で牽引ロープ２４を巻戻しながら運搬カ
ート１４を作業者が手押しにより水平架台２２上
から同じく水平状態となつている可動架台２０上
まで走行させ、そこで巻上機１９により可動架台
２０を傾斜状態に降し、以後傾斜を利用して自重
により牽引ロープ２４を巻戻しながら傾斜架台１
７上より１６上へ走行させ、該ロープ巻戻しの規
制で定位に停止させてCRD１０の無人作業車５
への受け渡しを可能としている。

以上の様なCRD交換装置を備えた場合、CRD
１０の搬入・出交換作業が機械化されて、作業者
は高放視線量の作業室３内に入らなくても済むよ
うになつたが、しかしながら運搬カート１４を電
動ウインチ２３にて牽引して走行させる構成であ
ることから、作業室３内より外部への搬出時はそ
れほど問題がないとしても、逆の搬入移動時はウ
インチロープ巻戻しを行なつても運搬カート１４
が水平架台２２上を移動できず、従つて作業者が
運搬カート１４を手押しにより走行させて可動架
台２０上まで、つまり原子炉格納容器１３内まで
入つて行かなければならず、この場合原子炉格納
容器１３内においても放射線量はかなり高いので
作業者の放射線被爆の虞れが大であり安全衛生上
非常な問題であつた。

この発明は上記事情に鑑みなされたもので、そ
の目的とする処は、一部は傾斜しているが他部は
水平な走行路上を運搬カートを往復走行移動させ
て、炉底下の作業室内よりCRDを外部へ搬出し
たり逆に搬入したりするCRD交換作業を外部遠
隔操縦のみで行うことができて、一切作業者が原
子炉格納容器内などに入らなくても済む非常に安
全性の向上に効果大となるものを提供することに
ある。

上記の目的を達成するため本発明は、炉底作業
室内にて炉底部に配する制御棒駆動機の抜き差し
交換を行なう無人作業車と、上記炉底作業室内に
て上記無人作業車と相互に制御棒駆動機構の受け
渡しを行う運搬カートと、この運搬カートを牽引
ロープの巻上げ及び巻戻しにより炉底作業室内か
ら原子炉格納容器の搬入出口を介して外部に通じ
る急勾配の傾斜架台と水平架台とこの傾斜架台と
水平架台の間に設けられた可動架台とから構成さ
れる走行路を走行移動させる電動ウインチとを備
えた原子炉における制御棒駆動機構の交換装置に
おいて、上記運搬カートに減速機付き電動機とこ
の減速機付き電動機の出力軸の回転をこの運搬カ
ートの走行車輪に伝達する電磁クラツチとを搭載
し、この減速機付き電動機並びに電磁クラツチ及
び上記電動ウインチとを併用して用いると共に、
上記減速機付き電動機の駆動速度並びにその正・
逆転切換え及び上記電磁クラツチのON・OFF切
換えを上記電動ウインチの動作と同期させ上記牽
引ロープの巻上げ及び巻戻し方向と常に同じ方向
に等速で車輪駆動するように原子炉格納容器の外
部から遠隔操縦するようにしたことを特徴として
いる。

以下この発明の一実施例を第２図及び第３図に
従い説明する。なお、第２図及至第３図はこの発
明の主要部のみを示しており、それ以外は前述の
第１図に示した構成と同様であるので図示省略す
ると共に、第１図と同一構成部品は同一符号を附
して説明の簡略化を図る。

先ず第２図、第３図は第１図に示した如く走行
路１５の水平架台２２上に来ている状態の運搬カ
ート１４の後部のみの平面図及び側面図であり、
その運搬カート１４の台枠１４ａ後端にはコモン
ベース２５が取付けられ、このコモンベース２５
の後端に第１図に示した電動ウインチ２３の牽引
ロープ２４が連結されて牽引されるようになつて
いる。一方そのコモンベース２５上に減速機付き
電動機２６が搭載されて運搬カート１４の後方走
行車輪２７を正・逆回転駆動できるようになつて
いる。即ち、コモンベース２５上に減速機付き電
動機２６と電磁クラツチ２８が設置されている。
その電磁クラツチ２８はコモンベース２５の一側
縁部上に立設した取付枠２９を介して固定したコ
イル枠３０と、このコイル枠３０内に組込まれた
コイル３１と、コイル枠３０の内周に設けたベア
リング３２を介し回転可能に嵌装したロータ３３
と、このロータ３３の一側フランジ部３３ａに取
付けられ上記コイル３１への通電により磁化され
る鉄片３４と、ロータ３３に嵌着されたローター
軸３５の先端に軸受３６を介して回転自在に嵌合
した回転円板３７と、この回転円板３７に挿入さ
れた複数のピン３８と、これらピン３８にスライ
ド軸受３９を介して上記ロータ３３のフランジ部
３３ａに対し接離可能に取付けたアマチヤア４０
と、このアマチヤア４０を常時ロータ３３のフラ
ンジ部３３ａが離間する方向に弾圧する圧縮ばね
４１とから構成されている。その電磁クラツチ２
８のローター軸３５が上記減速機付き電動機２６
の出力軸２６ａに軸継手４２を介し連結され、一
方回転円板２７の一側に上記複数のピン３８によ
りスプロケツト４３が取付けられ、このスプロケ
ツト４３と上記走行車輪２７に設けたスプロケツ
ト４４とに伝動チエーン４５が掛装されている。
そして減速機付き電動機２６を通電により作動さ
せる際に、電磁クラツチ２８のコイル３１に通電
することで、ロータ３３の鉄片３４が磁化されて
アマチヤア４０を吸着し、この状態で電動機２６
の回転が出力軸２６ａから軸継手４２、ローター
軸３５、ロータ３３を介してアマチヤア４０に伝
達され、これにてアマチヤア４０と回転円板３７
及びスプロケツト４３が一体に回転せしめられ
て、伝動チエーン４５を介し走行車輪２７を正・
逆回転駆動できるようになつている。

なお、その減速機付き電動機２６及び電磁クラ
ツチ２８のコイル３１への給電は、第１図に示し
た電動ウインチ２３の牽引ロープ２４と同様に巻
取り、巻戻しされ電源ケーブル（図示せず）によ
り行われ、同時にその給電の開始及び停止並びに
電動機２６の正・逆転切換と言つた制御は上記電
動ウインチ２３と同期させて外部遠隔操縦可能と
されている。

而して、上述した構成では、無人作業車５から
CRD１０を受け取つた運搬カート１４を電動ウ
インチ２３の牽引ロープ２４巻取りにより牽引走
行させて外部へ搬出移動させる時、又は逆に外部
からCRD１０を乗せた運搬カート１４を電動ウ
インチ２３で牽引ロープ２４の巻戻しを行ないな
がら作業室３内方へ搬入移動させる時、いずれの
場合でも電動ウインチ２３と同期させて運搬カー
ト１４に搭載させた減速機付き電動機２６及び電
磁クラツチ２８のコイル３１への通電制御を行
い、該ウインチ２３の牽引ロープ２４巻取り又は
巻戻し方向と常に同じ方向に等速で車輪駆動す
る。これにて運搬カート１４は外部から搬入移動
する場合、走行路１５の水平架台２２上を牽引ロ
ープ２４を引張りながら自走して可動架台２０上
へと進み、従来の様に作業者が手押しする必要が
なくなる。

なお、上述の如く運搬カート１４に電動機２６
による車輪駆動手段を設けることで自走可能とな
ることから、電動ウインル２３の牽引ロープ駆動
手段を省略すると言つた考えもあるが、運搬カー
ト１４が走行路１５の傾斜架台１６，１７及び傾
斜状態の可動架台２０上を登つたり下りたりする
場合、その傾斜が急勾配であるから、前述の自走
駆動手段だけでは動力不足やすべりの発生がある
ので、上記電動ウインチ２３を省略せずに併用す
る方が好都合であり、また、電動機２６による車
輪駆動は少なくても運搬カート１４を外部水平架
台２２上から可動架台上まで侵入させる時のみ行
えば良いが、その遠隔操縦による制御を考えると
電動ウインチ２３と同期して動作させた方が簡便
であつて、傾斜架台上を登る時など電動ウインチ
２３による牽引走行が電動機２６による車輪駆動
に助長されてよりスムーズとなる。

この発明は以上詳述した如くなしたから、一部
傾斜し他部が水平な走行路上を運搬カートを往復
移動させて炉底下の作業室内よりCRDを外部へ
搬出したり逆に搬入したりするCRD交換作業時、
該運搬カートを作業者が手押しにより移動させる
必要が一切無く、全て外部遠隔操縦による運搬カ
ートの往復走行を可能とできる。これにて作業者
は原子炉格納容器内に入らなくて済み、放射線被
爆等の安全衛生上の問題が解消できるものとな
る。

【図面の簡単な説明】

第１図は従来の原子炉におけるCRD交換装置
の概略構成図、第２図はこの発明の一実施例を示
す要部のみ一部断面した平面図、第３図は同要部
の側面図である。 １……原子炉圧力容器、３……作業室、５……
無人作業車、１０……制御棒駆動機構（CRD）、
１２，１２……搬入出口、１４……運搬カート、
１５……走行路、２３……電動ウインチ、２４…
…牽引ロープ、２６……電動機。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. １ 炉底作業室内にて炉底部に配する制御棒駆動
   機の抜き差し交換を行なう無人作業車と、上記炉
   底作業室内にて上記無人作業車と相互に制御棒駆
   動機構の受け渡しを行う運搬カートと、この運搬
   カートを牽引ロープの巻上げ及び巻戻しにより炉
   底作業室内から原子炉格納容器の搬入出口を介し
   て外部に通じる急勾配の傾斜架台と水平架台とこ
   の傾斜架台と水平架台の間に設けられた可動架台
   とから構成される走行路を走行移動させる電動ウ
   インチとを備えた原子炉における制御棒駆動機構
   の交換装置において、上記運搬カートに減速機付
   き電動機とこの減速機付き電動機の出力軸の回転
   をこの運搬カートの走行車輪に伝達する電磁クラ
   ツチとを搭載し、この減速機付き電動機並びに電
   磁クラツチ及び上記電動ウインチとを併用して用
   いると共に、上記減速機付き電動機の駆動速度並
   びにその正・逆転切換え及び上記電磁クラツチの
   ON・OFF切換えを上記電動ウインチの動作と同
   期させ上記牽引ロープの巻上げ及び巻戻し方向と
   常に同じ方向に等速で車輪駆動するように原子炉
   格納容器の外部から遠隔操縦するようにしたこと
   を特徴とする原子炉における制御棒駆動機構の交
   換装置。