JPH028516Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 この考案は計器用変圧装置に関する。

たとえば、第１図に示すように、計器用変圧器
１は、電源２との間にしや断器３を介してつなが
れている。この場合しや断器３として極間に分圧
用あるいはしや断性能向上のためのコンデンサ３
１を並列接続したものが用いられている場合、し
や断器３を開放すると、しや断器３のコンデンサ
３１及び母線４等と大地との間の対地漂遊静電容
量５からなる回路と、計器用変圧器１の回路で鉄
共振を発生することがある。そして、この鉄共振
が発生すると、しや断器３を開放したにもかかわ
らず、計器用変圧器１の回路に異常電圧が発生
し、一旦鉄共振が発生すると、それは長時間継続
する。

この鉄共振には分数調波振動（1/3、1/5調波
等）と、基本波振動（50又は60Hz）の２つのモー
ドがあり、前者の分数調波振動の場合は、その波
高値はほぼ定格運転時と同じで、計器用変圧器１
に損傷を与えるものではないが、計器用変圧器１
の２次回路に接続された継電器等に使用されてい
る変圧器の鉄心が飽和し、この鉄心飽和による損
失増加によつてこの種継電器等を焼損することが
ある。又、後者の基本波振動の場合には、その波
高値が定格運転時の２〜３倍以上になることがあ
り、これが長時間継続すると前記継電器はもちろ
ん、計器用変圧器１本体にも電圧的、熱的に損傷
を与え、ときには計器用変圧器１が絶縁破壊する
ことがある。

又、第２図に示すように、電圧の異なる２系統
の送電線路４ａ，４ｂを構成するような併架式送
電線路において、上位系統（高い電圧）の送電線
路４ａが活きた状態で、下位系統（低い電圧）の
送電線路４ｂがしや断器３の開放によつて切り離
されたような場合、計器用変圧器１には送電線路
４ａ−４ｂとの間の漂遊静電容量５１と送電線路
４ｂと大地の間の対地漂遊静電容量５２との合成
静電容量と、計器用変圧器１との間において上述
した場合と同様、鉄共振が発生することがある。
なお、第２図において２ａ，２ｂはそれぞれ電源
である。

この考案は上述の事柄に鑑み、計器用変圧器の
２次電圧を積分回路により積分し、この電圧を比
較制御回路により比較して鉄共振の発生を検出
し、鉄共振が発生した場合に計器用変圧器の端子
間に、抑制インピーダンス成分を接続することに
より前述した鉄共振による分数調波振動及び基本
調波振動を抑制するようにしたものである。

以下この考案の一実施例を示す第３図及び第４
図に基いて説明する。なお、第１図及び第２図と
同じ符号を附した部分は、同一又は対応する部分
を示す。６は抑制インピーダンス成分で、スイツ
チング素子７を介して計器用変圧器１の２次回路
に接続されている。図示例では、前記抑制インピ
ーダンス成分６として制動抵抗を用いている。８
は計器用変圧器１の２次回路につながれた積分回
路で、計器用変圧器１の２次電圧ｖ２を積分し出
力電圧ｖ３を出力する。９は前記積分回路の前記
出力電圧ｖ３をたとえば、整流回路９１で直流に
整流平滑し、比較制御器９２であらかじめ設定さ
れた基準電圧Ｅと比較され、この基準電圧Ｅを越
えたときに前記スイツチング素子７に閉路信号を
与え、スイツチング素子７を閉路するように形成
されている。１１，１２は計器用変圧器１の１次
巻線及び２次巻線、１３は計器用変圧器１の鉄
心、ｕ，ｖは計器用変圧器１の２次端子である。

前記比較制御回路９は積分回路８の出力電圧ｖ
３を整流平滑し基準電圧Ｅと比較するようにして
いるが、これに代えてその出力電圧ｖ３があるレ
ベル以上になつたときにスイツチング素子７に閉
路信号を発するようにしてもよいのは勿論であ
る。

以上の構成によれば、通常計器用変圧器１には
基本周波数の一定レベルの電圧が印加され、ため
に前記２次電圧ｖ２も一定であり、積分回路８の
出力電圧ｖ３も一定である。したがつて、この出
力電圧ｖ３を比較制御回路９の整流回路９１を介
して整流平滑した直流電圧は、基準電圧Ｅ以下で
あり、比較制御器９２は、閉路信号を発せず、ス
イツチング素子７は開路状態を維持するので、抑
制インピーダンス成分６は計器用変圧器１の負荷
とはならない。

ところが、しや断器３の開放により電気的シヨ
ツクが発生し、鉄共振による分数調波振動（例え
ば、1/3調波振動）が発生したとすると、前記計
器用変圧器１の２次回路には1/3調波成分を有す
る２次電圧ｖ２が印加され、その波高値は定格運
転時と同等もしくは若干低いが、積分回路８で積
分した出力電圧ｖ３は、その波高値が第４図に示
すように、定常値の数倍に達するような波形とな
る。したがつてこの出力電圧ｖ３を整流回路９１
を介して整流平滑した直流電圧が比較制御器９２
の基準電圧Ｅを越え、スイツチング素子７に閉路
信号を発し、抑制インピーダンス成分６である制
動抵抗が計器用変圧器１の２次回路に接続され、
鉄共振による分数調波振動を抑制する。なお、鉄
共振による基本調波振動が止まれば、前記積分回
路８の入力電圧である２次電圧ｖ２が低くなり、
比較制御器９２からの閉路信号はなくなる。した
がつて、スイツチング素子７は開路され抑制イン
ピーダンス成分６である制動抵抗は計器用変圧器
１の２次回路から切離される。

又、鉄共振による基本波振動が発生したとする
と、その１次電圧は定格運転時の２〜３倍とな
り、２次回路に誘起された２次電圧ｖ２が積分回
路８の入力電圧となるので、その出力電圧ｖ３も
比例して高くなり、ために整流回路９１を介して
整流平滑した直流電圧は基準電圧Ｅを越え、比較
制御器９２はその設定値を越えることから、スイ
ツチング素子７に閉路信号を与え、スイツチング
素子７は閉路され、計器用変圧器１の２次回路に
抑制インピーダンス成分６である制動抵抗が接続
されるので、この制動抵抗により鉄共振による基
本調波振動は前記同様抑制され、計器用変圧器１
の回路の異常電圧は消滅する。

前記抑制インピーダンス成分６の値としては、
一概に決めることはできないが、コンデンサ３１
及び対地漂遊静電容量５の値を考慮して決定すれ
ばよい。更に、スイツチング素子７としては、開
閉制御の可能なものであればよく、たとえば、逆
並列接続したサイリスタ、トライアツク、電磁接
触器等を用いることができる。

以上詳述の通りこの考案によれば、計器用変圧
器の鉄共振による基本波振動及び分数調波振動を
抑制できる効果を奏する等といつた実用的効果を
奏する。

なお、この考案は特に極間に分圧用あるいはし
や断性能向上のためのコンデンサを並列接続した
しや断器と、他の電気機器とをガス絶縁してなる
いわゆるGISにおいて、計器用変圧器を用いる場
合に効果的である。

【図面の簡単な説明】

第１図及び第２図はそれぞれ鉄共振が発生する
場合を説明する回路図、第３図はこの考案の一実
施例を示す回路図、第４図は端子間電圧ｖ２及び
積分電圧ｖ３の波形図である。 １：計器用変圧器、２，２ａ，２ｂ：電源、
３：しや断器、６：抑制インピーダンス成分、
７：スイツチング素子、８：積分回路、９：比較
制御回路。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 計器用変圧器と、この計器用変圧器の端子間に
   スイツチング素子を介してつながれた抑制インピ
   ーダンス成分と、前記計器用変圧器の２次電圧を
   積分する積分回路と、この積分回路の出力電圧が
   設定電圧以上になつたとき前記スイツチング素子
   に閉路信号を与える比較制御回路とからなること
   を特徴とする計器用変圧装置。