JPH02619Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔考案の技術分野〕 この考案は燃焼排ガスと室内空気とを熱交換さ
せる温風暖房機に係り、特に熱交換器を改良した
ものに関する。

〔考案の技術的背景〕

第１図は一般的な温風暖房機の構造を示したも
のであるが、これを簡単に説明すると、下部に対
流送風機１を設け、その上部に熱交換器２を配し
て、下方より熱交換器２に送風し、上方の吹出口
３から室内に温風を吹出し、室内を暖房するもの
である。

従来の熱交換器２は、第２図及び第３図に示す
ごとく、下部に燃焼筒４を設け、その上部にヘツ
ダ５，６間に支持され複数本のパイプを円周状に
配置した熱交換パイプ７を有したものからなつて
いる。８はバーナ接続口で、これより生成された
燃焼炎が燃焼筒４内に導入され、燃焼排ガスとな
り、熱交換パイプ７を通過する過程で、熱交換パ
イプ７外部を通過する空気と熱交換される。

〔背景技術の問題点〕

ところが、前述したごとく従来の熱交換器２
は、下部にドラム状の燃焼筒４を有しているた
め、その対流送風機１側の外表面が大きいわり
に、下方よりの冷却送風の通路が塞がれ、しかも
燃焼筒４上部には風の当らないよどみ点が生じて
いた。このため局部的な過熱が生じる虞れがあ
り、熱交換器２の周辺に風向板等を設けて風の分
布を均一にする必要があつた。また、燃焼筒４の
存在は、その送風側への投影面積が大きい故、送
風の妨げとなり対流送風機１に過度な負担をかけ
ていた。さらに、燃焼筒４と熱交換パイプ７との
二段積み構造より成る上記熱交換器２は、構造が
複雑で大型化する傾向があり、暖房機を薄形にす
るという要請に対して十分応えられないという欠
点があつた。

〔考案の目的〕

この考案は、上記事情を考慮してなされたもの
で、その目的とするところは、高効率の熱交換が
行なえると共に薄形化がはかれる構造簡単な温風
暖房機を提供するにある。

〔考案の概要〕

この考案は、熱交換器に送風して温風を得るよ
うにした温風暖房機において、前記熱交換器をバ
ーナに沿つて設けられた燃焼室と、この燃焼室か
ら燃焼室の長手方向に沿つて配列され、且つ上方
に延び中間にてＵターンして前記燃焼室に平行に
配設した排気ヘツダに連結されるＵ字状の熱交換
パイプとから形成し、相隣り合うＵ字状の熱交換
パイプを送風空気との接触面積を増大すべく互い
にずらして配列したことを特徴とする。これによ
り送風空気が熱交換器とむらのない状態で接触で
きるようにして局部的な過熱をなくし、また熱交
換パイプ内部に発生する水分が低温側の排気ヘツ
ダに滴下していき高温側の燃焼室には滴下しない
ようにしたものである。

〔考案の実施例〕

以下、この考案に係る温風暖房機の好適一実施
例を添付図面に基づいて説明する。熱交換器を除
いては基本的に従来例と同様なので説明を省略す
る。

第４図乃至第６図に示すごとく、本実施例の熱
交換器１０は燃焼室１１と熱交換パイプ１２とか
ら形成されている。

燃焼室１１は強制燃焼形のラインバーナ１３の
上部にラインバーナ１３に沿つて一体的に設けら
れ、偏平な箱形状を呈している。

熱交換パイプ１２は、上記燃焼室１１の上部に
その長手方向に沿つて複数本互いに隣り合つて配
列され、その一端が加締め等の手段により燃焼室
１１に固着されている。熱交換パイプ１２は燃焼
室１１から上方に延び中間にてＵターンして下方
に延び、その他端が燃焼室１１若しくはラインバ
ーナ１３に平行に配設した排気ヘツダ１４に同じ
く加締め等の手段により連結されている。

Ｕ字状の熱交換パイプ１２は、互いに隣り合つ
て配列された状態でも、下方あるいは上方からの
送風空気との接触面積を増大すべく、燃焼室１１
及び排気ヘツダ１４に対して千鳥状にずらして並
べられ、かつ中間のＵターン部１２ａの高さを交
互に異なるようにずらしてある。また、このＵタ
ーン部１２ａは曲げのための曲率を小さくすべく
バルジ加工が施されている。

次に、以上の構成よりなる本実施例の作用につ
いて説明する。

ラインバーナ１３で生成された火炎１５は燃焼
室１１内で助燃空気Ａの供給を受けて燃焼排ガス
となり、Ｕ字状の熱交換パイプ１２を通過する過
程で、熱交換パイプ１２外部を上昇あるいは下降
する対流送風機１による送風空気と熱交換され
る。この場合において、熱交換パイプ１２の隣り
合う直状部が重ならないように熱交換パイプ１２
を千鳥状に配列し、またそのＵターン部１２ａの
対向面が重ならないように熱交換パイプ１２の高
さに変化をつけて配置してあるので、熱交換パイ
プ１２の表面は隠れることなくほとんどが露出し
て空気と接触するようになつている。

また、燃焼室１１と排気ヘツダ１４とは水平方
向に離間しており、この間を通り抜けて直接熱交
換パイプ１２に向かう送風通路が形成されてい
る。したがつて、送風空気は熱交換パイプ１２の
全表面に隈無く行き亙り、熱交換パイプ１２を冷
却し熱交換パイプ１２内を通過する燃焼排ガスか
ら有効に熱を奪う。したがつて、熱交換パイプ１
２の加熱及び冷却を均一に行なうことができる。
また、パイプ１２列の実際の空気の通路、すなわ
ち空気との接触面積は、平面（第４図）及び正面
（第５図）からみた見掛け上のそれよりも大きく、
かつ燃焼筒１１及び排気ヘツダ１４が共に薄形ゆ
え通路を妨げないので無駄のない高効率の熱交換
を行なうことができる。

また、熱交換パイプ１２をＵターンさせその中
間のＵターン部１２ａで高熱側と低温側とに分か
れ、高熱側には燃焼筒１１が、低温側には排気ヘ
ツダ１４がそれぞれ連結されているので、熱交換
パイプ１２内部に発生する水分は、その大半が低
温側において生成されることにより、低温側の排
気ヘツダ１４へ滴下していき、高温側へはほとん
ど滴下しない。したがつて、ラインバーナ１３等
を水滴から有効に保護し、その耐久性を向上する
ことができる。

次に、熱交換パイプ１２をＵ字状とすることに
より、熱交換器１０そのものを高さＨ方向に小さ
くでき、特にＵターン部１２ａをバルジ加工して
曲げることにより幅Ｗ方向に薄くすることがで
き、また、密接して配列することにより長さＬ方
向にもその寸法を詰めることができる。したがつ
て、温風暖房機全体の薄形化、小型化をはかるこ
とができる。また、燃焼筒１１に直接熱交換パイ
プ１２を配設したので、熱交換器用ヘツダが１つ
不要となり熱交換器１０の構造を簡単にすること
ができ安価に製造することができる。

このように、上記実施例によれば、相隣る熱交
換パイプを幅Ｗ方向及び高さＨ方向にずらして配
列したので、空気との接触面積が増大し、かつ燃
焼筒１１や排気ヘツダ１４が通路を妨げることが
ないので、局部的な過熱を防止し送風量の増大が
図れ、高効率の熱交換を行なうことができる。ま
た、熱交換パイプ１２を密接して配列するととも
にＵ字状に折り曲げたので温風暖房機全体を小型
かつ薄形にすることができる。

第７図及び第８図は上記実施例における排気ヘ
ツダ１４の変形例を示したもので、第７図は排気
ヘツダ１４の底部を中央に向かう傾斜面１４ａと
し中央の排気筒１６にドレンが集まるようにし
て、ドレンの外部流出を容易にしたものである。
また第８図は排気ヘツダ１４に下方からの送風を
熱交換パイプ１２の高熱側に案内する傾斜面１４
ｂを設けて、流通抵抗を下げて送風量の増大を図
るとともに高温側により多くの送風を与えて熱交
換効率を高めるようにしたものである。

次に、本考案に係る他の実施例について説明す
る。

第３図に示すごとく、従来燃焼筒４の過熱防止
のための温度感知器からなる過熱防止装置１７、
冷風の吹き出し防止のための温度感知器からなる
冷風防止装置１８及び温度ヒユーズ１９等温風暖
房機に必要な安全装置は、一方の熱交換器用ヘツ
ダ５の一部に取り付けた小さな取付板２０に取り
付けられていた。したがつて、取付板２０は単に
上記安全装置を固定するための取付板としての機
能を有するに止まり、熱交換の効率向上等には何
等寄与していなかつた。

そこで、熱交換パイプ１２を円周上から直線上
に配置換えするに際して、上記取付板２０を積極
的に使用し、単に安全装置を取り付ける取付板と
しての機能に止まらず、熱交換器１０の放熱フイ
ンとしての機能をも兼ね備えさせるようにした温
風暖房機を開示するものである。

すなわち、本実施例は第９図に示すごとく、燃
焼筒１１と排気ヘツダ１４とをＵ字状の熱交換パ
イプ１２列で連結した熱交換器１０において、そ
の熱交換パイプ１２列に安全装置を取り付けた取
付板２１を装着してなる。

上記取付板２１は、第１０図及び第１１図に示
すごとく、水平部２１ａと起立部２１ｂとからな
る断面Ｌ字状の長尺部材から成り、その水平部２
１ａに長手方向に沿つて熱交換パイプ１２列を挿
通するための孔、例えばバーリング孔２２を多数
設ける一方、起立部２１ｂに過熱防止装置１７、
冷風防止装置１８及び温度ヒユーズ１９等の安全
装置を取り付けるための取付孔２３が適宜の数設
けられている。そして、この取付孔２３に安全装
置を取り付けた取付板２１を、燃焼筒１１あるい
は排気ヘツダ１４と連結する前に熱交換パイプ１
２列にバーリング孔２２を介して挿通させ、熱交
換パイプ１２列の任意の位置に燃焼筒１１と平行
になるように固定してある。熱交換パイプ１２列
に挿通される水平部２１ａは対流送風機１より送
風される空気と垂直に当る角度に設定する。

従つて、熱交換パイプ１２の熱は取付板２１に
伝導し、この伝導した熱が安全装置により検知さ
れ、もつて温風暖房機の正常な運転が確保される
一方、送風空気が取付板２１と接触して熱交換パ
イプ１２の熱と熱交換する放熱フインの作用をす
る。その結果、取付板２１が熱交換パイプ１２の
放熱面積を増大することになるので熱効率の向上
をはかることができる。特に、取付板２１の折り
曲げ角度を任意に調節することにより送風空気の
流れ方向に変化を与え、熱交換パイプ１２の高熱
側となるような箇所により多くの空気を当てるよ
うにすれば、局部加熱を防止することができ、熱
効率の一層の向上がはかれる。

このように、安全装置を放熱フインの機能を有
する取付板２１に取り付けるようにしたので、送
風空気量の変化、燃焼量の変化による熱交換パイ
プ１２の温度変化が敏感に検知でき、より正確な
温風暖房機の動作を確保することができる。

なお、第１２図は、熱交換パイプ１２列用の通
し孔２２を二列に配設して、Ｕ字状の熱交換パイ
プ１２の両方の脚を固定させるとともに、水平部
２１ａの中央に対流空気の通気孔２４を切り起こ
し等により設けたものであり、この結果熱交換パ
イプ１２が振動するのを有効に防止でき、且つ切
り起し等により形成した切起片により空気の流れ
方向を任意に変更できる空気案内板の役割を取付
板２１に持たせることが可能となる。

このように、上記他の実施例によれば、安全装
置を取り付ける取付板２１が放熱フインの動きを
するので熱交換効率の向上がはかれる。また、取
付板２１の折り曲げ角度及び通気孔２４の向きを
変えることにより、風向板としても利用でき、熱
交換器１０の局部加熱を有効に防止することがで
きる。

〔考案の効果〕

以上要するに本考案によれば次のような優れた
効果を発揮する。

(1) 相隣り合う熱交換パイプをずらして配列した
ので、送風空気が熱交換パイプの全表面と接触
でき、高効率の熱交換を行なうことができる。

(2) 熱交換パイプをＵ字状にするという簡単な構
造で、熱交換パイプ内部に発生する水分が低温
側の排気ヘツダに滴下していき高温側の燃焼室
には滴下しないようにしたのでバーナ等の耐久
性が向上し、また、温風暖房機を薄形かつ小型
にすることができる。

【図面の簡単な説明】

第１図は従来の温風暖房機の一例を示す概略縦
断面図、第２図は同じくその要部の熱交換器を示
す拡大正面図、第３図は第２図の右側面図、第４
図は本考案の温風暖房機の好適一実施例の要部を
なす熱交換器の平面図、第５図は同じく正面図、
第６図は同じく側面図、第７図及び第８図は同じ
く熱交換器の一部を構成する排気ヘツダの変形例
を示す概略説明図、第９図は本考案の温風暖房機
の他の好適一実施例の要部をなす熱交換器の斜視
図、第１０図は同要部断面図、第１１図は同要部
である取付板の斜視図、第１２図は取付板の変形
例を示す斜視図である。 なお、図中１０は熱交換器、１１は燃焼室、１
２は熱交換パイプ、１２ａはＵターン部、１３は
ラインバーナ、１４は排気ヘツダである。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 (1) バーナに沿つて設けられた燃焼室と、この燃
   焼室の上部にその長手方向に沿つて複数本互い
   に隣り合つて配列され、その一端が燃焼室に固
   着されると共に、燃焼室から上方に延び中間に
   てＵターンして下方に延びその他端が燃焼室に
   平行に配設した排気ヘツダに連結されるＵ字状
   の熱交換パイプとから構成する熱交換器を備
   え、熱交換器に送風して温風を得るようにした
   温風暖房機において、この熱交換パイプは、互
   いに隣り合うパイプを燃焼室及び排気ヘツダに
   対して千鳥状にずらして配列し、且つそのＵタ
   ーン部の高さを交互に異なるようずらして形成
   させると共に、Ｕターン部にバルジ加工を施し
   たことを特徴とする温風暖房機。 (2) 上記排気ヘツダに下方からの送風を熱交換パ
   イプの高温側に案内する傾斜面を設けたことを
   特徴とする実用新案登録請求の範囲第１項記載
   の温風暖房機。