JPH0260944B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 本発明は、室外騒音が換気口から室内に侵入す
ることを防止するための換気口用消音装置に関す
る。

建物の窓等の遮音性能の向上に伴ない、新たに
建物に設けられた換気口から室内に侵入する騒音
の問題が提起されている。

この騒音問題の解決を図るべく、換気筒の内周
面に吸音材を配置し、該吸音材によつて騒音を吸
収しようとする試みが提案されており、また、吸
音材による吸音効果を高めるために換気筒内にそ
の室外側開口より室内側開口に至る迷路を形成
し、この迷路の壁面に吸音材を配置することが提
案されている。

しかしながら、吸音材は高い周波数の騒音に対
しては高い消音効果を示すが、125〜400Hzという
低い周波数の騒音に対しては消音効果を示さず、
主としてこの吸音材による音のエネルギー吸収作
用に依存していた従来の前記消音装置では、吸音
材が組み込まれた換気筒の共振等によつて、逆に
前記した低周波の騒音が拡大して室内に伝えられ
ることがあり、従来の前記消音装置によつては充
分な消音効果を得ることができなかつた。

本発明の目的は、広い周波数帯域の騒音が室内
に侵入することを防止し得る換気口用消音装置を
提供することにある。

従来の前記消音装置が主して吸音材による音の
エネルギー吸収作用に依存していたことに対し、
本発明は、基本的には、通路を介して互いに連通
された部屋を伝播する音波は前記部屋において拡
大されその音のエネルギー密度が希薄化されるこ
とにより消音される、という原理に基づく。

本発明によれば、建物の換気口に配置される消
音装置であつて、壁によつて区画されかつ通路を
介して互いに連通された、室外側開口を介して大
気に通じる最初の部屋および室内側開口を介して
室内に通じる最後の部屋を含む複数の部屋を備
え、前記室内側開口は前記最後の部屋に連なる通
路の軸線方向に対して角度をなす方向にあり、ま
た、前記室内側開口は、該室内側開口と、前記通
路から前記室内側開口へ向けて進行する音波の進
行方向の正面に位置する壁との間の距離を変更す
べく前記最後の部屋の容積を変えることなしに変
位可能である消音装置が提供される。

本発明が特徴とするところは、図示の実施例に
沿つての以下の説明により、さらに明らかとなろ
う。

本発明に係る換気口用消音装置１０の原理を第
１図に沿つて詳細に説明すると、前記消音装置１
０は通路１２を介して互いに連通された複数の部
屋１４（１４ａ，１４ｂ）を備え、図示の例では
第１の部屋１４ａおよび第２の部屋１４ｂが示さ
れている。

第１の部屋すなわち最初の部屋１４ａは、室外
側開口１６を介して大気に通じ、また第２の部屋
１４ｂは室内側開口１８を介して建物の室内に通
じている。屋外の騒音等の音波が前記開口１６を
経て部屋１４ａ内に伝わると、この音波は部屋１
４ａ内で拡大され、続いて通路１２を経て部屋１
４ｂ内に伝わると、通路１２で縮小された音波は
再び部屋１４ｂ内で拡大される。この音波の拡大
毎に、該音波はその膨張によつてそのエネルギー
を減少する。その結果、前記消音装置１０の前記
開口１６から前記開口１８を経て前記室内に侵入
する騒音を効果的に消去することができる。

前記開口１８を図示のとおり前記通路１２の軸
線方向と角度をなす方向に設け、さらに通路１２
から第２の部屋１４ｂ内を前記開口１８へ向けて
進行する音波の進行方向の正面に位置する壁２０
から通路１２側へ距離ｄを設けることにより、前
記した膨張による消音機能に加えて、前記壁２０
での反射波を利用した共鳴による消音機能を前記
消音装置１０に付与することができ、一層効果的
に騒音を消去することができる。

また、前記開口１８と壁２０との距離ｄを変え
ることによりあるいは第１図に破線で示されてい
るように通路１２の両端を該通路が開放する各部
屋１４ａ，１４ｂに突出させることにより、騒音
の周波数に対する挿入損失特性（消音特性）を変
えることができ、これにより所望の消音特性を得
ることができる。

さらに、前記部屋１４ａ，１４ｂの内壁面に吸
音材を配置することができ、この吸音材による吸
音機能をも付加することができる。

本発明に係る換気口用消音装置１０は、第２図
および第３図に示されているように、建物の壁体
２２に設けられた換気筒２４に関連して配置され
ている。換気筒２４の室内側開口には、従来よく
知られたガラリ２６が設けられ、換気筒２４の室
外側開口に前記消音装置１０が取り付けられてい
る。

前記消音装置１０は、第１図に示した、通路１
２および該通路を介して連通する部屋１４ａ，１
４ｂを区画するための箱２８から成り、該箱は、
例えば、幅、高さおよび奥行がそれぞれ300mm，
150mmおよび100mmの寸法を有する。箱２８内に
は、該箱内を前記部屋１４ａ，１４ｂに分離する
ための隔壁３０が、箱２８の一側２８ａより他側
２８ｂに向けて前記箱２８内の横切つて伸び、そ
の先端が箱２８の前記他側２８ｂに間隙をおく。
この間隙により、両部屋１４ａ，１４ｂを連通す
る前記通路１２が現定されており、該通路の各端
面は隔壁３０の面に一致する。

箱２８の下部には、前記通路１２が設けられた
側と反対の側に偏倚して位置する室外側開口１６
が設けられており、該開口を介して第１の部屋す
なわち最初の部屋１４ａは大気に連通する。ま
た、箱２８の上半部すなわち第２の部屋４ｂの周
壁を規定する部分には、前記通路１２の軸線方向
に90度の角度をなす室内側開口１８が設けられて
いる。開口１８は、換気筒２４の前記室外側開口
に一致し、これにより第２の部屋すなわち最後の
部屋１４ｂは前記室内に連通する。

第２図および第３図に示す例では、第２の部屋
１４ｂを取り囲む壁は、グラスウールから成る均
一厚さの吸音材３２によつて覆われている。ま
た、前記開口１８は、前記一側に位置する壁２０
を覆う吸音材３２の表面から前記通路１２の側へ
距離ｄ例えば40mmを隔てている。

前記消音装置１０では、第１図に沿つての説明
から明らかなように、室外から前記開口１６を経
て第１の部屋１４ａ内に伝えられた音波は、第１
の部屋１４ａ内に拡大され、続いて通路１２で縮
小された後、再び第２の部屋１４ｂ内で拡大され
ることにより、エネルギーを減少する。

また、通路１２を経て第２の部屋１４ｂ内を前
記開口１８へ向けて進行する音波の一部は、その
進行方向の正面に位置する壁２０により反射され
ることから、その反射波により共鳴現象が生じ
る。この共鳴現象によつて前記音波は、さらにそ
のエネルギーを減少させ、さらに第２の部屋１４
ｂの壁面に設けられた吸音材３２によつてエネル
ギーを減少させる。

その結果、前記消音装置１０によれば、高い消
音効果を得ることができ、前記換気筒２４を経る
空気の流通を阻止することなく該換気筒から前記
室内に浸入しようとする騒音を阻止することがで
きる。

第４図は、本発明に係る前記消音装置の消音特
性を示すグラフであり、横軸は騒音の周波数Hzを
示し、また縦軸は音響透過損失（dB）を示す。

前記グラフに符号３４で示された特性線は、第
２図および第３図に示したように第２の部屋すな
わち最後の部屋１４ｂを取り囲む壁の内面のみを
吸音材３２で覆つた場合の消音特性を示す。ま
た、符号３６で示された特性線はさらに第１の部
屋すなわち最初の部屋１４ａを取り囲む壁の内面
をも前記したと同様な吸音材で覆つた場合の消音
特性を示す。また符号３８で示された特性線は両
部屋１４ａ，１４ｂを取り囲む前記壁を前記吸音
材で覆わない場合の消音特性を示す。

前記グラフの特性線、特に特性線３８が示すと
ころから明らかなように、前記吸音材を用いるこ
となく、125〜400Hzの低周波領域をも含む広い範
囲の騒音をも効果的に低減することができ、また
前記吸音材を用いることにより高周波領域の騒音
を一層効果的に低減することができる。

前記部屋１４ａ，１４ｂを横方向に整列して形
成することもできるが、コンパクト化の上では、
第２図および第３図に示したように、両部屋１４
ａ，１４ｂを上下方向に積層状に形成し、両部屋
１４ａ，１４ｂをその一側に位置する通路１２で
連通することが望ましい。

また、消音効果を高めるために、第１および第
２の部屋１４ａ，１４ｂとの間に、前記したと同
様な通路を介して互いに連通する多数の部屋を必
要に応じて挿入することができ、第１図について
説明したように前記通路１２の両端部を前記部屋
１４ａ，１４ｂに突出させることができる。

前記距離ｄを零とすることができるが、この距
離ｄを零とした場合には共鳴現象による消音効果
が低減することから、図示の実施例のとおり、零
以上のある値ｄを設定することが望ましい。この
距離ｄを変更するために、前記開口１８が箱２８
に対してすなわち最後の部屋１４ｂに対して変位
可能とされている。前記開口１８を変位可能とす
ることにより、部屋１４ｂの容積または表面積の
大きさによつて定まる吸音力を予め設定された大
きさに維持したまま、距離ｄの調節による特定の
音に対する消音特性を調整することができる。距
離ｄを変更するためには壁２０を変位可能とする
ことが考えられるが、この場合には、壁２０の変
位に伴なつて部屋１４ｂの容積に変化が生じるた
め予め定められた吸音力の大きさを維持すること
ができない。このことから、前記消音特性の調整
のために開口１８を変位可能とする。

また、前記した共鳴現象による消音機能および
吸音材による吸音機能を高める上で、前記部屋１
４ａ，１４ｂを区画するすなわち規定する壁を、
前記壁２０を除き、吸音材で覆いかつ前記壁２０
の内面を反射が生じやすい平坦な鏡面とすること
ができる。

本発明によれば、前記したように、基本的には
音波の膨張によつて消音を図ることから、換気口
の通気性を損なうことなく該換気口から室内に侵
入しようとする低周波から高周波に至る広い周波
数領域の騒音を効果的に消音することができる。

さらに、本発明によれば、前記室内側開口を変
位可能にして、前記通路から前記室内側開口へ向
けて進行する音波の進行方向の正面に位置する壁
と前記室内側開口との間の距離を変更可能とした
ことから、前記壁での反射波を利用した共鳴現象
による消音特性の調整が可能である。しかも、前
記室内側開口の変位が前記最後の部屋の容積に変
化を生じさせないで、したがつて設定の吸音力に
変化を生じさせないで、消音特性を調整すること
ができる。この消音特性の調整により、消音装置
が設置される建物の周辺の騒音特性に応じた消音
効果、あるいは、消音装置の設置後における周辺
の騒音特性の変化に対応した消音効果を得ること
ができ、また、このためには前記距離の異なる多
種類の消音装置を準備する必要はなく、さらに、
前記距離の異なる他の消音装置との取り換えを必
要としない。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明に係る消音装置の原理を示す概
略図であり、第２図は本発明に係る消音装置の横
断面図であり、第３図は第２図に示した線３−３
に沿つて得られた断面図であり、第４図は本発明
に係る消音装置の消音特性を示すグラフである。 １２：通路、１４ａ：最初の部屋、１４ｂ：最
後の部屋、１６：室外側開口、１８：室内側開
口、２０：音波の進行方向正面に位置する壁、２
４：換気口、３２：吸音材。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ 建物の換気口に配置される消音装置であつ
   て、壁によつて区画されかつ通路を介して互いに
   連通された、室外側開口を介して大気に通じる最
   初の部屋および室内側開口を介して室内に通じる
   最後の部屋を含む複数の部屋を備え、前記室内側
   開口は前記最後の部屋に連なる通路の軸線方向に
   対して角度をなす方向にあり、また、前記室内側
   開口は、該室内側開口と、前記通路から前記室内
   側開口へ向けて進行する音波の進行方向の正面に
   位置する壁との間の距離を変更すべく前記最後の
   部屋の容積を変えることなしに変位可能である、
   換気口用消音装置。 ２ 前記部屋を区画する壁は吸音材を備える、特
   許請求の範囲第１項に記載の装置。 ３ 前記部屋を区画する壁は、前記音波の進行方
   向の正面に位置する壁を除き、吸音材を備える、
   特許請求の範囲第１項に記載の装置。 ４ 前記通路の各端面は該通路が配置された壁の
   面と一致する、特許請求の範囲第１項に記載の装
   置。 ５ 前記通路の各端部は該通路が配置された壁か
   ら突出する、特許請求の範囲第１項に記載の装
   置。 ６ 前記音波の進行方向の正面に位置する壁は平
   坦な内面を有する、特許請求の範囲第１項に記載
   の装置。