JPH0257213B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 Ａ 発明の目的 (1) 産業上の利用分野 本発明はクローズドデツキ型シリンダブロツク
を有する、内燃機関の機関本体に関するものであ
る。

(2) 従来の技術 従来水冷式内燃機関のクローズドデツキ型シリ
ンダブロツクは公知（実公昭59−13319号公報参
照）であり、またシリンダブロツクとシリンダヘ
ツドとをガスケツトを介して接合したものにおい
てシリンダブロツクとガスケツトとの接合面間、
あるいはシリンダヘツドとガスケツトとの接合面
間に溝を設けたものも公知（実公昭56−44251号
公報参照）である。

(3) 発明が解決しようとする問題点 一般に水冷式内燃機関のシリンダブロツクにお
いて該ブロツクを冷却するための水ジヤケツト
は、その上端がシリンダブロツクの上面、すなわ
ちデツキ面の全面に亘つて開放されるオープンデ
ツキ型と、そのデツキ面にはシリンダヘツドへの
流通路が開口されて該面の他は殆どが閉鎖される
クローズドデツキ型とが知られている。

ところでクローズドデツキ型シリンダブロツク
は、その剛性、特にシリンダヘツドへの取付面、
すなわちデツキ面の剛性を高めることができ、ま
たシリンダブロツクとシリンダヘツド間のガスケ
ツトの耐久性を高めることができるという利点が
あり、車両用等の高出力多気筒機関用として好適
であるが、その反面シリンダブロツクのデツキ面
およびシリンダヘツドの下面と、それら間に介在
されるガスケツトとの接触面積が大きくなるた
め、ガスケツトに作用する単位面積当りの面圧が
低下して該ガスケツトのシール機能が低下し、冷
却水やオイル洩れの懸念が生じる。この懸念を解
消するには、シリンダブロツクとシリンダヘツド
間の締付力を増加させればよいが、このようにす
れば締付ボルトが大きくなつて重量増を招くばか
りでなく作業性を悪くし、その結果コストアツプ
になるという問題があつた。またガスケツトの面
圧不足を補償するためガスケツトにデイピング処
理、プリントコート処理を施して水、オイル洩れ
防止を図るようにしたものも知られているが、こ
の場合にもコストアツプになるという問題があ
る。

そこで本発明はシリンダブロツクとシリンダヘ
ツドとの接合面間に僅かな改良を加えるだけで前
記問題を解決できるようにした、構成簡単な内燃
機関の機関本体を提供することを目的とするもの
である。

Ｂ 発明の構成 (1) 問題点を解決するための手段 そして上記目的を達成するために本発明は、ク
ローズドデツキ型シリンダブロツクのデツキ面に
ガスケツトを介してシリンダヘツドを重合結着し
てなる内燃機関の機関本体において、シリンダブ
ロツク側の水ジヤケツト等の流体室と、シリンダ
ヘツド側の水ジヤケツト等の流体室とを連通する
連通路の周辺部で、シリンダブロツクとシリンダ
ヘツド間に、その間のガスケツトへの面圧を増加
させるための空所を形成し、この空所に冷却水を
流通させるべく、該空所とシリンダブロツク側お
よびシリンダヘツド側水ジヤケツトの少なくとも
一方とを、前記ガスケツトに穿設した連通孔を介
して相互に連通させたことを特徴とする。

(2) 作用 上記凹所の特設によれば、ガスケツトと、シリ
ンダブロツク及びシリンダヘツドとの各間の面圧
が上昇するから、シリンダブロツクとシリンダヘ
ツドとの接合部からの水漏れやオイル漏れの防止
に効果的であり、また上記凹所はシリンダブロツ
ク又はヘツドの何れかの水ジヤケツトと連通して
いるから、該凹所内に冷却水を流通させることが
でき、該凹所内を効果的に冷却し得る。

また特に前記空所と水ジヤケツトとの相互連通
を、前記ガスケツトに穿設した連通孔を介して行
わせるので、その連通孔内周の面積分だけ、ガス
ケツト自身の冷却水との接触面積を増加させるこ
とができる上、シリンダヘツド及びブロツクデツ
キ面の、該連通孔に臨む部分にも冷却水を行き渡
らせることができる。しかも前記空所と水ジヤケ
ツトとを相互連通させるためにブロツクデツキ面
やシリンダヘツド下面には連通溝や孔を特別に穿
設する必要はなく、加工容易なガスケツトの所定
位置に前記連通孔を単に穿設するだけで済む。

(3) 実施例 以下、図面により、本発明を直列四気筒内燃機
関のシリンダブロツクに実施した場合の一実施例
について説明する。

前記機関の機関本体Ｅは、シリンダブロツクＢ
とその上面にガスケツトＧを介して重合結着され
るシリンダヘツドＨとを備える。

アルミ合金製直列四気筒シリンダブロツクＢ
は、本出願人の開発した加圧鋳造法により一体に
鋳造され、上半のシリンダ部１と下半のクランク
ケース部２とよりなる。シリンダ部１には四つの
シリンダボア３…が直列され、それらのシリンダ
ボア３…は、それらの隣接境界壁５に水ジヤケツ
トのない、所謂サイアミーズ型に形成される。

各シリンダボア３には、それぞれシリンダライ
ナ４が鋳込まれており、該シリンダライナ４内に
図示しないピストンが摺動自在に嵌合される。

またシリンダ部１には、相隣れるシリンダボア
３間の隣接境界壁５を除いて、各シリンダボア３
を囲繞するように水ジヤケツト６が形成される。
この水ジヤケツト６はシリンダボアの略全長に亘
つて長く形成される。シリンダブロツクＢをクロ
ーズドデツキ型とすべく、該シリンダブロツクＢ
の水ジヤケツト６上には所定の壁厚の上壁７が形
成され、この上壁７の上面は、シリンダヘツドＨ
を接合すべきデツキ面８に形成される。

前記デツキ面８上には、ガスケツトＧを挟んで
シリンダヘツドＨが複数の締付ボルト１１…を以
て締着される。

シリンダブロツクＢの上壁７には、ブロツク側
水ジヤケツト６に連通する多数の下部水孔１２…
が穿設され、またシリンダヘツドＨの下壁９に
は、前記多数の下部水孔１２…に対応してヘツド
側水ジヤケツト１０に連通する多数の上部水孔１
３が穿設され、さらに前記ガスケツトＧには前記
上、下部水孔１３，１２に対応してガスケツト孔
１４…が穿設される。各ガスケツト孔１４…はそ
れらに対応する上、下部水孔１３，１２よりも小
さく形成され、これらのガスケツト孔１４…を介
して前記上、下部水孔１３…，１２…が互いに連
通され、ガスケツト孔１４…によつて上、下部水
孔１３…，１２…間を流れる冷却水の流量が制御
される。而して前記下部水孔１２…、ガスケツト
孔１４および上部水孔１３は、ブロツク側水ジヤ
ケツト６とヘツド側水ジヤケツト１０とを連通す
る連通路Ｐを構成する。

第４図に明瞭に示すように、前記連通路Ｐの周
辺部において、シリンダブロツクＢの上壁７の上
面には、ガスケツトＧの下面に直接対面する空所
１５が形成される。この空所１５はシリンダブロ
ツクＢの上面とシリンダヘツドＨの下面とによる
ガスケツトＧの圧接面積を減少させ、ガスケツト
Ｇにかゝる単位面積当りの圧力を増加させる。

ガスケツトＧには、前記下部水孔１３と前記空
所１５間を連通する第１連通孔１６、及び前記空
所１５と上、下部水孔１３，１２間を連通する第
２連通孔１７が穿設され、空所１５内には、第４
図矢印で示すようにブロツク側水ジヤケツト６と
ヘツド側水ジヤケツト１０内の冷却水が流通する
ようになつている。

シリンダブロツクＢのクランクケース部２に
は、シリンダボア３の配列方向に沿つて複数のジ
ヤーナル壁１８が一体に形成され、それらのジヤ
ーナル壁１８の下面中央部にクランク軸Ｓを支承
するための軸受半部２１が形成される。

而して前記水ジヤケツト６は、シリンダブロツ
クＢの鋳造時に、砂型よりなる中子によつて形成
されるもので、シリンダブロツクＢの外側壁には
前記中子を金型（図示せず）によつて支持し、ま
た鋳造後の中子を排出するための通孔１９が穿設
されており、鋳造後該通孔１９は盲栓２０によつ
て閉じられる。

次に本発明の前記実施例の作用について説明す
る。

いま機関が運転されると、水ジヤケツト６，１
０内の冷却水は複数の連通路Ｐ…を通つて流通
し、機関本体Ｅを冷却する。

而して前記各連通路Ｐの周辺部において、シリ
ンダブロツクＢの上壁７上面には、ガスケツトＧ
面に直接対面する空所１５を形成することによ
り、シリンダブロツクＢおよびシリンダヘツドＨ
とによるガスケツトＧの圧接面積を縮少し、それ
ら間の単位面積当りの面圧が増加してシール性が
向上し、前記連通路Ｐを流れる冷却水がシリンダ
ブロツクＢとシリンダヘツドＨ間より外部に漏洩
することがない。

また第４図に矢印で示すようにブロツク側水ジ
ヤケツト６内の冷却水の一部は、下部水孔１２、
および第１連通孔１６を通つて前記空所１５へと
流入し、さらに空所１５内の水は第２連通孔１７
から上、下部水孔１３，１２を通つてヘツド側お
よびブロツク側水ジヤケツト１０，６へと流れ
る。したがつて空所１５内には、絶えず冷却水が
流通されて該空所１５内にエア溜りや水溜りが生
じることがない。

尚、前記実施例では空所をシリンダブロツクの
デツキ面を設けているがこれをシリンダヘツドの
下面に設けてもよく、また面圧増加用空所を冷却
水の連通路の周辺部に形成した場合を説明した
が、シリンダブロツク側の流体室とシリンダヘツ
ド側の流体室とを連通する他の連通路、たとえば
潤滑オイル流通路、ブローバイガス流通路の周辺
部にも前記面圧増加用空所が形成される。

Ｃ 発明の効果 以上の実施例により明らかなように、本発明に
よれば、クローズドデツキ型シリンダブロツクの
デツキ面にガスケツトを介してシリンダヘツドを
重合結着してなる内燃機関の機関本体において、
シリンダブロツク側の水ジヤケツト等の流体室
と、シリンダヘツド側の水ジヤケツト等の流体室
とを連通する連通路の周辺部で、シリンダブロツ
クとシリンダヘツド間にそれら間のガスケツトへ
の面圧を増加させるための空所を形成し、この空
所と、前記ブロツク側およびヘツド側水ジヤケツ
トの少なくとも一方とを相互に連通させ前記空所
に冷却水を流通させたので、機関本体は、クロー
ズドデツキ型シリンダブロツクを採用したことに
よる特徴、すなわち機関本体の剛性アツプ、ガス
ケツトの耐久性向上等を確保しつつガスケツト
の、シリンダブロツクのデツキ面とシリンダヘツ
ドの下面とによる圧接面積を縮少して、ガスケツ
トにかゝる単位面積当りの面圧を増加させること
ができ、ガスケツトによるシリンダブロツクとシ
リンダヘツド間のシール機能を向上させることが
でき、水洩れ、オイル洩れを的確に防止すること
ができる。また前記空所は絶えず冷却水が流通し
て該空所内に水溜りやエア溜りを生じることがな
く、空所内の、水の沸騰や空気の熱膨脹を防止し
て、それによるシリンダブロツク、シリンダヘツ
ドの侵蝕、シール低下の心配がなく、シリンダブ
ロツクの上壁、シリンダヘツドの下壁およびガス
ケツトの水冷却性を高めることができる。

また特に前記空所と水ジヤケツトとの相互連通
を、前記ガスケツトに穿設した連通孔を介して行
わせるので、その連通孔内周の面積分だけ、ガス
ケツト自身の冷却水との接触面積を増加させるこ
とができる上、シリンダヘツド及びブロツクデツ
キ面の、該連通孔に臨む部分にも冷却水を行き渡
らせることができ、従つてブロツクデツキ面とシ
リンダヘツド間の接合部に対する冷却性能を一層
高めることができる。しかも前記空所と水ジヤケ
ツトとを相互連通させるためにブロツクデツキ面
やシリンダヘツド下面には連通溝や孔を特別に穿
設する必要はなく、加工容易なガスケツトの所定
位置に前記連通孔を単に穿設するだけで済むこと
から、それだけコストダウンに寄与することがで
き、その上、該連通孔の穿設位置や大きさ、形状
等を適宜選定するだけで冷却水の流量や流れ方向
を調整することができるから、その調整をガスケ
ツト単品の変更だけで、即ち大部品であるシリン
ダブロツクやヘツドには機械加工等を特別に施す
ことなく極めて簡単に行うことができる。

【図面の簡単な説明】

図面は、本発明機関本体の一実施例を示すもの
で、第１図は第２図−線に沿う機関本体の一
部省略縦断面図、第２図は第１図−線に沿う
シリンダブロツクの平面図、第３図は第１図−
線に沿うガスケツトの平面図、第４図は第２図
−線に沿う拡大断面図である。 Ｂ……シリンダブロツク、Ｇ……ガスケツト、
Ｈ……シリンダヘツド、Ｐ……連通路、６，１０
……水ジヤケツト、８……デツキ面、１５……空
所、１６，１７……連通孔としての第１、第２連
通孔。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. １ クローズドデツキ型シリンダブロツクＢのデ
   ツキ面８にガスケツトＧを介してシリンダヘツド
   Ｈを重合結着してなる内燃機関の機関本体におい
   て、シリンダブロツク側の水ジヤケツト６等の流
   体室と、シリンダヘツド側の水ジヤケツト１０等
   の流体室とを連通する連通路Ｐの周辺部で、シリ
   ンダブロツクＢとシリンダヘツドＨ間に、その間
   のガスケツトＧへの面圧を増加させるための空所
   １５を形成し、この空所１５に冷却水を流通させ
   るべく、該空所１５とシリンダブロツク側および
   シリンダヘツド側水ジヤケツト６，１０の少なく
   とも一方とを、前記ガスケツトＧに穿設した連通
   孔１６，１７を介して相互に連通させたことを特
   徴とする、内燃機関の機関本体。