JPH0255012B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 （産業上の利用分野） 本発明はスピニングリール、詳しくは、釣糸巻
取位置と釣糸開放位置とに反転可能な釣糸係止体
をもつ回転枠と、該回転枠を駆動する駆動機構
と、この駆動機構による前記回転枠の駆動回転で
釣糸を巻取るスプール及び前記回転枠の逆転を阻
止する逆転防止機構とを備えたスピニングリール
に関する。

（従来の技術） 一般に、此種スピニングリールにあつては、前
記スプールに巻装されている釣糸をキヤステイン
グにより繰出す場合、前記釣糸係止体を揺動反転
に好適な位置に停止させて、スプール近くの釣糸
に指を掛けてキヤステイングを行うのであるが、
前記釣糸係止体を常に揺動反転に好適な位置に停
止させることができるような構造になつていない
ため、キヤステイング準備の操作が煩雑で手間を
要し、使用上非常に不便であつた。

そこで、従来、実公昭52―26469号公報に示さ
れている通り、前記逆転防止機構として、外周に
歯部を周設した逆転防止ギヤと該ギヤの歯部に係
合する逆転防止爪とを用いて、前記ギヤにおける
歯部の一つを他の歯部よりも外方に突出させると
共に、前記爪を、前記ギヤの歯部に対し係合位置
と非係合位置と、前記突出歯部にのみ係合可能な
位置との三段階に切換可能として、キヤステイン
グ時、前記爪を、前記突出歯部と係合する位置に
切換えた状態で、前記回転枠を逆転操作すること
により、該回転枠を常に揺動反転に好適な位置に
停止させるようにしたものが提案されている。

（発明が解決しようとする課題） 所が、この従来のリールは、前記爪が前記突出
歯部と係合する位置にあるとき、前記回転枠が逆
転方向に最大限ほぼ一回転する構造であるため、
例えばキヤステイング操作後、前記爪を前記ギヤ
の歯部と係合する係合位置に切換える必要があつ
た。また、前記爪の切換をしない場合や、忘れた
場合、即ち、前記爪が前記突出歯部と係合可能な
位置に切換えられている状態で、前記釣糸係止体
を釣糸巻取位置に反転すと共に前記回転枠を駆動
回転して、前記繰出した釣糸の弛みを取り、魚が
掛かるのを待つ体制で、魚が餌を咥えたときの当
りに合わせて釣竿を持ち上げ、前記釣糸を素早く
引張る動作をした場合、前記回転枠が逆転方向に
最大限ほぼ一回転空転して、この間、前記釣糸を
引張ることができず、その結果、前記魚を逃がし
てしまう危険性が高い問題があつた。

本発明は以上の点に鑑み発明したもので、目的
は、前記回転枠の逆転操作により該回転枠を常に
揺動反転に好適な位置に停止させることができな
がら、しかも釣糸の引張作用で前記回転枠が逆転
するときには、従来の如く切換操作を行なわなく
とも、前記した回転枠の空転を最小にすることが
できるようにするものである。

（課題を解決するための手段） しかして、本発明は釣糸巻取位置と釣糸開放位
置とに反転可能な釣糸係止体をもつ回転枠と、該
回転枠を駆動する駆動機構と、この駆動機構によ
る前記回転枠の駆動回転で釣糸を巻取るスプール
及び前記回転枠の逆転を阻止する逆転防止機構と
を備えたスピニングリールにおいて、複数の歯部
をもつた逆転防止体と該逆転防止体の歯部に係合
可能な係合体とを備えた第１逆転防止機構と、前
記釣糸係止体の揺動反転に好適な位置に対応した
一つの逆転防止用歯部と、該逆転防止用歯部に係
合可能な係合体をもつ第２逆転防止機構とを設け
て、前記第１逆転防止機構における逆転防止体を
前記回転枠に対し回転可能に支持すると共に、こ
の逆転防止体の回転に所定の回転抵抗を付与し、
かつ、前記回転枠に作用する所定以上の逆転操作
力で前記逆転防止体を前記回転枠に対し回転させ
る抵抗付与機構を設けたものである。

（作用） しかして、駆動機構により回転枠を逆転操作し
た場合など、第１逆転防止機構の逆転防止体に付
与した所定の回転抵抗以上の逆転操作力が前記回
転枠に作用すると、この逆転操作力により前記逆
転防止体が回転枠に対し回転して第１逆転防止機
構の逆転防止機能が解除されるので、前記第２逆
転防止機構により前記回転枠を常に揺動反転に好
適な位置に停止させることができるのである。し
かも、前記回転枠に作用する逆転操作力が前記逆
転防止体の回転抵抗よりも小さい場合、前記逆転
防止体は回転枠に対し回転しないので、前記第１
逆転防止機構により前記回転枠の逆転方向への空
転を最小にすることができるのである。

（実施例） 図示したリールは、上面に釣竿への取付脚１ａ
をもち、前面に貫通孔をもつ中空のリールボデイ
１の前記貫通孔部分に、軸受を介してピニオンギ
ヤ２をもつ筒状の駆動軸３を回転自由に支持し、
この駆動軸３の軸孔に、スプール４をもつたスプ
ール軸５を前後方向に移動自由で、かつ回転自由
に支持すると共に、前記駆動軸３の先端外周部
に、釣糸巻取位置と釣糸開放位置とに反転可能な
釣糸係止体６をもつ回転枠７を取付ける一方、前
記リールボデイ１の側壁に、前記駆動軸３の軸心
と直交する方向に延びるハンドル軸８を回転自由
に支持して、該ハンドル軸８のリールボデイ１内
部への突入部に、前記ピニオンギヤ２に噛合うマ
スターギヤ９を設け、またリールボデイ１外部へ
の突出部にハンドル（図示せず）を設け、このハ
ンドルの回転操作により前記駆動軸３を駆動し、
前記回転枠７を駆動回転させると共に、前記スプ
ール４を、往復動機構（図示せず）を介して前後
方向に移動させ、該スプール４に釣糸を巻取るご
とく成している。尚、前記ハンドル、ハンドル軸
８、マスターギヤ９、ピニオンギヤ２及び駆動軸
３により駆動機構Ａを構成している。

又、前記釣糸係止体６は、前記回転枠７の１対
の支持腕７ａ，７ａ間に架設するアームローラ６
１をもつベールアーム６２と、該ベールアーム６
２を釣糸巻取位置と釣糸開放位置とに選択的に停
止させるアームカム６３及び反転レバー６４とに
より構成している。

又、前記回転枠７とリールボデイ１との間に
は、前記回転枠７の駆動操作により前記釣糸係止
体６を釣糸開放位置から釣糸巻取位置に自動的に
切換える内蹴構造の切換機構Ｂを設けている。

この発明は、以上の如く構成するリールにおい
て、前記回転枠７の駆動系統に、複数の歯部１０
ａをもつた第１逆転防止体１０と該第１逆転防止
体１０の歯部１０ａに係合可能な爪から成る係合
体１１とを備えた第１逆転防止機構Ｃと、前記釣
糸係止体６の揺動反転に好適な位置に対応した一
つの逆転防止用歯部２０ａをもつ第２逆転防止体
２０と、前記逆転防止用歯部２０ａに係合可能な
前記係合体１１をもつ第２逆転防止機構Ｄとを設
け設ると共に、前記第１逆転防止機構Ｃにおける
第１逆転防止体１０を前記回転枠７に対し回転可
能に支持すると共に、この第１逆転防止体１０の
回転に所定の回転抵抗を付与し、かつ、前記回転
枠７に作用する所定以上の逆転操作力で前記第１
逆転防止体１０を前記回転枠７に対し回転させる
抵抗付与機構Ｅを設けて、前記第２逆転防止機構
Ｄにより前記回転枠７を常に揺動反転に好適な位
置に停止させ、また前記第１逆転防止機構Ｃによ
り前記回転枠７の逆転方向への空転を最小にする
ようにしたのである。

しかして、第１〜４図に示したものは、前記回
転枠７のボス部７ｂと前記リールボデイ１の前壁
との間に、前記第１及び第２逆転防止機構Ｃ，Ｄ
と、抵抗付与機構Ｅとを設けたものであつて、前
記第１及び第２逆転防止体１０，２０を前記ボス
部７ｂ外周に並列に配置して、第１逆転防止体１
０を前記ボス部７ｂに対し回転可能に、また第２
逆転防止体２０を回転不能にそれぞれ支持する一
方、前記抵抗付与機構Ｅを、前記第１逆転防止体
１０の回転に所定の回転抵抗を与えるばね３０に
より構成して、このばね３０を、前記駆動軸３の
軸周りに巻装し、前記第１逆転防止体１０を第２
逆転防止体２０側に付勢して、第１逆転防止体１
０の回転に所定の回転抵抗を与えると共に、前記
係合体１１を、枢支軸を介して前記リールボデイ
１の前壁に揺動可能に支持し、前記回転枠７の逆
転操作により前記回転枠７を前記第１逆転防止体
１０の回転抵抗に抗して強制的に回転させるごと
く成している。

以上の構成において、前記第１及び第２逆転防
止体１０，２０は、前記駆動軸３に支持してもよ
いのであり、又、前記逆転防止用歯部２０ａは、
前記回転枠７のボス部７ｂ又は駆動軸３と一体に
設けてもよい。又、前記ばね３０を用いる代わり
に摩擦板などの抵抗付与手段を用いてもよい。

又、前記係合体１１は、ばねにより前記歯部１
０ａ，２０ａと係合する方向に付勢しており、
又、前記リールボデイ１の前壁及び後壁間に反転
可能に支持して、外部操作可能とした切換レバー
４０の切換操作により、前記歯部１０ａ，２０ａ
と係合する係合位置と非係合位置とに切換えるご
とく成している。又、この係合体１１の基部に
は、前記切換レバー４０の先端カム部４０ａと係
合可能な腕１１ａを設けている。尚、前記切換レ
バー４０は必ずしも必要でない。

本発明は以上の如く構成するもので、係合体１
１が歯部１０ａ，２０ａと係合可能になつている
状態でハンドルを握り、回転枠７を逆転操作する
と、前記係合体１１が前記歯部１０ａ，２０ａと
係合して、前記回転枠７の逆転は阻止される。

この回転枠７の逆転操作時、前記歯部２０ａが
前記係合体１１に対し離れた位置にあつて、前記
歯部１０ａのみが前記係合体１１と係合している
場合は、前記回転枠７の逆転操作により、該回転
枠７を、前記係合体１１との係合により逆転が阻
止されている前記第１逆転防止体１０の回転抵抗
に抗して強制的に逆回転させ、前記歯部２０ａを
前記係合体１１と係合させるのである。この歯部
２０ａの係合により、前記回転枠７の逆転が阻止
され、該回転枠７に設けた釣糸係止体６の反転レ
バー６４を常に揺動反転に好適な位置、即ち、取
付脚１ａと対向する位置に停止させることができ
るのである。従つて、前記釣糸係止体６を釣糸巻
取位置から釣糸開放位置に反転してキヤステイン
グするとき、前記釣糸係止体６の反転操作を極め
て容易に行うことができるのである。

次にキヤステイング操作後、前記釣糸係止体６
を釣糸巻取位置に反転し、前記回転枠７を駆動回
転して、前記繰出した釣糸の弛みを取り、魚が掛
かるのを待つのである。この体制時、前記歯部２
０ａが前記係合体１１に対し離れた位置にあつ
て、前記歯部１０ａのみが係合体１１と係合して
いる場合に、魚が掛かり、釣糸を介して前記回転
枠７に逆転操作力が作用すると、該回転枠７は、
前記第１逆転防止体１０の回転抵抗により、その
逆転が阻止される。従つて、回転枠７の空転をな
くすることができ、魚の当たりに合わせて釣糸を
引き込むことができるのである。尚、前記釣糸を
介して回転枠７に、前記第１逆転防止体１０の回
転抵抗よりも大きな逆転操作力を加えた場合、こ
の回転枠７は、前記第１逆転防止体１０に対し回
転可能である。

（発明の効果） 以上の如く本発明は、釣糸巻取位置と釣糸開放
位置とに反転可能な釣糸係止体をもつ回転枠と、
該回転枠を駆動する駆動機構と、この駆動機構に
よる前記回転枠の駆動回転で釣糸を巻取るスプー
ル及び前記回転枠の逆転を阻止する逆転防止機構
とを備えたスピニングリールにおいて、複数の歯
部をもつた逆転防止体と該逆転防止体の歯部に係
合可能な係合体とを備えた第１逆転防止機構と、
前記釣糸係止体の揺動反転に好適な位置に対応し
た一つの逆転防止用歯部と、該逆転防止用歯部に
係合可能な係合体をもつ第２逆転防止機構とを設
けて、前記第１逆転防止体を前記回転枠に対し回
転可能に支持すると共に、この逆転防止体の回転
に所定の回転抵抗を付与し、かつ、前記回転枠に
作用する所定以上の逆転操作力で前記逆転防止体
を前記回転枠に対し回転させる抵抗付与機構を設
けたから、駆動機構により回転枠を逆転操作した
場合など、第１逆転防止機構の逆転防止体に付与
した所定の回転抵抗以上の逆転操作力が前記回転
枠に作用することにより、前記逆転防止体が回転
枠に対し回転して第１逆転防止機構の逆転防止機
能が解除されるので、前記第２逆転防止機構によ
り前記回転枠を常に揺動反転に好適な位置に停止
させることができるのである。しかも、前記回転
枠に作用する逆転操作力が前記逆転防止体の回転
抵抗よりも小さい場合、前記逆転防止体は回転枠
に対し回転しないので、前記第１逆転防止機構に
より前記回転枠の逆転方向への空転を最小にする
ことができるのである。従つて、キヤステイング
準備の操作を簡単・容易に行うことができなが
ら、しかも魚の当たりに合わせて釣糸を巻取側に
引き込むことができ、釣果を著しく高めることが
できるのである。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明リールの一実施例を示す一部切
欠側面図、第２図は第１図―線断面図、第３
図は第２逆転防止機構部分のみの断面図、第４図
は第１逆転防止機構部分のみの断面図である。 Ａ……駆動機構、Ｃ……第１逆転防止機構、Ｄ
……第２逆転防止機構、Ｅ……抵抗付与機構、４
……スプール、６……釣糸係止体、７……回転
枠、１０……逆転防止体、１１……係合体、１０
ａ……歯部、２０ａ……逆転防止用歯部。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. １ 釣糸巻取位置と釣糸開放位置とに反転可能な
   釣糸係止体をもつ回転枠と、該回転枠を駆動する
   駆動機構と、この駆動機構による前記回転枠の駆
   動回転で釣糸を巻取るスプール及び前記回転枠の
   逆転を阻止する逆転防止機構とを備えたスピニン
   グリールにおいて、複数の歯部をもつた逆転防止
   体と該逆転防止体の歯部に係合可能な係合体とを
   備えた第１逆転防止機構と、前記釣糸係止体の揺
   動反転に好適な位置に対応した一つの逆転防止用
   歯部と、該逆転防止用歯部に係合可能な係合体を
   もつ第２逆転防止機構とを設けて、前記第１逆転
   防止機構における逆転防止体を前記回転枠に対し
   回転可能に支持すると共に、この逆転防止体の回
   転に所定の回転抵抗を付与し、かつ、前記回転枠
   に作用する所定以上の逆転操作力で前記逆転防止
   体を前記回転枠に対し回転させる抵抗付与機構を
   設けたことを特徴とするスピニングリール。