JPH0248776B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 （産業上の利用分野） 本発明はベルト駆動機構において、適正なベル
ト張力を保持し、かつベルトのダンピング（共
振）を防止するに好適なベルト用オートテンシヨ
ナーに関するものである。

（従来の技術） 従来、駆動プーリと従動プーリの間に伝動ベル
トが巻掛けられるベルト伝動装置においては張力
付与手段としてオートテンシヨナーが用いられて
いるが、一般に使用されているオートテンシヨナ
ーとしては油圧、空気圧、ゴムならびに鋼製ば
ね、樹脂ばねなどを用い、圧縮、引張り、曲げ、
ねじりなどの手段によつてベルトに張力を付与す
るものである。

次にその手段の具体的な１例を述べると、円筒
状ケースにテンシヨナー軸を挿入し、これに先端
にアイドラプーリーを有し、内面にボールベアリ
ング又はブツシユを内挿すると共に、スプリング
のストツパーを兼ねるテンシヨンアームを取り付
け、円筒状ケースと上記テンシヨンアームとの間
の前記テンシヨナー軸外周面にねじりスプリング
を挿入してスプリングのねじり力によつてテンシ
ヨンアームが軸のまわりに回転し、ベルトにテン
シヨンを付与する構成である。

ところが、一般にテンシヨナーとしては、最適
張力の付与は勿論であるが、その外、ダンピング
を防止するという機能も重要な機能の１つであ
り、その必要性が強く求められている。

にもかかわらず、上記の如き従来のテンシヨナ
ーにあつて最適張力の付与については充分、配慮
がなされているにしても、ダンピング防止機能に
関しては殆ど配慮されることがなく、事実上、ダ
ンピング防止機能を備えたものは皆無に近い状態
である。

とりわけ、ベルトのダンピング現象は、ベルト
の振動によつてテンシヨナー自体も激しく振動
し、その結果、ベルト張力の変動、負荷変動を起
生し、ひいてはベルトの脱落、偏摩耗などの好ま
しくない現象を惹起する。

（発明が解決しようとする問題点） 本発明は叙上の如き実状に対処し、その改善を
図ることを課題とし、特にテンシヨナー内部に圧
縮スプリングを含むカム機構を具備せしめること
によりベルトの最適張力の付与と相俟つてベルト
のダンピング現象を防止し、ベルト伝動における
優れた張力調整を可能ならしめることを目的とす
るものである。

（問題点を解決するための手段） 即ち、上記目的を達成し、これに適合する本発
明の特徴とするところは下記の構成からなる。

即ち、ブラケツトに固定した円筒状ケースにテ
ンシヨナー軸を挿入し、このテンシヨナー軸の他
端部にアイドラープーリを先端に有し、スプリン
グのストツパーを一体化したテンシヨンアームを
ボールベアリング等を介して回転可能に軸着する
と共に、上記テンシヨンアームのストツパーと円
筒状ケースの間に夫々端部を係止してねじりスプ
リングを介設したベルトのテンシヨナーを基本的
に構成とし、そのねじりスプリング内周に前記テ
ンシヨンアームと一体の第１のカム片及び該カム
片に対し傾斜面および突起により互いに噛合し軸
方向移動可能な第２のカム片からなるカム機構を
テンシヨナー軸に嵌合して配設し、かつ、その第
２のカム片と前記円筒状ケースとの間に圧縮スプ
リングを介設せしめた構成である。

ここで、カム機構はベルトダンピング防止の機
能を与えるものであり、従つて第１のカム片、第
２のカム片は何れも相互に滑り易く、耐久性のあ
る材質のものがよく、合成樹脂製のカム片と鉄製
のカム片の組み合わせの外、合成樹脂製カム片同
志、もしくは鉄製カム片同志が用いられる。

また、上記第１のカム片と第２のカム片は傾斜
面及び突起により互いに噛合するが、傾斜面、突
起の形状は適宜、設計される。

（作用） 叙上の如き本発明オートテンシヨナーは駆動プ
ーリと従動プーリ間に巻掛けられた伝動ベルトの
ベルト緩み側にテンシヨンアームの先端に取り付
けられたアイドラープーリがベルト背面と接触し
て設置される。そして、アイドラープーリをねじ
りスプリングが巻緩む方向に引つ張り回転させて
ベルトに接触させ駆動プーリを駆動方向に回転駆
動させるとアイドラープーリはねじりスプリング
が巻締まる方向に働き、ベルトを押圧しながら回
転する。

このような状態下、次にベルトの張力が緩んで
くると、ねじりスプリングの弾力と相俟つて圧縮
スプリングの圧縮力がカム機構の傾斜面によつて
アームと一体化している第１のカム片への回転ト
ルクの分力に置換されて第２のカム片面を滑りな
がらアームと共に回転移動し、前記ねじりスプリ
ングの回転トルクにカム片による回転トルク分力
が加わつた合力となつてアイドラープーリをベル
ト緊張方向へ押圧移動させ、ベルトのダンピング
を防止すると共に適正なベルト張力を保持しつつ
駆動する。

次に、逆に雰囲気温度が上昇し、ベルトが緊張
する場合、アイドラープーリがベルト張力による
反力を受け、テンシヨナー軸へ回転モーメントと
して伝わるが、前記カムの傾斜面の角度と圧縮ス
プリングの反力によりアイドラープーリの押圧が
調整時に作用し、ねじりスプリングによるスプリ
ング力との合力がアイドラープーリからベルトに
加わり、自動的にベルト張力を維持する。

なお、圧縮スプリングによるカムの回転トルク
はアームの軸方向の変位による圧縮長を変えるこ
とにより、変量可能であり、適当なバネ定数の圧
縮スプリングを使用することにより同一テンシヨ
ンプーリで広範囲なベルト仕様に対応できる。

（実施例） 以下、更に添付図面に従つて本発明の具体的な
実施例を説明する。

第１図は本発明に係るオートテンシヨナーの１
例であり、図において、ａはオートテンシヨナ
ー、S₁は小径部とこれに連続する中間大径部を有
するテンシヨナー軸、１はブラケツト２に対し固
定された円筒状ケースで、フランジ部がブラケツ
ト２にボルトV₁，V₂により締付けられることに
よつて固定されており、前記テンシヨナー軸S₁の
一端の小径部がその軸孔３に挿入されている。

そして、一方、上記テンシヨナー軸S₁の他端部
にはボールベアリング又はブシユ４を内装するテ
ンシヨンアーム５が軸S₁の小径部に対し回転可能
に取り付けられていると共に、該テンシヨンアー
ム５の先端にはアイドラプーリー６がボールベア
リング７を介しテンシヨンアームの先端軸S₂に挿
入されてナツトにより固定されており、更に円筒
状ケース１のブラケツト２当接面とテンシヨンア
ーム５との間にはテンシヨナー軸S₁を囲繞してね
じりスプリング８が挿入され、そのスプリング８
の一端はテンシヨンアーム５と一体に設けられた
ストツパー９の係止孔１０に喩合係止され、一
方、他端部は円筒状ケース１に設けられた係止孔
１１に挿入係止されてスプリング８のねじり力に
よつてテンシヨンアーム５が軸方向に回転し、ベ
ルトにテンシヨンを付与するようになつている。

しかして、上記の如き構成において、本発明は
その特徴として前記円筒状ケース１内部にカム機
構１２及び圧縮スプリング１５が設けられてい
る。

即ち、前記ねじりスプリング８の内周側におい
てテンシヨンアーム５と一体化されて第１のカム
片C₁が前記テンシヨナー軸上に設けられており、
これに対向して同じく軸上に第２のカム片C₂が
軸S₁の大径部に設けられたキー溝１４にキー１３
を介して前記第１のカム片C₁と噛合する如く設
けられていて、この第２のカム片C₂と前記円筒
状ケース１のブラケツト当接面との間に圧縮スプ
リング１５が挿入され、第２のカム片C₂を軸方
向にのみ移動するように押圧している。

なお、上記第１のカム片C₁及び第２のカム片
C₂は前述の如く相互に滑り易く耐久性のある材
質で作られ、合成樹脂製のカム片C₁と鉄製のカ
ム片C₂の組み合わせが最も一般的であるが、合
成樹脂製カム片同志あるいは鉄製カム片同志でも
勿論差し支えない。

第２図，第３図は上記第１のカム片C₁と第２
のカム片C₂の詳細を示し、第２図に示す第１の
カム片C₁において、F₁，F₁′はフラツト面、Ｈ，
H′は傾斜面、ｆ，f′は前記F₁，F₁′のフラツト面
よりも薄いフラツト面、一方、第３図に示す第２
のカム片C₂においてＰ，P′は突起部、F₂，F₂′は
フラツト部を夫々示しており、これら第１，第２
の両カム片C₁，C₂は第１のカム片C₁のフラツト
面F₁，F₁′と第２のカム片C₂の突起Ｐ，P′と噛み
合つており、ベルトダンピング時には第１のカム
片C₁のフラツト面F₁が第２のカム片C₂のフラツ
ト面F₂を、又第２のカム片C₂の突起P′が第１の
カム片C₁のフラツト面ｆならびに傾斜面Ｈを滑
りながら移動するようになつている。

又、前記第２のカム片C₂と円筒状ケース１と
の間に挿入介設された圧縮スプリング１５はテン
シヨンアーム５の軸方向の変位による圧縮長を変
えることによりカムの回転トルクを変量できるの
でこれに適したパネ定数の圧縮スプリングを用い
ることが効果的である。

本発明は以上のような構成を有してなり、次に
上記オートテンシヨナーを用いた使用態様を第４
図に従つて説明する。

同図において、Drは駆動プーリ、Dnは従動プ
ーリを示し、それら両プーリ間にＶベルト、平ベ
ルト、リブドＶベルト、タイミングベルト等から
なる任意のベルト２０が巻き掛けられており、そ
のベルト緩み側にテンシヨンアーム５の先端に取
り付けられたアイドラプーリー６がベルト２０の
背面と接触する如く設置されている。

そこで、このアイドラプーリー６を前記ねじり
スプリングが巻緩む方向に引つ張り回転させてベ
ルト２０に接触させ、駆動プーリDrを矢印方向
に回転駆動させると、アイドラプーリー６はねじ
りスプリングが巻締まる方向に働き、ベルト２０
を押圧しながら矢印方向に回転している。

そして、次にベルト２０の張力が緩んでくると
ねじりスプリングの弾力と相俟つて別途設けた圧
縮スプリングの圧縮力がカム片の傾斜面によりア
ーム５と一体化している第１のカム片への回転ト
ルクの分力に置換され、第１のカム片が第２のカ
ム片面を滑りらがらアーム５と共に回転移動し、
前記ねじりスプリングの回転トルクにカム片によ
る回転分力が加味され、合力となつてアイドラー
プーリ６がベルト緊張方向へ押圧移動し、ベルト
ダンピングの防止と共に適正なベルト張力を保持
しつつ駆動する。

一方、雰囲気温度が上昇し逆にベルトが緊張す
る場合には、アイドラープーリ６がベルト張力に
より反力を受け、テンシヨナー軸へ回転モーメン
トとして伝わるが、前記カム片の傾斜面と圧縮ス
プリングの反力によりアイドラープーリ６の押圧
が強められ、ねじりスプリングによるスプリング
の合力がアイドラープーリ６からベルト２０に加
わり、自動的にベルト張力を維持することとな
る。

かくしてベルト伝動においてオートテンシヨナ
ーとして優れた張力調整と共に、ダンピング防止
に寄与する。

（発明の効果） 本発明は以上の如く、ブラケツトに固定した円
筒状ケースにテンシヨナー軸を挿入し、該軸に先
端にアイドラープーリを有するテンシヨンアーム
を取り付け、前記円筒状ケースとテンシヨンアー
ム間の外周面にねじりスプリングを夫々の先端を
係止して挿入すると共にその内周面にカム機構を
設け、該カム機構と円筒状ケース間に更に圧縮ス
プリンググを内装せしめた構成であるから、ねじ
りスプリングによる回転トルクへの変換によりベ
ルトの振動が緩和、緩衝され、ベルト駆動時、問
題となつているベルトのダンピング現象を防止
し、常に適正なベルト張力を保持しつつベルト駆
動を行うことができる効果があり、更に機構が簡
単で圧縮スプリングのバネ定数の適当な選定によ
り広範囲なベルト仕様に対応でき、高温、粉塵、
水などの悪条件の環境下でも使用可能で、ベルト
伝動におけるオートテンシヨナーとして極めて実
用性に富み、優れた張力調整機能及びダンピング
防止機能を発揮することができる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明に係るベルト用オートテンシヨ
ナーの１例を示す要部側断面図、第２図イ，ロ，
ハ及び第３図イ，ロ，ハは上記オートテンシヨナ
ーのカム機構を構成するカム片の各詳細図で、第
２図イ，ロ，ハはテンシヨンアームと一体の第１
のカム片に係り、イはその側面図、ロは正面図、
ハはロのＡ−Ａ断面展開図、第３図イ，ロ，ハ，
ハ第２のカム片に係り、イはその側面図、ロは正
面図、ハはロのＢ−Ｂ断面展開図、第４図は本発
明オートテンシヨナーの使用例を示す側面概要図
である。 ａ…オートテンシヨナー、S₁…テンシヨナー
軸、１…円筒状ケース、２…ブラケツト、５…テ
ンシヨンアーム、６…アイドラープーリ、８…ね
じりスプリング、９…ストツパー、１１…係止
孔、１２…カム機構、１５…圧縮スプリング、
C₁…第１のカム片、C₂…第２のカム片、Ｈ，Ｈ
…カム片の傾斜面、Ｐ，Ｐ…カム片の突起。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. １ ブラケツトに固定した円筒状ケースにテンシ
   ヨナー軸一端を挿入し、該テンシヨナー軸他端部
   にアイドラープーリを先端に有するテンシヨンア
   ームの基端部を前記テンシヨナー軸に回転可能に
   取り付け、かつ、該テンシヨンアームと前記円筒
   状ケースとの間にねじりスプリングを挿入し、そ
   の両端を上記テンシヨンアーム及び円筒状ケース
   に夫々係止してなるベルトテンシヨナーにおい
   て、前記ねじりスプリング内周側でテンシヨナー
   軸上に、一方のカム片が前記テンシヨンアームと
   一体の第１のカム片からなり、他方のカム片が前
   記第１のカム片に対し傾斜面及び突起により互い
   に噛合し、かつ軸方向に移動可能な第２のカム片
   からなるカム機構を取り付け、前記カム機構の第
   ２のカム片と前記円筒状ケースの間に圧縮スプリ
   ングを介装せしめたことを特徴とするベルト用オ
   ートテンシヨナー。