JPH0248769B2 - Bureekipatsudo - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 本発明は燒結金属摩擦材を用いたブレーキパツ
ドに関し、特に燒結金属摩擦材層、鋼板および耐
熱性断熱材層がこの順に積層されているブレーキ
パツドに関するものである。

燒結金属を用いたブレーキパツドは他の材料を
用いたブレーキパツドに比べて、耐熱性が高く、
又、摩擦係数が安定しており、耐摩耗性もすぐれ
ていることから自動車をはじめ各種の車輌或は工
作機械等のブレーキパツドに近く使用されてい
る。これらブレーキパツドの多くはブレーキ液等
の液圧を用いたピストン等でデイスクに押付け制
動している。かかる燒結金属のブレーキパツドを
使用するとき、鋼板の一面にのみ燒結合金を燒結
した片面のブレーキパツドでは、鋼板の裏面を直
接油圧ピストンで押付ける場合がある。このよう
な使用方法の場合に、燒結金属摩擦材料およびこ
れの裏打ちをした鋼板は熱伝導性が良好なため、
摩擦面よりの摩擦熱が上記ブレーキ液の温度上昇
をもたらすという不都合があつた。

これを解決するために、従来はブレーキパツド
とピストンとが接触する面に断熱材をそのまま又
は鉄板を裏に当てがいビス止めしたりカシメた
り、又接着剤で接着する等の方法が講じられてい
た。しかしながら上記方法で断熱材を使用する
と、製造時の工程が増え、著しい価格上昇をもた
らす。又、接着剤の多くは耐熱性が不十分で使用
中剥離事故をおこすおそれがある。

本発明は上記欠点に鑑みてなされたもので、そ
の目的とするところは、セラミツク材からなる耐
熱性断熱材層を溶射手段によつて形成することに
より、長期間にわたつて充分な固定ができると共
に、断熱性、放熱性に優れたブレーキパツドを提
供することにある。

上記目的を達成するために本発明は、鋼板の一
面にブレーキデイスクに当接される燒結金属摩擦
材層を、他面にピストンにより押圧される耐熱性
断熱材層を設けてなるブレーキパツドにおいて、
前記耐熱性断熱材層はセラミツク材を溶射するこ
とによつて形成し、かつ該セラミツク材によつて
形成された耐熱性断熱材層に平行溝、格子溝等の
溝を設け、又は該耐熱性断熱材層を二以上の部分
に分割する構成としたことを特徴とする。

このように構成することにより、高温で溶融し
たセラミツク材を溶射するため、鋼板との接着が
十分であり、長期にわたる試験においても摩擦熱
等による剥離が全く生じないばかりでなく、断熱
効果を高めるためにセラミツク材の断熱材層に平
行溝、格子溝の溝を設け、又は２以上のブロツク
に分割されているから、ピストンとの接触面積が
減少して断熱性を良好とし、また溝などに流入す
る空気による冷却効果を有し、かつクラツク発生
防止効果も併せ有する。

以下、本発明の実施例を添付図面を参照しつ
つ、詳細に述べる。

第１図は本発明の第１の実施例を示す。

図中、１は燒結金属摩擦材層、２は鋼板、３は
耐熱性断熱材層、４は該鋼板２に穿設され摩擦材
層１の補強脚と嵌合する補強脚用穴をそれぞれ示
し、断熱材層３はブロツク３Ａ，３Ｂに分割さ
れ、これらブロツク３Ａ，３Ｂには十字状（格子
状）の溝５が設けられている。第１図ｃ中で、ピ
ストン６を二点鎖線として示し、該ピストン６は
断熱材層３の表面に当接するようになつている。
なお、前記ブロツク３Ａ，３Ｂの分割部分は、ピ
ストン６が当接する位置に面して上下方向の〓間
３Ｃとして形成されている。

ここで、前記鋼板２はブレーキパツドとして使
用しても変形、破損しない厚さ、強度を有する所
定形状のものが用いられる。そして、燒結金属摩
擦材料との燒結性をより良くするために、該鋼板
２の表面に銅もしくはニツケル或はこれらの合金
の薄層をメツキ等の手段で設けたものが推奨され
る。

また、燒結金属摩擦材層１としては、銅または
鉄の少なくとも一方を主成分とし、これに錫、亜
鉛、鉛などを添加成分とした銅系、鉄系、銅鉄混
合系等のいずれかが用いられ、いずれも原料金属
粉または合金粉に必要に応じて摩擦・摩耗調整剤
として黒鉛、シリカ、ムライト等を加えたもので
ある。

さらに、耐熱性断熱材層３の耐熱性断熱材とし
てはブレーキパツドの使用中にその温度に耐え分
解・溶融・飛散しない材料であり、かつ燒結合金
摩擦材料の裏打ちをした鋼板より熱伝導の悪い材
料であり、例えばアルミナ、ムライト、スピネル
その他のセラミツク材料等がある。

本実施例はこのように構成されるが、次にその
製造方法について述べる。

先ず、鋼板２の表面に銅メツキ等の手段で薄層
を設ける。次に、この薄層を設けた鋼板２に予め
加圧成形してある燒結合金摩擦材料を重ね合せ、
通常、還元性雰囲気にて500℃以上の温度で所定
時間、例えば４時間加熱し、鋼板２の一面に燒結
金属摩擦材料を燒結させ、燒結金属摩擦材層１を
形成する。このとき必要に応じて加圧しながら燒
結してもよい。又金属板の一方の面に燒結金属摩
擦材料を加圧しながら層を成形することにより前
記製法の一部を変更してもよい。

次に、上記で製造された燒結金属摩擦材層１と
鋼板２とよりなる二層のブレーキパツドの他面
に、前記セラミツク材料を溶射することにより、
燒結金属摩擦材層１、鋼板２、耐熱性断熱材層３
よりなるブレーキパツドを製造することができ
る。溶射の方式としてはプラズマ溶射、ガス火炎
溶射その他の方法のいずれでもよいが、溶射層と
鋼板との接着力よりみてプラズマ溶射法が最適で
ある。

さらに、断熱効果を良くするために、鋼板２の
溶射面に部分的にマスキングする等の方法によ
り、断熱材層３を２つの小ブロツク３Ａ，３Ｂに
分割しており、さらに、各ブロツク３Ａ，３Ｂに
は十字状をなした格子溝５，５を、マスキング、
カツテイング等の手段で設ける。

このように製造された本実施例のブレーキパツ
ドによれば、鋼板２の表面に予め銅もしくはニツ
ケル又はこれらの合金からなる薄層を設け、該鋼
板２の一面に燒結金属摩擦材層１を燒結し、その
他面にセラミツク材を溶射することによつて耐熱
性断熱材層３を形成する構成としたから、従来技
術による断熱材の固着方法（即ち、断熱材を別に
成形し、これをビス止めカシメ或は接着する方
法）に比べ工程が簡単であり、かつ鋼板２に予め
薄層を設けておくことにより、燒結金属摩擦材と
の燒結性を高め、かつ高温で溶融したセラミツク
材を溶射するため、鋼板２との接着が十分であ
り、長期にわたる試験においても摩擦熱等による
剥離が全く生じなかつた。

さらに、本実施例では断熱材層３を〓間３Ｃを
介してブロツク３Ａ，３Ｂに分割すると共に、該
各ブロツク３Ａ，３Ｂのピストン当接面側に十字
状の溝５，５を形成しているから、次のような効
果を有する。

(1) 耐熱性断熱材層３の表面とピストン６との接
触面積を減らすことにより熱伝導を減少させる
ことができる。

(2) 溝５、各ブロツク３Ａ，３Ｂの〓間３Ｃなど
に流入する空気によつて断熱材層３の表面付近
を冷却し、冷却効果を高める。

(3) 断熱材料は一般に金属材料より熱膨張係数が
小さいため、加熱冷却のくり返しにより、クラ
ツクが入るおそれがあり、このおそれは断熱材
層３の厚さの増加とともに大きくなるが、溝
５、ブロツク３Ａ，３Ｂなどの効果により熱膨
張の差が累積されるのを防止できるため、クラ
ツクが入りにくくなる。

次に、第２図は本発明の第２の実施例を示し、
第１の実施例と同一構成要素には同一符号を付
し、その説明を省略する。

然るに、本実施例の特徴は断熱材層１３を多数
のリング状とし、これらを横３列のブロツク１３
Ａ，１３Ｂ，１３Ｃに分割して配列し、これらの
間に平行溝を形成したことにある。

本実施例はこのように構成されるが、その製造
方法、作用効果については第１の実施例と変わる
ところがないので、その説明を省略する。

なお、実施例では断熱材層３に十字状（格子
状）の溝５を設けるものとして述べたが、平行溝
等の各種形状の溝を設けることができる。

本発明のブレーキパツドは以上詳細に述べた如
くであつて、鋼板の一面に燒結金属摩擦材層を設
けると共に、その他面にセラミツク材を溶射する
ことによつて耐熱性断熱材層を設け、該断熱材層
に平行溝、格子溝等の溝を設け、又は該断熱材層
を２以上の部分に分割する構成としたから、ピス
トンとの接触面積を減少させて断熱性を高めるこ
とができ、又溝や分割部分間の〓間に空気が流入
することによつて断熱層表面付近での冷却性を良
好とし、更には断熱材層に溝を設け、又は複数の
部分に分割しておくことにより、鋼板と断熱材層
との間に熱膨張差があつても該断熱材層にクラツ
クが発生するのを防止しうる等の効果を奏する。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明に係るブレーキパツドの第１の
実施例を示し、第１図ａは正面図、第１図ｂは第
１図ａ中のＡ−Ａ矢示方向断面図、第１図ｃは背
面図、第２図は本発明に係るブレーキパツドの第
２の実施例を示し、第２図ａは正面図、第２図ｂ
は第２図ａ中のＢ−Ｂ矢示方向断面図、第２図ｃ
は背面図、第２図ｄは第２図ｃ中のＣ−Ｃ矢示方
向拡大断面図である。 １…燒結金属摩擦材層、２…鋼板、３，１３…
耐熱性断熱材層、３Ａ，３Ｂ，１３Ａ，１３Ｂ，
１３Ｃ…ブロツク、４…補強脚用穴、５…溝。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ 鋼板の一面にブレーキデイスクに当接される
   燒結金属摩擦材層を、他面にピストンにより押圧
   される耐熱性断熱材層を設けてなるブレーキパツ
   ドにおいて、前記耐熱性断熱材層はセラミツク材
   を溶射することによつて形成し、かつ該セラミツ
   ク材によつて形成された耐熱性断熱材層に平行
   溝、格子溝等の溝を設け、又は該耐熱性断熱材層
   を二以上の部分に分割する構成としたことを特徴
   とするブレーキパツド。 ２ 前記耐熱性断熱材層の溝又は分割部分は、前
   記ピストンの当接する位置に面して存在するもの
   である特許請求の範囲１項記載のブレーキパツ
   ド。