JPH0248602B2 - Bureekipatsudonoseizohoho - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 本発明はブレーキパツドの製造方法、更に詳し
くは燒結金属摩擦材料層、鋼板および耐熱性断熱
材層がこの順に積層されているブレーキパツドの
製造方法に関するものである。

燒結金属を用いたブレーキパツドは他の材料を
用いたブレーキパツドに比べて、耐熱性が高く、
又、摩擦係数が安定しており、耐摩耗性もすぐれ
ていることから自動車をはじめ各種の車輛或いは
工作機械等のブレーキパツドに広く使用されてい
る。これらブレーキパツドの多くはブレーキ液等
の液圧を用いたピストン等でデイスクに押付け制
動している。かかる燒結金属のブレーキパツドを
使用するとき、鋼板の一面にのみ燒結合金を燒結
した片面のブレーキパツドでは、鋼板の裏面を直
接油圧ピストンで押付ける場合がある。このよう
な使用方法の場合に、燒結金属摩擦材料およびこ
れの裏打ちをした鋼板は熱伝導性が良好なため、
摩擦面よりの摩擦熱が上記ブレーキ液の温度上昇
をもたらすという不都合があつた。

これを解決するために、従来はブレーキパツド
とピストンとの接触する面に断熱材をそのまま又
は鉄板を裏にあてがいビス止めしたりカシメた
り、又接着剤で接着する等の方法が講じられてい
た。しかしながら、上記方法で断熱材を固定する
と、製造時の工程が増え、著しい価格上昇をもた
らす。又、接着剤の多くは耐熱性が不十分で使用
中剥離事故を起こすおそれがある。

本発明は上記欠点に鑑みてなされたものであ
り、その目的とするところは、燒結金属摩擦材と
セラミツク断熱材を設けたブレーキパツドを製造
するに当つて、簡単な工程で、かつ長期にわたつ
て燒結金属摩擦材、セラミツク断熱材の充分な固
定ができるようにしたブレーキパツドの製造方法
を提供するものである。

本発明に係るブレーキパツドの製造方法は、鋼
板の表面に銅もしくはニツケル又はこれらの合金
からなる薄層を設け、該薄層が設けられた鋼板の
一面に燒結金属摩擦材料を還元性雰囲気にて500
℃以上の温度で燒結した後に、前記鋼板の他面に
セラミツク材を溶射することによつて耐熱性断熱
材層を形成したことにある。

本発明の製造方法によれば、鋼板の表面に予め
銅もしくはニツケル又はこれらの合金からなる薄
層を設け、該鋼板の一面に燒結金属摩擦材を燒結
し、その他面にセラミツク材を溶射してブレーキ
パツドを製造することができるため、従来技術に
よる断熱材の固着方法（即ち、断熱材を別に成形
し、これをビス止めカシメ或は接着する方法）に
比べ工程が簡単であり、かつ鋼板に予め薄層を設
けておくことにより、燒結金属摩擦材との燒結性
を高め、さらに高温で溶融したセラミツク材を溶
射するため、鋼板との接着が十分であり、長期に
わたる試験に於ても摩擦熱等による剥離が全く生
じなかつた。

以下、本発明の詳細について、具体的に説明す
る。

本発明に用いられる鋼板はブレーキパツドとし
て使用しても変形、破損等を起こさない厚さと強
度を有する所定形状のものが用いられる。

又、燒結金属摩擦材料との燒結性、接着強度を
より良くするために、該鋼板の表面に銅もしくは
ニツケル或はこれらの合金の薄層をメツキ等の手
段で設ける。

一方、燒結金属摩擦材料層としては、銅または
鉄の少なくとも一方を主成分とし、これに錫、亜
鉛、鉛などを添加成分とした銅系、鉄系、銅鉄混
合系等のいずれかが用いられ、いずれも原料金属
粉または合金粉に必要に応じて摩擦・摩耗調整剤
として黒鉛、シリカ、ムライト等を加えたもので
ある。

耐熱性断熱材としてはブレーキパツドの使用中
にその温度に耐え分解・溶融、飛散しない材料で
あり、かつ燒結金属摩擦材料の裏打ちをした鋼板
より熱伝導の悪い材料であり、例えばアルミナ、
ムライト、スピネルその他のセラミツク材料等が
ある。

本発明の製造方法は、先ず接着強度を高めるた
めに前記鋼板の表面に銅メツキ等の手段で薄層を
設ける。次に、この薄層を設けた鋼板に予め加圧
形成してある燒結金属摩擦材料を重ね合せ、通
常、還元性雰囲気にて500℃以上の温度で加熱し、
前記薄層を一体に鋼板の一面に燒結金属摩擦材料
を燒結させる。この時必要に応じて加圧しながら
燒結してもよい。又、鋼板の一方の面に燒結金属
摩擦材料を加圧しながら層を成形することにより
前記製法の一部を変更してもよい。

次に、上記で製造された燒結金属摩擦材料と鋼
板とよりなる二層のブレーキパツドの他面に、前
記セラミツク材料を溶射することにより、燒結金
属摩擦材層、鋼板、耐熱性断熱材層よりなるブレ
ーキパツドを製造することができる。溶射の方式
としてはプラズマ溶射、ガス火炎溶射その他の方
法のいずれでもよいが、溶射層と鋼板との接着力
よりみてプラズマ溶射法が最適である。

又、断熱効果を良くするために、必要に応じて
耐熱性断熱材層に平行溝・格子溝など各種形状の
溝を設けることができる。或いは、溶射面に部分
的にマスキングするなどの方法により断熱材層を
２以上の小ブロツクに分割することができる。前
述の如く、溝を設けたり断熱材層をブロツクに分
割することによる効果は次のように多様にわた
る。

(1) 耐熱性断熱材層表面とピストンとの接触面積
を減らすことにより熱伝導を減少させる。

(2) 溝、ブロツク間の〓間などに流入する空気に
よつて断熱材層の表面付近を冷却する。

(3) セラミツク材は一般に金属材料より熱膨張係
数が小さいため、加熱冷却のくり返しにより、
クラツクが入るおそれがあり、このおそれは断
熱材層の厚さの増加とともに大きくなるが、
溝、ブロツク間の〓間などの効果により熱膨張
の差が累積されるのを防止できるため、クラツ
クが入りにくくなる。

第１図は本発明の実施例によるブレーキパツド
の一例を示す。第２図は本発明の他の実施例であ
つて、耐熱性断熱材層に溝を設けると共にブロツ
クに分割した例である。第３図は本発明のさらに
他の実施例であつて、前記断熱材層をブロツクに
分割した例である。第１図乃至第３図において、
１は燒結金属摩擦材料層、２は鋼板、３は耐熱性
断熱材層、４は該鋼板２に穿設され摩擦材料層１
の補強脚と嵌合する補強脚用穴をそれぞれ示す。
そして、第１図は鋼板１に全面的に断熱材層３を
溶射した場合を示し、第２図は断熱材層３をブロ
ツク３Ａ，３Ｂに分割し、これらに溝５を設けた
場合を示し、第３図は断熱材層３をリング状とし
てこれらを横３列のブロツク３Ｃ，３Ｄ，３Ｅに
分割して配列した場合を示す。

次に実施例の製造方法について説明する。第１
図に示す如く銅粉を主成分とし錫・鉛・鉄等の金
属粉及びシリカ、黒鉛等の摩擦調整剤粉を配合し
常温において加圧成形した摩擦材料層１の成形体
を作り、接着強度を高めるために銅メツキした鋼
板２の一面上に前記摩擦材料層１を重ね、750〜
1000℃において還元性雰囲気下に保たれた燒結炉
中で約４時間燒結して両者を接着した。この後、
銅メツキされている鋼板２の他面に断熱材料層３
としてアルミナを溶射して本発明のブレーキパツ
ドをえた。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明に係るブレーキパツドの製造方
法の第１の実施例を示し、第１図ａは正面図、第
１図ｂは第１図ａ中のＡ−Ａ矢示方向断面図、第
２図は本発明に係るブレーキパツドの製造方法の
第２の実施例を示し、第２図ａは正面図、第２図
ｂは第２図ａ中のＢ−Ｂ矢示方向断面図、第２図
ｃは背面図、第３図は本発明に係るブレーキパツ
ドの製造方法の第３の実施例を示し、第３図ａは
正面図、第３図ｂは第３図ａ中のＣ−Ｃ矢示方向
断面図、第３図ｃは背面図、第３図ｄは第３図ｃ
中のＤ−Ｄ矢示方向拡大断面図である。 １……燒結金属摩擦材料層、２……鋼板、３…
…耐熱性断熱材層、４……補強脚用穴、５……
溝。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. １ 鋼板の一面にブレーキデイスクに当接される
   燒結金属摩擦材層を、他面にピストンにより押圧
   される耐熱性断熱材層を具備してなるブレーキパ
   ツドの製造方法において、前記鋼板の表面に銅も
   しくはニツケル又はこれらの合金からなる薄層を
   設け、該薄層が設けられた鋼板の一面に燒結金属
   摩擦材料を還元性雰囲気にて500℃以上の温度で
   燒結した後に、前記鋼板の他面にセラミツク材を
   溶射することによつて耐熱性断熱材層を形成した
   ことを特徴とするブレーキパツドの製造方法。