JPH024859Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 ＜技術分野＞ 本考案は動力舵取装置とりわけラツクピニオン
式動力舵取装置の制御弁装置に関するものであ
る。

＜従来技術＞ 一般に、この種制御弁装置においては、弁ハウ
ジングは鋳造にて形成したハウジング本体に両弁
部材を収容する段付内孔を機械加工にて設け、か
つハウジング本体の周壁に各配管を接続する複数
の接続孔を機械加工にて設けることにより形成さ
れていた。このため、弁ハウジングの形成に煩雑
な多数の機械加工を必要とし、弁ハウジングの生
産性を向上させることが難しく、また弁ハウジン
グの周壁が肉厚になつて弁ハウジングの重量が不
必要に大きくなつている。

又、弁ハウジング内には一対の弁部材の外にラ
ツク軸に噛合するピニオン軸の一端が挿入され回
転軸承されるようになつているが、このピニオン
軸用の軸受及びシール部材はギヤハウジング側に
設けられていた。このため、弁ハウジング内の圧
力流体のギヤハウジング内への漏洩を防止するシ
ール部材のシール機能は、弁ハウジングをギヤハ
ウジングに組付けた状態でしかチエツクすること
ができず、しかも弁ハウジング内からのギヤハウ
ジング内への圧力流体の漏洩は外部から目視する
ことができないため、シール部材自体の不良、シ
ール部材及びピニオン軸の組付不良に起因する圧
力流体の漏洩をチエツクすることは困難であつ
た。

＜考案の目的＞ 本考案の目的は、弁ハウジングの軽量化を図
り、かつ生産性の向上させるとともにシール部材
のシール機能をギヤハウジングに弁ハウジングを
組付ける前に目視チエツクできるようにすること
である。

＜実施例＞ 以下、本考案を図面に基づいて説明するに、第
１図には本考案に係る制御弁装置を備えた動力舵
取装置の一例が示されている。この動力舵取装置
の制御弁装置はロータリ式制御弁装置であつて、
弁ハウジング１０がギヤハウジング２１に一体的
に組付けられている。また、弁ハウジング１０及
びギヤハウジング２１に保持された一対の軸受２
２ａ，２２ｂを介してピニオン軸２３が回転可能
に軸支されており、このピニオン軸２３の一部は
これと交差する方向に摺動可能なラツク軸２４の
一部と噛合している。このラツク軸２４は、図示
しないパワーシリンダ内を摺動するピストンを備
え、その両端が操縦リンク機構を介して操行車輪
に連結されている。

一方、弁ハウジング１０内には大径の軸受収容
筒部１０ａと小径の弁収容筒部１０ｂがプレス成
形等により一体形成され、弁収容筒部１０ｂ内に
は制御弁機構３０が収容されている。制御弁機構
３０は、第１図および第２図に示すように、操舵
軸２５に一体的に形成されたロータ弁部材３１
と、ロータ弁部材３１の外周に同心的かつ相対回
転可能に嵌合されたスリーブ弁部材３２を主要構
成部材としていて、ロータ弁部材３１の外周には
その軸方向へ延びる複数のランド部３１ａと溝部
３１ｂとが等間隔に形成され、かつスリーブ弁部
材３２の内周にもその軸方向へ延びる複数のラン
ド部３２ａと溝３２ｂとが形成されている。この
ロータ弁部材３１は、これと一体の操舵軸２５に
一端を固定しかつ他端をピニオン軸２３に固定し
たトーシヨンバー２６によつてピニオン軸２３に
連結されており、またスリーブ弁部材３２は連結
ピン３３によつてピニオン軸２３に連結されてい
る。かかる制御弁機構３０においては、中立状態
になる場合各弁部材３１，３２のランド部３１ａ
と溝部３２ｂおよび溝部３１ｂとランド部３２ａ
が互いに対向していて、流体ポンプから後述する
第１接続部材１２および各供給ポート３２ｃを通
つて流入する圧力流体を各排出ポート３１ｃ、中
心孔３１ｄおよび貫通孔３１ｅを通して後述する
第２接続部材１３からリザーバへ還流させる。ま
た、ハンドルを回転させると、ロータ弁部材３１
はスリーブ弁部材３２に対してわずかに相対回転
し、圧力流体を各分配ポート３２ｄまたは３２ｅ
および後述する第３接続部材１４または第４接続
部材１５を通してパワーシリンダの一方の油室に
供給し、同時にパワーシリンダの他方の油室の圧
力流体を、第４接続部材１５または第３接続部材
１４および第２接続部材１３を通してリザーバへ
還流させる。

弁ハウジング１０の軸受収容筒部１０ａに軸受
２２ａが挿着され、ピニオン軸２３の一端を軸承
している。この筒部１１ｂの開口部内周面には輪
状ナツト２７が螺着され、軸受２２ａの抜止め作
用をなすとともにピニオン軸２３の外周面に摺接
するシール部材２８を保持している。

かかる弁ハウジング１０は、ギヤハウジング２
１の取付孔２１ａに軸受収容筒部１０ａの外周面
を密嵌合させ、弁ハウジング１０の段差部１０ｃ
に係合する押さえ金２９をボルト締めすることに
よりギヤハウジング２１に対して結合され、一体
的に組付けられる。

弁収容筒部１０ｂ外周の所定の位置に、スタツ
ド溶接された各接続部材１２〜１５のうち、第１
接続部材１２は一端を流体ポンプに接続した供給
管の他端が接続されるもので、また第２接続部材
１３は一端をリザーバに接続した排出管が接続さ
れるものであつて、第１接続部材１２には供給管
接続用のネジ孔１２ａと、供給管およびスリーブ
弁部材３２の供給ポート３２ｃを連通させるポー
ト１２ｂが設けられ、また第２接続部材１３には
排出管接続用のネジ孔１３ａと、排出管およびロ
ータ弁部材３１の貫通孔３１ｅを連通させるポー
ト１３ｂが設けられている。第３接続部材１４お
よび第４接続部材１５は、一端をパワーリンダに
接続した２本の分配管のそれぞれの他端が接続さ
れるもので、各接続部材１４，１５には各分配管
接続用のネジ孔と、各分配管およびスリーブ弁部
材３２の各分配ポートをそれぞれ連通させるポー
トがほぼ同様に設けられている。

＜効果＞ 上記構成によれば組付け前の段階において、弁
ハウジング１０に対して一対の弁部材３１，３
２、ピニオン軸２３、軸受２２ａ、シール部材２
８が組付けられているので、制御弁機構３０とし
てはギヤハウジング２１に結合しなくても機能し
得る構成となつており、弁ハウジング１０の外周
面にスタツド溶接された接続部材１２〜１５に配
管すれば、圧力流体供給によるシール部材の機能
チエツクができることになる。

又、弁ハウジング１０はプレス成形にて軸受収
容筒部１０ａと弁収容筒部１０ｂを同軸的に一体
形成し、軸受収容筒部１０ａの外周面をギヤハウ
ジング２１の取付穴２１ａに密嵌合させ、弁ハウ
ジング１０の段差部１０ｃに係合する押さえ金２
９をギヤハウジング２１にボルト締めして結合す
るようにしたので、弁ハウジング１０の肉厚を必
要最小限度まで極めて薄くすることができるばか
りでなく、弁ハウジング１０の重量を軽減でき、
制御弁装置を軽量化することができる。また、従
来の弁ハウジングにおいては、ハウジング本体に
制御弁機構、シール部材、軸受等を収容する段付
内孔や、各配管を接続する各接続孔を機械加工に
より形成していたが、当該制御弁装置の弁ハウジ
ング１０においてはこれらの種々の機械加工を全
く必要とせず、プレス成形にて形成し各接続部材
１２〜１５を溶接するにすぎないから、従来に比
し弁ハウジング１０の生産性を大きく向上させる
ことができ、以つて制御弁装置を廉価に提供する
ことができる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案の一例に係る制御弁装置を備え
た動力舵取装置の縦断面図、第２図は第１図の
−線に沿う横断平面図である。 １０……弁ハウジング、１０ａ……軸受収容筒
部、１０ｂ……弁収容筒部、１０ｃ……段差部、
１２〜１５……接続部材、２１……ギヤハウジン
グ、２５……操舵軸、２８……シール部材、２９
……押さえ金、３０……制御弁機構、３１……ロ
ータ弁部材、３２……スリーブ弁部材。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. ラツク軸に噛合するピニオン軸と操舵軸との相
   対回転によりパワーシリンダに対する圧力流体の
   給排を制御する一対の弁部材を備えてなる動力舵
   取装置の制御弁装置において、ラツク軸に噛合す
   るピニオン軸を軸承する軸受を収容する大径の軸
   受収容筒部とパワーシリンダに対する圧力流体の
   給排を制御する一対の弁部材を収容する小径の弁
   収容筒部を同軸上に連設して薄肉の弁ハウジング
   を構成し、この弁ハウジングの軸受収容筒部の内
   側に、前記ピニオン軸の一端を軸承する軸受と前
   記ピニオン軸の外周に密接するシール部材を組付
   け、前記弁収容筒部の内側には相対回転可能な一
   対の弁部材を挿入して各弁部材はピニオン軸又は
   操舵軸と各別に連結し、前記軸受収容筒部の外周
   面をギヤハウジングに穿設した取付穴に密嵌合さ
   せ、前記弁ハウジングに設けられた段差部に係合
   する押さえ金を前記ギヤハウジングにボルト締め
   して結合するようにしたことを特徴とする動力舵
   取装置の制御弁装置。