JPH0248479B2 - Ritorakutasochi - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 ＜産業上の利用分野＞ 本発明は、紐状物体を巻取るリトラクタ装置に
関する。

＜従来の技術＞ 従来より、紐状物体を自動的に巻き取る装置と
して、巻き取り方向にばね付勢されたリールを備
えるリトラクタ装置が用いられている。

例えば、所謂３ドア車、５ドア車に於ては、後
座席の後方をトランク用のスペースとして用い、
その上部をリアシエルフにより開閉自在に覆うよ
うにしているが、テールゲートを開き、トランク
スペース内に荷物を収納したり、或いは荷物を取
出す際にリアシエルフをも開く必要がある。そこ
で、リアシエルフの後端部とテールゲートの適所
との間を紐により連結し、紐の一端を、ばね付勢
されたリールを備えるリトラクタ装置により、巻
取るようにしてテールゲートとリアシエルフとを
連動させることが望ましい。

ところが、テールゲートの全開時に紐が完全に
引出された状態となる場合には、紐などが破断す
る可能性があり、テールゲート全開時よりも更に
紐が繰り出され得るように余裕をもたせた場合に
は、紐が破断し難くなるものの、リアシエルフの
自重とリールのばね力との釣合いにより、リアシ
エルフの跳ね上げ高さが定まるため、リアシエル
フを充分な高さに跳ね上げることが困難になる。
そこで、紐の繰出し長さの途中で十分な牽引力を
与えると、初期の繰出し力が過大となる不都合を
生じる。

＜発明が解決しようとする問題点＞ このような従来技術の欠点に鑑み、本発明の主
な目的は、繰出し初期には比較的弱い牽引力もつ
て紐を引出すことができ、しかも巻取り残に十分
な余裕をもつた状態で、比較的強い巻き取り力を
発生することの可能な、リトラクタ装置を提供す
ることにある。

＜問題点を解決するための手段＞ このような目的は、本発明によれば、紐状物体
を巻取るリトラクタ装置であつて、該リトラクタ
装置が第一及び第二のリールと、被牽引物に係着
された一端を有する紐とを有し、前記第一のリー
ルが一方向にばね付勢されており、前記第二のリ
ールが前記第一のリールを同心的に外周すると共
に切欠部を有し、かつ回動自在に支持されてお
り、前記切欠部を通過して前記第一のリールに巻
回されていることを特徴とするリトラクタ装置を
提供することにより達成される。

＜作用＞ このように、第一のリールの外周に第二のリー
ルを嵌挿し、巻き取り半径を二段階にすることに
より、紐をある程度巻き残した位置にて、紐に加
わる張力が大きくなるようにすることが可能とな
り、被牽引物が垂れ下がることなく、ストローク
に余裕をもたせることが可能であるため、紐が破
断し難い。

特に、リールを上記したような構成からなるも
のとすることにより、極めて簡単な構造をもつ
て、適度なストロークで紐に加わる張力を段階的
に増強することが可能となる。

＜実施例＞ 以下に添付の図面を参照して本発明を特定の実
施例について詳細に説明する。

第１図は本発明に基くリトラクタ装置が、テー
ルゲートとリアシエルフとの連動用巻取装置とし
て応用された自動車の後部を示すもので、ルーフ
後部に設けられたヒンジ２によりテールゲート１
が、車体後部の開口部を開閉可能にしている。後
座席３後方の床面上にはトランクスペース４が郭
定されており、該トランクスペースの上部がヒン
ジ６により、上下に開閉自在にされたリアシエル
フ５に閉じ得るようにしてある。テールゲート１
の下端部近傍の適所に紐８の一端７が係着されて
おり、該紐の他端がリアシエルフの遊端部下面に
固設された巻取装置９にに巻き取られている。

第２図乃至第５図は、第１図に示された巻取装
置９を詳細に説明している。内面に収納部を凹設
された偏平な円盤状をなす、ケーシング１３の上
壁内側に回動自在に軸支された回動軸１０には、
第一のリール１１が一体的に形成されている。こ
の第一のリール１１は、各端がケーシング１３及
び第一のリール側にそれぞれ係着された捩りコイ
ルばね１２により、第３図に於ける反時計廻り方
向に付勢されており、更に、紐８のリアシエルフ
側の端部が巻回されている。第一のリール１１は
捩りコイルばね１２に隣接する小径鍔１４と、ケ
ーシング１３の開放面を覆う底板１３ａの内面に
摺接する大径鍔１５とを有し、小径鍔１４の外周
面には、前記大径鍔１５と等しい外径とされた第
二のリール１６が、大径鍔内面と摺接して回動自
在なるように嵌装されている。第二のリール１６
の大径鍔内面との摺接部１７は第３図に良く示さ
れているように、Ｃ環状に形成され、紐８が第一
のリール１１に巻取られた後に第二のリール１６
に巻取られるように、切欠部１８を有している。

従つて第３図に示されるように紐８をリールに
最大限巻取られた状態から繰り出す際は、第二の
リール１６に巻取られた分から繰り出されるた
め、その巻取力Ｆは第６図の区間Ｈで示されるよ
うに、紐８の巻取半径が大きいことによるモーメ
ントの関係から比較的小さな力となる。

しかしながら、第４図に示されるように、紐８
が第二のリール１６から繰り出されると、次に第
二のリール１６の切欠部１８を経て第一のリール
１１に巻取られた分が繰り出されることとなるの
で、第６図の区間Ｇにより示されるように、紐８
に加わる巻取力Ｆは巻取半径が小さいことから大
きな力となる。

ここで、テールゲート１が全閉状態にある時
は、引出し力Ｆを０またはそれに近い値とし、テ
ールゲート１が全開の時には、巻取量に余裕をも
たせておくことにより（第５図）、捩りコイルば
ね１２のばね力に抗する力を紐８に加えた場合で
も、更に紐８をリール１１から繰出し得るように
各部の関係寸法を定めてある。

次に本発明の作動の要領を第１図について説明
する。

テールゲート１はその全開時にはＡで示される
位置にあり、一方リアシエルフ５はＢで示される
水平位置にある。この位置にあつては、紐８が巻
取装置９に最大限巻取られた状態にある。従つ
て、この位置からテールゲート１を持上げようと
した場合に、紐８には捩りコイルばね１２のばね
力が加わることとなるが、紐８は大径な第二のリ
ール１６に巻取られているため、大きなモーメン
トが作用し、巻取装置９の抵抗力に抗して、比較
的小さな力でテールゲート１を持上げることがで
きる。

次にテールゲート１を実線で示されるように全
開位置に持上げた場合、紐８が巻取装置９からか
なり繰り出されることとなり、紐８には捩りコイ
ルばね力が引続き作用することとなるが、紐８が
小径な第一のリール１１より繰り出される状態に
あるため、モーメントの作用が小さいので、大き
な巻取り力を生じ、リアシエルフ５が自重により
垂れ下がろうとする傾向に十分対抗することがで
きる。テールゲート１を開こうとする際に、リア
シエルフ５に比較的大きな重量の物品が載置され
ていた場合には、紐８が通常の場合よりも余分に
巻取装置９から繰り出されることとなるが、巻取
装置９の繰出しストロークに余裕があるため、紐
８に過大な張力を発生させたり、重量物をひつく
り返すことなどの不都合を生ずることがない。

更にテールゲート１が全開位置にある時に、リ
アシエルフ９を更に上向きに押し上げれば、同じ
く巻取装置９の繰出しストロークに余裕があるた
め、Ｃで示されるように略垂直な位置まで跳ね上
がることができる。従つて、比較的大型の物品を
トランクスペース４に収納しようとする場合に
は、リアシエルフ５をこのような垂直位置に手で
押し上げることが可能であるため、荷物の積み下
しが容易となる。

上記実施例に於ては、リトラクタ装置としての
巻取装置９を、自動車のテールゲートとリアシエ
ルフ５の連動装置として応用するものとしたが、
本発明は上記実施例に限らず、種々の態様にて広
く応用することが可能である。

＜発明の効果＞ このように、本発明によれば、比較的単純なリ
ール構成で、巻き取り牽引力を段階的に変化し得
るため、リトラクタ装置の取り扱い性を向上する
上で極めて大きな効果がある。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明に基づくリトラクタ装置が応用
されたリアシエルフ連動構造の作動の要領を示す
側面図である。第２図は第１図に用いられた巻取
装置の機能を示す一部破断側面図である。第３図
はテールゲート１の開き始めを示す巻取装置９の
要部断面図である。第４図はテールゲート１の全
開位置手前を示す巻取装置９の要部断面図であ
る。第５図はテールゲート１の全開位置を示す巻
取装置９の要部断面図である。第６図は紐８の繰
出し長さと巻取装置９の巻取り力との関係を示す
グラフである。 １……テールゲート、２……ヒンジ、３……後
座席、４……トランクスペース、５……リアシエ
ルフ、６……ヒンジ、７……一端、８……紐、９
……巻取装置、１０……回動軸、１１……第１の
リール、１２……捩りコイルばね、１３……ケー
ス、１３ａ……底板、１４……小径鍔、１５……
大径鍔、１６……第二のリール、１７……摺接
部、１８……切欠部。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ 紐状物体を巻取るリトラクタ装置であつて、 該リトラクタ装置が第一及び第二のリールと、
   被牽引物に係着された一端を有する紐とを有し、 前記第一のリールが一方向にばね付勢されてお
   り、前記第二のリールが前記第一のリールを同心
   的に外囲すると共に切欠部を有し、かつ回動自在
   に支持されており、前記紐の他端が前記切欠部を
   通過して前記第一のリールに巻回されていること
   を特徴とするリトラクタ装置。