JPH0247604Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 （産業上の利用分野） この考案は、入出力の導波管の偏波面を任意の
角度で設定できる小形の偏波面回転構造を有する
円筒空洞を用いたマイクロ波帯域通過ろ波器の構
成に関する。

（従来の技術） 空洞共振器を用いたマイクロ波帯域通過ろ波器
の入出力導波管の偏波面は、ろ波器の実装の仕方
に応じて任意の方向に設定できることが望まれ
る。

従来、空洞共振器の入出力導波管の偏波面は、
空洞内の共振電磁界と入出力導波管の伝搬電磁界
の方向性により一意的に決まつていた。ここでろ
波器の実装上入出力導波管の偏波面を回転させる
必要がある場合、従来ろ波器の外部にひねり導波
管を入れて、偏波面を回転させていた。

以下図面を用いて説明する。第２図が従来の円
筒空洞を用いた帯域通過ろ波器の入出力導波管の
偏波面を回転させる方法である。図中矢印は電界
の向きを示す。円筒空洞１〜同４は円筒空洞１−
同２間、同２−同３間、同３−同４間がそれぞれ
円筒側面の結合穴によつて結合されており、４段
の帯域通過ろ波器を構成している。また円筒空洞
１及び同４はそれぞれ入出力矩形導波管５及び同
６と円筒側面の結合穴により結合している。結合
穴７は円筒空洞１と入出力導波管５との結合穴で
ある。ここで円筒空洞１内の共振電磁界がTE₀₁₁
モードであり、入出力矩形導波管５内の伝搬電磁
界をTE₁₀モードとすると、その結合は第３図の
円筒空洞１及び入出力矩形導波管５の横断面に示
される。図中矢印は電界の向きを示す。ここで入
出力矩形導波管５内の電界は狭壁面に平行方向
（広壁面に垂直方向）にのみ存在する。同様に円
筒空洞１内の電界も、円筒空洞１の軸に垂直な面
内に回転方向に存在する。したがつて入出力矩形
導波管５の偏波面は、一意的に決定されてしま
い、これに垂直な偏波面の導波管には全く結合し
ない。そこでこの導波管の偏波面を回転させるた
めに、従来第２図の様に入出力矩形導波管５にひ
ねりを入れていた。

（考案が解決しようとする問題点） 偏波面を回転させるために、上記従来技術のよ
うにひねり導波管（ツイスト導波管ともいう）を
用いる方法はひねり導波管の長さが数波長にも及
ぶため、寸法が非常に大になり、かつ、ひねり導
波管の分だけ高価になしてしまうという問題点が
あつた。

（問題点を解決するための手段） 本考案は、上記従来技術の問題点を解決するた
めに、円筒形空洞共振器の結合穴と入出力用の矩
形導波管の間にほぼ４分の１波長の長さの偏波面
回転用の導波路を１個以上設けることにより、安
価で且つ偏波面を回転するため導波回路の寸法を
小さくしたマイクロ波帯域通過ろ波器を提供しよ
うとするものである。

本考案は、上記の目的を達成するために次の構
成を有する。

即ち、円筒形の空洞共振器を用い、その円筒側
面に設けた結合用の穴を介して入出力用の矩形導
波管に結合する構造の帯域通過ろ波器において、
前記結合穴と、前記入出力用の矩形導波管の間に
ほぼ４分の１波長の長さの偏波面回転用の矩形導
波路がｎ（≧１）個連接され、（ｎ＋１）箇所の接
合箇所で偏波面が回転するマイクロ波帯域通過ろ
波器である。

（作用） 偏波面をステツプ状に変化させる偏波面回転用
の矩形導波路はその長さをほぼ４分の１波長に選
ぶと電磁界は損失なく伝搬する。一方、４分の１
波長の長さの導波路１個当りの偏波面回転角が大
きい程インピーダンス整合は狭帯域となる。従つ
て、１段の導波路だけでは所要の周波数帯域幅が
得られない時には偏波面回転用の導波路を複数段
接続して用いることになる。

この場合、１段当りの偏波面の回転角度は、各
段平均して回転させるとすれば、用いる導波路の
数をｎとし、偏波面の回転させたい角度をψ度と
した場合ψ／（ｎ＋１）度となる。

上記のように、偏波面回転用の導波路の数が少
ない場合、例えば１段の場合インピーダンス整合
のとれる帯域幅は狭くなるが、マイクロ波におけ
る帯域通過ろ波器の場合、帯域幅が狭くてよい場
合が多いこと、また、性能要求に対して、偏波面
回転部分での帯域幅が若干狭くても、円筒空洞か
らなるろ波器部分の調整の際に偏波面回転部分の
特性を補償するようにしてろ波器部分と偏波面回
転部分を合わせた総合特性が要求性能を満するよ
うに調整できることから偏波面回転部分での帯域
幅が狭いということが障害となることはない。

偏波面回転用の矩形導波管の１段の長さはほぼ
４分の１波長の長さに選ばれるが、この寸法は、
ろ波器部分の円筒空洞共振器の直径がTE₀₁₁モー
ドの場合で約波長の1.32倍であることと比較する
と充分短い寸法といえる。更に、従来、偏波面の
回転用に用いられているひねり導波管の長さが数
波長にも及ぶことと比較すると非常に短い寸法と
いえ、たとえ帯域幅の要請から矩形導波路を２
段、３段と重ねて用いたとしてもなお大幅に小型
であるといえる。

（実施例） 以下、図面に基づいて本考案の実施例を説明す
る。

第１図は、本考案の実施例の構造を示す斜視図
である。第１図は、偏波面回転用の矩形導波路が
１個で（ｎ＝１）、円筒空洞内の偏波面を90度
（ψ＝90度）回転させる場合が示されている。図
中矢印は電界の向きを示す。

偏波面回転用の導波路９は空洞を構成する金属
きよう体８をけずり込んで構成されており、結合
穴７と入出力導波管５の間に位置する。導波路９
を伝搬する電磁界の偏波面は、直交する円筒空洞
１内の偏波面と入出力導波管５の偏波面の中間の
角度（45゜）におかれている。

またこの偏波面回転用の導波路９は入出力矩形
導波管５の入口部、すなわちろ波器に接する面を
けずり込んでも構成することができる。またこれ
らの両方を併用して２段でステツプ状の偏波面回
転を行なえば、より広帯域の偏波面の回転が実現
できる。これらの方法は偏波面回転部分の導波路
１段の長さが４分の１波長程度と、空洞共振器の
直径（TE₀₁₁モードの場合波長の約1.32倍）に比
較して十分短いため、帯域通過ろ波器の寸法は、
ほとんど変わらず、またこの偏波面回転用の導波
路５はろ波器のきよう体または入出力導波管のフ
ランジ部と一体で作ることができるため安価であ
るという特徴がある。

（考案の効果） 以上説明したように、帯域通過ろ波器の円筒空
洞共振器と入出力矩形導波管の間に、およそ４分
の１波長の長さの偏波面回転用の導波路を少くと
も１個設けることにより、ろ波器の外部にひねり
導波管を用いる方法に比較して安価で小形な構造
でろ波器の入出力導波管の偏波面が任意に設定で
きるマイクロ波帯域通過ろ波器が得られるという
利点がある。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案の実施例の構造を示す斜視図、
第２図は従来の円筒空洞を用いた帯域通過ろ波器
の偏波面を回転させる構造の斜視図、第３図は円
筒空洞および入出力矩形導波管の電界結合を示す
横断面図である。 １〜４……円筒空洞、５，６……入出力矩形導
波管、７……結合穴、８……ろ波器金属きよう
体、９……偏波面回転用導波路。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 円筒形の空洞共振器を用い、その円筒側面に設
   けた結合用の穴を介して入出力用の矩形導波管に
   結合する構造の帯域通過ろ波器において、前記結
   合穴と、前記入出力用の矩形導波管の間にほぼ４
   分の１波長の長さの偏波面回転用の矩形導波路が
   ｎ（≧１）個連接され、（ｎ＋１）箇所の接合箇所
   で偏波面が回転することを特徴とするマイクロ波
   帯域通過ろ波器。