JPH0247286B2 - Fukukyokumennoseikeihoho - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 ＜産業上の利用分野＞ 本発明は船体の外板の如く複雑な三次元曲面を
呈する複曲面を成形する方法に関するものであ
る。

＜従来の技術及びその問題点＞ 複曲面を呈する板材は特に船体の外板で多用さ
れるものであり、従来は目的形状に近似させた金
型による部分押しと、バーナによる線状加熱との
組合わせにより成形していた。しかし形状の異な
る金型を非常に多数準備しなければならず、又線
状加熱は手作業で作業効率が悪い上に相当の熟練
度を要する作業であつた。

近年日本造船研究会では、被加工材の上下両面
から格子状に配置された多数のポンチを当接し、
そのポンチの高さを調節して複曲面を得る研究を
なし、例えば日本造船学会論文集、第132号（昭
和47年）に掲載されている。しかしこの方法は用
いるポンチの数をある程度数多くしなければ加工
精度は上がらず、上論文によれば上下各々225本、
総数450本のポンチが用いられ制御点数が多く大
規模な設備とならざるを得ない。

又三菱重工技報Vol.13、No.６（昭和51年）には、
三条プレスと称する複曲面成形機が開示され、こ
の機械は制御ポンチ本数を30本にまで減少させて
はいるが、やはり相当数のポンチを用いている点
に於いては変わらない。更に上記したポンチを使
用する２種の方法ではそのいずれの方法でも、ポ
ンチロツドの先端のポンチヘツドは、球面座を介
して自在な首振り回動が出来る様にはされている
が、ポンチヘツドが首振りをなす際には傾斜した
方へポンチロツド中心からズレざるを得ず、その
ズレが一対のポンチの上、下面では被加工材の湾
曲方向が反対向きである為に逆方向となり、その
結果上、下のポンチヘツドは互いにズレた部所と
なり複曲面の成形性が悪くなるという問題も残つ
ている。

＜問題点を解決する為の手段＞ 本発明は上述の諸問題を解消し、制御点数が少
なく、しかも成形性が良好な方法を提供せんとす
るものであり、その要旨は被加工材を、その進行
方向と直交する方向に上下から屈曲自在な可撓ロ
ールで挾持し、該可撓ロールを所望形状に屈曲せ
しめた状態で上下の可撓ロール間に被加工材を供
給し、同可撓ロールを回転させる事で被加工材を
前進させ、更に可撓ロールよりは後方ならびに前
方に設置された入口側ロールならびに出口側ロー
ルの上下位置を調整し、被加工材を三次元的に成
形することを特徴とする複曲面の成形方法であ
る。

＜実施例及び作用＞ 以下本発明方法をその実施例を示す図面に基づ
き詳述する。

第１図に本発明方法を実施する為の装置の概要
を示すが、基台１上に入口側ロール２、可撓ロー
ル３、出口側ロール４の順で配設されている。可
撓ロール３は第２図及び第３図に示す様に屈曲自
在な回転軸５の外周に複数個のスリーブ６を所要
間隔毎に外嵌して形成され、この図に示す物では
屈曲自在な回転軸５としてボールジヨイントを用
いている。この可撓ロールの各スリーブ６はそれ
ぞれ可撓ロールを挾んで上下に配設される軸受
７，７，…により直接的に支持され、しかも該軸
受７は上下動自在なロールスタンド８，８，…の
先端に取付けられており、該ロールスタンド８を
上下動する事で可撓ロール３を所望する形状に設
定出来る様になつている。なお可撓ロール３はそ
の変形に対しロール軸方向に伸縮自在となる必要
があるのでボールジヨイント間にスプライン機構
９を取入れ伸縮自在な構造としている。又可撓ロ
ール３が変形した際に、各々のスリーブ６はその
変形に応動し自ら首を振り、しかも第３図に示す
如く上下一対のスリーブ６，６の相対する面がロ
ール軸方向に絶えずズレを生じない様に第４図及
び第５図に示す通りその上面を曲率半径の中心が
スリーブ上部中央にある湾曲状となした調心軸受
１０を設け、しかも軸受７の側面には案内溝１１
を穿設すると共にコイルバネ１２を配設して軸受
７と調心軸受１０間の滑りをスムーズ化してい
る。

ところで、複曲面の加工精度は可撓ロール間ピ
ツチが小さい程好ましいので、上記実施例の場合
には可撓ロールを構成するスリーブ６を軸受７で
直接的に支持し、コンパクトに設計しているけれ
ども、この形態では複曲面成形中に可撓ロール表
面に傷を生ずるならば、ロールの駆動が困難にな
る。そこで実用機の場合は第８図、第９図に示す
様にスリーブ６の両端を軸受側板１３でもつて軸
受とするような構造が望ましい。

この様な構成の装置を用い、各ロールスタンド
８をそれぞれ設けられたネジ等の上下位置調整手
段を用いて所望する位置に設定し、一方入口側ロ
ール２ならびに出口側ロール４の高さも調整し
て、被加工材ａを上下の可撓ロール３，３間に挾
み、可撓ロールを回転させ被加工材ａを前進させ
ると、被加工材ａはその幅方向には可撓ロール
３，３の形状で規制される形状に変形し、一方そ
の長手方向には入口側ロール２ならびに出口側ロ
ール４によつて変形され三次元的な形状とされ
る。

次に第３図に示す如き装置に於いてAl材を成
形した結果を示す。この成形に際してはスリーブ
６はその長さ24mm、外径40mmの物を間隔を約34mm
毎に５個配置した可撓ロール３を用いた。

第６図に成形後の被加工材ａの幅方向の断面の
曲率を示す。この第６図に示すのは被加工材ａは
Al軟質材で厚さ2.0mm、幅260mmの物を用いた。又
第７図には厚さ2.0mm、幅260mmのAl軟質材とAl
半硬質材とを成形した場合の断面形状の比ψを示
す。ここでψ＝ρ_xp／ρ_xで、ρ_xp可撓ロールの断面
曲率半径を、ρ_xは被加工材の断面曲率半径を示
す。第６図に於いて断面の曲率に４個のピークが
現われているのはこの部分で大きく折曲している
と考えられ、図中に２点鎖線で示す一様円弧の場
合と比べ局部的な変形が目立つが、これはスリー
ブの長さを短かくし、かつ間隔を小となす事であ
る程度解消する事が出来るものである。第７図か
らはその材質の強さによりスプリングバツク量が
相当に異なる事が判り、実際の成形に際してはこ
のスプリングバツク量を考慮して成形を行なう様
にする。

次に可撓ロールの前後の入口側・出口側ロール
の高さを調整して、長手方向の曲率（１／ρ_y）を
与えた複曲面成形において、長手方向の曲率が被
加工材の成形断面形状比ψに及ぼす影響を調べた
結果を第１０図に示す。

第１０図中１／ρ_y＞０は鍋底型の複曲面成形で
あり、１／ρ_y＜０は鞍型の複曲面成形である。
１／ρ_yによりψの値が変化するため、予めその分
を見込んで可撓ロールを設定すれば、所望する複
曲面を得ることができる。

＜発明の効果＞ 以上述べて来た如く本発明方法によれば、可撓
ロールの変形の為にそのスリーブの上下、及び出
入口側ロールの高さを制御するのみでよいので制
御点数が大幅に減少し、かつ被加工材は可撓ロー
ル自体で送る為に上述の多数のポンチを用いる方
法と比し設備が大幅に簡略化され、作業効率は大
きく向上する。

なお本発明方法で可撓ロールの変形即ち各スリ
ーブの上下位置並びに出入口側ロールの上下位置
の設定をNC制御方式とする事が出来るのは勿論
である。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明を実施する為の装置の全体概要
を示す側面図、第２図は同正面図、第３図は同可
撓ロール部の一部切欠要部拡大図、第４図及び第
５図はそれぞれ軸受部の要部拡大側面図及び正面
図、第６図及び第７図はそれぞれ本発明により成
形した被加工材の断面の曲率及び断面形状の比を
示すグラフ、第８図及び第９図はそれぞれ軸受部
の他の形態を示す要部拡大側面図及び正面図、第
１０図は本発明方法で成形した被加工材の長手方
向の曲率と断面形状の比を示すグラフ。 図中、２：入口側ロール、３：可撓ロール、
４：出口側ロール、５：回転軸、６：スリーブ、
８，８，……：ロールスタンド、９：スプライン
機構。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. １ 被加工材を、その進行方向と直交する方向に
   上下から屈曲自在な可撓ロールで挾持し、該可撓
   ロールを所望形状に屈曲せしめた状態で上下の可
   撓ロール間に被加工材を供給し、同可撓ロールを
   回転させる事で被加工材を前進させ、更に可撓ロ
   ールよりは後方ならびに前方に設置された入口側
   ロールならびに出口側ロールの上下位置を調整
   し、被加工材を三次元的に成形することを特徴と
   する複曲面の成形方法。