JPH024570Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 （産業上の利用分野） この考案は運動靴に関するものである。

（従来の技術） 従来、ランニング、テニス、バスケツト等の運
動靴において、走行時におけるクツシヨン性とい
う観点から中間底を弾性発泡体で形成したもの
が、一般に知られている。

通常のランニング走行時に足裏に付加される体
重負荷は踵部後方外側部の着地に始まり、踵部、
不踏部外側辺、第５指のボール部、第１指のボー
ル部の接地を経て、第１指部、第２〜５指部の蹴
り動作に対応して順次移動されるものである。

特に着地動作において、体重の３倍に達する衝
撃力が踵部の外側部に付加される。このため中間
底のクツシヨン性に起因して中間底の踵部外側後
部が急速に圧縮され、その後の急速な弾性回復力
によつて靴の踵部が過度に内側方向に横振れし、
足首が内捻挫したり、膝関節が障害をひき起した
りしていた。

このため特公昭57−21321号によつて、天然ゴ
ムまたはポリウレタンフオーム等のゴム製の外部
ヒールカウンターを胛被の踵部に重層することに
よつて踵の安定性（横振れ防止）と履心地（足当
り性）の改善を図つたランニング用運動靴が提案
されている。

しかしながら、これらの外部ヒールカウンター
は単体で構成されているため、踵に安定性をもた
せるには、その硬度を高く設定する必要があり、
その硬度が高くなると柔軟性が低下し履心地が著
しく悪くなる欠点があり、また履心地という観点
よりその硬度を低く設定すると屈曲性がよくなり
すぎ、踵の安定性が悪くなる欠点があつた。

（考案の解決しようとする問題点） この考案はこれらの欠点を除去し、踵の安定性
と履心地を同時に満足させ、しかも衝撃吸収性が
良好な運動靴を提供しようとするものである。

（問題点を解決するための手段並びに実施例） 以下この考案を実施図面によつて説明すれば、
この考案は空隙率が15〜75％のメツシユ生地１１
をその厚みの５〜75％の範囲の深さでSRIS−
0101による硬度（膨張ゴムの物理試験方法に関す
る日本ゴム協会標準規格による圧縮かたさ試験に
よる硬度）が40゜〜75゜のスポンジゴム生地１２の
片面１２１に沈設させたゴムシート１を、メツシ
ユ生地１１を外側に面させて、胛被の踵部２に重
層させたことを特徴とする運動靴を考案の要旨と
するものである。

この考案において、空隙率とはメツシユ生地１
１に形成された透孔または網目等の空隙１１１，
１１１…のメツシユ生地１１の表面積中に占める
比率を指す。

この考案において、メツシユ生地１１は天然乃
至合成繊維のマーキユゼツト編、チユール編等の
透孔編布または各種のレース編布で構成され、空
隙１１１，１１１…は円形状または三角、四角、
五角、六角形等の多角形状の透孔または網目で形
成され、メツシユ生地１１全面に配置されてい
る。

この考案において、メツシユ生地１１の空隙率
を15〜75％に限定したのは、空隙率がそれ以下と
なればメツシユ生地のスポンジゴム生地に対する
拘束面積が大きくなりすぎ、屈曲時、メツシユ生
地とスポンジゴム生地との引つ張りモジユラスと
クリープ特性が大きく相違し、その界面に大きな
せん断力が負荷され、メツシユ生地とスポンジゴ
ムが屈曲部において界面剥離されたり、疲労によ
つてスポンジゴムが損傷されてりして耐久性に欠
ける欠点があり、また空隙率がそれ以上となれ
ば、メツシユ生地のスポンジゴム生地に対する拘
束面積が小きくなりすぎ、ゴムシートの屈曲性は
よくなるが引つ張りモジユラスが小となり、しか
もクリープ特性が大となり、屈曲後の弾性回復力
が低下し、踵の安定性が悪くなりしかも耐久力が
低下する欠点があるからである。またこの考案に
おいて、メツシユ生地１１を、その厚みの５〜75
％の範囲の深さでスポンジゴム生地１２の片面１
２１に沈設させたのは、深さがそれ以下となれ
ば、ゴムシート１の屈曲時における引つ張り圧と
収縮圧（屈曲圧）または衝撃圧を、メツシユ生地
１１を介してスポンジゴム生地１２全体で吸収で
きなくなるので、耐久性、衝撃吸収性が低下する
欠点があり、また深さがそれ以上となると、メツ
シユ生地１１の伸縮性が低下しゴムシート１の屈
曲性が低下し履心地が悪くなる。

この考案において、スポンジゴム生地１２は天
然乃至各種の合成ゴムで構成されている。そして
この考案において、スポンジゴム生地１２の
SRIS−0101による硬度を40゜〜75゜に限定したの
は、その硬度がそれ以下となれば、軟らかすぎて
屈曲性がよくなりすぎ、踵の安定性が悪くなる欠
点があり、またその硬度がそれ以上となれば、硬
くなりすぎ柔軟性が低下し履心地が悪くなるから
である。

この考案において、メツシユ生地１１は単にス
ポンジゴム生地の片面１２１に沈設されているだ
けでもよいが、メツシユ生地１１とスポンジゴム
生地１２とが接着された状態で沈設されているこ
とが望ましい。

そして必要によつては、スポンジゴム生地の他
面１２２にメツシユ生地または他の可撓性の薄布
３を貼着しておいてもよい。

以上のように構成されたゴムシート１は、メツ
シユ生地１１を外側に面させて胛被の踵部２に重
層されるものであるが、通常のランニング用運動
靴のように走行時に靴の踵部が過度に内側に横振
れし、運動時に足首が内捻挫し易いものであれ
ば、胛被の踵部の内胛側２１のみに重層されてい
てもよいし、テニスのように運動時に前後左右に
急激に方向転換走行し、方向転換時に靴の踵部が
過度に外側に横振れし、運動時に足首が外捻挫し
易いものであれば、胛被の踵部２の外胛側２２の
みに重層されていてもよいし、バスケツトのよう
に運動時に前後左右に急激に方向転換走行した
り、左右方向に急激に回転したりして靴の踵部が
過度に外側に横振れしたり、過度に内側に横振れ
したりして運動時に足首が外捻挫と内捻挫の双方
をひき起し易いものである場合は、胛被の踵部２
の外胛側２２と内胛側２１の両サイドにわたつて
重層されていてもよい。要するにゴムシート１の
胛被の踵部２に対する重層個所は、運動靴の用途
によつて適宜決定されるものである。

この考案において、さらに必要によつてはこの
ゴムシート１の外側に踵補強片４を被覆しておい
てもよい。

（考案の効果） この考案は以上のように構成され、運動時に胛
被の踵部２が内側方向ａまたは外側方向ｂに過度
に横振れしようとする際、胛被の踵部２に重層さ
れたゴムシート１が次のように作用する。

即ちゴムシート１が外側方向へ屈曲されようと
する際、メツシユ生地１１の露出部１１０１によ
つて、その外側方向への屈曲性が適度に保持さ
れ、メツシユ生地１１の沈設部１１０２における
メツシユ生地の大きな引つ張りモジユラスと小さ
なクリープ特性によつて、その外側方向への屈曲
性が適度に拘束され、スポンジゴム生地１２の屈
曲後の弾性回復力が増強されているため、ゴムシ
ート１によつて靴の胛被の踵部２が速やかに正常
な位置に復帰させられる。

従つて、運動時における靴の踵部の過度な横振
れが防止され安定性が良好である。

またゴムシート１に負荷される屈曲圧または衝
撃圧はメツシユ生地１１を介して、スポンジゴム
生地１２全体に分散され、スポンジゴム生地１２
によつて吸収されるので、耐久性と衝撃吸収性が
良好である。

さらにゴムシート１の靴内に面する側はスポン
ジゴム生地１２で構成されているので足当りが良
く履心地が良好である。

【図面の簡単な説明】

図面はこの考案をテニス靴に実施したものであ
り、第１図はその見取り図であり、第２図は第１
図のＡ−Ａ線における拡大断面図であり、第３図
はゴムシートの取り出し見取り図であり、第４図
は第３図のＢ−Ｂ線における断面図である。 符号の説明、１……ゴムシート、１１……メツ
シユ生地、１１１……空隙、１１０１……露出
部、１１０２……沈設部、１２……スポンジゴム
生地、１２１……片面、１２２…他面、２……胛
被の踵部、２１……内胛側、２２……外胛側、３
……薄布、４……踵補強片、ａ……内側方向、ｂ
……外側方向。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 空隙率が15〜75％のメツシユ生地１１をその厚
   みの５〜75％の範囲の深さでSRIS−0101による
   硬度が40゜〜75゜のスポンジゴム生地１２の片面１
   ２１に沈設させたゴムシート１を、メツシユ生地
   １１を外側に面させて、胛被の踵部２に重層させ
   たことを特徴とする運動靴。