JPH0245448Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案はエンジンのバルブ機構に使用され、バ
ルブ作動中に外部からの作動油の供給が不要な密
封型ラツシユアジヤスタを、バルブロツカアーム
に組込んだバルブロツカアームのラツシユアジヤ
スタ装置に関する。

バルブロツカアームにラツシユアジヤスタを組
込んだものの先行技術としては、実開昭56−
124209号公報及び実開昭56−124210号公報に掲載
のものがあるが、これらはラツシユアジヤスタ用
圧力流体として、エンジンの潤滑油を定常的に供
給使用する方式のものであり、エンジン本体から
ラツシユアジヤスタへの潤滑油供給により、バル
ブロツカアームのアジヤスタ収嵌部とラツシユア
ジヤスタとの摺動部の潤滑も同時に行なわれるよ
うになつている。これに対し、バルブロツカアー
ムに密封型ラツシユアジヤスタを組込むとラツシ
ユアジヤスタ本体としては他から潤滑油供給の必
要はなく、従つてロツカアームのアジヤスタ収嵌
部とラツシユアジヤスタの摺動部の潤滑のためだ
けに先行技術のようにロツカシヤフト内の潤滑油
通路に連通する潤滑油供給通路をバルブロツカア
ーム内に形成しなければならない。従つてこの場
合には潤滑油供給通路の加工が複雑となつて加工
コストの上昇を招くばかりでなく、潤滑油供給通
路からの潤滑油噴射の際の油圧損失を招くという
欠点がある。

本考案は上記欠点を解消することを目的とし、
プランジヤを摺動自在に遊嵌合するアジヤスタボ
デイを備えた密封型ラツシユアジヤスタをバルブ
ロツカアームのラツシユアジヤスタ収嵌部に摺動
自在に収嵌したバルブロツカアームのラツシユア
ジヤスタ装置であつて、前記アジヤスタ収嵌部と
密封型ラツシユアジヤスタとの摺動部に連通する
潤潤滑油供給孔を前記バルブロツカアームに設
け、且つこの潤滑油供給孔の一端をロツカアーム
の外部上方に向け開放させたことを特徴とする。

以下本考案を図面に示す実施例に基き具体的に
説明する。バルブロツカアーム（以下ロツカアー
ムと称す。）１の一端部には下面開放空間のアジ
ヤスタ収嵌部２を形成し、ここに密封型ラツシユ
アジヤスタ（以下アジヤスタと称す。）Ａを上下
摺動自在在に収容している。前記収嵌部２の頂壁
に該当する部分３において、この部分３を上下方
向に貫通すると共に、後記摺動部ａに連通する潤
滑油供給孔４を設けている。

前記アジヤスタ収嵌部２にはアジヤスタボデイ
５を上下摺動自在に遊嵌合している。このアジヤ
スタボデイ５は上面開放の有底円筒形に形成さ
れ、その底壁６の中央にはバルブ７のステム頂面
８に当接する突出部９を有している。アジヤスタ
ボデイ５内には上下摺動自在にプランジヤ１０を
遊嵌合している。このプランジヤ１０は円筒状に
形成されると共にその内部空間は隔壁１１よつて
上下に円区画されている。隔壁１１の下方にはプ
ランジヤ１０の下部及びアジヤスタボデイ５によ
つて囲まれる圧力室１２が形成される一方、隔壁
１１の上方には、プランジヤ１０の上部によつて
囲まれるリザーバ室１３が形成されている。圧力
室１２とリザーバ室１３とは隔壁１１に設けた油
通路１４によつて連通される。

前記圧力室１２には前記油通路１４の下部周縁
のバルブシート面１５に着座する球状のチエツク
バルブ１６を配している。このチエツクバルブ１
６はリテーナ１７に配したチエツクバルブスプリ
ング１８によつてバルブシート面１５に向け付勢
されている。リテーナ１７はその鍔部１９とアジ
ヤスタボデイ５の底壁６との間に介在させたリタ
ーンスプリング２０によつて前記隔壁１１の下面
に当接するように付勢されている。このリターン
スプリング２０のバネ力はチエツクバルブスプリ
ング１８のそれより大である。尚、２１，２１は
リテーナ１７に設けた油流通孔である。

前記リザーバ室１３の上部には底部２２が凹形
状となるカツプ形状に形成したゴム製のダイヤフ
ラム２３を配している。ダイヤフラム２３の上端
周縁に肉厚に形成した固定部２４はプランジヤ１
０の内面上部の環状段部２５に嵌着されると共に
ダイヤフラム取付板２６によつてプランジヤ１０
に固定されている。２７はプランジヤ１０の上端
開口部を閉蓋するカバー板で、前記ロツカアーム
１の摺動空間２の頂壁に該当する部分３に当接し
ている。前記ダイヤフラム２３の内部空間２８
は、ダイヤフラム取付板２６及びカバー板２７の
夫々に設けた孔２９，３０及び前記潤滑油供給孔
４を介して大気に連通している。

前記リザーバ室１３はプランジヤ１０の外周に
設けた油戻し溝３１に油戻し孔３２，３２…を介
して連通している。又プランジヤ１０の外周面と
アジヤスタボデイ５の内周面との間には5μ〜30μ
程程の極めて小さいリーククリアランス３３が形
成され、圧力室１２内の作動油がこのリーククリ
アランス３３及び前記油戻し溝３１、油戻し孔３
２，３２…を通じてリザーバ室１３に還流するよ
う構成されている。尚３４はシールリングであ
る。

前記リザーバ室１３及び圧力室１２内にはシリ
コンオイルなどの温度に対す粘性変化の少ない作
動油は封入されている。前記ダイヤフラム２３
は、その内部空間２８が大気に連通しているの
で、大気圧が内圧として作用する。一方ダイヤフ
ラム２３の外面にはリザーバ室１３の作動油の圧
力が外圧として作用しており、この外圧が前記内
圧より大となるとダイヤフラム２３は主として凹
形状の底部２２において収縮変形して圧力バラン
スをとり、逆に外圧が前記内圧より小となるダイ
ヤフラム２３は主として凹形状の底部２２におい
て膨張変形して圧力バランスをとる。

前記ロツカアーム１はカム３５の回転に伴つて
揺動し、ロツカアーム１の一端部に収嵌したアジ
ヤスタＡの前記突出部９に当接するバルブ７を上
下動させる。バルブ７はバルブスプリング３６に
よつて上方に向け付勢されている。

前記潤滑油供給孔４はアジヤスタ収嵌部２とア
ジヤスタＡ（詳しくは、アジヤスタボデイ５）と
の摺動部ａに連通し、その一霜４ａはロツカアー
ム１の上面１ａにおいて、外部上方に向け開放す
るように構成されているが、第２図に仮想線で示
す如くロツカアーム１の上面に加工用座面を持つ
突起部４１を設け、その部分から摺動部ａの略中
心位置へ斜めに通じる潤滑油供給孔４を形成して
もよい。又前記潤滑油供給孔４を、その一端４ａ
がロツカアーム１の側面１ｂにおいて、外部上方
に向け開放するように構成することもでき、その
場合、潤滑油供給孔４の一端４ａに潤滑油がたま
り易いように側面１ｂに潤滑油誘導溝を設けるこ
ともできる。シリンダヘツドカバー３７内にはロ
ツカシヤフト３９内の潤滑油通路４０やカムジヤ
ーナル部（図示せず）。から供給された飛沫状の
潤滑油が、充満しているが、この飛沫状の除滑油
は前記潤滑油供給孔４の開口端（一端）４ａより
その内部に取り入れられ、前記摺動部ａに導かれ
てこれを潤滑し、アジヤスタＡの上下動を円滑に
行なわしめるように作用する。

次に上記構成の装置の作用を説明する。カム３
５の回転によりロツカアーム１が図の反時計方向
に回動すると、アジヤスタＡも下に移動して、バ
ルブ７を押し下げる。このとき前記バルブスプリ
ング３６の圧縮反撥力が前記突出部９に作用して
プランジヤ１０に対しアジヤスタボデイ５を押し
上げようとする。このとき圧力室１２の作動油の
圧力が上昇し、チエツクバルブ１６がバルブシー
ト面１５に密着するので、圧力室１２内の作動油
はリーククリアランス３３、油戻し溝３１、油戻
し孔３２，３２…を通じてのみリザーバ室１１３
に還流する。この還流量は僅少であるが、これに
相当する分アジヤスタボデイ５はプランジヤ１０
に対し押し上げられる。

次いでカム３５の回転の進行によりロツカアー
ム１が図の時計方向に回動すると、アジヤスタボ
デイ５を押し上げる力が激減するので、リターン
スプリング２０の復元力によつてアジヤスタボデ
イ５はプランジヤ１０に対し沈み、この結果圧力
室１２の圧力は下がり、チエツクバルブ１６はバ
ルブシート面１５より離れる。従つてリザーバ室
１３の作動油が油通路１４を経て圧力室１２に流
入し、アジヤスタＡは最初の状態に戻る。このよ
うにしてアジヤスタＡはカム３５の回転中上記伸
縮動を繰返す。

又バルブ機構の関係寸法が熱膨張、摩耗などに
より変化し、バルブクリアランスが生じた場合に
は、これを零とするように、アジヤスタボデイ５
がプランジヤ１０に対し相対移動して、前記バル
ブ機構をゼロラツシユとするので、バルブクリア
ランスの調整が不要になり、また、バルブ機構か
らの騒音の発生を防止できる。

上記において、ダイヤフラム２３はリザーバ室
１３内の作動油の圧力変動に応じて伸縮変形し、
作動油の漏れに対しては膨張することにつてこれ
を補償し、作動時の作動油の油量の変化に対して
ては膨張・収縮することによつてこれを吸収し、
温度変化による作動油の体積変化に対しては膨
張・収俊することによつてこれを吸収する機能を
営む。

尚、本考案は上記実施例に示す態様に限定され
ないことは勿論であり、例えば、潤滑油供給孔を
１つに限らず複数個設けても良く、また潤滑油供
給孔は頂天に向つて開口する必要はなく、ロツカ
アームに付着する潤滑油が摺動部へ流入するよう
水平よりわずかでも外部上方に向つて開口してお
れば良い。

本考案は上述の如く、ロツカアームのアジヤス
タ収嵌部とアジヤスタとの摺動部に連通する潤滑
油供給孔を前記ロツカアームに設け、且つこの潤
滑油供給孔の一端をロツカアームの外部上方に向
け開放させたことを特徴とするので、ロツカシヤ
フト内の潤滑油通路やカムジヤーナル部からシリ
ンダヘツドカバー内に供給された飛沫状の潤滑油
を前記潤滑油供給孔を通じて前記摺動部に導くこ
とができ、これによつて該摺動部を潤滑できる。
従つて、本考案によれば先行技術における如き潤
滑油供給通路を利用した強制給油に比較し、給油
に要する油圧損失を大幅に低減させることがで
き、経済的である。又本考案の潤滑油供給孔は前
記潤滑油供給通路に比較し加工が容易で、製造に
要するコストを節減できる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案の実施例の一部切欠側面図、第
２図は要部の拡大縦断側面図、第３図は第２図の
−線断面図である。 １……バルブロツカアーム、２……アジヤスタ
収嵌部、４……潤滑油供給孔、４ａ……一端、Ａ
……密封型ラツシユアジヤスタ、ａ……摺動部。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. プランジヤを摺動自在に遊嵌合するアジヤスタ
   ボデイを備えた密閉型ラツシユアジヤスタをバル
   ブロツカアームのラツシユアジヤスタ収嵌部に摺
   動自在に収嵌したバルブロツカアームのラツシユ
   アジヤスタ装置であつて、前記アジヤスタ収嵌部
   と密封型ラツシユアジヤスタとの摺動部に連通す
   る潤滑油供給孔を前記バルブロツカアームに設
   け、且つこの潤滑油供給孔の一端をバルブロツカ
   アームの外部上方に向け開放させたことを特徴と
   するバルブロツカアームのラツシユアジヤスタ装
   置。