JPH0245298B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 この発明は進歩したインライン型電子銃を有す
るカラー映像管に関し、特に管内のラスタ寸法を
等しくする（コマ補正とも呼ぶ）ための電子銃の
改良に関する。

インライン型電子銃は、好ましい形としては３
本の電子ビームを同一平面上に発生し、これをそ
の平面上の集中経路に沿つて映像管表示面近傍の
集中点または小さな集中領域に指向するように設
計されたものである。

インライン型電子銃を有するカラー映像管の問
題の１つは、外部の磁気偏向ヨークにより表示面
上に走査される３つのラスタの寸法がヨークの中
心に対する２本の外側ビームの偏心のために異な
るいわゆるコマ歪の存在である。米国特許第
3164737号明細書には、異なるビーム速度を用い
て生じた上記と同様のコマ歪は、３電子銃構体に
おける３本のビーム経路の１本またはそれ以上を
磁気遮蔽体で包囲することにより補正し得ること
が開示され、米国特許第3196305号明細書には同
じ目的でデルタ型電子銃における１本またはそれ
以上のビーム経路の近傍に磁気増強器を使用する
ことが開示されている。また米国特許第3534208
号明細書には、コマ歪補正のために３本のインラ
イン型電子ビームの中央の１本を磁気遮蔽体で包
囲することが開示され、米国特許第3548249号明
細書には中心ビーム上の垂直偏向磁界を増強する
ために中心ビームと外側ビームとの間にＣ字形素
子を設けることが開示されている。さらに米国特
許第3594600号明細書には開放側を対向させたＣ
字形遮蔽体で外側ビームを包囲することが開示さ
れているが、この遮蔽体は３本の電子ビームすべ
てを包囲する垂直偏向磁界を分路するものと思わ
れる。さらにまた米国特許第3860850号明細書に
は３本のインライン型電子ビームの上下にＶ字形
増強素子を設け、２本の外側ビームをＣ字形遮蔽
体で囲むことが開示され、米国特許第3873879号
明細書には中心ビームの上下に小型円盤状増強素
子を設け、２本の外側ビームを環状分路素子で囲
むことが示されている。

上記米国特許の各発明はすべて相異なるラスタ
補正の問題を解決するもので、例えば米国特許第
3860850号では２個のＶ字形部材および２個のＣ
字形部材によつて中心ビームが外側ビームよりも
垂直偏向が大きく水平偏向が小さいようなラスタ
ーパタン変化が見掛け上補正される。従つて所要
の補正により外側ビームの垂直水平両偏向は減少
し、中心ビームは垂直偏向が減少すると共に水平
偏向が増大することになる。上記米国特許第
3873879号明細書記載の電子銃の４個のコマ補正
部材は垂直水平の両偏向とも中心ビームが外側ビ
ームより小さいようなラスターパタンを補正する
が、この補正により外側ビームの垂直水平両偏向
は減少し、中心ビームの垂直水平両偏向が増大す
る。

最近開発されたトロイド型垂直偏向巻線とサド
ル型水平偏向巻線とを有するヨークを利用したイ
ンライン型映像管には、上述のインライン管型コ
マ補正装置のいずれによつても解決できない他の
ラスターパタンの問題が起つている。このパタン
では中心ビームが外側ビームが外側ビームより垂
直偏向が小さく、水平偏向が大きい。

次に説明するこの発明は、この様な新らしいパ
ターン不一致の問題を有効に解決しようとするも
ので、上記米国特許第3860850号および3873879号
に開示されたような４個の部材を使用せず、新規
設計の補正部材を２個だけ使用してラスターパタ
ンのコマ補正を行うことができる。

この発明は、１本の中心ビームと２本の外側ビ
ームとより成る３本の電子ビームを発生し、これ
を同一平面上の３本の経路に沿つて表示面に指向
するインライン型電子銃を有するカラー映像管の
改良に関する。３本のビームは垂直および水平の
偏向磁界が形成された偏向領域を通過するが、こ
の発明の装置は中心電子ビームに対する水平偏向
磁界の一部の影響を弱めまた中心電子ビームに対
する垂直偏向磁界の一部の影響を強める手段を具
備している。この手段は、それぞれ同心的な内周
縁と外周縁を持つ円環状をなし、その円形開口を
上記外側ビームが通過するように、それぞれ対応
する外側ビームの経路を取囲む２個の透磁性円環
状部材からなる。この円環状部材の上記内周縁は
上記の偏向領域における電極の両外側ビーム用開
口の直径よりも大きい。またこの円環状部材は、
その中心ビーム側部分が、上記外側ビームの経路
よりも上記中心ビームの経路に近接した形で、管
軸と直交する平面上に配置されている。

以下、添付図面を参照しつつこの発明をさらに
詳細に説明する。

第１図は矩形カラー映像管の平面図であるが、
この映像管は矩形のフエースプレートパネル１２
および管状ネツク部１４とその両者を結合する矩
形のフアネル部１６とから成るガラス製外囲器１
０を有する。パネル１２は観測用フエースプレー
ト１８と、フアネル部１６に封着された外縁部ま
たは側壁２０とを有し、フエースプレート１８の
内面にはモザイク状３色螢光表示面２２が保持さ
れている。この表示面は（第１図の平面に直角な
平面内で）パネルの短軸にほぼ平行な螢光体線条
を有する線状表示面であることが望ましい。この
表示面２２に対して所定の間隔をもつて多孔選色
電極すなわちシヤドーマスク２４が通常の手段に
よつて着脱自在に装着されている。第１図に点線
で略示するように、ネツク部１４の中心にこの発
明のインライン型電子銃２６が装着され、３本の
電子ビーム２８を発生してこれを同一平面内の集
中経路に沿いマスク２４を通つて表示面２２へ指
向するようになつている。

第１図の映像管は、図示のようにネツク部１４
とフアネル部１６との結合部近傍において両者の
一部を包囲するヨーク３０のような外部磁気偏向
ヨークを用いて３本の電子ビーム２８に垂直水平
の磁束を印加し、そのビームを水平垂直にそれぞ
れ偏向することによつて表示面２２に矩形ラスタ
を形成するように設計されている。第１図の偏向
ヨーク３０の中央付近に線Ｐ−Ｐにより（零偏向
時の）偏向開始面が示されているが、フリンジ磁
界により映像管の偏向領域はヨーク３０から電子
銃２６の領域まで軸方向に延びている。しかし図
の簡単化のために、第１図には、この偏向領域に
おける偏向ビーム経路の実際の曲率は図示されて
いない。

電子銃２６の詳細を第２図に示す。電子銃は
種々の電極を取着けた２本のガラス製支柱３２を
有し、これらの電極は同一平面上に等間隔で配置
された３個の陰極３４（ビームごとに１個）、制
御グリツド電極３６、遮蔽グリツド電極３６、第
１加速集束電極４０、第２加速集束電極４２およ
び遮蔽カツプ電極４４を含み、この順序でガラス
支柱３２に沿い互いに間隔を保つて取着けられて
いる。遮蔽カツプ電極４４の後壁４８上には２つ
のラスタ補正部材４６がこの後壁に設けられた２
本の外側ビーム用開口を囲むように従つて該ビー
ムの経路をそれぞれ包囲するように配置されてい
る。次にこれらの部材４６の形状、寸法、位置お
よび機能をさらに詳細に説明する。

電子銃に用いる各種コマ歪補正部材の機能を表
わすためにここで使用する３つの用語を次のよう
に定義する。すなわち「分路」とは偏向磁界の一
部を電子ビーム経路から完全に外すこと、「増強」
とは偏向磁界の電子ビーム経路に当る部分を濃密
にすること、「負増強」とは偏向磁界の電子ビー
ム経路に当る部分を弱めることである。

従来法装置によつて補正されるラスターパタン
を第３図に示す。外側の破線５０Ｂ，Ｒはここで
は青ビームと赤ビームとに相当する２本の外側ビ
ームのラスターパタンを示し、内側の鎖線５２Ｇ
は中心ビームすなわち緑ビームのラスターパタン
を示す。米国特許第3873879号明細書記載のよう
に、第３図のラスターパタンは第４図に示す分路
素子５４および増強素子５６によつて補正され
る。この従来法の電子銃５８では、分路素子５４
は２本の外側ビームＢ，Ｒを近接包囲する小さな
座金型素子であり、２個の増強素子５６は中心ビ
ームＧの真上および真下に配置された小さな座金
型または円板型素子である。この分路素子５４お
よび増強素子５６は第５図に示すように２つの偏
向磁界の一部を歪ませ、中心ビームの垂直および
水平偏向を強め、２本の外側ビームの垂直および
水平偏向を弱める。

この発明の電子銃の実施例では外側ビーム経路
を完全に取囲む点で上記の分路素子５４と類似の
円環状部材（分路素子）を有するが、その分路素
子の寸法、形状および位置は分路素子５４と異な
り、その機能も異なる。

第６図は上述の最近問題になつているラスター
パタンを示す。鎖線６０Ｇで示す中心ビームのラ
スタは破線６２Ｂ，Ｒで示す２本の外側ビームの
ラスタよりも垂直偏向は小さいが水平偏向は大き
い。これらのパタンは従来法による分路および増
強素子の種々の組合せによつて補正し得るが、こ
の発明によれば２本の外側ビームの経路をそれぞ
れ完全に取囲む新規設計の補正部材を２個だけ使
用して、３本のビーム全部の全コマ歪補正を行う
ことができる。第７図には２本の外側ビームＢ，
Ｒと同心的にこの発明の円環状部材すなわち分路
素子６６の１実施例を取付けた電子銃６４を示
す。この分路素子６６および後述の分路素子は例
えば「52合金」として公知の52％Ni、48％Fe合
金のような高透磁率材料で構成されている。分路
素子６６は互に同心的な内周縁および外周縁を有
する円環状をなし、その外径は第４図に示す従来
法電子銃５８の分路素子５４のそれより大きくそ
のため分路素子６６のビーム面内にある部分すな
わち外周辺は外側ビームＢ，Ｒよりも中心ビーム
Ｇに近接している。また、上記内周縁の直径は、
偏向領域にあつてこの分路素子６６に近接した電
極（第２図の遮蔽カツプ電極４４に相当する）に
設けられている外側ビームＢ，Ｒ用の開口の直径
よりも大きく作られている。

分路素子６６が垂直および水平偏向磁界に及ぼ
す影響を第８図に示す。米国特許第3772554号の
分路素子のようにこの発明の分路素子６６は外側
ビームから２つの偏向磁界の一部を完全に除去し
てしまう。もし分路素子５４と６６との厚さが同
じなら外側ビームのラスタに対する正味効果はほ
ぼ同じであろうが、この発明の分路素子６６が中
心ビームのラスタに関して２つの偏向磁界に及ぼ
す効果は従来法の分路素子５４によるものとは著
しく異なる。第１にこの発明の分路素子６６の直
径は相当大きいので、垂直偏向磁界から多くの磁
束線を集めてこの磁界を著しく増強する。

第２に分路素子６６はその相互接近点で非常に
近づき、従つて中心ビームにも接近するため、中
心ビームの水平偏向が弱められ、すなわち前述の
定義によれば負増強されるほど、水平偏向磁界の
磁束線を中心ビーム経路近傍から引き離すように
なる。

第７図の実施例構造を用いた19V、90°偏向型
映像管の標準寸法を次に示す。

中心ビーム経路と外側ビーム経路との間隔
…5.08mm 分路素子の外径 …5.59mm 分路素子の内径 …5.08mm 中心ビーム経路と分路素子の最近接部との間隔
…2.29mm 分路素子の厚さ …0.025mm 第９図はこの発明による電子銃の他の推奨実施
例70を示す。この電子銃７０においては高透磁率
材料からなる大きな円環状部材すなわち分路素子
７２が２つの外側ビーム経路Ｂ，Ｒを完全に取囲
み、かつそれから偏心して配置されている。分路
素子７２は、同心的な内外周縁を有しその内周縁
の直径はこれに近接する電極に設けられた外側ビ
ーム用開口の直径よりも大きく、かつ該素子の幾
何学的中心は外側ビーム経路と中心ビーム経路と
の中間にあり、偏心の方向は中心ビーム経路Ｇの
方向で、中心ビームに対する水平偏向磁界の負増
強効果を増大するようになつている。分路素子７
２が２つの偏向磁界に及ぼす他の影響は第１０図
に示すように大型同心分路素子について第８図に
示したものと極めて類似している。

第９図の実施例構造を用いた25V、100°偏向型
映像管の代表的な寸法を次に示す。

中心ビーム経路と外側ビーム経路との間隔
…6.60mm 分路素子の外径 …7.24mm 分路素子の内径 …5.59mm 分路素子の幾何学的中心と外側ビーム経路との
間隔 …0.76mm 中心ビーム経路と分路素子の最近接部との間隔
…2.23mm 分路素子の厚さ …0.09mm 以上説明した、この発明における透磁性円環状
部材から成る補正部材は、両実施例に関する説明
から明らかな様に所望のコマ補正をなし得ると共
に、同心的な内外周縁をもつ円環状であるから、
製造が容易であり、電子銃部材への取付けに際し
て向きを考慮する必要がなく、更に内周縁直径が
近接電極のビーム用開口直径より大きいからビー
ムを遮ぎることなく充分適切な位置にビームと同
心的にあるいは偏心的に取付けることが可能であ
り、更に偏心量（従つて補正量）の調整も容易で
あるという優れた効果を呈するものである。

以上この発明をビーム経路間の間隔が小さい一
体化構造のインライン式電子銃を有する映像管に
関して説明したが、この発明はビーム経路間隔が
大きい一体化されていない構造を有するような他
の形式のインライン式電子銃を有する映像管にも
適用し得ることは言うまでもない。

【図面の簡単な説明】

第１図はこの発明の１実施例を用いたシヤドー
マスク型カラー映像管の部分断面平面図である。
第２図は第１図に破線で示した電子銃の軸方向断
面図である。第３図はインライン型電子銃におい
て従来法の分路素子および増強素子によつて補正
される電子ビームのラスターパタンを示す図であ
る。第４図は第３図に示すラスターパタンの補正
用の分路素子および増強素子を有する従来法の電
子銃の出力端部の平面図である。第５図は第４図
の従来法の電子銃の分路素子および増強素子によ
つて生じる垂直および水平磁界の一部の歪を示す
図である。第６図はこの発明の構造によつて補正
される電子ビームのラスターパタンを示す図であ
る。第７図は第６図のラスターパタンの補正用素
子の１実施例を示す第２図の電子銃の線７−７に
沿う平面図である。第８図は第２図および第７図
の電子銃のラスタ補正素子によつて生じる垂直磁
界の部分歪を示す図である。第９図は第６図に示
すラスターパタンの補正用素子の第２の実施例を
示す電子銃の出力端部の平面図である。第１０図
は第９図の電子銃のラスタ補正素子によつて生じ
る垂直および水平偏向磁界の部分歪を示す図であ
る。 ２２……表示面、２８……電子ビーム、３０…
…偏向ヨーク、２６，６４，７０……インライン
型電子銃、６０……２本の外側ビーム（赤ビー
ム、青ビーム）のラスタ、６２……中心ビーム
（緑ビーム）のラスタ、Ｂ，Ｇ，Ｒ……青ビーム、
緑ビームおよび赤ビーム、６６，７２……透磁性
円環状部材、Ｐ−Ｐ……偏向開始面。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ 中心ビームと２本の外側ビームとより成る３
   本の電子ビームを発生し、これを垂直および水平
   の偏向磁界が形成されるようにされた偏向領域を
   通り同一平面上の経路に沿つて管の表示面に指向
   するインライン型電子銃と、上記中心ビームに対
   する上記水平偏向磁界の一部の影響を弱め、その
   中心ビームに対する垂直偏向磁界の一部の影響を
   強める手段とを具備し、この手段は、それぞれ同
   心的な内周縁と外周縁を有する円環状をなしその
   円形開口を上記外側ビームが通過するように対応
   する外側ビームの経路を取囲む２個の透磁性円環
   状部材からなり、この円環状部材の上記内周縁は
   上記偏向領域における電極の両外側ビーム用開口
   の直径よりも大きな直径を有し、またこの円環状
   部材は、その中心ビーム側部分が上記外側ビーム
   の経路よりも上記中心ビームの経路に近接した形
   で管軸と直交する平面上に配置されていることを
   特徴とするインライン型電子銃を有するカラー映
   像管。 ２ 上記各円環状部材が、対応する外側ビームと
   同心的に配置されていることを特徴とする特許請
   求の範囲第１項に記載のインライン型電子銃を有
   するカラー映像管。 ３ 上記各円環状部材が、対応する外側ビームに
   対して偏心して配置されていることを特徴とする
   特許請求の範囲第１項に記載のインライン型電子
   銃を有するカラー映像管。