JPH0244711B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 本発明は熱可塑性合成樹脂化粧シートの積層方
法、就中提燈形や断面倒台形状の把手を有する扉
及び戸板等の該シートの積層に真空成型方法を利
用した新規な積層方法に係るものである。

而して従来より真空成型方法に於いては熱可塑
性合成樹脂板を型の中に開口された細孔から真空
で引いて型に押し付けて成形し、それをかゝる状
態のまゝ冷却して所望形状を得るようにしたもの
であるため、この型状が半円殻までの形状のもの
あるいは底部角が鈍角である角形状のものは１個
の型で所望の形状を得ることが可能であるが、そ
れゆえ製品が限定され、又提燈形や底部が鋭角を
なす角形状の場合は複数個の型を必要とし、それ
が作業能率の低下と、又成形品に継目が入る等、
製品自体にも欠点を有するものであつた。

ところで戸棚等の扉体を合成樹脂板をもつて積
層する場合に、その設置せられた把手が提燈形や
断面倒台形の如き形状の場合には扉本体と把手は
別途に積層され、しかる後螺着等の手段をもつて
扉本体に把手を固着する方法が通例用いられる。
しかし乍ら、かゝる場合に於いては扉本体と把手
とが外観上明確に区別され、それが審美感を損な
い又、接着部分の胞弱化が誘起され往々にして該
部分の破損が生じたものである。更に、当然にし
て把手に積層する際に複数型を必要とし成形コス
トの高騰化にもつながるものであつた。

そこで本発明は熱可塑性合成樹脂の扉体への積
層に真空成形方法を用い且つ前記せる不都合を有
効に回避したものであつて、その予期される主た
る目的の一つを提燈形あるいは断面倒台形状であ
る把手を有する扉体等の表面を一体的且つ忠実に
合成樹脂化粧シートによる積層を可能として把手
部の強度を図ると共に全体的に調和を保持した扉
体の作出を可能とする点に置かれたものである。

更に本発明に於いて予期される他の主たる目的
の一つは表面を積層被覆することにより内部に介
装される木材は格安なものを使用可能とし、それ
が扉体、ひいては扉体を有するキヤビネツト等の
低廉なる供給を可能とする点に置かれたものであ
る。

而して又、本発明に於いて予期される他の主た
る目的の一つは、合成樹脂板による積層被覆は該
板自体に任意の模様、色彩等を容易に工夫可能と
されるものであり、需要者の趣好に応じた製品の
低廉な供給を可能とする点に置かれたものであ
る。

而して本発明はかゝる諸特性の適切且つ合目
的々な奏効を期すべく其の構成の要旨を所定形状
をなす扉芯板の一方面適宜位置に断面倒台形状と
なす把手部材を固着せしめると共にかゝる固着部
周側縁にその周縁部を接した適宜複数個の吸引孔
を開設せしめて扉体基板を構成し、且つ該扉体基
板に於ける前記把手部材固着面方に熱可塑性合成
樹脂化粧シートを加熱軟化せしめて被装し、更に
該シートを前記把手部材固着面他方より前記吸引
孔を介して吸引することをもつて密着積層せしめ
た点に置くと共に斯かる構成の要旨に附髄した相
当の設計変更を予定したものである。

以下、本発明の詳細を図面に示す典型的な一実
施例について説明するに、１は扉体基板であつ
て、キヤビネツト等の取付け用途に応じた寸法を
有し、木材の使用を基本とするものであるが、材
質は問わないものである。かゝる扉体１は扉本体
１ａ及び把手１ｂとよりなるものであるが、把手
１ｂは略提燈形状あるいは略断面倒台形等の形状
が本発明に於いては予定されるものであつて、以
上の形状よりなる扉体基板１に於いて把手１ｂの
扉本体１ａに対する接着周側縁にその周側縁を接
触する吸引孔２〜２を該扉本体１ａの一方面から
他方面へ向つて開設せしめるようにしたものであ
る。

尚、扉本体１ａに開設される吸引孔２〜２は予
め接着される把手の大きさに応じて適宜考慮され
るものである。

而して、かゝる構成を有する扉体に於ける把手
１ｂの取付け方に熱可塑性の合成樹脂化粧シート
を加熱せしめて被装し、該シート３の被装側面反
対側方より真空吸引するようにしたものである。

以上の方法によつて行なわれる合成樹脂化粧シ
ート３による積層被覆は、扉本体１ａと把手１ｂ
とによつて形成される凹部に於いても吸引孔より
真空吸引可能であるから間隙を生じることなく積
層被覆可能とし得るものであると共に他の一切型
を用いる必要がない。

又、一層強固な積層被覆をなす為に扉体基板１
面に任意の接着剤等の介装も別途予定するもので
ある。

而して、本考案は叙上に於ける構成よりして以
下の具体的な効果の奏効を期待されたものであ
る。

即ち、従来より使用されてきた台所等のキヤビ
ネツト等に於いては今日種々の意匠を施され多様
化の傾向をたどるものである。

かゝる傾向に於いて種々の模様及び色彩加工の
容易な合成樹脂の積層被覆は一層の趣味性と審美
性を有するキヤビネツト等の提供を約束し得るも
のである。

しかし乍ら従来よりの前記形状体に於ける扉等
に於いては、把手が提燈形等の場合には一体的に
合成樹脂シートの積層被覆がなし得ず、扉本体、
把手を別途積層被覆して接着するため、キヤビネ
ツト等の全体的な審美性を損ない、更には該接着
部分の胞弱化をも誘起させるものである。本発明
にあつては、扉本体と把手を一体的に積層被覆可
能とするため全体の審美性を損なわず、又把手接
続部の強化にも有効に寄与し得るものであり、更
に基板となる部材に比較的格安な木材の使用を許
容するものであるので、ひいてはキヤビネツト等
の低廉な提供を可能となすものである。そして、
比較的汚れの激しい台所等に於けるキヤビネツト
等の合成樹脂シートの積層被膜は清掃の容易性と
共に半永久的な使用性をも有効に保障し得るもの
である。

叙上に於ける如く本発明は所期にして実効的な
扉体等に於ける合成樹脂化粧シートの積層方法の
開示をその目的としたものである。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明の典型的な一実施例を示す要部
断面図、第２図は本発明に係る扉体の一例を示す
断面図、第３図は同斜視図である。 尚、図中１……扉体基板、２……吸引孔、３…
…熱可塑性合成樹脂化粧シート、４……真空吸引
装置を示すものである。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. １ 所定形状をなす扉芯板の一方面適宜位置に断
   面倒台形状となす把手部材を固着せしめると共に
   かゝる固着部周側縁にその周縁部を接した適宜複
   数個の吸引孔を開設せしめて扉体基板を構成し、
   且つ該扉体基板に於ける前記把手部材固着面方に
   熱可塑性合成樹脂化粧シートを加熱軟化せしめて
   被装し、更に該シートを前記把手部材固着面他方
   より前記吸引孔を介して吸引することをもつて密
   着積層せしめたことを特徴とする扉体等に於ける
   合成樹脂化粧シートの積層方法。