JPH0243949B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は、冷媒輸送管に関し、特に超電導材を
内包して極低温下に保持するのに利用する多重管
構造におけるスーパーインシユレーシヨン層（以
下、SI層と称する。）に対して真空排気特性を良
好にする冷媒輸送管の提供に関する。

〔従来の技術〕

液体ヘリウム等の極低温冷媒用輸送管は、冷媒
を流す内管の外側に同心円状に第一中管を設け、
内外両管の間に高真空の断熱層を形成し、第一中
管の外側に第二中管を設け、第一第二両中管の間
には極低温のガス化ヘリウムを流し、第二中管の
外周にアルミニウムを蒸着したポリエチレンテレ
フタレート（PET）等のプラスチツクフイルム
の両面に網状のPET等のプラスチツクを積層し
た積層断熱材（SI材）を数層から数10層に巻き付
けた積層断熱材層（SI層）を設け、さらにその外
周に外管を設けた多重管構造としたものである。
そして、内管の中に超電導線材を配設し、該線材
を極低温下に置くこととするものである。

ところで、SI材の表面には、水分やその他のガ
スが付着しており、これの存在によつて輻射断熱
効果が不十分となつている。

そこで、従来では、SI層に対して真空排気して
付着する水分やガスの気化剥離を行つている。

〔発明が解決しようとする課題〕

かかるSI層に対する真空排気手段では、冷媒輸
送管の端末から行うが、該管が長尺になるに従つ
て真空排気に多大な時間がかかり、真空排気性が
著しく低下していた。

従来、かかる真空排気を効率よく行わせる手段
として、SI層に吸着剤を取り付け、吸着剤に吸い
込まれた水分やガスは、加熱して吐き出させるこ
とが検討されている。

しかしながら、これまでに考えられた逆着及び
加熱吐き出し手段には、必ずしも満足すべき結果
が得られていないのが現状である。

例えば、全長に吸着剤を沿わせ、これを外管の
外側からバーナー等で長手方向に連続的に間接加
熱することが考えられたが、その場合SI層を介し
て吸着剤を加熱することからSI材の耐熱温度以上
に加熱することが不可能であり、吸着剤に吸い込
んだ水分やガスの吐き出しを完全に行い難かつ
た。

また、SI層に対してその延層方向に熱風を送り
込む方法も考えられたが、SI層の空隙は僅かであ
るため通気抵抗が大きく、管の長さが大きくなる
に従つて熱風の全長送り込みが困難化し、これに
よつても水分やガスの全長にわたる完全な吐き出
しが行い難かつた。

本発明は、以上の問題点に鑑み、SI層に対して
組み付けられた吸着剤に対する加熱すなわち焼枯
らしを確実に行えそして真空排気性を向上させ得
る全く新しい、冷媒輸送管を提供することに課題
がある。

〔課題を解決するための手段〕

本発明によれば、かかる課題は、通電発熱線を
軸としてその周りを吸着剤で包み込みさらにその
周囲を金属メツシユで押さえ巻きした紐状吸着体
を、その金属メツシユがSI層に接触する状態で管
の長さ方向に配設したものである。

〔作用〕

上述した構造によれば、SI層を形成するSI材に
付着した水分やガスは、紐状吸着体の外被となり
当該SI層に接した金属メツシユを通して吸着剤に
効率良く吸着され、この吸着は管の全長において
行われる。

そして、真空排気の際には、紐状吸着体の軸と
なる通電発熱線を通電発熱させることにより、吸
着剤がその中心部から直接加熱されるため、吸着
材に対する焼枯らし詰まり水分やガスの吐き出し
が効率良く完全に行われ、しかも管の長さ方向に
全て同一条件で焼枯らしできるものとなる。

また、かかる通電発熱線はSI層に対して吸着剤
及び金属メツシユを介して配置される格好となる
ので、通電発熱線の発熱によるSI層への加熱の影
響を軽減でき、それだけ通電発熱線の通電発熱温
度を高くして吸着剤に対する加熱温度を高く設定
することができ、このことからも焼枯らしを効果
的に行えるものとなる。

〔実施例〕

以下、本発明の実施例図面である第１図第２図
によつて説明する。

第１図は、超電導線材収納用冷媒輸送管の横断
面構造を示したもので、第２図にそれに組み込ま
れる紐状吸着体を示している。

第１図に示したように、本実施例の冷媒輸送管
は、内管２の中を液体ヘリウム流路１として、こ
こに超電導線材１１を収容するとともに液体ヘリ
ウムを流し、極低温下に置いている。

かかる内管２の周上には、該管よりも径の大き
な第一中管４が同心円状に配置され、それら内外
の両管２，４の間に高真空の断熱層３を形成して
いる。

また、第一中管４の外側には、該管よりも径の
大きな第二中管６が同心円状に配置され、それら
第一第二中管４，６の間に極低温ガス化ヘリウム
流路５を形成している。

さらに第二中管６の外側には、SI材の多層巻き
によるSI層が形成され、その外周に外管９、防食
層１０が順次設けられている。

そして、本実施例では、第二中管６の外周でし
かもSI層の内面側において、第２図に示したよう
な紐状吸着体８を、管の長さ方向に延線されるよ
うに取り付けてなるものである。

かかる紐状吸着体８は、第２図に示して明らか
なように、ニクロム線等の通電発熱線１４を軸と
してこれを吸着剤１２で包み込みさらにその周囲
にステンレスステイールや銅の細線を編組してな
る金属メツシユ１３で押さえ巻きして構成された
ものである。

このように構成された紐状吸着体８は、金属メ
ツシユ１３を外被として表面に剥き出しのままで
第二中管６の外周長手方向にロングピツチで巻き
付けるか或いは直線状に縦添えして取り付け、そ
してその上にSI材を直接巻き付けさせるようにし
ている。従つて、SI層を形成する当該SI材に付着
している水分やガスは、金属メツシユ１３を通し
て吸着剤１４に吸い込まれるものとなる。

かかる紐状吸着体８は、第１図では、第二中管
６の外周に２本を軸対称に配設した例を示したが
それ以下またはそれ以上の本数を用いても良いこ
とは勿論である。

さて、以上のようにして、紐状吸着体を内蔵さ
せた冷媒輸送管によれば、SI材に付着した水分
が、内側から接触している紐状吸着体８のメツシ
ユ１３をを通して内部の吸着剤１２に吸い込ま
れ、特にSI材から出るアウトガスはSI層７の内側
に滞留し易いがこのものも水分同様内側から接触
している紐状吸着体８により効率良く吸い込まれ
て行く。

そして、上記のようにして水分やガスの吸着が
充分に行われたならば、SI層７に対する真空排気
を一旦済ませた時点で、紐状吸着体８の中心に有
する電通発熱線１４を通電により発熱させること
で、吸着剤１２をその内部から約100℃まで加熱
して焼枯らしを行い、もつて吸着剤１２に吸着し
ている水分やガスを吐き出させ、吐き出したアウ
トガスや水分は真空ポンプによるさらなる真空排
気により輸送管の外部に排出される。

なお、以上の実施例では、超電導線材収納用冷
媒輸送管を例にしているが、これに限らず、SI材
を用いた冷媒輸送管であれば適用可能である。

〔発明の効果〕

以上の説明から明らかな通り、本発明の冷媒輸
送管によれば、SI材に含まれる水分やガスを吸着
する吸着剤に対して、SI材を溶融させるといつた
悪影響を及ぼすことなく全長にわたり均一にしか
も効果的に加熱することができ、もつて吸着した
水分やガスを確実に吐き出させることに成功した
ことから、SI層に対する真空排気時間が従来の1/
１０以下にまで短縮することが可能となり、また、
SI層の真空断熱効果の向上に資し、液体ヘリウム
を流したときのSI層の真空度が約５×10^-6Torr
までに上げることが可能となつた。

【図面の簡単な説明】

添付図面は本発明による実施例を示したもの
で、第１図は冷媒輸送管の例を示す横断面説明
図、第２図は紐状吸着体の例を示す斜視説明図で
ある。 符号において、１は液体ヘリウム流路、２は内
管、３は真空断熱層、４は第一中管、５はガス化
ヘリウム流路、６は第二中管、７はSI層、８は紐
状吸着体、９は外管、１０は防食層、１１は超電
導線材、１２は吸着剤、１３は金属メツシユ、１
４は通電発熱線である。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. １ 多重管構造の冷媒輸送管の積層断熱材層の任
   意の位置に、通電発熱線を軸としてその周りを吸
   着剤で包み込みさらにその周囲を金属メツシユで
   押さえ巻きした紐状吸着体を、その金属メツシユ
   が積層断熱材層に接触する状態で管の長さ方向に
   配設したことを特徴とする冷媒輸送管。