JPH0242343Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 （産業上の利用分野） 本考案はドアトリムのような自動車用内装基材
に複数種類の孔あけ加工を行うために用いられる
ピアス加工装置に関するものである。

（従来の技術） 例えばドアトリム等の基材には、仕様に応じて
レギユレターハンドル孔、小型電磁ロツク孔、大
型電磁ロツク孔等の形状の異なる複数の孔を選択
的にあける必要がある。このため従来は仕様に応
じてパンチを持つ上型と打抜き孔を持つ下型との
型替作業を行つていたが、この間はピアス加工機
を停止させねばならいため稼働率が低下し、また
加工工数も増加するという欠点があつた。

（考案が解決しようとする問題点） 本考案はこのような従来の問題点を解決して、
型替作業を行うことなく基材に対して複数種類の
孔を選択的にあけることができるピアス加工装置
を目的として完成されたものである。

（問題点を解決するための手段） 本考案は上型プレートと下型プレートに上型移
動シリンダを有する上型と下型移動シリンダを有
する下型とを水平面内で移動できるように取付
け、該上型および下型の移動方向と垂直方向に作
動して上型および下型を複数位置にロツクするロ
ツクシリンダを取付けるとともに、上型にはカム
により出没を個別に制御される独自のスプリング
を前記カムよりも下方部に設け形状の異なつた複
数のパンチを取付け、また下型には各パンチに対
応する打抜き孔を形成したことを特徴とするもの
である。

（実施例） 次に本考案を図示の実施例について詳細に説明
すると、１はピアス加工装置の上型プレート、２
は下型プレート、３は上型プレート１に取付けら
れた上型、４は下型プレート２に取付けられた下
型である。上型３は上型プレート１の下面のガイ
ドにスライド自在に支持されたもので、上型移動
シリンダ６によつて移動することができる。この
上型３の移動方向に平行な辺には複数個のノツク
７が凹設されており、上型プレート１の下面の定
位置にはこれらのノツチ７に係合して上型３の位
置をロツクするくさび片８がロツクシリンダ９に
よつて出没自在に設けられている。従つて上型３
は上型プレート１の下面で上型移動シリンダ６に
より移動できるとともに、上型３の移動方向と垂
直方向に作動するロツクシリンダ９の作用により
複数位置でロツクできることとなる。同様に下型
４も下型プレート２上にガイド１０及び下型移動
シリンダ１１により移動自在に取付けられてお
り、またその一辺に凹設された複数のノツチ１２
に対してロツクシリンダ１３によつて出没される
くさび片１４を係合させることができる。このよ
うに下型４もまた下型プレート２に対して複数位
置でロツクできる構造となつている。

上型３の内部には、形状を異にする複数のパン
チ１５，１６，１７が設けられている。各パンチ
５，１６，１７はスプリング１８により常に上向
きの弾発力を受けているが、各パンチ１５，１
６，１７の上面と上型３との間にはそれぞれシリ
ンダ１９，２０，２１によつて出没されるカム２
２，２３，２４が設けられて各パンチ１５，１
６，１７の上下位置を個別に規制している。な
お、前記スプリング１８は各パンチ１５，１６，
１７の各々に設けられているとともに、各々のカ
ム２２，２３，２４よりも下方部に位置して比較
的長いストロークの上下位置でも確実に規制され
るように構成されている。第３図に示されるよう
に、カム２２，２３，２４は肉薄部と肉厚部とを
備えており、両者の厚さの差だけ各パンチ１５，
１６，１７を出没させるのであるが、この厚さの
差は打抜かれる基材の厚さよりも十分に大きくし
てあり、突出したパンチのみが基材の打抜きを行
えるようになつている。また第１図に示されるよ
うに、下型４には各パンチ１５，１６，１７に対
応する形状の打抜き孔２５，２６，２７が形成さ
れており、対応するパンチと協働して複数種類の
孔が打抜ける構造となつている。

（作用） このように構成されたものは、例えば基材に丸
孔を打抜きたい場合には上型３を上型移動シリン
ダ６により第１図及び第２図の位置まで移動さ
せ、ロツクシリンダ９によりくさび片８をノツチ
７に係合させてロツクするとともに、上型３の丸
型のパンチ１５のみをシリンダ１９によりカム２
２を押出すことによつて下向きに突出させる。ま
たこれと同様に下型４をも下型移動シリンダ１１
とロツクシリンダ１３との作用によつて上記の丸
型のパンチ１５の直下に丸型の打抜き孔２５が位
置するようロツクする。その後は基材を下型４の
上にセツトして上型プレート１を下降させれば、
上型３の下面から下方へ突出しているパンチ１５
のみが下型４の打抜き孔２５との間で基材を丸型
に打抜くこととなる。同様にその他の形状の孔を
あけたい場合には上型３と下型４とを移動させて
ロツクし、必要なパンチのみを突出させて打抜き
を行えばよく、その際には他のパンチはスプリン
グ１８の力によつて十分に長い距離を上方へ押上
げられているので基材を損傷することもないとと
もに、ドアトリムのような硬質合成樹脂からなる
厚い板材であつても確実に孔あけ加工が行えるこ
ととなる。このように本考案においては上型３と
下型４とを複数位置でロツクできるようにしたの
で、基材の一定位置に複数種類の孔を選択的に打
抜くことが可能となる。しかも上型３のパンチ１
５，１６，１７のいずれかを選択的に下方へ突出
させることができるようにしたので、従来のよう
に孔の種類の変更の度に型替えを行う必要がなく
なり、ピアス加工装置の稼働率を著しく向上させ
ることが可能となつた。

（考案の効果） 本考案は以上の説明からも明らかなように、ド
アトリム等の基材上の一定位置に対して型替えを
必要とせず複数種類の孔を選択的に形成すること
ができるものであるから、ピアス加工装置の稼働
率の向上と加工工数の低減に大きく寄与するもの
である。よつて本考案は従来のピアス加工装置の
問題点を解消したものとして、その実用的価値は
極めて大である。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案の実施例を示す一部切欠斜視
図、第２図はその一部切欠正面図、第３図は上型
部分のみの一部切欠側面図である。 １：上型プレート、２：下型プレート、３：上
型、４：下型、１５，１６，１７：パンチ、２
２，２３，２４：カム、２５，２６，２７：打抜
き孔。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 上型プレート１と下型プレート２に上型移動シ
   リンダ６を有する上型３と下型移動シリンダ１１
   を有する下型４とを水平面内で移動できるように
   取付け、該上型３および下型４の移動方向と垂直
   方向に作動して上型３および下型４を複数位置に
   ロツクするロツクシリンダ９，１３を取付けると
   ともに、上型３にはカム２２，２３，２４により
   出没を個別に制御される独自のスプリング１８を
   前記カム２２，２３，２４よりも下方部に設け形
   状の異なつた複数のパンチ１５，１６，１７を取
   付け、また下型４には各パンチ１５，１６，１７
   に対応する打抜き孔２５，２６，２７を形成した
   ことを特徴とするピアス加工装置。