JPH0242158B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 （産業上の利用分野） 本発明は特に石油工業向け金属管密封連結用継
手に対する画期的改良をなした新規の継手に関す
るものである。

（従来技術） 近年高深度、高圧ガス井の開発が進むにつれて
引張強度が大きく気密性の高いかつ腐食・エロー
ジヨンに耐えるAPIねじ（ラウンド、バツトレ
ス）を凌駕する使用特性の優れた油井管継手が要
求されるようになつてきた。前記の諸特性の中で
も気密性は極めて重要である。これは可燃性ガス
の漏洩により油田の火災、爆発の危険を伴なうこ
と、また硫化水素の如き有毒ガスの洩れによつて
重大な人身事故を招く危険があるためである。

従来、ねじ部の気密性を高めるためには、加工
公差を厳しく管理しクリアランスを可能な限り小
さくすること、またねじ部にはSnの如き展延性
の優れた軟質の金属をメツキすること、クリアラ
ンスを充填するような極微小の金属粉、カルシウ
ム・リチウムベース石けんを混入したグリースを
塗油することが知られている。またメークアツプ
（締込み）する際のトルクおよびターン（締込み
回転数）の管理が重要である。但しこれらの方策
を以つてしても高温、高圧といつた最近の厳しい
油井環境では雌ねじと雄ねじとのクリアランスが
皆無である限りガスの洩れを防ぐことは出来な
い。このため継手を構成するピン（鋼管）および
ボツクス（カツプリング）に金属対金属接触をな
すシール部を設けた特殊継手あるいはねじ部に環
状溝を設けテフロンリングを挿入して気密性を向
上させるタイプの特殊継手が用いられるようにな
つてきた。

前者のタイプとして幾つかの特殊継手が公知と
なつている。たとえばボツクス内端部に凸円すい
内面を有する周縁肩部を設け、かつねじ部の端末
とこの周縁肩部との間に延在するねじ無し内面を
設け、これに対応するようにピン端部は凹円すい
内面状としかつねじ部とピン端部の間にねじ無し
外面を設けた特殊継手がその一つであり（特公昭
45−18096号公報）メークアツプによつて雄の凹
円すい面と雌の凸円錐面が衝接し、金属対金属接
触をなすのが特徴である。

一方、前記した継手に類似する特殊継手とし
て、ボツクス内端部に凸円すい内面を有する周縁
肩部を設け、かつボツクス内面ねじの先にねじを
切らない傾斜面を形成し、ピンの構造をボツクス
と対応させた形状とした継手も公知である。この
継手も前者の場合と同様第１のシール部は肩部凹
凸円すい面で形成される。但し前者と異なる点は
ピンと、ボツクス傾斜面に膨張部を設け、この部
分の金属対金属接触により第２のシール部を形成
するのが特徴である（特開昭48−17125号公報）。

又さらに、特開昭56−113885号公報のようにボ
ツクス内端部とねじ部近傍との２段に凸円錐面を
有する周縁肩部を設け、ピン側もこれとほぼ対応
する形状とする継手構造も知られている。

これらはいずれもねじなし内面の円錐密封部の
ピン側（おす側）先端がボツクス側（めす側）周
縁肩部と衝接（突）する方式に分類され、管軸中
心に対して衝接面が一定の角度（75度程度）をも
つている。

このため、ねじ部にトルクを付与して得られる
推力は大部分が先端部において吸収され、しかも
仮に降伏点63Kg／mm²としても弾性係数が21000
Kg／mm²に比して弾塑性体接触問題として取扱つて
も、弾性限まで圧縮した場合の軸方向干渉量は
高々数ミクロン程度のものに過ぎない。

仮に高い面圧は得られるとしても、これによる
軸方向加工誤差や引張りによる変形を吸収する許
容量はわずかである。

一方、円錐密封部のピン先端がボツクス側周縁
肩部に実質的に衝接しない方式として、特開昭57
−186690号公報のように1/10程度の緩いテーパー
の円錐面密封構造の継手が提案されている。

この方式によれば、軸方向加工誤差や引張りに
よる変形の約1/10の干渉量を加えればよく、弾性
体円錐外面円筒のもつ楔効果によつて非常に低い
応力で高い密封面圧力を得ることができる。

この意味では前述の方式は先端の衝接部で緩い
テーパーの密封部の楔効果を相殺していることに
なる。しかし、前述したいずれの方式も、その構
造上円錐密封面の干渉量により、ピン・ボツクス
部が半径方向に離反する力が生じるという基本的
問題は共通しており、先端部分は独特の変形をも
たらし軸力下曲げ状態で管内圧を受ける場合、ね
じ部離脱（Jump out）の恐れが否めないのであ
る。

（発明の目的） 本発明はこれらの事情に鑑み、円錐接触面密封
方式の長所を助長し、且つねじ部の離脱の可能性
を抑え、さらに種々の外圧力下で密封面の相対変
位を阻止することを目的として提案するものであ
り、その要旨は円錐面の金属対金属接触による密
封部を有するねじ継手において、おす側の密封部
先端が、めす側と実質的に衝接しない機構をも
ち、且つねじ部と前記円錐面密封部との間に逆
（凹）円錐面接触部を形成したことを特徴とする
管継手にある。

（発明の構成・作用） 以下、本発明を図面に示す実施例に基づいて具
体的に説明する。

まず図において１はピンであり、２はボツクス
であり、両者はねじ部３により結合される。

ピン１は先端部にねじ無しの円錐面４を有し、
前端はほぼ垂直の端面５を形成し、ボツクス２側
の内周縁肩部６とは締め付け時において実質的に
衝接しない構造となつている。

ここで実質的に衝接しない状態とは締め付け時
において、両者が仮りに接触したとしても実質的
に変形を伴なわず且つ密封機能を有しない状態を
意味する。

前記円錐面４とねじ部３との間にはピン側に、
従つてピン肉厚中央部に逆円錐面接触部７を介在
させ、ボツクス側はこれに対応した肩部８を形成
している。而してその作用を説明すると、連結強
度は主にねじ部３で分担し、密封機能は円錐面４
による円錐密封部で主として受けもち、逆円錐面
接触部７はピン及びボツクス側ねじ部が独立して
変位することを抑止し、且つ隣接する円錐密封部
の外力下での半径方向相対変位をも阻止する機能
をもつている。

（発明の効果） 即ち、本発明による管継手は、ピン前端部がボ
ツクス側に実質的に衝接していないので小さい締
付け力で円錐密封部の楔効果により長い円筒のす
ぼまりの弾性を殺さずに密封機能を確保でき、且
つ肉厚の厚い部分での逆円錐面接触部により、ね
じ部離脱と密封面の相対変位を阻止でき、理想的
管継手を具現化することができるものである。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明によるピンボツクスからなる管
継手を示し、第２図は第１図〇内の要部拡大図で
ある。 １……ピン、２……ボツクス、３……ねじ部、
４……円錐面、５……ピンの垂直端面、６……ボ
ツクスの内周縁肩部、７……逆円錐面接触部、８
……ボツクス側肩部。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. １ 円錐面の金属対金属接触による密封部を有す
   るねじ継手において、おす側の密封部先端が、め
   す側と実質的に衝接しない機構をもち、且つねじ
   部と前記円錐面密封部との間に逆（凹）円錐面接
   触部を形成したことを特徴とする管継手。