JPH0242044Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 Ａ 考案の目的 (1) 産業上の利用分野 本考案は、複数枚のコアシートを相互に積層、
固着して構成され、しかもコイルが巻回されるポ
ールコアを、円筒状ヨークの内面に、該ヨークの
外面からねじ部材で固定するための回転電機用ポ
ールコアの固定構造に関する。

(2) 従来の技術 従来、ポールコアをヨークの内面に固定するに
あたつて、ポールコアが鍛造などにより一体成形
されている場合には、ねじ部材によりヨーク外面
からポールコアをねじ止めするのが一般的であ
る。ところが、複数枚のシートコアを積層してポ
ールコアを形成した場合には、該ポールコアにね
じ部材を直接螺合するのは困難である。このた
め、ポールコアにスロツトを設け、ねじ部材を螺
合し得る結合部材を前記スロツトに挿入し、その
結合部材を介してポールコアをヨークにねじ止め
することが考えられる。

(3) 考案が解決しようとする問題点 ところが、ポールコアにスロツトを設けると、
そのスロツトのために磁路が制限され、磁気抵抗
が大きくなるので、スロツトはできるだけ小さい
ことが望ましい。

本考案は、かかる事情に鑑みてなされたもので
あり、スロツトを極力小さくしてポールコアをヨ
ークにねじ止めするようにし、磁気抵抗を可及的
に小さくした回転電機用ポールコアの固定構造を
提供することを目的とする。

Ｂ 考案の構成 (1) 問題点を解決するための手段 本考案によれば、ポールコアは、ねじ部材が螺
合可能なねじ孔を有する結合部材を挿入し得るス
ロツトが設けられる第１積層部と、第１積層部の
両側にそれぞれ固着される第２および第３積層部
とから成る。

(2) 作用 スロツトは第１積層部のみに設けられ、したが
つてポールコアの磁気抵抗は極力小さく抑えられ
る。

(3) 実施例 以下、図面により本考案の一実施例について説
明すると、先ず第１図において、回転電機として
の直流電動機１のハウジング２は、円筒状ヨーク
３の両端に第１および第２ブラケツト４，５を嵌
合し、それらのブラケツト４，５をボルト６で相
互に近接する方向に締付けることによつて構成さ
れる。

ヨーク３の内面には、その一直径線上で対向す
る一対のポールコア７が固着され、該ポールコア
７にコイル８を巻回することによつてステータ９
が構成される。

ステータ９の内方には、ロータ１０が配設され
る。このロータ１０は第１および第２ブラケツト
４，５で軸受１１，１２により回転自在に支承さ
れた回転軸１３に装着されており、該回転軸１３
に固定される鉄心１４と、ボビン１５を介して鉄
心１４に巻装されるコイル１６とから成る。また
回転軸１３において、一方の軸受１１に近接した
部分には、コンミテータ１８が固定される。

ヨーク３の一端には支持板１９が固定され、こ
の支持板１９上には鳩目などにより絶縁基板２１
が固定される。これらの支持板１９および絶縁基
板２１には、コンミテータ１８を回転自在に挿通
するための孔２２，２３が穿設される。コンミテ
ータ１８に摺接するブラシ２４を保持するための
ブラシホルダ２５は、コンミテータ１８に向けて
開放した矩形の箱状に形成されており、回転軸１
３の一直径線上で対をなして絶縁基板２１上に固
定される。ブラシ２４は、各ブラシホルダ２５内
に収容されており、しかもばね２６によつてコン
ミテータ１８に摺接する方向に付勢される。

支持板１９には、ステータ９におけるコイル８
の口出し線を引出すための孔が設けられており、
また第１ブラケツト４には入力コードをハウジン
グ２内に引き込むための接続部２７が設けられ
る。

ここでポールコア７の固定構造について詳しく
説明すると、第２図で示すように、ポールコア７
は第１積層部２８の両側に第２および第３積層部
２９，３０を固着して構成される。第１積層部２
８は複数枚のコアシート３１を相互に積層して形
成され、第２および第３積層部２９，３０は複数
枚のコアシート３２を相互に積層してそれぞれ形
成される。

第３図および第４図において、コアシート３１
はたとえば0.5mm厚の電磁鋼板により成形されて
おり、円弧部３３の外面中央に脚部３４が連設さ
れて成る。また脚部３４の遊端には、逆Ｔ字状の
切欠き３５が設けられる。さらに脚部３４と円弧
部３３との連結部には、一方の面で凹みかつ他方
の面で突出した三角形状の打出し部３６が設けら
れる。

このようなコアシート３１はその打出し部３６
の突出側を他のコアシート３１における打出し部
３６の凹み側に嵌合してかしめるようにして、相
互に積層、固着され、それによつて第１積層部２
８が構成される。第１積層部２８において、各コ
アシート３１の切欠き３５は、積層方向全長にわ
たるスロツト３７を形成する。このスロツト３７
は、コアシート３１の積層方向に沿つて延びる矩
形の挿入孔３８と該挿入孔３８の側部に通じる溝
３９とから成る。

スロツト３７の挿入孔３８には、ねじ孔４０を
有する矩形の結合部材４１が、そのねじ孔４０を
溝３９に対応させて挿入される。しかもその挿入
状態で、ねじ孔４０の軸線まわりの結合部材４１
の回転は阻止される。

コアシート３２は、切欠き３５を備えずに前記
コアシート３１と同一の外形を有して形成され
る。しかもコアシート３２は前記コアシート３１
と同様に複数枚ずつ積層して相互にかしめて固着
され、これにより第２および第３積層部２９，３
０が形成される。

第２および第３積層部２９，３０は、スロツト
３７の両端を閉塞するようにして、第１積層部２
８の両側に溶接あるいは前述のコアシート３１，
３２と同様のかしめにより固着され、これにより
ポールコア７が構成される。

一方、ヨーク３の側壁にはポールコア７を固定
すべき位置に対応して挿通孔４２が穿設されてお
り、この挿通孔４２に挿通されたねじ部材４３を
ポールコア７における結合部材４１のねじ孔４０
に螺合して締付けることにより、ポールコア７が
固定される。

次にこの実施例の作用について説明すると、ポ
ールコア７のヨーク３への固定にあたつては、溝
３９をヨーク３内面に対向させてポールコア７を
配置し、ヨーク３の外方からねじ部材４３を挿通
孔４２に挿入し、さらに溝３９からねじ孔４０に
螺合して締付ける。この際、結合部材４１はスロ
ツト３７内での回転を阻止されており、ねじ部材
４３の回転操作によるねじ孔４０との螺合が円滑
に行なわれる。

このように、ヨーク３の内面に固定されたポー
ルコア７では、その第１積層部２８のみにスロツ
ト３７が設けられており、スロツト３７が比較的
小さいので、磁気抵抗が極力小さく抑えられる。

本考案の他の実施例として、各コアシート３
１，３２の相互固着は、かしめ構造によらず、リ
ベツトを用いたものであつてもよい。

Ｃ 考案の効果 以上のように本考案によれば、ポールコアは、
ねじ部材が螺合可能なねじ孔を有する結合部材を
挿入し得るスロツトが設けられる第１積層部と、
第１積層部の両側にそれぞれ固着される第２およ
び第３積層部とから成るので、スロツトを極力小
さくしてポールコアをヨークにねじ止めすること
ができ、磁気抵抗を小さく抑えることができる。

【図面の簡単な説明】

図面は本考案の一実施例を示すものであり、第
１図は上半分で縦断面を示しかつ下半分で側面を
示した直流電動機の縦断側面図、第２図はポール
コアの分解斜視図、第３図はコアシートの正面
図、第４図は第３図の−線拡大断面図であ
る。 １……回転電機としての直流電動機、３……ヨ
ーク、７……ポールコア、８……コイル、２８…
…第１積層部、２９……第２積層部、３０……第
３積層部、３１，３２……コアシート、３７……
スロツト、４０……ねじ孔、４１……結合部材、
４３……ねじ部材。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 複数枚のコアシートを相互に積層、固着して構
   成されしかもコイルが巻回されるポールコアを、
   円筒状ヨークの内面に、該ヨークの外面からねじ
   部材で固定するための回転電機用ポールコアの固
   定構造において、前記ポールコアは、前記ねじ部
   材が螺合可能なねじ孔を有する結合部材を挿入し
   得るスロツトが設けられる第１積層部と、第１積
   層部の両側にそれぞれ固着される第２および第３
   積層部とから成ることを特徴とする回転電機ポー
   ルコアの固定構造。