JPH0241312Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は、エンジンの排気ガスによつて排気ガ
スタービンを駆動し、同タービンによつて上記エ
ンジンの給気を加圧するコンプレツサを駆動する
ようにしたターボ過給装置の改良に関するもので
ある。

自動車等車両用のエンジンは、アイドル回転数
から最高回転数までの極めて広い回転数域に亘つ
て、しかも大きく変動する負荷範囲内で運転され
るので、その排気ガス量も大巾に変動する。従つ
て単一の流量特性を有する排気ガスタービンで
は、エンジンから排出される排気ガスエネルギを
十分に回収し利用することができない。そこでタ
ービンハウジング内に隔壁を設けて同ハウジング
内の排気ガス通路を二つ以上の流量特性を異にす
る排気ガス通路に区分すると共に、上記分割され
た排気ガス通路の一つ以上に弁装置を設け、エン
ジンの回転数や負荷等の稼動条件に応じて上記弁
装置を開閉し、排気ガスタービンの運転効率を向
上させるようにした可変容量ターボ過給機が既に
提案されている。そしてこの種の可変容量ターボ
過給機における排気ガスタービンでは、上記二以
上の分割排気ガス通路を開閉する弁装置の配置及
び構造に関して種々の技術上の問題がある。その
最も重要な問題の一つは、上記弁の開閉によつて
当然排気ガスの通路が変更されるのであるが、そ
の際弁開放及び弁閉鎖何れの場合でも可能な限り
なだらかな流路形状が得られること、即ち流路抵
抗をなるべく少くして排気ガスの圧力損失を小さ
くすることである。

本考案は、上記に鑑み創案されたもので、ター
ビンハウジングの排気ガス導入部分に隔壁によつ
て仕切られた少くとも二個の入口が設けられ、上
記入口の少くとも二個が夫々弁装置を介してエン
ジンの排気装置に連結されたものにおいて、上記
二個の入口とエンジンの排気装置との間に、上記
弁装置を内蔵すると共に各弁装置の背面側に配設
された組立並びに点検用の開口に配設された蓋を
有する弁ケーシングが介装され、更に上記弁装置
が、Ｖ字状をなして交差する二つの面内に夫々配
設された上記弁ケーシング内の弁座と上記二つの
弁座に夫々協働して排気ガス通路を開閉する弁部
材と一端部に上記弁部材を夫々支持すると共に他
端部を上記弁ケーシング上に夫々枢支された二個
の揺動腕とから構成されたことを特徴とする可変
容量ターボ過給装置を要旨とするものである。

以下本考案の一実施例を添付図面について具体
的に説明する。図中符号１０は可変容量ターボ過
給機を総括的に示し、１２はその排気ガスタービ
ン、１４は排気ガスタービン１２によつて駆動さ
れるコンプレツサである。排気ガスタービン１２
は、ロータ１６を収容するタービンハウジング１
８を具え、同ハウジング１８の内部には半径方向
の隔壁２０によつてロータ軸線方向に区分された
夫々流量特性を異にする排気ガス通路即ちスクロ
ールＡ，Ｂが設けられている。又上記ハウジング
１８の排気ガス入口２２には、後に詳述する弁ケ
ーシング２４が連結され、同弁ケーシング２４は
更に図示しないエンジンの排気装置即ちこの実施
例では排気マニホールド２６に連結されている。
なお、上記排気ガス入口２２には、前記隔壁２０
の延長部分によつて区分され夫々上記排気ガス通
路Ａ，Ｂに連続する入口２２ａ，２２ｂが設けら
れている。

次に上記弁ケーシング２４は外形が大体箱形を
なし、図面において上方の壁面には、上記排気マ
ニホールド２６に連通する上流開口２８が設けら
れ、又下方の壁面には入口２２ａ，２２ｂに夫々
接続する下流開口３０ａ，３０ｂが設けられてい
る。又上流開口２８と下流開口３０ａ，３０ｂと
の間には、この実施例の場合、90度の角度をなし
てＶ字状に交差する二つの平面内にシート面を有
する弁座３２ａ，３２ｂが設けられ、これら弁座
の弁開口は、各々弁部材３４ａ，３４ｂによつて
開閉される。弁部材３４ａ，３４ｂは夫々その背
面に突軸３６ａ，３６ｂを具え、同突軸３６ａ，
３６ｂは夫々半径方向に十分な遊隙を存して揺動
腕３８ａ，３８ｂの自由端部に支持され、更に各
揺動腕３８ａ，３８ｂの他端は弁ケーシング２４
の比較的上流側の側壁上に枢支された支持軸４０
ａ，４０ｂに固着されている。最後に、弁ケーシ
ング２４は、上記弁部材３４ａ，３４ｂの取付
け、取外し、点検等のために、図において左方及
び右方に開口を具え、通常時これらの開口は着脱
自在の蓋４２によつて閉鎖されている。

なお、図示の実施例では、弁部材３４ａ，３４
ｂが夫々球面座によつて揺動腕３８ａ，３８ｂの
自由端部に支持されているが、必ずしも球面座で
ある必要はなく、平面座によつて支持されるよう
にすることもでき、この場合には両者間に突軸３
６ａ，３６ｂの軸線方向にも適当な遊隙を与える
ことが望ましい。また、４４は弁ケーシング２４
内に設けられ、タービンハウジング入口２２の隔
壁２０と連結する隔壁である。更に、上記弁ケー
シング２４の上流開口２８、弁座３２ａ及び３２
ｂの弁開口、同弁開口から下流開口３０ａ，３０
ｂに到る排気ガス通路の断面形状は、四隅を丸め
た長方形、長円形、楕円、円形の何れでもよく、
又これらの組み合せでもよい。勿論弁部材３４
ａ，３４ｂの形状は、上記弁座３２ａ，３２ｂの
弁開口の形状と大体相以の形状であることが望ま
しい。

上記装置において、弁部材３４ａ，３４ｂを揺
動腕３８ａ，３８ｂを介して開閉させる支持軸４
０ａ，４０ｂは、夫々図示しない適宜のアクチユ
エータ装置例えば空気圧応動装置に連結され、図
示しないエンジンの回転数、負荷等稼働状態に応
じて開閉される。又図示装置では、タービンハウ
ジング１８内の排気ガス通路Ａは通路Ｂよりも大
きい流量特性を有するものとして示されている。
そして、排気ガスタービン１２の好ましい作動態
様として、エンジンの低速、高負荷運転時には、
丁度図示されている状態即ち弁部材３４ａが閉鎖
されかつ弁部材３４ｂは開かれて、排気マニホー
ルド２６からの排気ガスが、上流開口２８、弁座
３２ｂの弁開口、対応する下流開口３０ｂ、ター
ビンハウジングの入口２２ｂから排気ガス通路Ｂ
を通つてロータ１６の羽根に作用し、排気ガスタ
ービン１２を効率的に運転する。この状態で、開
いている弁部材３４ｂが隔壁４４と協働して弁座
３２ｂから下流側の弁ケーシング２４内におい
て、大体なだらかに屈曲した抵抗の少ない排気ガ
ス通路を形成し、一方、弁座３２ｂを含む平面と
約90度の角度をなして交わる平面内に含まれてい
る弁座３２ａに着座している弁部材３４ａが、上
記弁座３２ｂより上流側の通路壁の一部を構成し
てなだらかな抵抗の少ない排気通路を形成する。
またエンジンが高速、高負荷状態で運転している
ときは、弁部材３４ａが開き弁部材３４ｂが閉じ
られて、上記と全く同様の態様で、流量特性が大
きい排気ガス通路Ａからタービンロータ１６に排
気ガスが供給される。この場合にも、図示のとお
り、弁ケーシング２４内で隔壁４４の両側に略対
称的に弁座及び排気ガス通路が形成されているこ
とから、上記と全く同様に流通抵抗が小さいなだ
らかな通路が形成されることとなる。更に、エン
ジンの低負荷運転時には、その回転数の如何にか
かわりなく上記二つの弁部材３４ａ，３４ｂが共
に開かれ、上流開口２８から弁ケーシング２４内
に流入した排気ガスは、中央の隔壁４４によつて
左右に分割された通路を通り、下流開口３０ａ，
３０ｂから夫々タービンハウジングの入口２２
ａ，２２ｂに流入し、排気ガス通路Ａ，Ｂの両方
からタービンロータ１６に供給される。この場合
にも開かれた弁部材３４ａ，３４ｂが上記隔壁４
４と協働して排気ガス流路の一側壁としての役目
を果すこととなる。

上述したように、ターボ過給機の排気ガスター
ビンとエンジンの排気装置例えば排気マニホール
ドとの間に、弁座及び弁部材を特殊な態様で配置
した弁ケーシングを介装することによつて、エン
ジンの運転状態に応じその排気ガスを適切な、そ
して流通抵抗が小さい選択された通路を経て排気
ガスタービンに供給することができるので極めて
有利である。なお、上記実施例についての説明か
ら明らかなように、弁座３２ａ，３２ｂは、大体
90度の角度で交差する面（必ずしも平面でなくて
もよい）内に配置されることが最も好ましいので
あるが、交差角度は約60度から120度まで巾広く
変更することが可能であり、概ね同様の効果を奏
することができる。又弁ケーシングに着脱自在の
蓋４２を具えた開口が設けられいるので、弁部材
３４ａ及び３４ｂの揺動腕３８ａ及び３８ｂに対
する組付け、初期調整等を容易に行なうことがで
き、また製造後屡々行なわれる点検及び保守整備
を蓋４２を着脱するだけで、迅速容易に行なうこ
とができる。なおまた、弁ケーシングを一つのユ
ニツトとして、製造し組立て又必要に応じ交換す
ることができるので、実用上便利である。更に本
考案の応用例として、排気ガスタービンハウジン
グ内に実施例における通路Ａ，Ｂの他に第３の排
気ガス通路を設けることができ、この場合第３通
路は弁を有しない通路とすることもできるし、上
記弁部材３４ａ，３４ｂとは別の第３の弁によつ
て開閉されるようにすることもできる。

如上のように、本考案に係る可変容量ターボ過
給装置は、タービンハウジングの排気ガス導入部
分に隔壁によつて仕切られた少くとも二個の入口
が設けられ、上記入口の少くとも二個が夫々弁装
置を介してエンジンの排気装置に連結されたもの
において、上記二個の入口とエンジンの排気装置
との間に、上記弁装置を内蔵すると共に各弁装置
の背面側に配設された組立並びに点検用の開口に
配設された蓋を有する弁ケーシングが介装され、
更に上記弁装置が、Ｖ字状をなして交差する二つ
の面内に夫々配設された上記弁ケーシング内の弁
座と上記二つの弁座に夫々協働して排気ガス通路
を開閉する弁部材と一端部に上記弁部材を夫々支
持すると共に他端部を上記弁ケーシング上に夫々
枢支された二個の揺動腕とから構成されたことを
特徴とし、エンジンの運転状態に応じその排気ガ
スを効率良く排気ガスタービンに供給することが
でき、また弁装置の組立及び保守点検が容易なこ
の種装置を安価に提供することができるので有益
である。

【図面の簡単な説明】

添付図面は本考案の一実施例を示す断面図であ
る。 １０：ターボ過給機、１８：タービンハウジン
グ、１２：排気ガスタービン、２２ａ，２２ｂ：
排気ガス入口、１４：コンプレツサ、２４：弁ケ
ーシング、１６：ロータ、３２ａ，３２ｂ：弁
座、３４ａ，３４ｂ：弁部材。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. タービンハウジングの排気ガス導入部分に隔壁
   によつて仕切られた少くとも二個の入口が設けら
   れ、上記入口の少くとも二個が夫々弁装置を介し
   てエンジンの排気装置に連結されたものにおい
   て、上記二個の入口とエンジンの排気装置との間
   に、上記弁装置を内蔵すると共に各弁装置の背面
   側に配設された組立並びに点検用の開口に配設さ
   れた蓋を有する弁ケーシングが介装され、更に上
   記弁装置が、Ｖ字状をなして交差する二つの面内
   に夫々配設された上記弁ケーシング内の弁座と上
   記二つの弁座に夫々協働して排気ガス通路を開閉
   する弁部材と一端部に上記弁部材を夫々支持する
   と共に他端部を上記弁ケーシング上に夫々枢支さ
   れた二個の揺動腕とから構成されたことを特徴と
   する可変容量ターボ過給装置。