JPH0240926B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 （産業上の利用分野） 本発明は火力発電所用のボイラ等のバーナヘツ
ドに使用される耐摩耗バーナチツプに関するもの
である。

（従来の技術） 上記のような用途に用いられている従来のバー
ナチツプには例えば実開昭60−21831号公報に示
されるような周縁部に多数の噴射口を備えた円筒
状のものや、第３図に示すように中央部に単一の
噴射口３１を備えた円筒状のものなど各種の形式
のものがあるが、後者の形式のバーナチツプ３０
は噴射口３１の周囲の突出部３２が高速度で旋回
しつつ噴射される燃料によつて摩耗し易く、短時
間でバーナチツプ３０を交換しなければならない
欠点があつた。そこでバーナチツプ３０の材質を
金属よりも耐熱性及び耐摩耗性に優れたセラミツ
ク質に変換する試みもなされているが、セラミツ
ク質は靭性が低いので、キヤツプナツト３３を座
３４に締付けることによりキヤツプナツト３３の
テーパ状の内周面３７によつてバーナチツプ３０
をスワールプレート３５に押圧固定しようとする
とき、バーナチツプ３０の外周部に形成された環
状係合部３６に生ずる大きい曲げ応力によつて環
状係合部３６の基部にクラツクを生じて使用中に
破壊するおそれがあり、バーナ装置の効率向上、
保守点検性の向上等に対する大きい阻害要因とな
つていた。

（発明が解決しようとする問題点） 本発明は上記のような従来の問題点を解決し
て、耐摩耗性に優れ、しかもキヤツプナツトによ
り座又はスワールプレート上に押圧固定したとき
にも破壊されるおそれのない耐摩耗バーナチツプ
を目的として完成されたものである。

（問題点を解決するための手段） 本発明は、窒化珪素、炭化珪素、ジルコニアの
いずれか一種よりなる略円板状の主体部の中央部
に燃料噴射口が透設されているとともに、該燃料
噴射口の周囲の外表面に断面略三角形でかつ稜辺
が0.3〜3Rの曲面状に形成された複数の凹溝が設
けられており、更に外周部には座に螺装されるキ
ヤツプナツトとの環状係合部が突設され、該環状
係合部のキヤツプナツトと接触する上側接触面と
環状係合部の座又はスワールプレートと接触する
下側接触面とをいずれも中心軸線に対して垂直に
形成するとともに、上側接触面の面積を下側接触
面の面積と同等かそれよりわずかに大きくして、
環状係合部にバーナ軸線方向と平行な締付け押圧
力が作用する構造としたことを特徴とするもので
ある。

（実施例） 次に本発明を図示の実施例について詳細に説明
する。

１は窒化珪素、炭化珪素、ジルコニアのいずれ
か一種のセラミツクよりなる熱膨脹率が小さく耐
摩耗性に優れた略円板状のバーナチツプの主体部
であり、２は該主体部１の中央部に透設された燃
料噴射口、３は主体部１の外周部に突設された環
状係合部である。主体部１の燃料噴射口２の外表
面には第１図に示すように断面が略三角形状の複
数の凹溝４が略十字状に形成され、燃料噴射口２
から噴射される燃料の旋回を助けている。これら
の凹溝４の稜辺５は0.3〜3R程度の曲面状に面取
りして、摩耗や欠けを防止している。

このようなセラミツク質のバーナチツプは、座
６に螺装されるキヤツプナツト７により環状係合
部３の上面を押圧されて第２図のようにスワール
プレート８の上面に押圧固定されるものであり、
この環状係合部３はキヤツプナツト７の上部裏面
と接触する上側接触面９と、座６又はスワールプ
レート８と接触する下側接触面１０とがいずれも
バーナの中心軸線に対して直接に形成されるとと
もに、図示のように上側接触面９の面積を下側接
触面１０の面積と同等かそれよりわずかに大きく
形成して、環状係合部３にバーナ軸線方向と平行
な締付け押圧力が作用する構造とされている。ま
た上側接触面９と下側接触面１０とは図示のよう
に上下に重複する位置を取らせることが好まし
い。

なお、第２図において、１１は上側接触面９と
キヤツプナツト７との間に介装された耐熱性パツ
キング、１２は下側接触面１０と座６又はスワー
ルプレート８との間に介装された耐熱性パツキン
グ、１３は座６の中央に挿入された燃料供給管、
１４はスワールプレート８の中央空間１５に向つ
て接線方向に透設された燃料噴射用の透孔、１６
はスワールプレート８に形成された燃料の戻り孔
である。

（作用） このように構成されたものは、第２図に示され
るようにキヤツプナツト７を座６の螺装すること
により主体部１の外周部に突設された環状係合部
３をキヤツプナツト７により押圧させて座６又は
スワールプレート８上に固定し、透孔１４から30
〜80Kg／cm²の圧力で吐出される液体燃料を旋回さ
せつつ中央部の燃料噴射孔２から火力発電用の大
型のボイラの内部へ噴射させて燃焼させるもので
あり、全体が耐熱性及び耐摩耗性に優れた窒化珪
素、炭化珪素、ジルコニアのいずれか一種のセラ
ミツク質からなるので、長期間使用しても噴射孔
２の周囲の突出部１７等が摩耗することがない。
しかも環状係合部３はその上側接触面９と下側接
触面１０とをいずれも中央軸線に対して垂直に形
成するとともに、上側接触面９の面積を下側接触
面１０の面積と同等かわずかに大きくして環状係
合部３にバーナ軸線方向と平行な締付け押圧力が
作用する構造としたので、キヤツプナツト７によ
る押圧力は環状係合部３に圧縮応力を生ずるのみ
であり、第３図に示す従来のバーナチツプのよう
に曲げ応力を生ずることがない。そしてセラミツ
ク質は圧縮応力に対する強度が曲げによつて生ず
る引張応力に対する強度よりはるかに大きいの
で、キヤツプナツト７の締付けによつて破壊され
ることがなく、長期間にわたり安定して使用する
ことができることとなる。

しかも主体部１の燃料噴射口２の外表面に形成
された断面略三角形状の複数の凹溝４の作用によ
り、燃料噴射口２から火力発電用のボイラの内部
へ高圧力で10ｍ以上も噴射される燃料は断面が十
文字状となつて旋回し、空気との接触面積を拡大
して燃焼効率を高めることができる。

（発明の効果） 本発明は以上の説明ら明らかなように、全体を
セラミツク質からなるものとして耐摩耗性を向上
させるとともに、キヤツプナツトにより押圧され
る環状係合部の形状を工夫してこの部分に圧縮応
力だけが作用するようにして破壊のおそれをなく
したものであるから、長期間にわたり安定して使
用することができる利点を有するものである。ま
た本発明は燃料噴射口の周囲の外表面に断面略三
角形でかつ稜辺が曲面状に形成された複数の凹溝
を設けたので、ボイラの内部へ高圧力で10ｍ以上
も噴射される燃料の空気との接触面積を拡大して
燃焼効率を高めることができる。

よつて本発明は従来の問題点を解決したセラミ
ツク製バーナチツプとして、産業の発展に寄与す
るところは極めて大である。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明の実施例を示す平面図、第２図
は本発明のセラミツク製バーナチツプを取付けた
バーナヘツドの断面図、第３図は従来のバーナチ
ツプを取付けたバーナヘツドの断面図である。 １：主体部、２：噴射口、３：環状係合部、
４：凹溝、５：稜辺、６：座、７：キヤツプナツ
ト、８：スワールプレート、９：上側接触面、１
０：下側接触面。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. １ 窒化珪素、炭化珪素、ジルコニアのいずれか
   一種よりなる略円板状の主体部１の中央部に燃料
   噴射口２が透設されているとともに、該燃料噴射
   口２の周囲の外表面に断面略三角形でかつ稜辺が
   0.3〜3Rの曲面状に形成された複数の凹溝４が設
   けられており、更に外周部には座６に螺装される
   キヤツプナツト７との環状係合部３が突設され、
   該環状係合部３のキヤツプナツト７と接触する上
   側接触面９と環状係合部３の座６又はスワールプ
   レート８と接触する下側接触面１０とをいずれも
   中心軸線に対して垂直に形成するとともに、上側
   接触面９の面積を下側接触面１０の面積と同等か
   それよりわずかに大きくして、環状係合部３にバ
   ーナ軸線方向と平行な締付け押圧力が作用する構
   造としたことを特徴とするセラミツク製バーナチ
   ツプ。