JPH0239948Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 《産業上の利用分野》 本考案は壜入化粧品等の不正防止用外装容器に
関するものであり、より具体的には消費者等が商
品購入後に開封する以前においては、非開封状態
にあるとともに内容物も未使用状態にあることを
保証することができる外装容器に関するものであ
る。

《従来の技術》 従来、化粧品や医薬品あるいは食品などを収容
した壜，プラスチツク容器等（以下壜等という）
を収納する外装容器としては、紙製の容器が一般
に用いられてきた。

《考案が解決しようとする課題》 しかしながら、紙製の容器は製造コストが高い
ため、高級品の包装容器としては適していても低
価格品には不向きであつた。また紙製の容器は開
閉が自由かつ容易であるため、例えば陳列中に箱
を開いて壜等を取り出し、内容物を一部消費して
から元通り戻すといつた不正行為が可能であつ
た。このような不正行為を防止するため、開閉部
分にシール等を施すことも行なわれているが、不
正防止のために完全でないばかりでなく、包装作
業の煩雑化，コストアツプ，開封操作の煩雑化等
種々の不都合を生じてしまう。

また、上記のような商品にあつては、製造・販
売者は当該商品が未開封及び未使用状態にあるこ
とを消費者等に予め責任表示しておく必要がある
が、従来の外装容器ではこのような要求を十分に
充足することが困難であつた。

本考案は上述したような事情に鑑みてなされた
もので、その目的は消費者等が自ら開封するまで
は内容物が未使用状態にあることを保証すること
が出来るとともに、開封時には道具などを必要と
することなく簡単な操作で内容物を取出すことの
可能な不正防止用外装容器を提供することにあ
る。

《課題を解決するための手段》 上記の目的を達成するため、本考案に係る不正
防止用外装容器は中空で柱状の胴部と、該胴部の
１または２以上の開口部に固着されて該開口部を
閉塞する１または２以上の蓋からなり、該胴部は
その一部に該胴部の肉厚よりも小径の切裂用ライ
ン部材を複数本埋設し、該切裂用ライン部材は該
胴部の上端から下端まで延長してその間に初裂帯
を画成し、該胴部と該切裂用ライン部材はそれぞ
れ相溶しない異種の合成樹脂から押出成形により
形成されているのである。

《作用》 胴部内に壜等の容器を収納し、この胴部の上下
端を蓋等によつて密閉し、この状態で販売に供さ
れる。購入者は胴部の上端または下端において切
裂帯を指等で摘まんで下方または上方に引つ張る
と切裂帯は切裂用ライン部材に沿つて胴部から切
り裂かれ、内部の壜等を取り出すことができる。
このように切り裂かれた後には切裂帯と胴部とは
再び結合することができないため、内部の壜等の
不正使用を防止することができる。

《実施例》 以下、本考案の好適な実施例につき添附図面を
参照して説明する。

第１図乃至第３図は本考案の外装容器の一実施
例の構成説明図であり、外装溶器１としては柱状
体、直方体、錐状体、切頭錐状体，これらの複合
形態、その他被収容物の形状に応じていかなる形
態を備えた容器であつても差支えないが、少なく
とも一対の切裂用ラインを形成するための少なく
とも一つの胴部を備えていることを必要とする。

本実施例では、便宜上、円柱状の外装容器とし
て説明する。外装容器１は円筒状の胴部２と、胴
部２の上下端の開口部を閉塞する上蓋３及び底蓋
４から構成される。符号５は被収容容器を示す。
胴部２の肉厚内部には一対の平行な異種材料から
成る切裂用ライン部材６が所定の間隔をおいて埋
設されている。一対の切裂用ライン部材６は胴部
２の縦方向全長にわたつて延在し、各切裂用ライ
ン部材６及びこれらによつて挟まれる胴部部分２
ａは切裂帯７を画成する。切裂用ライン部材６は
胴部２の肉厚よりも小径に形成され、従つて胴部
２は切裂用ライン部材６の表裏両側部において連
続している。

胴部２と切裂用ライン部材６の材料としては互
いに完全に相溶しない異種の合成樹脂が用いら
れ、これらは押出し成形により一体成形されてい
る。胴部２と切裂用ライン部材６の材料の組合せ
としては、例えばポリエチレンとアイオノマー，
ポリエチレンとEVA，ポリエチレンとナイロン
等の組合せなどが好適である。

第１図及び第３図においては底蓋４の一部が指
掛け部４ａとして加工されている。指掛け部４ａ
外周と底蓋４との間には切込み８が形成されてい
て、指掛け部４ａの外径側端部は胴部２の切裂帯
７の下端部と接合一体化され、切込み８の外径側
端部は各切裂用ライン部材６の下端部と対応する
位置関係にある。上蓋３は第１図及び第３図のよ
うに胴部２の上端面を閉塞するように構成しても
よいが、第４図イ，ロに示すように胴部２の上端
から距離Ｌだけ下方位置の内壁に固定してもよ
い。この後者の場合は、切裂帯７の上端部から距
離Ｌ分を切裂き用のつまみとして利用することが
出来るので、上記した指掛け部４ａは省略され得
る。

上蓋３及び下蓋４は例えば超音波接着、高周波
ウエルダー、或いはスピンウエルダー等の溶着手
段により胴部２の内壁面と完全に接着させる。
尚、切裂用ライン部材６は複数本設けるように
し、その間の切裂帯７は単一である必要はなく、
２本以上設けてもよい。

第５図は本考案の他の実施例であり、上蓋を用
いないで胴部２の上端開口部をヒートシールによ
り閉塞させた点において第１図及び第４図イ，ロ
と相違している。その他の構成は前記実施例の場
合と同様である。

第６図イ及びロは本考案の他の実施例であり、
切裂用ライン部材６を構成する樹脂の一部が胴部
１の外周（表側）面と同一面上に位置する構成
（第６図イ）、及び胴部２の外側面から突出してい
る構成（同図ロ）において、第１図乃至第４図
イ，ロのものと相違している。また、図示しない
が、切裂用ライン部材６の一部が胴部２の内周面
と同一面上に位置するか、或いは突出している構
成であつてもよい。

次に、第１図〜第３図のように構成された外装
容器１を開封する場合は、指掛け部４ａのリング
状部内に指を掛け外側上方へ強く引張ることによ
り、切裂用ライン部材６の内径側および外径側に
位置する胴部肉厚部が縦方向に切裂かれて開封が
行なわれる。尚、押出し成形における樹脂の流れ
方向が胴部２の縦方向（切裂き方向）と一致する
ため、切裂きが容易となつている。指掛け部を設
ける代りに、切裂き部７の上端をつまみ部とした
場合（第４図イ，ロ）にあつては、当該つまみ部
をつまんで下方へ引張ることにより、容易に開封
を行なうことができる。

従つて、本考案の外装容器では、外装容器を破
壊しないで、被収容容器を取り出すことが不可能
となるため前述したような不正行為を完全に防止
できるとともに、ミシン目や溝等を形成する等の
二次加工が全く不要であるため製造が容易で製造
コストも低く、しかも胴部２は切裂用ライン部材
６を除いた部分で連続しているため、外力に対す
る強度が十分でありながら剥離開封が容易であ
る。

尚、胴部２、切裂用ライン部材６を構成する材
料を透明または半透明にすれば、収容された商品
を取りだすことなく、目視で容器の内部状態を確
認することができるので消費者にとつて便利であ
り、従来の紙箱とは違つた視覚効果を与えること
ができる。

《効果》 以上述べた通り、本考案の不正防止用外装容器
によれば、互いに相溶しない少なくとも２種類以
上の合成樹脂を一体的に押出し成形して各異種の
樹脂によつて胴部及び切裂用ライン部材を形成す
るようにしたため、消費者等が自ら開封するまで
は内容物が未使用状態にあることを保証すること
ができるとともに、特別な道具なしで開封操作を
容易化できるなど、種々の優れた効果を奏するも
のである。

【図面の簡単な説明】

第１図乃至第３図は本考案の一実施例であり、
第１図は一部断面斜視図、第２図は胴部の横断面
図、第３図は開封操作の説明図、第４図イ及びロ
は本考案の他の実施例の斜視図及び縦断面図、第
５図は本考案の他の実施例を示す斜視図、第６図
イ及びロは切裂用ライン部材の他の例を示す要部
断面図である。 １……外装容器、２……胴部、３……上蓋、４
……下蓋、４ａ……指掛け部、５……被収容容
器、６……切裂用ライン部材、７……切裂帯、８
……切り込み。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 中空で柱状の胴部と、該胴部の１または２以上
   の開口部に固着されて該開口部を閉塞する１また
   は２以上の蓋からなり、該胴部はその一部に該胴
   部の肉厚よりも小径の切裂用ライン部材を複数本
   埋設し、該切裂用ライン部材は該胴部の上端から
   下端まで延長してその間に切裂帯を画成し、該胴
   部と該切裂用ライン部材はそれぞれ相溶しない異
   種の合成樹脂から押出成形により形成されている
   ことを特徴とする不正防止用外装容器。