JPH0238052Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 「産業上の利用分野」 本考案は、多シリンダデイーゼル機関等の内燃
機関におけるシリンダヘツド部構造に関するもの
である。

「従来の技術」 従来、多シリンダデイーゼル機関においては、
シリンダヘツドに複数の排気管を接続し、これら
排気管により排気を過給機等に導くが、これら排
気管は一般に長く複雑になり、排気抵抗が大きく
なるという問題があつた。そこで、シリンダヘツ
ドの内部に上記排気管の機能を果す排気管路を形
成することが考えられ、、このようにすることに
より、排気抵抗の減少が期待できる。

「考案が解決しようとする問題点」 ところが、多シリンダ機関のシリンダヘツドの
内部に排気管路を一体に形成するのは容易ではな
く、例えば通常の一体形シリンダヘツドを採用し
て、その鋳造の際に排気管路を一体形成するのは
鋳造上困難であつた。

本考案は、上記事情に鑑みてなされたもので、
シリンダヘツドの内部に排気管路を一体に設けて
排気抵抗を低減し、しかも、容易に組立て、かつ
製作することができる内燃機関におけるシリンダ
ヘツド部構造を提供することを目的とする。

「問題点を解決するための手段」 上記目的を達成するために、本考案は、シリン
ダ列方向に開口する排気管路を内部に形成して鋳
造により一体形成された複数の単筒型シリンダヘ
ツドを、その各排気管路の開口端を互いに対向さ
せ、かつ、互いの間にテーパ状の間隙をあけて並
設し、上記テーパ状の間隙に、貫通孔を有する楔
状の継ぎシール部材を、その貫通孔を上記対向す
る各排気管路に連通させるとともに、貫通孔の周
囲に設けられた耐熱性のガスシール材を単筒型シ
リンダヘツドに密接させて挿入し両単筒型シリン
ダヘツドにボルトで取り付けた構成とした。

「作用」 そして、本考案のシリンダヘツド部構造におい
ては、排気は各単筒型シリンダヘツドの各排気管
路を継ぎシール部材の貫通孔を順次通過すること
から、排気管を含めた排気管系の長さが短くなつ
て排気抵抗が減少し、また、単筒型シリンダヘツ
ドを組合わせたものであるから、鋳造により容易
に製作できる。その上、全体の組立ては、複数の
単筒型シリンダヘツドを、互いの間にテーパ状の
間隙をあけて並設し、そのテーパ状の間隙に楔状
の継ぎシール部材を挿入して両単筒型シリンダヘ
ツドにボルトで取り付けて行うので、製作上の寸
法誤差等を吸収して精度よく、かつ容易に組み立
てることができる。

「実施例」 以下、本考案の一実施例を第１図ないし第３図
を参照して説明する。

図中１，…は、それぞれ鋳造により一体形成さ
れた単筒型シリンダヘツド（図では２基のみ示
す）であり、互いに並べて配設されている。この
各シリンダヘツド１の内部で、その一側（第１図
における上方側）には、該各シリンダヘツド１が
並ぶ方向（第１図における左右方向）に該各シリ
ンダヘツド１を貫通する断面円形の各排気管路２
と断面略三角形状の各冷却水流路３がそれぞれ形
成され、上記各排気管路２は各シリンダ内に開口
する各排気流路（図示せず）に連通せしめられて
いる。

さらに、上記各シリンダヘツド１の間には、上
方部分が上から下にさがるにしたがつて狭いテー
パ状部４ａとなつた間隙４が形成され、このテー
パ状部（テーパ状間隙）４ａには継ぎシール部材
５がボルト６によつて取付けられている。上記継
ぎシール部材５は、シリンダヘツド１は板状に形
成されていて先端が徐々に薄くなつた楔状をなし
ており、その中央部分と下端部分には、該継ぎシ
ール部材５を厚さ方向に貫通し、上記排気管路２
を同形の断面形状を有する第１貫通孔７と、上記
冷却水流路３と同形の断面形状を有する第２貫通
孔８とが形成されると共に、その両側面上には、
上記第１貫通孔７の開口を囲繞する円形状の溝
９，９と上記第２貫通孔８の開口を囲繞する略三
角形状の溝１０，１０がそれぞれ形成され、上記
各溝９には耐熱性のガスシール材１１，１１が、
また、上記各溝１０にはＯリング１２，１２がそ
れぞれ嵌め込まれている。そして、上記継ぎシー
ル部材５は、その第１貫通孔７を各排気管路２に
連通させ、第２貫通孔８を各冷却水流路３に連通
させて、上記間隙４のテーパ状部４ａに正確に嵌
まり込んでいる。

しかして、上記構成のシリンダヘツド部構造に
おいては、各シリンダから吐出された排気は、各
シリンダヘツド１内の排気流路（図示せず）から
該各シリンダヘツド１内の上記各排気管路２と継
ぎシール部材５の内部の第１貫通孔７とを順次通
つて所定方向に流れて外部の排気管に流出し、過
給機等に導かれる。このため、排気が各シリンダ
ヘツドから直接外部の排気管に流れて過給機等に
導かれていた従来の構造に比し、各シリンダヘツ
ドの排気流路と外部の排気管との接続部分の管路
が不要になるなどにより、排気管を含む全体の排
気通路長さが短くなつて排気抵抗が減じられる。

また、上記シリンダヘツド部構造は、鋳造が容
易にできる単筒型シリンダヘツド１を複数組合わ
せて用い、かつ、各シリンダヘツド１の間に生じ
る間隙４には継ぎシール部材５を取付けたもので
あるから、シリンダの数にかかわらず製作が容易
であり、しかも、継ぎシール部材５は楔状になつ
ているから、間隙４のテーパ状部４ａへの取付け
は極めて簡単である。さらに、単筒型シリンダヘ
ツド１が用いられているから、必要なシリンダの
みの保守点検が可能となる利点もある。

「考案の効果」 以上説明したように、本考案の内燃機関におけ
るシリンダヘツド部構造は、排気管路が内部に形
成された複数の単筒型シリンダヘツドを並べて配
設し、かつ、隣り合う各シリンダヘツドの間に、
各シリンダヘツドの各排気管路を相互に連通させ
る貫通孔を備えた継ぎシール部材を取付けたもの
であるから、排気通路の長さが短くなることなど
から排気抵抗が減少して機関性能が高まり、ま
た、鋳造が容易な単筒型シリンダヘツドを継ぎシ
ール部材と組合わせて用いたものであるから、製
作が容易であるという効果を奏する。更にまた、
複数の単筒型シリンダヘツドを、互いの間にテー
パ状の間隙をあけて並設し、そのテーパ状間隙に
楔状の継ぎシール部材を挿入して各排気管路を貫
通孔で連通させ、継ぎシール部材を両方の単筒型
シリンダヘツドにボルトで取り付けて組み立てる
構成とされているので、単筒型シリンダヘツドや
これに関係する部材の製作上の寸法誤差等を楔状
継ぎシール部材によつて吸収することができ、精
度よく容易に組み立てることができる。

【図面の簡単な説明】

図面は本考案の一実施例を示すもので、第１図
は要部の平面図、第２図は継ぎシール部材の取り
付け部分の拡大図、第３図は第２図の−矢視
断面図である。 １……単筒型シリンダヘツド、２……排気管
路、５……継ぎシール部材、７……第１貫通孔。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. シリンダ列方向に開口する排気管路２を内部に
   形成して鋳造により一体形成された複数の単筒型
   シリンダヘツド１が、その各排気管路２の開口端
   を互いに対向させ、かつ、互いの間にテーパ状の
   間隙４ａをあけて並設され、上記テーパ状の間隙
   ４ａには、貫通孔７を有する楔状の継ぎシール部
   材５が、その貫通孔７を上記対向する各排気管路
   ２に連通させるとともに、貫通孔７の周囲に設け
   られた耐熱性のガスシール材１１を単筒型シリン
   ダヘツド１に密接させて挿入され両単筒型シリン
   ダヘツド１にボルト６で取り付けられてなること
   を特徴とする内燃機関におけるシリンダヘツド部
   構造。