JPH0237567Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 （考案の利用分野） 本考案はプリンタの紙送り機構に関する。

（考案の背景） 周知の如く、プリンタにおいては、モータの駆
動力によつて駆動される紙送りローラを固定板又
は回転ローラに圧接させてなり、紙送りローラと
固定板又は回転ローラで用紙を挾持して送るよう
になつている。

ところで、プリンタの動作中に用紙の詰り、又
はモータから前記紙送りローラ間までにおける紙
送り駆動伝達系の一部に異物が入り込んだりし、
紙送りに異常が発生して過負荷となると、紙送り
駆動伝達系が破壊するか、又は破壊しないまでも
精度が低下をきたす。

そこで従来は、かかる事態に対処するため、紙
送り駆動伝達系を構成する歯車輪列の一部の歯車
をばねで該歯車に噛合する歯車に押付けてなり、
紙送り異常による過負荷によつて前記ばね圧に抗
して該ばねで付勢された歯車が該歯車を駆動する
歯車（以下駆動歯車という）に対して離れる方向
に動くようになつている。しかしながら、かかる
構造は、ばねで付勢された歯車が駆動歯車に対し
て駆動歯車の１ピツチ回転毎に前進後退して噛合
い及び噛合い外れを繰返すので、動作が非常に不
安定であると共に、歯車の摩耗が著しいという欠
点があつた。

（考案の目的） 本考案の目的は、紙送り異常時の過負荷を安定
して吸収することができるプリンタの紙送り機構
を提供することにある。

（考案の実施例） 以下、本考案の一実施例を図により説明する。
第１図に示すように、図示しない駆動モータに連
結している駆動軸１には活字ドラム２が固定され
ており、この活字ドラム２の外周には複数の活字
が整列配置されている。そして、活字ドラム２の
近傍には記録紙３が配置されており、図示してい
ないハンマによつて所望桁の活字を選択的に用紙
３に転写することができる。実施例における活字
ドラム２はインクロール式の活字ドラムを示し、
前記活字ドラム２の各活字に図示していないイン
クロールからインクが塗布され、これが用紙３に
転写されることとなる。

前記駆動軸１の一端にはインデツクス板４が固
定されており、このインデツクス板４の側面に前
記活字と対応して配列された複数のスリツト４ａ
を用いて、活字ドラム２の回転位置が正確に検出
可能である。即ち、前記インデツクス板４の各ス
リツト４ａに対応する位置にはフオトセンサ５が
設けられており、活字ドラム２の回転時にその回
転量がスリツト４ａの個数としてセンサ５から電
気的に検出される。実施例においては、前記イン
デツクス板４には前記スリツト４ａとは別個の異
なる半径位置にスタート位置検出スリツト４ｂが
設けられており、このスリツト４ｂとスタート位
置センサ６とによつて活字ドラム２の起動位置が
検出され、これに両検出信号に基づいて活字ドラ
ム２の位置が常に正しく検出されることとなる。

また前記用紙３を紙送り駆動するために、活字
ドラム２の下方にはゴム等よりなる紙送りローラ
１０が設けられており、この紙送りローラ１０は
図示しない固定板及び固定軸に回転自在に支承さ
れたローラに圧接され、前記ガイド板又はローラ
と紙送りローラ１０とで用紙３を挾持している。
紙送りローラ１０のローラ軸１１は駆動軸１によ
つて、実施例においてはゼネバ機構を介して駆動
されている。即ち、駆動軸１にはゼネバ駆動輪１
２が設けられ、一方、前記ローラ軸１１にはゼネ
バ被駆動輪１３が設けられ、両ゼネバ歯車１２，
１３の噛合いによつて、駆動輪１の１回転に対し
て、紙送りローラ１０が１ピツチ紙送り駆動され
ることになる。

前記紙送りローラ１０の内側には、第２図に示
すようにコア２０が一体に固定されており、コア
２０はローラ軸１１に回転自在に支承されてい
る。また前記ローラ軸１１には、第３図に示すよ
うにスリツプスプリング２１が巻回されており、
このスリツプスプリング２１は前記コア２０の一
端側に形成された収納部２０ａに配置され、この
収納部２０ａの端面側に形成されたフツク溝２０
ｂに前記スリツプスプリング２１の一端のフツク
部２１ａが係合されている。ここで、前記スリツ
プスプリング２１は、ローラ軸１１の回転方向に
対して緩み勝手でローラ軸１１に密着巻きされて
おり、スリツプスプリング２１のローラ軸１１へ
の結合トルクを通常の紙送り負荷より大きく、危
険トルクより小さく設定されている。

またローラ軸１１には、紙送りローラ１０を位
置決めするためにＥリング２２，２３が取付けら
れ、更にスリツプスプリング２１の脱落を防止す
るため、ローラ軸１１にはスリツプスプリング２
１とＥリング２３間にカラー２４が装着されてい
る。

次に作用について説明する。通常の紙送り状態
の負荷に対しては、ローラ軸１１の回転によつて
スリツプスプリング２１を介して紙送りローラ１
０が回転させられ、紙送りを行う。この場合、ス
リツプスプリング２１はローラ軸１１の回転によ
つて緩み方向のトルクを受けるが、スリツプスプ
リング２１の緩みによるたわみ力が紙送りの負荷
に打勝つため、紙送りローラ１０はローラ軸１１
と共に回転する。

ローラ軸１１の連続回転中に紙送り異常が発生
すると、紙送りローラ１０に過負荷がかかり、紙
送りローラ１０にブレーキ力がかかる。この紙送
りローラ１０のブレーキ力によつてスリツプスプ
リング２１はローラ軸１１に対して緩む。このス
リツプスプリング２１の緩みによるたわみ力に前
記紙送りローラ１０のブレーキ力が打勝つので、
ローラ軸１１はスリツプスプリング２１に対して
スリツプして回転する。

このように、ローラ軸１１がスリツプスプリン
グ２１に対してスリツプして紙送りの異常時にお
ける過負荷を吸収するので、非常に安定した動作
が得られると共に、歯車が摩耗することもない。

なお、上記実施例においては、起動断続型のプ
リンタに適用した場合について説明したが、プリ
ンタの型式は特に限定されるものではなく、広く
一般のプリンタにも適用できることはいうまでも
ない。また本実施例においては、紙送りローラ１
０とローラ軸１１間にスリツプ機構を適用した場
合について説明したが、モータの駆動力を前記紙
送りローラ１０に伝達する紙送り駆動伝達系の一
部であればよく、特にスリツプ機構の配設場所は
限定されるものではない。例えば、ローラ軸１１
とゼネバ被駆動輪１３間に適用してもよい。この
場合は、ローラ軸１１に対してゼネバ被駆動輪１
３がスリツプして回転することになる。

（考案の効果） 以上の説明から明らかな如く、本考案によれ
ば、紙送り駆動伝達系の一部の軸にスリツプスプ
リングを該軸の回転方向に対して緩み勝手に巻回
し、前記軸に装着される紙送り駆動部材を前記軸
に回転自在に設け、前記スリツプスプリングの一
端を前記紙送り駆動伝達部材に保持させてなるの
で、紙送り異常時の過負荷を安定して吸収するこ
とができると共に、歯車等に悪影響を及ぼすこと
もない。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案の一実施例を示す斜視図、第２
図は要部断面図、第３図はローラ軸とスリツプス
プリングを示す斜視図である。 １０……紙送りローラ、１１……ローラ軸、２
０……コア、２０ｂ……フツク溝、２１……スリ
ツプスプリング、２１ａ……フツク部。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. モータの駆動力を紙送り駆動伝達系を介して紙
   送りローラに伝達し、前記紙送りローラによつて
   用紙を送るプリンタの紙送り機構において、前記
   紙送り駆動伝達系の一部の軸にスリツプスプリン
   グを該軸の回転方向に対して緩み勝手に巻回し、
   前記軸に装着される紙送り駆動伝達部材を前記軸
   に回転自在に設け、前記スリツプスプリングの一
   端を前記紙送り駆動伝達部材に保持させてなるこ
   とを特徴とするプリンタの紙送り機構。