JPH0237224B2 - Hyomenhifukusochi - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 本発明は被覆材チツプと母材間に接触開離振動
を行うと共に放電を行い、被覆材チツプの溶解部
分を母材に転移溶着させる表面被覆装置の改良に
関する。こゝで被覆材チツプとしては主として超
硬合金又は導電性を付与したセラミツクスが用い
られ、主に鉄系合金等の母材の表面にこれらの被
膜を形成するものである。

被覆材チツプと母材間の接触開離振動は、通常
電磁石と反撥バネ等により構成される振動装置に
上記被覆材チツプを取り付けて上記母材に対向さ
せ、上記電磁石を発振器または放電用の蓄電器の
充放電電流等により励振させることによつて行わ
れ、また、この接触開離振動に同期して間隙にパ
ルス放電が行われる。

上記表面被覆装置による母材への表面被覆は高
真空下で行われることもあるが、通常は大気中で
行われる。従つて、従来の表面被覆装置は母材へ
被覆材チツプが転移溶着される際に上記被覆材チ
ツプが爆発的に気化又は微粒子化して飛散してし
まい上記母材表面に上記被覆材チツプを確実、且
つ、能率よく転移溶着させることができず、従つ
て、材質又はその形状等によつては被膜ができな
かつたり、厚い被膜が得られない等の問題点があ
つた。

本発明は叙上の観点に立つて成されたものであ
つて、その目的とするところは、母材へ被覆材チ
ツプが転移溶着される際に上記被覆材チツプが気
化又は微粒子化して飛散するのを最小限度に抑え
て、上記母材の材質及び形状等に係わらず、上記
母材表面に上記被覆材チツプを確実、且つ、能率
よく転移溶着させることができる表面被覆装置を
提供しようとするものである。

而して、その要旨とするところは、被覆すべき
母材表面に所望の被覆材チツプを対向せしめ、且
つ、適宜の振動装置により上記被覆材チツプを振
動させ、その一端を上記母材に接離せしめると共
に両者間に放電を行わせて、上記被覆材チツプに
より上記母材表面を被覆する表面被覆装置におい
て、上記被覆材チツプの母材と対向する部分を除
いた他の外周壁面を、適宜のカバーで覆い、放熱
と被覆材チツプの飛散を防止することである。そ
のカバーは少なくとも上記被覆材チツプが母材と
対向する先端付近はシリコンゴム又は絶縁した金
属ベローズ等の弾性部材で製作し、且つ、他の部
分は石英ガラス、酸化アルミニウム又は酸化マグ
ネシウム等の絶縁性を有する耐熱部材で製作する
ことが望ましい。

以下、図面により本発明の詳細を具体的に説明
する。

第１図は本考案にかかる表面被覆装置の一実施
例を示す説明図、第２図は他の実施例を示す説明
図、第３図は被覆材チツプカバーの他の実施例を
示す説明図である。

第１図、第２図及び第３図中、１は表面被覆装
置本体、２は被覆材チツプカバー、２ａは弾性部
材、２a′は金属ベローズ、２ｂは耐熱部材、３は
超硬合金又は導電性を付与したセラミツクス等か
ら成る被覆材チツプ、４は被覆材チツプ３が取り
付けられる被覆材チツプ取り付けホルダ、５はス
プリング、６は振動用鉄心、７は上記振動用鉄心
６を励磁するコイル、８は振動用電源、９は被覆
材チツプ３と母材との間に所定の極性（通常チツ
プ３が正極）の電圧パルスを供給する被覆電源装
置、１０は接触開離振動周波数調整用のスイツ
チ、１１は母材である。

而して、表面被覆装置本体１はこれを手に持つ
て母材１１の表面に容易に表面被覆加工を施すこ
とができるようにペンシル状又はこれに類するハ
ンデイーな形状に製作されていて、その内部には
少なくとも被覆材チツプ３の一端と上記被覆材チ
ツプ３に振動を与える被覆材チツプ取り付けホル
ダ４、スプリング５、振動用鉄心６及びコイル７
とから構成される振動装置が内蔵されている。振
動用電源８は被覆電源装置９やスイツチ１０等と
一体に設けられることが多い。また、上記表面被
覆装置本体１の母材１１と対向する先端部分に
は、被覆材チツプカバー２が取り付けられていて
る。上記被覆材チツプカバー２は被覆材チツプ３
の母材１１と対向する先端部分を除いた他の外周
壁面を、上記被覆材チツプ３の先端付近はシリコ
ンゴム等の絶縁及び耐熱性に富んだ弾性部材２ａ
で覆い、他の部分は石英ガラス、酸化アルミニウ
ム又は酸化マグネシウム等の特に絶縁性が高く、
且つ、耐熱性に優れた耐熱部材２ｂで覆つてい
る。従つて、上記被覆材チツプ３の外周壁面は、
その母材１１と対向する部分以外は総て一定の間
隔を保つて被覆材チツプカバー２によつて覆われ
ることになる。

また、被覆材チツプ３は被覆材チツプ取り付け
ホルダ４に取り付けられると共に、電源装置９に
より母材１１との間に所定の極性の電圧パルスが
供給されるようになつている。

被覆材チツプ取り付けホルダ４と振動用鉄心６
は、上記振動用鉄心６に装着されているコイル７
に電圧が供給されていない時には両者間に挿入さ
れているスプリング５の弾性力によつて一定の間
隙を保つて静止しているが、上記コイル７に振動
用電源８から約50Hzないし約600Hzの範囲内で選
択された周波数の電圧パルス又は振動電圧が供給
されると、上記振動用鉄心６は選択された周波数
の振動数で電磁的に振動し、これによつて、被覆
材チツプ取り付けホルダ４に取り付けられた被覆
材チツプ３の先端は、母材１１の表面に接離す
る。なお、この時被覆材チツプ３と母材１１との
間に所定の極性の電圧パルスを供給する電源装置
９は、接触開離振動周波数調整用スイツチ１０に
よつて調整した接触開離振動周波数に同期して放
電が行われるように構成されるか、１回の近接、
接触から開離迄の期間に、複数個の電圧パルスに
よる複数の放電パルスが発生するように構成され
る。

而して、本発明にかかる表面被覆装置により母
材１１の表面に被覆加工を施す際には、表面被覆
装置の被覆材チツプ３と母材１１との間に所定の
極性の電圧パルスを供給し、然る後、上記被覆材
チツプ３を母材１１に接近させ、母材１１の材質
及び形状等に応じて接触開離振動周波数調整用ス
イツチ１０によつて接触開離振動周波数を制御し
つつ表面被覆加工を施して行くものである。被覆
材チツプ３が母材１１に接触すると両者間に火花
放電が発生し、上記放電点は局部的に約10000℃
にも達する高温に加熱され、これによつてその付
近の母材１１及び被覆材チツプ３は溶融しその一
部は気化及び飛散するが、上記被覆材チツプ３の
外周壁面を覆つている被覆材チツプカバー２の作
用によつて、上記飛散及び放熱は最小限度に止め
られることになる。放電開始の直後、被覆材チツ
プ３は母材１１に接触加圧されて短絡され、溶融
接触した母材１１及び被覆材チツプ３は溶融して
融着する。その間前記放電を発生した電圧パルス
に基づく短絡電流が流れ続けるか、次々と供給さ
れる高周波の電圧パルスによる短絡電流が流れ
て、次いで解離作動に移行し、被覆材チツプ３を
溶融又は半溶融状態にある前記接触、融着部を無
理矢理母材１１から引き離すことにより、融着被
覆材が母材１１上にひきちぎられて残り、被覆が
行われることになる。

而して、被覆材チツプ３の外周壁面と被覆材チ
ツプカバー２との間隙を約0.2mmに保つと共に、
被覆材チツプ３と母材１１間に放電電流振幅
（Ip）が80A、電圧パルス持続時間（τ_ON）が60μs
及びパルス間隔（τ_OFF）が60μsの電圧パルスを供
給し、更に接触開離振動周波数を400Hzに設定し
て表面被覆加工を行つた場合には、（この条件で
は、１回の近接接触から解離迄の間に前記条件の
電圧パルスが３個以上程度の複数個供給され、放
電及び接触部での短絡通電が行われる。）上記母
材１１への被覆材チツプ３の溶着量及びその加工
速度を大幅に向上させることができる。

なお、第１図の実施例においては被覆材チツプ
カバー２の先端部分を覆う弾性部材２ａにシリコ
ンゴムを使用したが、第２図に示すようなその表
面にセラミツク材、その他適宜の絶縁処理を施し
た金属ベローズ２a′であつてもよく、また、被覆
材チツプカバー２を第３図に示すような被覆材チ
ツプカバー２の母材１１と対向する先端部分を弾
性部材２ａと耐熱部材２ｂとを交互に重ね合わせ
て接着して構成したものも推奨される。

本発明は叙上の如く構成されるので、本発明の
装置による時には、母材へ被覆材チツプが転移溶
着される際に上記被覆材チツプが気化又は微粒子
化して飛散するのを最小限度に抑えることができ
るので、上記母材の材質及び形状等に係わらず、
上記母材表面に上記被覆材チツプを確実、且つ、
能率よく短時間で転移溶着させることができるの
である。

なお、本発明は叙上の実施例に限定されるもの
ではない。即ち、例えば、本発明においては、被
覆材チツプカバーを構成する耐熱部材として石英
ガラス、酸化アルミニウム及び酸化マグネシウム
等を使用したが同様の効果を有するものであれば
他の材質であつてもよく、また、表面被覆装置本
体の形状、接触開離振動周波数調整用スイツチの
取り付け位置等も本発明の目的の範囲内で自由に
設計変更できるものであつて、本発明はそれらの
総てを包摂するものである。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明にかかる表面被覆装置の一実施
例を示す説明図、第２図は他の実施例を示す説明
図、第３図は被覆材チツプカバーのもう一つの実
施例を示す説明図である。 １……表面被覆装置本体、２……被覆材チツプ
カバー、２ａ……弾性部材、２a′……金属ベロー
ズ、２ｂ……耐熱部材、３……被覆材チツプ、４
……被覆材チツプ取り付けホルダ、５……スプリ
ング、６……振動用鉄心、７……コイル、８……
振動用電源、９……電源装置、１０……接触開離
振動周波数調整用スイツチ、１１……母材。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ 被覆すべき母材１１の表面に所望の被覆材チ
   ツプ３を対向せしめ、且つ適宜の振動装置５，
   ６，７，８により上記被覆材チツプ３を振動さ
   せ、その一端を上記母材１１に接離せしめると共
   に両者間に放電を行わせて、上記被覆材チツプ３
   により上記母材１１表面を被覆する表面被覆装置
   において、上記被覆材チツプ３の母材１１と対向
   する部分を除いた被覆材チツプの外周壁面を、カ
   バー２で覆つたことを特徴とする上記の表面被覆
   装置。 ２ 上記カバー２の先端部分が弾性部材２ａ，２
   a′で構成され、他の部分が耐熱部材２ｂで構成さ
   れた特許請求の範囲第１項記載の表面被覆装置。 ３ 上記カバー先端部分の弾性部材がシリコンゴ
   ム２ａである特許請求の範囲第２項記載の表面被
   覆装置。 ４ 上記カバー先端部分の弾性部材が絶縁した金
   属ベローズ２a′である特許請求の範囲第２項記載
   の表面被覆装置。 ５ 上記カバー先端部分の弾性部材以外の部分を
   構成する耐熱部材２ｂが石英ガラスである特許請
   求の範囲第２項記載の表面被覆装置。 ６ 上記カバー先端部分の弾性部材以外の部分を
   構成する耐熱部材２ｂが酸化アルミニウムである
   特許請求の範囲第２項記載の表面被覆装置。 ７ 上記カバー先端部分の弾性部材以外の部分を
   構成する耐熱部材２ｂが酸化マグネシウムである
   特許請求の範囲第２項記載の表面被覆装置。