JPH0235672Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 考案の技術分野 本考案は、フツ素樹脂でライニングされたタン
ク類に関し、さらに詳しくはフランジ部がなく、
したがつてシール性に優れたフツ素樹脂でライニ
ングされたタンク類に関する。

考案の技術的背景ならびにその問題点 ポリテトラフルオロエチレン（以下PTFEとい
うことがある）などのフツ素樹脂は、耐熱性、耐
化学薬品性、非粘着性などの点において、他の合
成樹脂と比較して著しく優れた特性を有してお
り、この特性を利用して腐蝕性流体を貯蔵あるい
は輸送するコンテナ類あるいはタンク類（以下タ
ンク類という）のライニング材として利用されて
いる。

タンク類は、一般に、開放型と密封型とに大別
されるが、このうち開放型は、フランジ部を有す
る上部体（特に上蓋体）と、同時にフランジ部を
有する下部体とを上記フランジ部により接合して
なるものである。

このような開放型タンク類では、上部体フラン
ジ部と下部体フランジ部とはガスケツトなどのシ
ール材を介して接合されている。ところでフラン
ジ部からの流体の漏れをなくすためには、フラン
ジ部を均一に締付けることが必要であるが、この
ためには高い締付圧に耐えるようにフランジ部を
大径で肉厚に形成しなければならない。ところが
大径で肉厚のフランジ部を有するタンク缶体は、
製造に手間がかかるなどの理由により高価である
という問題点があつた。

また、開放型タンク類では上記のように上部体
フランジと下部体フランジ部とはガスケツトなど
のシール材を介して接合されているため、フラン
ジ接合部から流体の漏れが発生する可能性がある
という問題点があつた。

このような開放型タンク類に伴なう問題点は、
タンク内周面にPTFEなどのフツ素樹脂ライナー
が設けられた場合にも全く同様に発生していた。

さらに、同様な問題点は、フツ素樹脂ライナー
の外周面にFRPなどの合成樹脂を設けてなるタ
ンク類の場合にも生じており、この場合には、タ
ンク類の上部体内周面に設けられるフツ素樹脂第
１ライナーのフレアー部と、タンク類の下部体内
周面に設けられるフツ素樹脂第２ライナーのフレ
アー部との接合面からやはり流体の漏れが生じや
すいという問題点があつた。

一方また、フツ素樹脂として、四フツ化エチレ
ンとパーフルオロアルキルビニルエーテルとの共
重合体であるPFAなどの熱溶融性フツ素樹脂を
用いて、これらのフツ素樹脂からタンク上部体と
タンク下部体を作成し、この上部体と下部体との
接合面を溶接し、得られたフツ素樹脂製のタンク
類を金属あるいはFRP製の外装容器の内部に装
着してなるタンク類も知られている。ところがこ
のタンク類は、上部体と下部体との接合面から流
体が漏れる恐れがあり、またフツ素樹脂として
PFAなどの熱溶融性フツ素樹脂が用いられてい
るが、この熱溶融性フツ素樹脂はPTFEと比較し
て、ライナーとしての特性に劣るという問題点が
あつた。

考案の目的 本考案は、上記のような従来技術に伴なう問題
点を一挙に解決しようとするものであつて、フラ
ンジ部を大径で肉厚に形成する必要がなく、しか
もフランジ部あるいはライナーのフレアー部がな
いため、これらのフランジ部またはフレアー部か
らの流体の漏れが発生する心配のないフツ素樹脂
でライニングされたタンク類を提供することを目
的としている。

考案の概要 本考案に係るフツ素樹脂でライニングされたタ
ンク類は、上下端部を除いて内周面にフツ素樹脂
第１ライナーが設けられた有底筒体状の下部体
と、開口部を有するとともに内周面にフツ素樹脂
第２ライナーが設けられた上蓋体とからなり、下
部体内周面に設けられたフツ素樹脂第１ライナー
の上端内周面と上蓋体内周面に設けられたフツ素
樹脂第２ライナーの周縁部内周面とを接合して一
体化し、また下部体のフツ素樹脂第１ライナーが
設けられていない下端部を脚部としたことを特徴
としている。

本考案に係るフツ素樹脂でライニングされたタ
ンク類は、下部体内周面に設けられたフツ素樹脂
第１ライナーの上端内周面と上蓋体内周面に設け
られたフツ素樹脂第２ライナーの周縁部内周面と
を接合して一体化しているため、タンク類にフラ
ンジ部を形成する必要がなく、フランジ部から流
体の漏れが発生することもないという優れた効果
が得られる。

考案の具体的説明 以下、本考案を図面に示す実施例に基づいて説
明する。

まず、本考案を金属製のタンク類について説明
すると、タンク類１は、有底筒体状の金属製下部
体２と、この下部体２の上部に設けられる金属製
上蓋体３とからなつている。下部体２の内周面に
は上端部４および下端部５を除いてフツ素樹脂第
１ライナ６が設けられている。また上蓋体３は、
開口部７を有するとともに堵周面にはフツ素樹脂
第２ライナー８が設けられている。

上記のような下部体２の内周面に設けられたフ
ツ素樹脂第１ライナー６の上端内周面と、上蓋体
３の内周面に設けられたフツ素樹脂第２ライナー
８の周縁部内周面とは接合されて一体化されてい
る。したがつてフツ素樹脂第２ライナー８は、そ
の端部近辺に折り返し部１５を有している。

また、下部体のフツ素樹脂第１ライナーが設け
られていない下端部５はこのタンク類の脚部とな
るようにタンク本体の底面よりも突出している。

ライナーを形成するフツ素樹脂としては、
PTFEが主として用いられる。

タンク類の下部体２および上蓋体３の内周面に
沿う形状のフツ素樹脂ライナー６および８を製造
するには、どのような方法を採用してもよい。た
とえばフツ素樹脂がPTFEなどの熱溶融性ではな
いフツ素樹脂の場合には、上蓋体あるいは下部体
とほぼ同一形状の型内の内周面に沿つて、該内周
面とほぼ相似形の可橈性隔膜を被包した中子を配
置し、該隔膜と内周面との間隙部にPTFE粉末を
充填した後、上蓋体あるいは下部体に水などの液
体を中子から圧入して隔膜を膨らませて内周面に
圧接してPTFEライナーを予備成形し、得られた
予備形成ライナーを加熱炉に入れてPTFEの融点
以上の温度の加熱焼成する、いわゆる液圧成形法
が採用される。

また、フツ素樹脂ライナー６および８を製造す
るには、あらかじめ、フツ素樹脂シートを接合し
て、タンクの上蓋体あるいは下部体の内周面と同
一形状のライナーを完成させておき、該ライナー
をタンク内に引き込んだ後、ライナーをタンク内
周面に接着して、ライニングする引き込みライニ
ング法（仮称）も採用される。

フツ素樹脂第１ライナー６とフツ素樹脂第２ラ
イナー８との接合は、この第１ライナー６と第２
ライナー８がともにPTFE製である場合には、第
２図に示すようにして行なうことができる。ま
ず、前記フツ素樹脂第１ライナー６とフツ素樹脂
第２ライナー８との間に、四フツ化エチレンとパ
ーフルオロアルキルビニルエーテルとの共重合体
であるPFAシート１０を介在させ、次いでこれ
らをPTFEの融点である327℃以上の温度好まし
くは340〜350℃に加熱しながら、１〜３Kg／cm²程
度の圧力をかけることにより第１ライナー６と第
２ライナー８とを融着して一体化する。この際に
は、該フレアー部の形状に合せた治具１１および
加熱押圧体１２を用いて、該フレーム部を加熱し
ながら押圧すればよい。

タンク類の下部体２の内周面に設けられている
フツ素樹脂第１ライナー６の底面には鏡面状の底
部体１３が設けられている。この底部体１３は、
下部体２と接合されて一体化されて、下部体２の
一部をなしている。

この底部体１３は予じめ下部体２と溶接などに
より一体化させてもよく、あるいは下部体２の内
周面に、フツ素樹脂第２ライナー８と一体化され
たフツ素樹脂第１ライナー６を設けた後に溶接な
どにより下部体２と一体化させてもよい。この際
には、下部体２の下端部５と底部体１３との接合
部１４は、前記フツ素樹脂第１ライナー６からあ
る程度離れていることが好ましい。なぜなら接合
部１４とフツ素樹脂第１ライナー６とがあまり接
近しすぎていると、溶接時に発生する熱によつて
フツ素樹脂ライナーが劣化する恐れがあるためで
ある。

以上の説明では、下部体２および上蓋体３は金
属製であつたが、本考案では下部体２および上蓋
体３はFRPなどの合成樹脂製であつてもよく。
この場合には下部体２のフツ素樹脂第１ライナー
６が設けられていない上端部４の内周面と、上蓋
体３のフツ素樹脂第２ライナー８が設けられてい
ない端部とは通常の方法により接合されて一体化
される。

本考案に係るフツ素樹脂でライニングされたタ
ンク類を主として運搬用に用いる場合には、有底
筒状体の下部体２の周面上部に運搬用開口部（図
示せず）を設けることもできる。

上蓋体３の開口部７から薬液をタンクに出入れ
する際に、薬液が開口部７からこぼれ出して折り
返し部１５の上部にたまり、上蓋体３を腐食する
恐れがあるような場合には、上蓋体３の開口部近
辺から折り返し部保護材１６を、折り返し部１５
の上部に形成される空間を覆うようにして設け、
折り返し部に薬液がたまらないようにすることも
できる。この際、折り返し部保護材１６の下面
に、折り返し部の上部に形成される空間を充填す
る充填部材１７を一体的に取り付けることもでき
る。

また下部体２と上記折り返し部保護材１６とが
接する場所に、こぼれた薬液を外部に流し出すた
めの穴１８を下部体２に設けることもできる。

考案の効果 本考案に係るフツ素樹脂でライニングされたタ
ンク類は、下部体内周面に設けられたフツ素樹脂
第１ライナーの上端内周面と上蓋体内周面に設け
られたフツ素樹脂第２ライナーの周縁部内周面と
を接合して一体化しているため、タンク類にフラ
ンジ部を形成する必要がなく、フランジ部から流
体の漏れが発生することもにないという優れた効
果が得られる。

【図面の簡単な説明】

第１図および第３図は本考案に係るタンク類の
断面図であり、第２図はフツ素樹脂ライナーを一
体化する際の説明図である。 １……タンク類、２……下部体、３……上蓋
体、４……上端部、６……フツ素樹脂第１ライナ
ー、８……フツ素樹脂第２ライナー。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 上下端部を除いて内周面にフツ素樹脂第１ライ
   ナーが設けられた有底筒体状の下部体と、開口部
   を有するとともに内周面にフツ素樹脂第２ライナ
   ーが設けられた上蓋体とからなり、下部体内周面
   に設けられたフツ素樹脂第１ライナーの上端内周
   面と上蓋体内周面に設けられたフツ素樹脂第２ラ
   イナーの周縁部内周面とを接合して一体化し、ま
   た下部体のフツ素樹脂第１ライナーが設けられて
   いない下端部を脚部としたことを特徴とするフツ
   素樹脂でライニングされたタンク類。