JPH0235463Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 （目的） 本考案はエポキシ樹脂、ポリエステル樹脂、ポ
リウレタン樹脂等の液状合成樹脂を型に注入し硬
化させ成形する合成樹脂の注形装置に関し、その
目的とするところは、多種類の樹脂を利用した多
品種少量生産に良く適合した簡便なる注形装置を
提供するにある。

（従来技術） エポキシ樹脂等の主に主剤及び硬化剤の２液よ
り成る反応型の合成樹脂液を型に注入し硬化させ
成形する所謂注形法が合成樹脂の成形法として最
近多く利用されるようになつた。

従来、注形法が多く利用されていた壁掛け、額
縁等の装飾品の成形は、成形品の表面のみが使用
目的であるために注形は比歓的容易で、第１図に
示す如く型１を水平に置いてキヤビテイ内に樹脂
液を注入することにより良好な成形品が得られる
ので、特別の注形装置を利用する必要は無かつ
た。

しかし最近は、すぐれた性能を有する多種類の
合成樹脂が開発されたこともあつて注形法が多方
面で利用されるようになり、注形すべき製品の形
状も複雑なものが多くなり、従来のように単にキ
ヤビテイーに樹脂液を注入するのみでは良好な注
形品を得ることが困難となつて来た。

例えば、ミシンや家電製品のハウジング類には
第２図に示す如き断面形状の製品が多くあり、従
来このような形状の部品の注形は、第３図に示す
如く、下型２に樹脂液を注入後その上に上型３を
重ね合せ過剰の樹脂液をパーテイング隙間から流
出させて成形する方法が採られていたが、この注
形法によると下型２と上型３を重ね合せる際に樹
脂液中に空気が混入して成形品中に気泡が多く混
入したり、或は上型３のキヤビテイー内に樹脂液
が良く充填されなかつたりする欠点があつた。

従つて各種形状の製品を注形法によつて良好に
成形するためには、注形装置を利用することが必
要となり、第４図に示す如き注形装置が最近利用
されるようになつた。

この注形装置は、樹脂液溜め４、注形型５、真
空ポンプ６より成り、真空ポンプ６の作動により
樹脂液溜め４に貯蔵された樹脂液を吸引し、キヤ
ビテイー７内に樹脂液を充填するが、この場合も
樹脂液の吸引時に樹脂液内に空気が混入して成形
品中に気泡が混入したり、型の形状によつては型
の細部への樹脂液の充填が不十分となつたりする
欠点があり、特に樹脂液の硬化速度が速く急速に
樹脂液の吸引を行つた場合にはこのような欠点を
生じ易い。

前記欠点は型の設計に当たり、ゲイト部の配置
やガス抜き部の設置について検討することにより
解決し得るが、多種類の樹脂を利用し様々な形状
の製品を成形する多品種少量生産においては、製
品個々について十分なる検討を行い得ないので、
前記注形装置を用いて良好な成形品を得ることは
なかなか困難であつた。

また前記注形装置には、樹脂液溜め４とゲイト
８とを接続する連続管９内で樹脂液が硬化し詰り
を生じ易い欠点もあり、従つて樹脂液の洗浄装置
を別個に設ける必要がある。

本考案は前記家したような現状に鑑みて、多種
類の樹脂を利用し様々な形状の製品の成形を行う
多品種少量生産に良く適合した簡便なる注形装置
を開発すべく鋭意検討した結果、本考案を開発し
た。

（構成） 本考案は、注形型を収容可能で且つ密封可能な
減圧箱と、該減圧箱に吸気用管を介して接続し減
圧箱を真空排気せしめる真空ポンプと、前記減圧
箱に圧搾空気導入用管を介して接続し減圧箱内を
加圧せしめるコンプレツサーと、前記注形型のゲ
ート上端に接続され、該ゲート下方に接続された
キヤビテイーの内気排出口を兼ねた樹脂液注入ポ
ツトから成る合成樹脂の注形装置であり、更に詳
しくは以下の実施例の説明の如くである。

即ち、第５図は本考案の実施例を示す断面図
で、１０は減圧箱、１１は注形型、１２はキヤビ
テイー、１３はゲート、１４は樹脂液注入ポツ
ト、１５は真空ポンプ、１６はコンプレツサー、
１７は吸気用管、１８は圧搾空気導入用管、１９
及び２０は三方向の開閉弁であり、以下この装置
を利用しての注形操作について説明する。

先ずゲート１３上端に樹脂液注入ポツト１４を
接続した注形型１１を減圧箱１０に収容し、樹脂
液を樹脂液供給ポツト１４から所定量供給した後
に減圧箱を密封し、真空ポンプ１５の作動により
減圧箱内の真空排気を行ない、キヤビテイー１２
内の空気をゲート１３及び樹脂液供給ポツト１４
を通じて完全に排出する。

尚、前記ポツト１４は図示の如く注形型１１上
の突出しても良く、或は注形型１１内に没入した
形式でも良い。

続いてキヤビテイー内空気の排出が完全に終了
した時点で真空ポンプ１５の作動を停止し、開閉
弁２０を開いて３〜５Kg／cm²程度の圧力の圧搾空
気を減圧箱内に導入し数分間程度加圧することに
より樹脂液をキヤビテイー内に良く充填し、注形
操作を終了する。

尚、樹脂液注入ポツト１４は、型内空気の排出
口を兼ねるため、真空排気に際しての空気の膨張
に伴つて樹脂液が溢出するのを防ぐに十分な容積
であることが必要である。

このため、樹脂液注入ポツトは、型と一体とし
ては形成せず、実施例に示す如く、底なしコツプ
収容器を利用すると、型の形状、樹脂液の特性、
真空排気速度等の種々の注形条件によつて変化す
る樹脂液の膨張度合に対応して、樹脂液注入ポツ
トの容積を自由に変化させ得るので好都合であ
る。

（効果） 本考案の注形装置の特徴は、装置が極めて簡便
で安価なものであり、多種類の樹脂を利用しての
様々な形状の製品を注形する多品種少量生産に良
く適合し、更には簡単な操作によつて、従来良好
なる注形品を得ることがなかなか困難であつたよ
うな形状の製品においても、良好なる注形品を容
易に得ることが出来ることである。

本考案の注形装置を利用すると、型内空気を急
速且つ完全に真空排気することが可能であるた
め、後の加工によつて樹脂液は型の細部に迄良く
真空充填され、しかも樹脂液中に空気が混入する
ことも無いので、成形品中に気泡が混入すること
が全く無い。

また本考案の注形装置を利用すると、樹脂液が
型の細部に迄良く充填され、しかも気泡の混入の
無い良好な成形品を容易に得ることが出来るの
で、前記した従来利用されていた真空吸引による
注形の場合のように、型の設計に当つて、ゲート
部の配置やガス抜き部の設置について種々検討す
る必要が全く無く、型の設計や製作が容易である
と共に成形後の仕上げも容易となる。

更に本考案の注形装置には、樹脂液の供給を行
うための管、コツク等は一切利用していないの
で、樹脂液が管内で詰りを生じることもなく、装
置の管理が容易である等、多くの利点を有する。

【図面の簡単な説明】

第１図〜第４図は従来例を示す断面図、第５図
は本考案の実施例を示す断面図である。 図中、１０は減圧箱、１１は注形型、１４は樹
脂液注入ポツト、１５は真空ポンプ、１６はコン
プレツサーである。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 製品形状キヤビテイー長手方向上端部より樹脂
   を注入するよう配設した注形型を収容可能で且つ
   少なくとも内圧が3Torr以下に減圧可能な減圧箱
   と、該減圧箱に吸気用管を介し減圧箱を注入樹脂
   の反応硬化速度に対し十分急速な減圧速度を持つ
   真空ポンプと、前記減圧箱に圧搾空気導入管を介
   して接続し少なくとも減圧箱内を１気圧以上に加
   圧可能なコンプレツサーと、前記注形型のゲート
   上端に接続され該ゲート下方に接続されたキヤビ
   テイーの内気排出口を兼ね樹脂液の注入と排気と
   を同時に円滑に行う広口の樹脂液注入ポツトとか
   ら成る合成樹脂の注形装置。