JPH0234252B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 （産業上の利用分野） 本発明はポンチとの間で金属板などをプレス成
形するダイスのうち、特に成形部としてのキヤビ
テイ内にシリーコーン等の高粘性物質を充填・密
封したものに関する。

（従来の技術） 一般に金属板を所定形状に成形するには一対の
金型間にて金属板を加圧する手段が用いられてい
る。しかしながら、深絞り形状の製品を得るには
凸型・凹型のいずれをも高精度に製作しなくては
ならず、また高精度に製作できたとしても金属板
の厚みのバラツキ等により、成形時に亀裂、シワ
等が発生する。

このため、特公昭36−20010号の如く、ダイス
内に液を充填し、或いは特公昭55−21603号の如
くバツグ内に液を充填し、この液圧を利用して複
雑形状の製品を成形する方法が知られている。

（発明が解決しようとする問題点） 上述した特公昭36−20010号に示される液圧成
形法にあつては、液圧のコントロールが極めて困
難であるとともに、シートとダイスとの間から液
体が漏れるおそれがあり、且つシートの耐久性に
も問題がある。また特公昭55−21603号に示され
る液圧バルジ成形法にあつては、上記の不具合の
他に、プレツシヤバツグの形状を成形部内周面に
合せた形状とし、このプレツシヤバツグに液体を
作用させて被加工物を成形するものであるため、
成形品の形状毎に専用のプレツシヤバツグを用意
しなければならず、製作が面倒で汎用性がなく、
且つ成形部の分割面の割れ目等にバツグの一部が
食い込むことなどがあり、損傷するおそれもあ
る。

（問題点を解決するための手段） 上記問題点を解決するため本発明は、プレス成
形用のダイスのキヤビテイ内にシリコーン等のダ
イラタンシー性を有する高粘性物質を充填し、こ
の高粘性物質の背圧を利用して被加工物を絞り成
形することで、複雑形状であつても亀裂・シワ等
のない成形品を得られるようにし、更に前記キヤ
ビテイの開口を覆つてキヤビテイ内に高粘性物質
を密封するプレツシヤシートを２枚の可撓性シー
トにて構成することで耐久性を向上せしめ、更に
該プレツシヤシートの取付けはプレシヤシートの
周縁部に形成した厚肉部をダイス及びダイフエー
スプレートに形成した凹溝内に嵌め込むようにし
て挟持し、高粘性物質の漏れを確実に防ぐように
した。

（実施例） 以下に本発明の実施例を添付図面に基づいて説
明する。

第１図は本発明に係るダイスを適用したプレス
成形機の縦断面図であり、プレス成形機１の可動
ダイベース２下面にはダイス３を取付けている。
ダイス３には下方に開口するキヤビテイ４（成形
部）が形成され、キヤビテイ４内には排出管５の
一端、圧力計６の一端及び成形圧微調整用のロツ
ド７の一端がそれぞれ臨むとともに、キヤビテイ
４内には高粘性物質８が充填されている。この高
粘性物質８は急激な外力の作用によつて流動性を
失い、外力を小さくすることで再び流動性を回復
するというダイラタンシー性を有するものとし、
例えば二液形シリコーン或いは塩化ビニルシーラ
ント等を用いる。

また、キヤビテイ４の下方への開口部４ａはダ
イス３下面とダイフエースプレート９上面との間
で挟持されるプレツシヤシート１０にて閉塞さ
れ、高粘性物質８をキヤビテイ４内に密封してい
る。このプレツシヤシート１０は第３図にも示す
如く例えば５mm厚の２枚のウレタンシート１０
ａ，１０ａを重ね合せてなり、重ね合せた状態で
プレツシヤシート１０の周縁部には厚肉部１１が
形成され、この厚肉部１１には更に突部１２，１
２が形成される。

一方、ダイフエースプレート９は第２図の平面
図に示す如く、板状をなし、その中央部にはキヤ
ビテイ４の開口部４ａに倣つた形状の開口部９ａ
が形成され、この開口部９ａよりも外側部分に環
状の凹溝９ｂが形成される。また前記ダイス３の
キヤビテイ開口部周縁部にも、凹溝９ｂと対向す
る凹溝３ｂが形成される。

而して、プレツシヤシート１０をダイス３に固
着するには、プレツシヤシート１０の厚肉部１１
を前記凹溝３ｂ，９ｂ内に嵌め込みようにしてダ
イフエースプレート９をダイス３下面に下方から
当て、ボルト等によつてダイフエースプレート９
をダイス３に取付けることにより行う。そして、
このようにダイス３及びダイフエースプレート９
の凹溝３ｂ，９ｂ内にてプレツシヤシート１０の
厚肉部の突部１１，１２を第４図に示すように圧
潰する如く挟持することで、後述するプレス成形
の際にキヤビテイ４内の高粘性物質８が漏出する
ことがなく、またプレツシヤシート１０が内方に
引つ張られても強固に保持されるため外れること
がない。

一方、成形機１の固定ダイベース１３にはポン
チ１４が取付けられ、ポンチ１４の上半部の表面
形状は目的とする製品形状となつている。そし
て、ポンチ１４の周囲にはブランクホルダー１５
が設けられ、このブランクホルダー１５は図示し
ないスプリングによつて上方に付勢されるロツド
１６，１６の上端部に支持され、このブランクホ
ルダー１５の上面には前記ダイフエースプレート
９とその外形形状を略同じくするダイフエースプ
レート１７が固着されている。このダイフエース
プレート１７は成形前の金属板などの被加工物Ｗ
を載置するとともに、成形時には前記ダイフエー
スプレート９との間で被加工物Ｗの周縁部を挟持
するためのものである。

以上の如き構成のプレス成形機１を用いて被加
工物Ｗをプレス成形する場合について述べる。

先ず、プレス成形を行うには、予め最終成形圧
を設定しておく必要があるため、被加工物Ｗをダ
イフエースプレート１７上に載置しない状態で、
ダイス３を下死点まで下降せしめ、この下降中に
ポンチ１４がキヤビテイ内に進入してキヤビテイ
４内の圧が上昇するが、排出管５のバルブ１８を
開閉してキヤビテイ４内の高粘性物質８の一部を
外部に排出するとともに、微調整用のロツド７を
キヤビテイ４内に進退せしめて下死点におけるキ
ヤビテイ４内の圧、つまり最終成形圧力を設定し
ておく、 而る後、第１図の状態から可動ダイベース２を
下降せしめ、ポンチ１４をダイス３のキヤビテイ
４内に相対的に進入せしめる。すると、ダイフエ
ースプレート９下面とダイフエースプレート１７
上面との間で被加工物Ｗの周縁部が保持され、且
つブランクホルダー１５はスプリング等によつて
上方へ付勢されるロツド１６，１６上端にて支持
されているので、スプリングの弾発力に抗して被
加工物Ｗはダイフエースプレート９，１７間に挟
持されたまま下際する。そして、この下降に伴つ
て、ポンチ１４の上端部は被加工物Ｗを成形しつ
つプレツシヤシート９を介してキヤビテイ４内に
相対的に進入する。その結果、高粘性物質８はポ
ンチ１４の上端部の形状に倣つて変形し、最終的
には第５図に示す如く被加工物Ｗはポンチ１４と
プレツシヤシート９との間で加圧成形、つまり高
粘性物質８の背圧によて成形せしめられる。

而る後、成形後の被加工物Ｗをポンチ１４上に
残し、可動ダイベース２を上昇せしめ、完全にダ
イス３が被加工物Ｗから離れたならば図示しない
シリンダユニツト等を作動せしめ、ロツド１６，
１６を上方へ付勢しているスプリングの弾発力を
作動させてブランクホルダー１５を上昇せしめ、
被加工物Ｗをポンチ１４から離し、この後被加工
物Ｗを成形機１から払い出す。

尚、図示例にあつては可動ダイベース２にダイ
３を、固定ダイベース１３にポンチ１４を取付け
たが、いずれに取付けるかは任意である。

また、図示例にあつてはキヤビテイ内に高粘性
物質８を隙間なく充填してが、空間部を残して充
填してもよい。この場合は空間部の空気を一部抜
くことで最終成形圧を設定することとなる。

（発明の効果） 以上に説明した如く本発明にあつては、ポンチ
との間で金属板等を絞り成形するダイスのキヤビ
テイ（成形部）内にシリコーン等のダイラタンシ
ー性を有する高粘性物質を充填し、この高粘性物
質の背圧を利用して成形するようにしたので、先
ず液圧成形に比べ、深絞り形状の製品であつても
亀裂・シワの無いものが得られ、且つ該高粘性物
質を密封するプレツシヤシートとしてウレタンシ
ート等の可撓性を２枚重ね合せたものを用いたた
め、耐久性に優れ、更にプレツシヤシートの取付
けはプレツシヤシートの周縁部に形成した厚肉部
をダイスとダイフエースプレートに形成した凹溝
内に嵌め込むようにしたので、成形時にプレツシ
ヤシートが外れることなく且つ高粘性物質の漏出
も確実に防止でき、またプレツシヤシートは平板
状であるため、製品の形状に左右されることな
く、汎用性に優れる等多くの効果を発揮する。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明に係るダイスを適用したプレス
成形機の縦断面図、第２図はダイフエースプレー
トの平面図、第３図はプレツシヤシートの一部拡
大断面図、第４図はプレツシヤシートの取付部の
格段断面図、第５図は成形終了時のプレス成形機
の縦断面図である。 尚、図面中１はプレス成形機、２は可撓ダイベ
ース、３はダイス、３ｂ，９ｂは凹溝、４はキヤ
ビテイ、４ａはキヤビテイ開口部、９はダイフエ
ースプレート、１０はプレツシヤシート、１０ａ
は可撓性シート、１１は厚肉部、１３は固定ダイ
ベース、１４はポンチ、１５はブランクホルダ
ー、Ｗは被加工物である。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. １ ポンチとの間で金属板等の被加工物を絞り成
   形するダイスにおいて、このダイスはポンチと対
   向する面が開口したキヤビテイを有し、このキヤ
   ビテイ内にはシリコーン又は塩化ビニルシーラン
   ト等の高粘性物質が充填され、キヤビテイ開口は
   該高粘性物質をキヤビテイ内に密封する２枚の可
   撓性シートからなるプレツシヤシートにて閉塞さ
   れ、このプレツシヤシートは周縁部に形成した厚
   肉部がダイス及びダイフエースプレートに形成し
   た凹溝に嵌め込まれるようにして挟持されている
   ことを特徴とするプレス成形用ダイス。