JPH0233879B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 Ａ 発明の目的 (1) 産業上の利用分野 本発明は、モータ駆動によるポンプ装置、特に
自動車及び自動二輪車等の燃料ポンプとして好適
に用いられるポンプ装置に関する。

(2) 従来の技術 従来、かかるポンプ装置として典型的なもの
は、所謂ブラシモータによつてベーンポンプ等の
回転ポンプを駆動するようにしている。

(3) 発明が解決しようとする課題 ところがそのような従来装置では、モータの出
力軸に回転ポンプを連結するに当り、モータ及び
回転ポンプをその出力軸の軸線方向に並設しなけ
ればならず、ポンプ装置全体が必然的に大型化す
るという問題がある。

本発明は、かかる問題がなく、しかもモータ回
転子の永久磁石の径方向内側に大きなデツドスペ
ースを生じさせずとも該回転子の有効径をポンプ
ロータ外径に比べ著しく大きく設定できるように
してポンプの駆動トルクを充分に確保し得る、コ
ンパクトなポンプ装置を提供することを目的とす
る。

Ｂ 発明の構成 (1) 課題を解決するための手段 上記目的を達成するために本発明によれば、回
転ポンプと、これを駆動するブラシレスモータと
を互いに同心状に配設したポンプ装置であつて、
前記回転ポンプは、ポンプ室を形成するための有
底穴、及び該穴の底部に突設された支軸を有する
ハウジングと、外歯を有し前記支軸に回転自在に
支承されるインナロータと、前記支軸の軸線とは
偏心した内周に前記外歯と噛合する内歯を有し前
記有底穴に回転自在に嵌挿されるアウタロータと
を備え、前記ブラシレスモータは、前記支軸と同
心状にアウタロータの外周を囲繞してハウジング
に固定され周方向に間隔をあけて複数相のコイル
が巻装されて成る固定子と、この固定子の外周を
囲繞する永久磁石、及び該永久磁石を前記アウタ
ロータに一体的に連結すべく前記固定子の一側に
隣接配置された板状の連結部を有する回転子と、
前記永久磁石の磁極位置に応じて前記各コイルに
駆動電流を分配する駆動回路とを備える。

(2) 作用 支軸を中心にしてその径方向外側に回転ポン
プ、またその径方向外側にブラシレスモータの固
定子、更にその径方向外側に回定子の永久磁石が
順次同心状に配置されるから、これら部材相互を
回転軸線回りに重合させることができる。

しかも上記配置によれば、ポンプのアウタロー
タの外径に比べて永久磁石の径、即ちモータ回転
子の有効径を相対的に著しく大きく設定すること
ができるから、回転ポンプの大きさに比べてモー
タのポンプ駆動力を十分に確保することができ
る。その上、上記のようにモータ固定子の有効径
を大きくしても、その回転子の永久磁石の径方向
内側空間はモータの固定子及び回転ポンプの設置
空間として有効に利用される。

(3) 実施例 以下、図面により本発明の一実施例について説
明すると、第１図及び第２図において、このポン
プ装置１は、回転ポンプ２とブラシレスモータ３
とから構成され、ブラシレスモータ３は回転ポン
プ２を囲繞するようにして配設される。

回転ポンプ２は、有底穴４及び該穴４の底部に
突設された支軸５を有するハウジング６と、支軸
５に回転自在に支承されるインナロータ７と、有
底穴４に回転自在に嵌挿され、インナロータ７に
噛合するアウタロータ８とを備える。ハウジング
６は円柱部９と、該円柱部９の途中で、半径方向
外方に張出した鍔部１０と、該鍔部１０の外端に
連結され円柱部９の軸方向一端側に同心に延出さ
れる円筒状収納部１１と、該収納部１１の途中で
半径方向外方に張出したフランジ部１２とから成
る。円柱部９の軸方向一端側には有底穴４が同心
に穿設されており、この有底穴４の底部には支軸
５が同心に突設される。

支軸５には外周に外歯１３を備えるインナロー
タ７が、支軸５の全長に対応して厚みを有して回
転自在に支承される。一方有底穴４には、インナ
ロータ７を囲繞するようにしてインナロータ７と
等しい厚みを有するアウタロータ８が回転自在に
嵌挿される。このアウタロータ８は支軸５の軸線
とは偏心した内周面を備えており、この内周面に
は前記インナロータ７の外歯１３に噛合する内歯
１４が設けられる。これにより、インナロータ７
及びアウタロータ８間にポンプ室１５が形成され
る。

円柱部９には、ポンプ室１５に連通し得る吸入
路１６及び吐出路１７がそれぞれ穿設されてお
り、吸入路１６及び吐出路１７間を結んで連通路
１８が円柱部９に穿設され、該連通路１８の途中
には吐出路１７から吸入路１への流体の流通のみ
を許容するリリーフ弁１９が介装される。また円
柱部９には、吸入路１６に連通する吸入管２０、
及び吐出路１７に連通する吐出管２１がそれぞれ
接続される。

ブラシレスモータ３は、アウタロータ８を囲繞
してハウジング６に固定される固定子２２と、前
記有底穴４の開放端を摺接して塞ぎアウタロータ
８に固定される回転子２３と、固定子２２のコイ
ル２４に駆動電流を分配する駆動回路２５とから
成る。

固定子２２は基本的にリング状に構成されてお
り、円柱部９の外周面に固定される。この固定子
２２には、周方向に等間隔ををあけた位置に複数
相（この実施例では２相４極）のコイル２４が巻
装される。

回転子２３は、前記有底穴４の開放端を塞いで
円柱部９の端面に摺接する回転板２６と、この回
転板２６に接合される連結板２８とより構成され
る。この連結板２８は、薄肉の板材より全体とし
て有底円筒状に形成されるものであつて、即ち固
定子２２を同心状に囲繞する円筒状部２８ｂと、
その円筒状部２８ｂの一端に一体に連設されて固
定子２２の一側に隣接する連結部２８ａとより構
成され、その連結部２８ａと回転板２６との接合
面間がビス２９により結着される。また前記円筒
状部２８ｂの内周面には、固定子２２を囲繞する
リング状永久磁石３０が一体的に嵌着される。し
かも回転板２６には有底穴４の内面に摺接する円
筒状支持部３１が一体的に突設されており、この
支持部３１はアウタロータ８にその外周面と面一
に固着される。したがつてアウタロータ８は回転
子２３と一体的に回転動作する。また回転板２６
の中心には、連結板２８の連結部２８ａの中心を
貫通して支持部３１と反対側に突出する半球状突
起３２が突設される。

ここで、固定子２２の軸線方向に沿う中心位置
ｌと、回転子２３に固定された永久磁石３０の軸
線方向に沿う中心位置ｍとは相互にずらされる。
詳述すると、永久磁石３０の中心位置ｍが固定子
２２の中心位置ｌよりも、支軸５の遊端側に位置
するように、永久磁石３０及び固定子２２の相対
位置が設定される。こうすれば、永久磁石３０に
は固定子２２に近接する方向の磁力が作用するの
で、永久磁石３０すなわち回転子２３には、支軸
５の軸線に沿つて該支軸５の基端側に向かう力が
作用する。

駆動回路２５は、リング状の基板３３に設けら
れており、基板３３は駆動回路２５を鍔部１０側
にして、円柱部９と収納部１１との間の環状収納
室３４に嵌着される。しかも基板３３は、円柱部
９に固定される固定子２２により収納室３４の底
部側に押付けられており、流体が駆動回路２５側
に侵入するのを防止するために、基板３３、なら
びに円柱部９及び収納部１１間にはリング状シー
ル部材３５，３６がそれぞれ介装される。この駆
動回路２５は、永久磁石３０の磁極位置を検出す
る手段たとえばホール素子（図示せず）を備えて
おり、その磁極位置に応じて各コイル２４を励磁
する機能を有する。

ブラシレスモータ３を覆うようにして帽状カバ
ー３７がハウジング６の収納部１１にリング状シ
ール部材３８を介して嵌挿され、フランジ部１２
に、図示しないボルトなどにより一体的に結合さ
れる。この結合状態において、カバー３７は回転
子２３の突起３２に当接して回転子２３の軸方向
移動を阻止する。

次にこの実施例の作用について説明すると、駆
動回路２５によつて各コイル２４を周方向に順次
励磁することにより、回転子２３に回転力が与え
られ、この回転子２３とアウタロータ８とが一体
的に回転動作することにより、回転ポンプ２がポ
ンプ動作を行なう。その結果、流体たとえば燃料
が吸入管２０からポンプ室１５内に吸入され、吐
出管２１から連続的に吐出される。

このようなポンプ装置１において、回転ポンプ
２はブラシレスモータ３によつて囲繞されるよう
に配設されるので、回転軸６の軸線に沿うポンプ
装置１の厚みを極力薄くして小型化することが可
能となる。しかも、アウタロータ８の直径に比べ
て回転子２３の直径が大きく設定されるので、ア
ウタロータ８に対する作動トルクが大となり、回
転ポンプ２の大きさに比して吐出流量、吐出圧と
もに大きく設定することが可能となる。また、回
転ポンプ２はブラシレスモータ３で駆動されるの
で、従来のブラシモータを用いたときのようなト
ルクダウンや、耐久性の劣化及び火花による電装
機器への悪影響を防止することができる。

さらに永久磁石３０の中心位置ｍが固定子２２
の中心位置ｌよりも支軸５の遊端側にずらされて
いるので、永久磁石３０すなわち回転子２３は支
軸５の基端側に向けて付勢されており、したがつ
てポンプ運転時に回転子２３が軸線方向に微動す
ることが防止され、アウタロータ８の微動により
脈動吐出などの悪影響が生じるものを防止するこ
とができる。

本発明のポンプ装置は自動車及び自動二輪車等
の燃料ポンプとしてだけでなく、他の流体圧送用
のポンプとして広く実施され得る。

Ｃ 発明の効果 以上のように本発明によれば、回転ポンプと、
これを駆動するブラシレスモータとを互いに同心
状に配設したポンプ装置であつて、前記回転ポン
プは、ポンプ室を形成するための有底穴、及び該
穴の底部に突設された支軸を有するハウジング
と、外歯を有し前記支軸に回転自在に支承される
インナロータと、前記支軸の軸線とは偏心した内
周に前記外歯と噛合する内歯を有し前記有底穴に
回転自在に嵌挿されるアウタロータとを備え、前
記ブラシレスモータは、前記支軸と同心状にアウ
タロータの外周を囲繞してハウジングに固定され
周方向に間隔をあけて複数相のコイルが巻装され
て成る固定子と、この固定子の外周を囲繞する永
久磁石、及び該永久磁石を前記アウタロータに一
体的に連結すべく前記固定子の一側に隣接配置さ
れた板状の連結部を有する回転子と、前記永久磁
石の磁極位置に応じて前記各コイルに駆動電流を
分配する駆動回路とを備えるので、前記支軸を中
心にしてその径方向外側に回転ポンプ、またその
径方向外側にブラシレスモータの固定子、更にそ
の径方向外側に回転子の永久磁石を順次同心状に
配置することができて、これら部材相互を回転軸
線回りに重合させることができ、従つてその軸線
方向にポンプ装置全体を小型化する上で極めて有
利である。

しかもモータ回転子の永久磁石が固定子を介し
てポンプのアウタロータを囲繞する配置であるこ
とから、そのアウタロータの外径に比べて永久磁
石の径、即ちモータ回転子の有効径を相対的に著
しく大きく設定でき、従つて回転ポンプの大きさ
に比べてモータのポンプ駆動力を十分に確保する
ことができて、モータの吐出量及び吐出圧を高め
る上で有利であり、その上、上記のようにモータ
回転子の有効径を大きくしても、その回転子の永
久磁石の径方向内側空間はモータの固定子及び回
転ポンプの設置空間として有効に利用されるか
ら、そこに大きなデツドスペースが生じる虞れは
ない。またモータ回転子の永久磁石とポンプのア
ウタロータとの間を連結する連結部は、板状に形
成されてモータ固定子の一側に隣接配置されるか
ら、該連結部がモータ固定子に対してモータ軸線
方向に並列するも同方向のモータの寸法増を僅少
に留めることができる。

【図面の簡単な説明】

図面は本発明の一実施例を示すものであり、第
１図は縦断側面図、第２図は第１図の−線断
面図である。 １…ポンプ装置、２…回転ポンプ、３…ブラシ
レスモータ、４…有底穴、５…支軸、６…ハウジ
ング、７…インナロータ、８…アウタロータ、１
３…外歯、１４…内歯、１５…ポンプ室、２２…
固定子、２３…回転子、２４…コイル、２５…駆
動回路、２８ａ…連結部、３０…永久磁石。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ 回転ポンプ２と、これを駆動するブラシレス
   モータ３とを互いに同心状に配設したポンプ装置
   であつて、前記回転ポンプ２は、ポンプ室１５を
   形成するための有底穴４、及び該穴４の底部に突
   設された支軸５を有するハウジング６と、外歯１
   ３を有し前記支軸５に回転自在に支承されるイン
   ナロータ７と、前記支軸５の軸線とは偏心した内
   周に前記外歯１３と噛合する内歯１４を有し前記
   有底穴４に回転自在に嵌挿されるアウタロータ８
   とを備え、前記ブラシレスモータ３は、前記支軸
   ５と同心状にアウタロータ８の外周を囲繞してハ
   ウジング６に固定され周方向に間隔をあけて複数
   相のコイル２４が巻装されて成る固定子２２と、
   その固定子２２の外周を囲繞する永久磁石３０、
   及び該永久磁石３０を前記アウタロータ８に一体
   的に連結すべく前記固定子２２の一側に隣接配置
   した板状の連結部２８ａを有する回転子２３と、
   前記永久磁石３０の磁極位置に応じて前記各コイ
   ル２４に駆動電流を分配する駆動回路２５とを備
   えたことを特徴とする、ポンプ装置。 ２ 前記固定子２２及び永久磁石３０は、それら
   の軸線方向に沿う中心位置を相互にずらせて配置
   される、特許請求の範囲第１項記載のポンプ装
   置。