JPH0232343B2 - - Google Patents

Info

Publication number
JPH0232343B2
JPH0232343B2 JP59021389A JP2138984A JPH0232343B2 JP H0232343 B2 JPH0232343 B2 JP H0232343B2 JP 59021389 A JP59021389 A JP 59021389A JP 2138984 A JP2138984 A JP 2138984A JP H0232343 B2 JPH0232343 B2 JP H0232343B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
steel
corrosion
ferrite
amount
resistance
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Lifetime
Application number
JP59021389A
Other languages
English (en)
Other versions
JPS60165363A (ja
Inventor
Akira Yoshitake
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Kubota Corp
Original Assignee
Kubota Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Kubota Corp filed Critical Kubota Corp
Priority to JP2138984A priority Critical patent/JPS60165363A/ja
Priority to CA000473261A priority patent/CA1242095A/en
Priority to EP85101255A priority patent/EP0151487B1/en
Priority to DE8585101255T priority patent/DE3561162D1/de
Publication of JPS60165363A publication Critical patent/JPS60165363A/ja
Publication of JPH0232343B2 publication Critical patent/JPH0232343B2/ja
Priority to US07/622,401 priority patent/US5238508A/en
Granted legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Heat Treatment Of Steel (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
本発明は二相ステンレス鋼に関し、特に塩化
物、炭酸ガス等を含む腐食環境での応力腐食割
れ、孔食などの腐食に対する抵抗性を高め、かつ
強度、延性などの機械的性質を改善したものであ
る。 耐食材料として、SUS304鋼などのオーステナ
イト系ステンレス鋼、あるいはSUS329J1、
SCS13A、SCS14A、SFSA(Steel
Founders′ Society of America)CD−4MCuな
どのフエライトとオーステナイトの2相組織を有
するステンレス鋼等が使用されている。 SUS304鋼等のオーステナイト系ステンレス鋼
は主合金成分であるCrとNiによりすぐれた耐食
性を示すが、塩素イオン(Cl-)を含む環境では
応力腐食割れの生じ易いことが大きな欠点であ
り、孔食やすきま腐食などの局部的腐食に対する
抵抗性も非常に弱い。 一方、フエライト相とオーステナイト相の2相
組織を有するものは、一般耐食性にすぐれるほ
か、2相の特性が相まつて適度の強度と靭性を兼
備し、かつ比較的良好な溶接性を有することか
ら、近年各種化学工業プラント、海水機器材料等
として広く使用されている。しかしながら、これ
らの材料も、苛酷な腐食環境下、就中塩素イオン
の増加、炭酸ガスや硫化水素ガスの存在下では、
耐孔食性、耐すきま腐食性などが不足し、しばし
ば腐食損傷を引起すことが知られており、また応
力腐食割れや硫化物腐食割れに対する抵抗性も十
分でなく、早期に破壊に到る例も少くない。例え
ば、石油・天然ガス油井においては、エネルギー
確保のため、より劣悪な環境での採堀を余儀なく
されており、ことに井戸の深度が深くなるにつ
れ、塩素イオン、炭酸ガス、硫化水素ガス等の腐
食因子の増大や、温度、圧力の上昇を伴い、また
油井を回復するために炭酸ガス、海水等を井戸に
圧入することも行なわれる等、使用環境の苛酷化
が著しい。従来の材料では、このような使用還境
に耐え得ず、構造材料としての安定性や十分な耐
用命数は保証し難い。 本発明は上記に鑑みてなされたものであり、高
温・高圧(例えば、300℃、6000psi)における腐
食環境、とくに塩化物、炭酸ガス、あるいは硫化
水素ガスを含む環境下で、耐孔食性、耐応力腐食
割れ性、耐硫化水素割れ性等にすぐれ、かつ高強
度、高延性を有するフエライト―オーステナイト
二相ステンレス鋼を提供する。 本発明の二相ステンレス鋼は、C:0.08%以
下、Si:0.2〜2.0%、Mn:0.2〜2.0%、Cr:19.0
%以上、24.0%未満、Ni:3.0〜8.0%、Mo:1.0
〜5.0%、Cu:0.5〜3.0%、Co:0.2〜4.0%、N:
0.05〜0.3%、残部実質的にFeからなり(成分含
有量は重量%)、かつ金属組織におけるδ―フエ
ライト相は面積率で30〜70%を占める。 本発明鋼の成分限定理由は次のとおりである。 C:0.08%以下 Cはオーステナイト生成元素であり、かつ強度
の向上に著効を有するが、含有量が多すぎると、
クロム炭化物が析出し易くなり、炭化物近傍にお
けるCr濃度が減少する結果、孔食、すきま腐食、
粒界腐食等の局部腐食に対する抵抗性が低下し、
かつ耐応力腐食割れ性の劣化をみる。このため、
0.08%を上限とする。 Si:0.2〜2.0% Siは溶鋼の脱酸および鋳造性確保のため、少く
とも2.0%を必要とする。しかし、多量の含有は
靭性を悪くし、かつ溶接性をも損うので、2.0%
を上限とする。 Mn:0.2〜2.0% Mnは通常の脱酸・脱硫過程で、0.2%程度含有
されるもので、また鋼素地のオーステナイト相の
安定化に有効な元素である。このための含有量は
2%までで十分であり、それをこえる必要はな
い。よつて、0.2〜2.0%とする。 Cr:19.0%以上、24.0%未満 Crは耐食性、特に耐粒界腐食性の改善に著効
を有するとともに、耐応力腐食割れ性向上に寄与
する。また、Crはフエライト生成元素であり、
2相組織におけるフエライト相の形成により強度
を高める。本発明鋼では後記Ni量との相関々係
で、19.0%以上のCrを含有しないと、所要のフエ
ライト量(面積率で30%以上)を確保しがたい。
よつて、耐食性とフエライト量の点から、Cr量
の下限を19.0%とする。 一方、Cr量があまり多くなると、鋼の靭性の
著しい低下を生じ、かつ鋳造時に硬脆なσ相が生
成する。更に、Ni量との相関々係からフエライ
ト量が70%を越え、2相組織におけるオーステナ
イト相とのバランスを失し、耐食性、就中孔食、
すきま腐食に対する抵抗性を損う。このため、
Cr量は24.0%未満とする。 Ni:3.0〜8.0% Niはオーステナイト相を安定化する元素であ
り、鋼の靭性の向上をもたらす。また、耐食性の
点からも必要な元素である。含有量が3.0%に満
たないと、これらの効果が不足する。前記Cr量
との関係から、フエライト量を70%以下にするた
めにも3.0%以上の含有を必要とする。 しかし、Niを多量に加えても、含有量の割に
耐食性、機械的性質の向上効果は少く経済的に不
利であるばかりか、二相組織におけるオーステナ
イト相が過剰になつて二相の量的バランスを失
う。従つて、Ni量は8.0%を上限とする。なお、
後記Co もNiと同じくオーステナイト生成元素
であるので、Coのオーステナイト生成の寄与を
考慮してフエライト量の下限(30%)を確保する
ためにも、Ni量は8.0%をこえないことを要する。 Mo:1.0〜5.0% Moはステンレス鋼の耐食性の改善に大きな効
果を有する。ことに、孔食、すきま腐食抵抗性の
改善に著効を奏する。1.0%以上において、非酸
化性酸に対する耐食性、また塩化物を含む溶液中
での孔食、粒界腐食および応力腐食割れに対する
抵抗性の顕著な向上をみる。しかし、多量に加え
ると、耐食性の改善効果は飽和し、かつσ相の析
出による鋳造時の脆化が著しくなるので、5.0%
を上限とする。 Cu:0.5〜3.0% Cuは低濃度の塩素イオンを含む環境中での耐
食性、ことに耐応力腐食割れ性を高めるととも
に、オーステナイト相を固溶強化する。これらの
効果を十分なものとするために、少くとも0.5%
の含有を必要とするが、あまり多くなると、金属
間化合物の生成に伴い靭性の低下を惹起するの
で、3.0%を上限とする。 Co:0.2〜4.0% Coは本発明鋼を最も強く特徴づける元素であ
る。CoはNiと同じく置換型オーステナイト生成
元素であるが、Niの場合は、その添加により0.2
%耐力の低下傾向がみられるのに対し、Coの添
加は、それとは逆に0.2%耐力の向上をもたらす
ことが判明した。前記のように厳しい腐食環境下
で、これに耐える腐食抵抗とともに、高い機械的
強度を備えた2相ステンレス鋼が強く要望されて
いるが、Coを従来のFe―Cr―Niベースのステン
レス鋼に添加することによりこの要望を満たす十
分な機械的性質を保証することができる。 また、2相ステンレス鋼へのCoの添加により、
塩素イオンを含む環境、例えば海水中での耐食性
が著しく高められることが明らかになつた。更
に、Coは、基地に固溶したまま、析出物の凝集
を抑制する作用が認められ、従つて、従来の2相
ステンレス鋼の大きな問題点であつたσ相脆性、
475℃脆性、とくに溶接部熱影響部でのこれら析
出物による脆性の緩和に大きく寄与する。なお、
CoはNiと同じくオーステナイト生成元素である
から、本発明に規定するフエライト量(30〜70
%)を確保するためには、Coの添加によるオー
ステナイト相の増量を考慮してNi量を低減する
ことができる。 上記諸効果を発揮させるためのCo含有量は少
くとも0.2%を必要とする。含有量の増加に従つ
てその効果は増大するが、4.0%までの添加によ
り機械的性質、耐食性、ミクロ組織等の十分な改
善効果が得られるので、それをこえて添加する必
要はない。Coは高価な元素であり、それ以上の
添加はコスト的に不利である。よつて、0.2〜4.0
%とする。 N0.05〜0.3% Nは通常有害な不純物元素として扱われるが、
本発明では強度向上および耐食性改善を目的とし
て上記範囲内で添加される。 NはCと同じく強力なオーステナイト生成元素
であり、かつ侵入型固溶元素であるため、鋼基地
の結晶格子に強い格子歪みをもたらし、強度向上
に顕著に寄与する。 また、Nは2相組織において、Cr、Ni、Mo等
の主要元素のフエライト相並びにオーステナイト
相への分配率に影響を与え、ことに耐食性に寄与
する元素Cr、Moなどをオーステナイト相へ高濃
度で分酸することにより2相ステンレス鋼の耐食
性を高める。すなわち、通常2相ステンレス鋼に
おいて、Cr、Mo、Siなどのフエライト生成元素
はフエライト相に、またC、Mn、Niなどのオー
ステナイト生成元素はオーステナイト相にそれぞ
れ高濃度で分配されるが、上記のようにNの存在
によつて耐食性に寄与するCr、Mo等のフエライ
ト生成元素がオーステナイト相へ高濃度に分配さ
れることにより、2相ステンレス鋼の耐食性、就
中すきま腐食や孔食などの局部腐食に対する抵抗
性が高められるわけである。 特に、本発明鋼のように、CrおよびMo濃度が
高く、そのフエライト相/オーステナイト相への
分配率の差が顕著な、言いかえると偏析の度合い
の大きい合金系においては、Nの添加はこれらの
耐食性素をより高濃度でオーステナイト相に分配
しようとする作用を有し、従つてそれによる耐食
性、とくに局部腐食抵抗性の向上も顕著にあらわ
れる。 上記の効果を十分に発揮させるためにN量は少
くとも0.05%を必要とする。N量の増加に伴つて
効果も増すが、0.3%をこえると窒化物として析
出し、却つて耐食性を悪くする。Nは固溶状態に
あつてこそ前記の強度向上および耐食性の改善に
著効を奏するのである。従つて、N量は0.05〜
0.3%とする。 本発明鋼は、上記各成分元素を含有し、残部は
不可避的に混入する不純物元素を除き実質的に
Feからなる。 次に、本発明鋼の組織について説明すると、本
発明鋼は、δ―フエライト量が面積率で30〜70%
を占めるフエライト―オーステナイト2相組織を
有することを特徴とする。第3図にその組織を示
す。この2相の量的バランスによつて、強度と靭
性との調和のとれた機械的性質が確保されるので
あり、フエライト量が30%に満たないと、強度が
不足し、一方70%をこえると、延性、靭性の低下
が著しくなる。 また、2相組織におけるフエライト量は耐食性
とも密接に関連する。すなわち、腐食環境、特に
塩素イオンを含む環境下での応力腐食割れに対す
る抵抗性は、フエライト量30%以上において顕著
な向上をみる。逆に硫化水素(H2S)を含む環境
下では、フエライト量が70%を越えると、フエラ
イト相の硫化物応力腐食割れに対する感受性が増
大するとともに、フエライト相の選択的な孔食、
すきま腐食等を引起し易くなる。従つて、耐食性
の面からもフエライト量は30〜70%に規定され
る。この2相組織における量的バランスは各合金
成分についての前記規定の範囲内で成分組成を調
整することにより達成される。 なお、本発明鋼は鋳造後、常法に従い溶体化処
理が施こされる。その熱処理は、例えば温度1000
〜1200℃に加熱保持したのち、急冷(例えば水
冷)することにより達成される。 実施例 第1表に示す成分組成およびフエライト量を有
する供試鋼について機械的性質測定、溶接試験お
よび各種耐食試験を行つた。 鋼番2〜4、6、7、14および15は本発明例、
鋼番1、5および8〜13は比較例である。比較例
のうち、鋼番10、11は各々JIS G3459 SUS329J1
およびSUS316、鋼番12はJIS G5121 SCS14A、
また鋼番13はSFSA CD−4MCuである。 鋼番1〜9および12〜15は金型遠心鋳造管(外
径135mm、長さ600mm)を供試材とし、鋼番10、11
は市販品を使用した。なお、各供試材はすべて
1100℃で肉厚25mm当り1時間保持したのち水冷す
る熱処理を施した。 〔A〕 機械的性質 (1) 第2表に常温引張性質、硬度およびシヤル
ピー衝撃試験による吸収エネルギーを示す。 本発明例の鋼番2〜4、6、7、14および
15の機械的性質ことに0.2%耐力は、比較例
の鋼番1(N以外の成分組成およびフエライ
ト量は本発明規定範囲内にある)のそれに比
しすぐれている。その上昇の度合いは、フエ
ライト量をほゞ50%の一定とした場合、約
3.3Kg/mm2/0.1%Nに相当する比例的関係に
あることが認められる。この機械的性質の向
上は二相ステンレス鋼におけるN添加の顕著
な効果を示すものである。 鋼番8、9はフエライト量が本発明の規定
範囲(30〜70%)から逸脱する例であり、フ
エライト量の不足する鋼番8(フエライト量
27%)は0.2%耐力が52.3Kg/mm2と低く、一
方フエライト量が過剰(73%)の鋼番9では
衝撃吸収エネルギーが12.7Kg・mと本発明例
のそれに劣つている。このことから二相ステ
ンレス鋼におけるフエライト量も機械的性質
に影響する大きな因子であり、強度面からは
30%以上であるこを要し、靭性確保の点から
70%が上限とされる。また後記のようにフエ
ライト量が多すぎると、時効後の靭性の低下
が著しくなるので、この点からも本発明鋼に
おけるフエライト量の上限は70%に定められ
る。 又本発明例の鋼番3、14、15を比較する事
により、N量を0.18%前後で一定とし、フエ
ライト量を50%前後で一定とした場合、Co
の添加により0.2%耐力の顕著な上昇が認め
られ、その上昇の度合は約2Kg/mm2/1%
Coに相当する比例的な関係がある事が見い
出された。又引張強さも上昇する。しかしな
がらこれら強度の向上に比べて、延性・靭性
の低下は少ない。延性・靭性の低下をおさえ
て、強度向上を計れる点が2相ステンレス鋼
に於けるCo添加の非常に優れた効果の一つ
である。 また、本発明例と従来材のSUS316(鋼番
11)、SCS14A(鋼番12)、CD−4MCu(鋼番
13)と比較すると、機械的性質、特に0.2%
耐力並びに引張強さに於いてはるかにすぐれ
た強度を示している。これは主としてフエラ
イト量の制御、合金元素としてのCo、Nの
添加効果による相乗効果である。 (2) 熱時効後の靭性 第3表に、475℃での熱時効(処理時間:
100Hr)を施した後のシヤルピー衝撃試験
(2mmVノツチ、0℃)による吸収エネルギ
ー(Kg・m)を、溶体化熱処理まゝのそれと
併せて示す。 同表に示したように、本発明例の鋼番3お
よび鋼番15は、475℃での熱時効を受けた後
にも、従来の二相ステンレス鋼である鋼番10
に比し、著しく高い靭性を有している。 同表における発明例の鋼番3と、N含有量
が低い比較例鋼番1(N:0.03%)の熱時効
後の靭性の差異は、Nの添加が二相ステンレ
ス鋼の熱時効による靭性劣化のの防止に大き
な効果を有することを示しており、またその
比較例鋼番1(そのCo量は1.21%)の熱時効
後の靭性劣化が、従来の二相ステンレス鋼
(鋼番10)のそれに比べて著しく少ないこと
は、Coの添加の有効性を如実に示している。
このように、CoおよびNは二相ステンレス
鋼の熱時効による急激な靭性劣化の防止に著
効を有する元素であり、本発明はその一定量
の複合添加によつて、二相ステンレス鋼の最
大の弱点とされている475℃脆性を大きく改
善している。 なお、比較例の鋼番9は十分な量のCoと
Nを複合含有しているが、その靭性は熱時効
により大きく低下している。これは、フエラ
イト量が過剰(73%)であることによる。フ
エライト相の存在は耐応力腐食割れ性の点か
ら有利であるが、靭性面からみると、構造材
料等としての安全性確保を考慮した上限値が
定められるべきであり、このため本発明では
その上限を70%と規定している。 〔B〕 溶接性 本発明例の鋼番2、3、4、6、7、14、15
について、開先角度20゜、ルート厚さ1.6mmの開
先形状を準備し、初層および第2層目をTIG溶
接、第3層目から最終層までを被覆アーク溶接
により突合せ溶接を行い、溶接後非破壊検査お
よび溶接部切断面の液体浸透検査の結果、割れ
等の欠陥は皆無で、溶接性が良好であり、配管
材料として問題は全くないことが確認された。 〔C〕 耐食性 (1) 試験1(孔食試験) ASTM G48 A法に規定されている塩化
第2鉄(FeCl3)溶液による孔食試験
(Total Immersion Ferric Chloride Test)
を行ない、第4表に示す結果を得た。本発明
例(鋼番2、3、4、6、7、14、15)は従
来材であるSUS329J1(鋼番10)、SUS316(鋼
番11)、SCS14A(鋼番12)及びCD−4MCu
(鋼番13)に比し格段にすぐれた耐孔食性を
示し、腐食減量は全く認められない。 又Nの量が非常に低い鋼番1との比較から
明らかなように、Nの耐孔食性改善に対する
寄与は顕著であり、本発明に於けるN添加の
意義を如実に示すものである。 更に、Nの量の少ない鋼番1、鋼番2と従
来材であるSUS329J1(鋼番10)、SUS316(鋼
番11)、SCS14A(鋼番12)及びCD−4MCu
(鋼番13)との比較から明らかなように、Co
添加の耐孔食性改善に対する寄与は顕著であ
ることが見い出された。 なお発明例4と比較例5の結果からN量は
最大0.3%で十分であり、これ以上加えても
耐孔食性は向上しない事が認められる。 (2) 試験2(隙間腐食試験) ASTM G48 B法に規定されている塩化
第2鉄溶液による隙間腐食試験(Ferric
Chloride Crevice Test)を行ない、第4表
に示す結果を得た。本発明鋼(鋼番2、3、
4、6、7、14、15)は、従来材である
SUS329J1(鋼番10)、SUS316(鋼番11)及び
SCS14A(鋼番12)、CD−4MCu(鋼番13)に
比し、格段にすぐれた耐隙間腐食性を示して
いる。これは主として合金成分としてのCo、
Nに起因することは明らかである。又、鋼番
1との比較から明らかなように耐隙間腐食特
性の改善に対するNの添加効果は顕著であ
り、これにより腐食減量は約1/4〜1/5に低減
することが認められる。 更に鋼番8、9の結果を見るとフエライト
量も耐隙間腐食特性に影響を与える因子であ
り、この点からも本発明鋼のフエライト量の
適当な範囲は30〜70%に規定されることが認
められる。 N量の少ない鋼番1、鋼番2と従来材であ
るSUS329J1(鋼番10)、SUS316(鋼番11)、
SCS14A(鋼番12)及びCD−4MCu(鋼番13)
と比較するとCo添加の耐孔食性改善に対す
る寄与の顕著なことが明確に認められる。 又発明例4と比較例5の結果から、N量は
最大0.3で十分であり、これ以上加えても耐
隙間腐食性は向上しないことが認められる。 (3) 耐応力腐食割れ性 沸騰42%塩化マグネシウム(MgCl2)溶液
中での定負荷法による応力腐食割れ試験結果
を第1図に示す。 本発明例(鋼番3)は従来材である
SUS329J1(鋼番10)、SUS316(鋼番11)、CD
−4MCu(鋼番13)に比し格段にすぐれた耐
応力腐食割れ特性を有することがわかる。例
えば、30Kg/mm2の負荷応力に対して
SUS329J1の破断時間は約2時間であるのに
対し、本発明示例である鋼番3のそれは約50
時間と大幅な向上を示している。 本発明鋼におけるNの添加効果は鋼番1と
鋼番3とを比較することにより明瞭となる。
フエライト量がほゞ同一のレベル(鋼番1、
3のいづれも約50%)の場合にNを添加する
ことにより耐応力腐食割れ性が向上すること
がわかる。従つて、本発明鋼はCl-の存在す
る環境下で耐応力腐食割れ性を要求される用
途に好適である。 フエライト量の影響をみると、フエライト
量が27%と低い鋼番8の耐応力腐食割れ性
は、SUS329J1(鋼番10)のそれと同程度に
すぎない。耐応力腐食割れ性を確保するため
のフエライト量は少くとも30%であることが
必要である。一方、フエライト量が73%と高
い鋼番9は本発明例の鋼番3に勝る耐応力腐
食割れ性を示すが、その反面前記のように靭
性および時効後の延性に劣るので、フエライ
ト量の上限は70%に規定される。 次に鋼番1の結果を見るとCoの耐応力腐
食割れに対する効果が明瞭に認められる。す
なわち鋼番1はN量が0.03%と非常に低い
が、鋼番10(SUS329J1)、鋼番13(CD−
4MCu)に比較するとより応力腐食割れに対
して抵抗力を示している。これは構成元素か
ら見ると明らかにCoの効果であり、本発明
に於けるCoの添加の意義を如実に示すもの
である。 従がつて、鋼番3、鋼番15がすぐれた耐応
力腐食割れ特性を示すことは明らかに本発明
の主要な特徴であるCo、Nの合金元素とし
ての添加並びにフエライト量のレベルを30%
〜70%の範囲にコントロールすることの相乗
効果に依存するのである。 (4) 腐食疲労強度 第2図に、人工海水中での小野式回転曲げ
疲労試験結果を示す(試験機回転数
3000rpm)。人工海水は米国海軍により規定
される方法に従つて調製した。 本発明例である鋼番3は従来の二相合金で
あるCD−4MCu(鋼番13)およびオーステナ
イト系ステンレス鋼であるSUS316(鋼番11)
に比し海水中での疲労強度がすぐれている。
特に4×107サイクルでの鋼番13の腐食疲労
強度が約22Kg/mm2であるのに対し、本発明例
のそれは約30Kg/mm2と、約8Kg/mm2高い値を
示す。 また、鋼番1と鋼番13を比較することによ
りCoの効果が明確になる。すなわち鋼1の
N量は0.03%と非常に低いレベルにあり、鋼
番13との成分組成の違いは基本的にはCoの
みであり、Coの2相ステンレス鋼への添加
は海水中での腐食疲労強度の向上に効果的で
ある事が認められる。 さらに鋼番1と鋼番3を比較することによ
りNの効果が明確になる。このことはCl-
含む環境下での2相合金の腐食疲労強度改善
に対しNの添加が極めて有効なことを示すも
ので、本発明鋼の最大の特徴の1つである。 以上の結果は鋼番3が海水中で高い腐食疲
労強度を示すことに対する合金元素としての
N、Coの添加の相乗効果を示すものである。
【表】
【表】
【表】
【表】
【表】
【表】 以上のように、本発明の二相ステンレス鋼は、
従来のFe−Cr−Niベースの二相ステンレス鋼に
比し、苛酷な使用条件、とくに塩素イオン、硫化
水素、炭酸ガスなどの腐食因子を多量に含む環境
での一般耐食性はもとより、応力腐食割れ、孔
食、すきま腐食などに対する抵抗性が強く、かつ
強度、延性などの機械的性質にすぐれる。従つ
て、例えば石油、天然ガス、海水のチユーブイン
グ・ラインパイプなど、その他耐食性と機械的性
質が要求される用途において従来材にまさる耐久
性、安定性をもたらす。
【図面の簡単な説明】
第1図は耐応力腐食割れ特性を示すグラフ、第
2図は回転曲げ疲労試験における腐食疲労強度を
示すグラフ、第3図は本発明鋼の金属組織を示す
図面代用顕微鏡写真である。

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 1 C:0.08%以下、Si:0.2〜2.0%、Mn:0.2
    〜2.0%、Cr:19.0%以上、24.0%未満、Ni:3.0
    〜8.0%、Mo:1.0〜5.0%、Cu:0.5〜3.0%、
    Co:0.2〜4.0%、N:0.05〜0.3%、残部実質的に
    Feからなり、かつ金属組織におけるδ―フエラ
    イト相の面積率が30〜70%である高耐食性高耐力
    二相ステンレス鋼。
JP2138984A 1984-02-07 1984-02-07 高耐食性高耐力二相ステンレス鋼 Granted JPS60165363A (ja)

Priority Applications (5)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2138984A JPS60165363A (ja) 1984-02-07 1984-02-07 高耐食性高耐力二相ステンレス鋼
CA000473261A CA1242095A (en) 1984-02-07 1985-01-31 Ferritic-austenitic duplex stainless steel
EP85101255A EP0151487B1 (en) 1984-02-07 1985-02-06 Ferritic-austenitic duplex stainless steel
DE8585101255T DE3561162D1 (en) 1984-02-07 1985-02-06 Ferritic-austenitic duplex stainless steel
US07/622,401 US5238508A (en) 1984-02-07 1990-12-03 Ferritic-austenitic duplex stainless steel

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2138984A JPS60165363A (ja) 1984-02-07 1984-02-07 高耐食性高耐力二相ステンレス鋼

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPS60165363A JPS60165363A (ja) 1985-08-28
JPH0232343B2 true JPH0232343B2 (ja) 1990-07-19

Family

ID=12053711

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2138984A Granted JPS60165363A (ja) 1984-02-07 1984-02-07 高耐食性高耐力二相ステンレス鋼

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JPS60165363A (ja)

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2017208946A1 (ja) * 2016-06-01 2017-12-07 新日鐵住金株式会社 二相ステンレス鋼及び二相ステンレス鋼の製造方法

Families Citing this family (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH01142019A (ja) * 1987-11-27 1989-06-02 Kubota Ltd 製紙用サクションロール胴部材の製造方法
JPH04113088A (ja) * 1990-09-04 1992-04-14 Nkk Corp 埋設導管の鞘管
CN103205653A (zh) * 2013-03-27 2013-07-17 宝钢不锈钢有限公司 一种具有优异热塑性和耐蚀性的双相不锈钢及其制造方法
US11566301B2 (en) 2016-09-02 2023-01-31 Jfe Steel Corporation Dual-phase stainless steel, and method of production thereof
JP6747628B1 (ja) * 2019-01-30 2020-08-26 Jfeスチール株式会社 二相ステンレス鋼、継目無鋼管、および二相ステンレス鋼の製造方法

Citations (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS52153821A (en) * 1976-06-17 1977-12-21 Nippon Yakin Kogyo Co Ltd High strength austenitic ferritic stainles steel
JPS5852464A (ja) * 1981-09-22 1983-03-28 Kubota Ltd 高腐食疲労強度二相ステンレス鋼

Patent Citations (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS52153821A (en) * 1976-06-17 1977-12-21 Nippon Yakin Kogyo Co Ltd High strength austenitic ferritic stainles steel
JPS5852464A (ja) * 1981-09-22 1983-03-28 Kubota Ltd 高腐食疲労強度二相ステンレス鋼

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2017208946A1 (ja) * 2016-06-01 2017-12-07 新日鐵住金株式会社 二相ステンレス鋼及び二相ステンレス鋼の製造方法
JPWO2017208946A1 (ja) * 2016-06-01 2018-12-20 新日鐵住金株式会社 二相ステンレス鋼及び二相ステンレス鋼の製造方法

Also Published As

Publication number Publication date
JPS60165363A (ja) 1985-08-28

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US5238508A (en) Ferritic-austenitic duplex stainless steel
US5298093A (en) Duplex stainless steel having improved strength and corrosion resistance
WO1997012072A1 (fr) Structures en acier soude presentant une excellente resistance a la corrosion
WO2012176586A1 (ja) 耐浸炭性金属材料
JPH0244896B2 (ja)
US6159310A (en) Wire for welding high-chromium steel
JP3209433B2 (ja) オ−ステナイト ステンレス スチ−ル
JPH0232343B2 (ja)
CA2085095A1 (en) Line pipe having good corrosion-resistance and weldability
JPS6261107B2 (ja)
KR850001766B1 (ko) 인을 함유한 고용접성 내해수성 강
EP0169373B1 (en) Machines or machine parts made of austenitic cast iron having resistance to stress corrosion cracking
JPH0232342B2 (ja)
JPS6362569B2 (ja)
JP3164978B2 (ja) 高Cr鋼の溶接方法
JPS60165361A (ja) 高耐食性高耐力二相ステンレス鋼
JPS6363610B2 (ja)
JP3165902B2 (ja) 高Cr鋼の溶接方法
JPS6199661A (ja) ラインパイプ用高強度高靭性溶接クラツド鋼管
JPS6144128B2 (ja)
JPS6144126B2 (ja)
JPS6144125B2 (ja)
JPS60165364A (ja) 高耐食性高耐力二相ステンレス鋼
JPH0357181B2 (ja)
JP2575250B2 (ja) 耐食性および溶接性の優れたラインパイプ

Legal Events

Date Code Title Description
EXPY Cancellation because of completion of term