JPH0231663Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔考案の技術分野〕 本考案はケーブル支持装置に係り、特にケーブ
ルをその長手方向に移動自在に支持するようにし
たケーブル支持装置に関する。

〔考案の技術的背景とその問題点〕

ハンドブレーキやアクセル等のケーブルを車体
等の固定側に支持させるために、ケーブル支持装
置が用いられている。ところが、従来のケーブル
支持装置にあつては、単にケーブルを車体等の固
定側に固定しているだけであつたので、次のよう
な問題があつた。例えば、後輪懸架部分にあつて
は第１図に示す如くハンドブレーキケーブル１の
出力端ａとケーブル支持装置２による固定端ｂと
の間の距離が固定端ｂの取付位置に起因してサ
スペンシヨン３の動きによつて変化（←→Ｌ）す
るため、ケーブル１を配索する場合、サスペンシ
ヨン３の動きを許容するようケーブル１の長さを
十分な長さＬに確保しておく必要がある。しかし
ながら、ケーブル１の長さを長く設定すると、通
常時には（Ｌ−）の弛み量を生じてしまい、ケ
ーブル１と燃料タンクやその他の機器との干渉を
生じてしまうことから、この干渉を防止すべく燃
料タンク等の配置、大きさ（容量）等の制約を余
儀なくされる問題があつた。従つてケーブル支持
装置２の取付位置も充分検討する必要があつた。

〔考案の目的〕

本考案は上記従来技術の欠点を解消すべく創案
されたもので、その目的は、ケーブルの配索にお
ける自由度を増大できると共に、燃料タンク等他
部品のレイアウト自由度を増大できるケーブル支
持装置を提供することにある。

〔考案の概要〕

本考案は上記目的を達成するために、ケーブル
に外嵌固定され外周に潤滑材が塗布された内筒体
と、該内筒体よりも短くその外周に摺動自在に嵌
装されると共に固定側に固定された外筒体と、内
筒体の端部と外筒体の端部間に内筒体の外周を覆
うべくそれぞれ介設された弾性を有するカバ部材
と、外筒体の摺接面に形成され両カバ部材間を連
通する空気抜き用縦溝とを備えたものである。

かかる構成によれば、ケーブルが外力によつて
引つ張られると、内筒体がケーブルと一体でカバ
部材の弾性力に抗して固定側の外筒体に対して摺
動し、ケーブルの移動を許容する。この場合、外
筒体の外周に潤滑材が塗布されていると共に外筒
体の摺接面に両カバ部材間を連通する空気抜き用
縦溝が形成されているので、外筒体に対して内筒
体が円滑に摺動することができ、ケーブルの円滑
な移動を確保できると共に、外力の解除によりケ
ーブルをカバ部材の弾性力で元の位置に自動復帰
できる。また、カバ部材により摺動部が密封され
ているので、泥等の付着による摺動部の固着や摩
耗を防止でき、耐久性の向上が図れる。

このようにケーブルを簡単な構成によりその長
手方向に移動自在に支持できるので、ケーブル支
持装置の取付位置が制限されることがなく、ケー
ブルの配索及び他部品のレイアウトの自由度が増
大し、またコンパクトなケーブル支持装置を実現
できる。

〔考案の実施例〕

以下に本考案の一実施例を添付図面に従つて詳
述する。

第２図において、５はハンドブレーキケーブル
１を車体等の固定側である車体フレーム６に支持
させるためのケーブル支持装置であり、その装置
５は第３図に示す如く上記ケーブル１上に固定さ
れる筒体７を備えている。

通常、ケーブル１は作動用インナーケーブル８
とこれを往復移動自在に被覆したアウターケーブ
ル９とからなり、上記筒体７はそのアウターケー
ブル９上に固定されることになる。この筒体７は
ケーブル１を覆うように装着された内筒体１０か
らなり、図示例では内筒体１０はケーブル１上に
直接カシメ固定された第１筒体１０ａと、この第
１筒体１０ａ上に嵌合されると共にスポツト溶接
により固定された第２筒体１０ｂとから構成され
ているが、これら第１及び第２の筒体１０ａ，１
０ｂは一体であつてもよい。

そして、筒体７上には、その軸方向に沿つてク
リツプ１１が摺動自在に嵌装されている。このク
リツプ１１は筒体７を車体フレーム６に対して移
動自在に支持固定するもので、上記第２筒体１０
ｂ上に摺動自在に嵌装され第２筒体１０ｂよりも
短い外筒体１２と、外筒体１２上に固定されたブ
ラケツト１３とから主に構成されている。ブラケ
ツト１３は第４図に示す如く、車体フレーム６上
にボルト止めされることになる。

上記第２筒体１０ｂの両端部は、外方に折曲さ
れて上記外筒体１２の移動を一定範囲に規制する
規制フランジ１４，１５を構成している。また外
筒体１２の両端部にも外方向に折曲されたフラン
ジ部１６，１７が形成され、これらフランジ部１
６，１７と上記規制フランジ１４，１５との間に
は第２筒体１０ｂ上の摺動面１８上を覆うための
カバ部材１９がそれぞれ跨がつて掛け渡されてい
る。カバ部材１９は本実施例では、ゴム製ブーツ
からなつており、その弾性力により外筒体１２を
第２筒体１０ｂ上の中央部に付勢している。

上記第２筒体１０ｂの摺動面１８上には外筒体
１２の摺動を円滑にするために潤滑剤（グリー
ス）２０が塗布されている。また、第５図に示す
如く、外筒体１２の内周壁には一方のカバ部材１
９から他方のカバ部材１９に空気抜きを行なうと
共に潤滑材２０を充填するための縦溝２１が周方
向に複数本形成されている。尚、縦溝２１は内筒
体１０の外周壁に形成するようにしてもよい。

次に実施例の作用を述べる。

サスペンシヨンの動きに伴なつてケーブル１の
出力端ａが引張されると、ケーブル１上の筒体７
はケーブル１に追従してクリツプ１１に対して摺
動する。このとき、筒体７の移動により一方のカ
バ部材１９は圧縮され他方のカバ部材１９は引張
され、それぞれ反力が蓄えられることになる。従
つて、サスペンシヨンが元の位置に復帰したな
ら、これに追従して上記筒体７はカバ部材１９の
反力及びケーブル自体の剛性により元の位置に自
動的に復元することになる。

このように、ケーブル支持装置５はケーブル１
を移動自在に支持することができるため、その取
付位置が制限されることはない。従つてケーブル
１の配索が自由に行なうことができる。また筒体
７がカバ部材１９の弾性力及びケーブルの剛性に
よつて自動的に定位置に復元するため、ケーブル
１に弛みを生じさせることはない。従つて、ケー
ブル１と燃料タンク等の他部品との干渉を生じる
ことはないので、他部品の配置、大きさ等のレイ
アウトの自由度が増大する。また、ケーブル１の
弛み量を確保しておく必要がないので、その分ケ
ーブル１の短縮化が可能である。

〔考案の変形例〕

前記実施例では、カバ部材１９をゴム製ブーツ
によつて形成したが、第６図に示す如く、ゴム製
ベローズによつて形成してもよい。また実施例で
はハンドブレーキケーブル１を支持する場合につ
いて説明したが、ケーブル支持装置５は第７図に
示す如く出力端ａをエンジン２２に接続したアク
セルケーブル１の支持用として使用してもよく、
またその他のケーブルを支持するために用いても
よい。

〔考案の効果〕

以上要するに本考案によれば次のごとき優れた
効果を発揮する。

筒体の外周に潤滑材が塗布されていると共に外
筒体の摺接面に両カバ部材間を連通する空気抜き
用縦溝が形成されているので、外筒体に対して内
筒体が円滑に摺動することができ、ケーブルの円
滑な移動を確保できると共に、外力の解除により
ケーブルをカバ部材の弾性力で元の位置に自動復
帰できる。また、カバ部材により摺動部が密封さ
れているので、泥等の付着による摺動部の固着や
摩耗を防止でき、耐久性の向上が図れる。

このようにケーブルを簡単な構成によりその長
手方向に移動自在に支持できるので、ケーブル支
持装置の取付位置が制限されることがなく、ケー
ブルの配索及び他部品のレアウトの自由度が増大
し、またコンパクトなケーブル支持装置を実現で
きる。

【図面の簡単な説明】

第１図は従来のケーブル支持装置を取付けた後
輪サスペンシヨンを示す斜視図、第２図は本考案
の一実施例を示す平面図、第３図は同要部拡大断
面図、第４図は第３図Ａ−Ａ概略断面図、第５図
は同部分的拡大断面図、第６図、第７図は本考案
の夫々異なつた変形例を示す断面図及び平面図で
ある。 図中、１はケーブル、６は車体フレーム、７は
筒体、１１はクリツプ、１９はカバ部材である。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. ケーブルに外嵌固定され外周に潤滑材が塗布さ
   れた内筒体と、該内筒体よりも短くその外周に摺
   動自在に嵌装されると共に固定側に固定された外
   筒体と、内筒体の端部と外筒体の端部間に内筒体
   の外周を覆うべくそれぞれ介設された弾性を有す
   るカバ部材と、外筒体の摺接面に形成され両カバ
   部材間を連通する空気抜き用縦溝とを備えたこと
   を特徴とするケーブル支持装置。