JPH0229625Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 （産業上の利用分野） 本考案は架空送電線を絶縁支持する碍子装置に
おいて鳥類を媒体とする閃絡事故を防止するため
に用いられる碍子用鳥害防止装置に関するもので
ある。

（従来の技術） 一般的に架空送電線を絶縁支持する碍子装置の
接地側及び導体側には通常雷撃あるいは汚損閃絡
を原因とするアークから碍子を保護するアークホ
ーンが対向させて配置されているが、送電電圧が
77KV以下の碍子装置にあつては所要絶縁間隔が
比較的小さいのでアークホーン間の間隔も狭くな
り、アークホーンの一方に止まつた鳥類が翼をひ
らいてその先端が他方のアークホーンに接触した
場合には鳥類を媒体とする閃絡事故が生じる危険
があつた。このため従来から絶縁部材によりアー
クホーンを被覆した各種の鳥害防止装置が開発さ
れている（例えば実公昭58−46588号公報、実開
昭58−147113号公報）。

（考案がが解決しようとする問題点） ところがこのような鳥害防止装置によりアーク
ホーンが完全に覆われた場合には内部に侵入した
雨水が鳥害防止装置内に滞留して碍子装置の絶縁
性能を損なう虞れがある。また、送電を停止して
点検作業等を行うに先立つて導体側のアークホー
ンに接地棒を接触させることにより残留電圧をア
ースさせる作業が行われるが、アークホーンが完
全に覆われている場合には接地棒をアークホーン
に接触させることができぬ問題点があつた。従つ
て鳥類による閃絡事故を完全に防止することがで
き、しかも雨水の滞留が防止できるうえ接地作業
を容易に行うことのできる碍子用鳥害防止装置が
望まれていた。

（問題点を解決するための手段） 本考案はこのような従来の問題点を解決するた
めになされたものであり、碍子装置に取付けられ
たリング状のアークホーンの主ホーン部とリング
ホーン部を中空絶縁部材をもつて囲装し、このリ
ングホーン部を囲装した中空絶縁部材のリング状
部の下端を所定角度にわたり切り欠き、リングホ
ーン部の下端部を露出させたことを特徴とするも
のである。

（作用） このように構成された本考案の碍子用鳥害防止
装置は、アークホーンに囲装される中空絶縁部材
のうち、鳥類の性質上その翼が接触する可能性が
ほとんどないリングホーン部の下端部を覆う部分
を切欠いたので、鳥類による閃絡事故を完全に防
止しつつ雨水の滞留を防止できるものであり、ま
たこれによりリングホーン部の下端部が露出され
たので接地棒を接触させることができるものであ
る。

（実施例） 次に本考案を図示の実施例について詳細に説明
すると、１は架空送電線を絶縁支持する碍子装
置、２は碍子装置１の外周に取付けられたリング
状のアークホーンである。アークホーン２は主ホ
ーン部３とリングホーン部４とから成るもので、
碍子キヤツプ５にバンド金具６により取付けられ
ている。これらのアークホーン２の外周には塩化
ビニール樹脂、ポリエチレン樹脂のような絶縁性
のある合成樹脂から成る中空絶縁部材７が取付金
具８により非接触状態で取付けられている。この
中空絶縁部材７はリングホーン４を覆うリング状
部９と主ホーン部３の先端を覆う筒状部１０とか
ら成るものであるが、そのリングホーン４の下端
部を覆う部分は中心角90度にわたり図示のとおり
切欠かかれた切欠部１１に形成されてリングホー
ン部４の下端部を露出させ、これにより雨水の滞
留が防止されるとともに接地棒を容易に接触させ
ることが可能となる。しかも鳥類はその性質上こ
の種物体の下面に止まることがないのでこの露出
させた下端部に翼が接触して閃絡事故を生ずる虞
れはほとんどないものである。なお、実施例にお
いて中空絶縁部材７のリング状部９には碍子装置
１に対向する内側面に幅が約40mmのスリツト１２
を全周にわたり形成して通常汚損閃絡が原因で碍
子装置１の沿面に発生する続流アークをリングホ
ーン部４へ円滑に移行させるようにし、また主ホ
ーン部３を覆う筒状部１０には他のアークホーン
２と対向する側面に幅が約８mmのスリツト１３を
形成してアークホーン２，２間のアーク放電を容
易なものとしている。さらに、このような中空絶
縁部材７は第４図に示されるようにアークホーン
２がそれらの中心よりも内奥側へ偏つた位置を取
るように碍子キヤツプ５に取付けることが好まし
く、これにより開口部との間に十分な気中絶縁距
離Ｈおらび沿面絶縁距離ｈを確保して鳥類の翼に
よる閃絡事故をより適確に防止することができ
る。

（考案の効果） 本考案は以上の説明からも明らかなように、ア
ークホーンの外周に配置された中空絶縁部材のう
ち鳥類の性質上その翼が接触して閃絡事故を生ず
る虞のないリングホーン部の下端部を覆う部分を
切欠くことにより鳥類を媒体とする閃絡事故を完
全に防止しつつ雨水の滞留を防止して碍子装置の
絶縁性能の低下を防止し、またリングホーン部の
下端部を露出させることにより接地棒による接地
作業を容易に行い得るようにしたものである。更
に本考案は中空絶縁部材の一部を切欠くことによ
りその受風面積が減少して風圧の影響を軽減する
ことができる利点をも有するものであり、従来の
碍子用鳥害防止装置の問題点を解決したものとし
てその実用的価値は極めて大きいものである。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案の実施例を示す一部切欠斜視
図、第２図は同じく一部切欠正面図、第３図は同
じく一部切欠側面図、第４図は同じく一部切欠平
面図である。 １：碍子装置、２：アークホーン、３：主ホー
ン部、４：リングホーン部、７：中空絶縁部材、
１１：下端部。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 碍子装置１に取付けられたリング状のアークホ
   ーン２の主ホーン部３とリングホーン部４を中空
   絶縁部材７をもつて囲装し、このリングホーン部
   ４を囲装した中空絶縁部材７のリング状部９の下
   端を所定角度にわたり切り欠き、リングホーン部
   ４の下端部を露出させたことを特徴とする碍子用
   鳥害防止装置。