JPH0228842B2 - Hokosentakuseikosenhanshabutsutai - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 本発明は方向により選択的な光線の反射をする
物体に関する。

たとえば板状の物体に対して光線が入射すると
き、その角度によつて反射され、吸収されまたは
透過するものや、入射角が異なるとそれにつれて
反射率も異なるものがあれば、さまざまな利用価
値がある。一例を挙げれば、窓ガラスに使用した
とき、太陽光線の直射ははね返すが散乱光は通過
させることによつて、ブラインドの役目を兼ねさ
せることができるとか、夏季や昼間の高い角度か
らの光ははね返すが冬季や朝夕の低い角度からの
光は受け入れるといつた作用により、室内採光量
を自動的に調節することができる。

そこで本発明者は、このような方向による選択
性をもつた光線反射物体を実現すべく鋭意検討の
結果、反射面を微細分割して板の基準面に対して
傾けて設けることによつて、意図した効果が得ら
れることに想到して本発明を完成した。

本発明の方向選択性光線反射物体は、規則的ま
たは不規則な凹凸をもつた基体の表面上におい
て、基体の基準面に対しそれぞれ異なる角度にあ
つて凹凸を形成している面群を２群以上有し、該
面群の少なくとも一群の面に、光線反射面を、少
なくとも該２群の面間の反射特性が異なる様に構
成してなる。

第１図は本発明の光線反射物体の代表的な一例
を示す断面図であつて、透明な材料でつくつた基
体１には、基準面１１すなわち平坦な底面に対し
て45゜の角度をもつ面群Ａと、135゜の角度をもつ
面群Ｂとが、頂角90゜の凸条（見方をかえれば、
底角90゜の凹条）を多数平行に形成しており、こ
の面群Ａにだけ反射面２が設けてある。

面群Ａに入射した光は矢印のように反射され、
一方、面群Ｂに入射した光は基体１内を通つて裏
面に透過する。従つて、光線の入射角を基準面１
１に平行な右方からのものを0゜、左方からのもの
を180゜とすれば、45゜以下の光はすべて透過し、
135゜以上の光はすべて反射され、45〜135゜の光
は、その入射角に応じて三角関数的に増加する透
過率（減少する反射率）をもつことになる。

基体を構成する材料は、無色透明なものに限ら
ず、着色して透過光に色を与えることができる。

さらに、光線の透過を望まない用途に対して
は、基体材料として光を吸収するものを用いれば
よい。この場合は、容易に理解されるとおり、上
の説明における透過率の語を吸収率におきかえて
考えればよい。

基体が透明であるにしても不透明であるにして
も、使用する材料としてはガラスがすぐ考えられ
るが、プラスチツクがとくに適している。ポリ塩
化ビニル、セルロース、ポリエステル、ナイロ
ン、アクリル、ポリカーボネート、あるいはポリ
オルフインなど多くのものが使用できる。これら
から、注型法、押出し成形、射出成形、加熱プレ
ス成形など種々の手段により、所望の凹凸をもつ
た基体を安価に製造できる。もちろん、機械加工
やエツチングなどの手段によつてもよい。

基体表面の凹凸は、たとえば第１図に示すよう
な規則的な二等辺三角形が代表的なものである
が、不等辺三角形であつてもよいし、また三角形
に限らず、台形や腰折れ屋根形など多角形もあり
得る。辺は必らずしも直線でなくてもよく、円弧
その他の曲線である態様が考えられる。また、不
規則な凹凸であつてもよい。

図示した例は、凹凸を形成する三角形の一辺に
反射層を設け、他の一辺には設けてないが、両辺
を反射面とし、それらの反射特性を異ならせたも
のも、本発明の範囲に含まれる。同様に、多角形
の凹凸であつてもそれらの面の全部または２面以
上を反射面とし、その反射特性に変化をもたせた
ものも本発明に属する。ここで反射特性の語は、
たとえば可視光領域全体にわたる反射率や、特定
波長域の光に対する反射率などを意味する。

本発明の方向選択性光線反射物体を製造するに
は、まず所望の反射性能を与える凹凸形状の基体
をつくり、その所定の面に反射層を設ける。基体
の製造については前述したとおりである。反射面
の形成は、たとえば凹凸の所定の面に対して、蒸
着、スパツタリング、昇華、スプレー等の手段に
より平滑な被膜を与えることにより実現できる。
とくに、金属の蒸着は代表的な手段として推奨さ
れる。所定の面だけに蒸着被膜を与えるには、斜
蒸着とか、ルーバーを用いた蒸着などの手法が利
用できる。別のやり方としては、蒸着を含めて、
反射層の形成を凹凸面全体にわたつて行ない、そ
の後に、適当な方向からプラズマ、紫外線、電子
線などを照射して特定の面にある被膜を分解また
は変質させ、昇華や溶解などにより除去すること
も可能である。被膜の形成にあたり、必要に応じ
てバインダーを使用したり、あるいはプライマー
処理を施すといつた技術を利用できることはいう
までもない。

本発明の反射物体には、所望であればその表面
に適宜のコーテイングを施して、とくに反射面の
輝きを維持することができる。

基体の形状はもちろん任意であるが、板状が多
くの用途に対して適切である。その場合はこと
に、反射物体の裏面に粘着剤の層を設け、剥離フ
イルムでおおつた形態の製品とするのが、たとえ
ばこの反射物を透明な窓ガラスに貼り付けて使用
する際に好都合であろう。

その他本発明には、さまざまな変更または付加
を施した態様があり得る。

本発明の方向選択性反射物体の用途は、さきに
挙げた間接採光および採光量自動調節機能をもつ
た窓ガラスのほか、多数の光源の中から特定の光
源の光だけを選択的に反射したり透過させたりす
る照明器具などへの適用が可能であつて、きてめ
てバラエテイに富んでいる。製造は前述したとこ
ろからわかるように容易であつて、所望の反射性
能をもつたものを設計でき、使用材料および手段
の選択により連続生産ができ、コストも低廉であ
る。

実施例 厚さ３mmの黒色のアクリル樹脂の板に、機械加
工により第２図に示す断面形状の鋸歯状凹凸を与
えた。

この凹凸の面Ａだけに、斜蒸着法によりアルミ
ニウムを蒸着し、厚さ2000Åの反射層を設けた。

こうして得た反射物体は、ａ方向からの光は反
射し、ｂ方向からの光は吸収し、その間の方向の
光に対してはその角度の変化に応じて、前述した
ような方向選択性ある反射性能を示した。

【図面の簡単な説明】

第１図は、本発明の方向選択性光線反射物体の
一例を示す断面図である。第２図は、本発明の反
射物体の別の例における基体の凹凸形状を示す、
拡大断面図である。 １……基体、２……反射層。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ 規則的または不規則な凹凸をもつた基体の表
   面上において、基体の基準面に対しそれぞれ異な
   る角度にあつて凹凸を形成している面群を２群以
   上有し、該面群の少なくとも一群の面に、光線反
   射面を、少なくとも該２群の面間の反射特性が異
   なる様に設けてなる方向選択性光線反射物体。 ２ 基体が光線を透過させる材料からなり、凹凸
   を形成する面群の少なくとも一群には光線反射面
   を設けてない特許請求の範囲第１項の光線反射物
   体。 ３ 基体が光線を吸収する材料からなり、凹凸を
   形成する面群の少なくとも一群には光線反射面を
   設けてない特許請求の範囲第１項の光線反射物
   体。 ４ 凹凸を形成する面群の少なくとも二群に反射
   面が設けてあり、それらの反射特性が異なる特許
   請求の範囲第１項の光線反射物体。 ５ 光線反射面が蒸着により基体上に形成した金
   属の薄い被膜の面である特許請求の範囲第１項の
   光線反射物体。