JPH0228400Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 ［産業上の利用分野］ 本考案は炉蓋の着脱を迅速に行い得るようにし
た製鋼用アーク炉に関するものである。

［従来の技術］ 二炉切替え方式の製鋼用アーク炉につては、一
方のアーク炉でスクラツプを溶解することにより
発生した高温の排ガスは他方のアーク炉へ送ら
れ、該他方のアーク炉内でスクラツプの予熱が行
われ、省エネルギーが図られている。而して、上
述の二炉切換え式のアーク炉においては、スクラ
ツプのアーク炉本体内への装入時には、炉蓋を着
脱す必要がある。

［考案が解決しようとする問題点］ しかしながら、従来の装置にあつては、炉蓋の
着脱はクレーン等で行つているため、玉掛け作業
に時間を要する等して生産能率が悪く、又輻射熱
が高くて作業環境の悪い場所での作業であるため
作業に危険性が高く、更には炉蓋には電極貫通孔
があいているため、スクラツプ予熱時にこの部分
から外気が流入し、高温の排ガスの温度が低下す
るため予熱効率が低下する、等の問題があつた。

本考案は上述の実情に鑑み、炉蓋の着脱を安全
且つ迅速に行い得るようにすると共に予熱効率を
も向上させることをを目的としてなしたものであ
る。

［問題点を解決するための手段］ 本考案は、２基の各アーク炉側部に、スクラツ
プ溶解時に炉本体を遮蔽する炉蓋を昇降自在に支
持する溶解用炉蓋着脱装置をそれぞれ配設し、前
記アーク炉間に、スクラツプ予熱時に炉本体を遮
蔽する予熱用炉蓋を旋回自在且つ昇降自在に支持
ししかも前記アーク炉のうちいずれかに予熱用炉
蓋を着脱し得るようにした予熱用炉蓋着脱装置を
配設し、溶解用炉蓋は電極及び排ガス口を有して
おり、予熱用炉蓋は排ガス口を有しており、一方
のアーク炉をスクラツプ溶解に使用したときは他
方のアーク炉をスクラツプ予熱に使用できるよう
に、スクラツプ溶解を行つている一方の炉本体か
らの排ガスを溶解用炉蓋の排ガス口からスクラツ
プ予熱を行つている他方の炉本体下方に設けられ
た出滓口に導きスクラツプ予熱を行つている炉本
体を上昇した排ガスを予熱用炉蓋の排ガス口から
ブロワーで吸引する熱風流通装置を備え、該熱風
流通装置はバルブの切換えにより、一方のアーク
炉で発生した排ガスを前記ブロワーにより他方の
アーク炉へ導き或いは両方のアーク炉で発生した
排ガスを前記ブロワーにより外部へ排出するため
の排ガスダクトを備えているものである。

［作用］ 従つて、本考案では炉蓋着脱装置を作動させて
スクラツプ溶解用の炉蓋の着脱が行われ、予熱用
炉蓋着脱装置を作動させてスクラツプ予熱用の炉
蓋の着脱が行われる。スクラツプ予熱を行う際に
は、予熱用炉蓋は２基のアーク炉に交互に切換え
使用される。又スクラツプ予熱を行わず２基のア
ーク炉の何れでもスクラツプ溶解を行う際には、
両炉ともスクラツプ溶解用炉蓋が使用される。

更に、スクラツプ予熱を行う際には、スクラツ
プ溶解を行つているアーク炉からの排ガスは、ス
クラツプ予熱を行うアーク炉の出滓口から炉本体
内へ導入され、スクラツプ間を通つて上昇しつつ
スクラツプの予熱を行い、予熱用炉蓋の排ガス口
から排ガスダクトを経てブロワーにより排気され
る。

［実施例］ 以下、本考案の実施例を添付図面に基いて説明
する。

第１図〜第４図は本考案の一実施例で、No.１ア
ーク炉１とNo.２アーク炉２は、夫々炉本体３，
４、電極５，６が貫入自在で且つ溶解時に炉本体
３，４上面を覆うようにした炉蓋７，８を備え、
炉蓋７，８には、排ガスエルボ９，１０が接続さ
れている。又排ガスエルボ９，１０には排ガスダ
クト１１，１２が連通し得るようになつており、
排ガスダクト１１，１２は、夫々炉本体４，３の
側部に設けた出滓口１４，１３から、スクラツプ
溶解により発生した高温の排ガスを炉本体４，３
へ供給し得るようになつている。排ガスダクト１
１，１２の中途部には排ガス中のCOを燃焼させ
るための燃焼筒（図示せず）やバルブ１５，１６
が接続されている。

排ガスダクト１１，１２のバルブ１５，１６接
続部よりも上流側には夫々バルブ１７，１８を備
えた排ガスダクト１９，２０が接続され、排ガス
ダクト１９，２０は合流して排ガスダクト４０と
なり、該排ガスダクト４０にはブロワー４１が接
続されている。

No.１アーク炉１及びNo.２アーク炉２の側部には
溶解用炉蓋（以下単に炉蓋という）７，８を電極
５，６と一緒に吊下げ得るようにした溶解用炉蓋
着脱装置２１，２２が配設されている。該炉蓋着
脱装置２１，２２は従来公知の手段により旋回及
び昇降し得るようにしたアーム２３，２４を備
え、該アーム２３，２４によつて炉蓋７，８を吊
下げ得るようになつている。

炉本体３，４の中心を結んで形成した直線の1/
２長さ位置には、第１図のＯ点を中心として従来
公知の手段で左右に旋回でき且つ昇降し得るよう
にしたアーム２５を備えた予熱用炉蓋着脱装置２
６が配設され、該予熱用炉蓋着脱装置２６にはス
クラツプ予熱時に炉本体３，４を覆うための盲状
の予熱用炉蓋２７がチエーン２８を介して吊下げ
られている。又予熱用炉蓋２７には前記排ガスダ
クト１１或いは１２と連通し得るようにした排ガ
スエルボ２９が接続されている。なお、排ガスダ
クト１１，１２，１９，２０、バルブ１５，１
６，１７，１８、ブロワー４１により熱風流通装
置４３が構成されている。

炉本体３，４上面と炉蓋７，８との係合部及び
炉本体３，４上面と予熱用炉蓋２７との係合部に
は、炉本体３，４内に外気が大量に流入しないよ
う、シール機構が設けられている。

このシール機構の一例は第３図及び第４図に詳
細に示され、炉本体３又は４上部外周の鉄皮３０
には、環状状板３１が溶接、固着され、該環状板
３１下部及び鉄皮３０には補強リブ３２が、炉本
体円周方向へ所要の間隔で固着され、環状板３１
の上面には鉄皮３０外周との間に適宜の間隔をへ
だてて環状固定縁３３がごみ進入防止のため溶
接、固着され、前記環状板３１の環状固定縁３３
内側の部分には隙間３４が設けられ、該隙間３４
からスクラツプ屑等が下方へ落下し得るようにな
つている。

炉蓋外周の環状補強部材３５下部フランジ面外
周には断面形状が「形の環状部材３６が溶接、固
着され、環状部材３６と環状補強部材３５とには
円周方向へ所要の間隔で補強リブ４２が固着さ
れ、環状部材３６の縦向き部材の下端には環状ブ
ロツク３７が溶接、固着され、環状ブロツク３７
の下面には環状凹溝３８が設けられ、該環状凹溝
３８の全周には環状シール部材３９が嵌合され、
接着されている。環状シール部材３９はゴム製の
Ｏリング、或いはアスベスト、石綿を編上げたも
の等とする。又炉本体上面と環状補強部材３５下
面との間には、付着物が付着しないように適宜の
間隔が設けられている。

No.１アーク炉１によりスクラツプの溶解を行
い、No.２アーク炉２によりスクラツプの予熱を行
う場合には、溶解用炉蓋着脱装置２１を作動さ
せ、アーム２３を第１図のO₁点を中心として時
計方向に旋回させ、炉本体３直上部に来たらアー
ム２３及び炉蓋７並に電極５を下降させ、炉蓋７
によつて炉本体３上部を遮蔽し、予熱用炉蓋着脱
装置２６を作動させてアーム２５を第１図のＯ点
を中心として反時計方向に旋回させ、炉本体４直
上部に来たらアーム２５及び予熱用炉蓋２７を下
降させ、予熱用炉蓋２７によつて炉本体４上部を
遮蔽する。これによつて炉蓋７の排ガスエルボ９
と排ガスダクト１１が連通し、予熱用炉蓋２７の
排ガスエルボ２９と排ガスダクト１２が連通し、
又炉蓋７及び予熱用炉蓋２７の環状シール部材３
９は夫々炉本体３，４の環状板３１上に炉蓋７及
び予熱用炉蓋２７の自重による圧着力で密着し、
炉本体３，４内が気密に保持される。又バルブ１
５，１８を開き、バルブ１６，１７を閉止させ
る。

電極５に通電し炉本体３内のスクラツプを溶解
することにより生じた高温の排ガスは、排ガスエ
ルボ９、排ガスダクト１１を通り、途中の燃焼筒
で排ガス中のCOが燃焼され、出滓口１４から炉
本体４内に導入され、炉本体４内でスクラツプの
予熱を行い、排ガスエルボ２９、排ガスダクト１
２，２０，４０を通りブロワー４１に吸引され
る。上記スクラツプの溶解及び予熱時には、炉蓋
７と炉本体３上部との間、予熱用炉蓋２７と炉本
体４上部との間からは外気が炉本体３，４内に流
入することはなく、従つて排ガス温度が外気によ
つて下降したり或いは排ガス中のCOが希釈され
ることは少ない。

No.２アーク炉２によりスクラツプの溶解を行
い、No.１アーク炉１によりスクラツプの予熱を行
う場合には、溶解用炉蓋着脱装置２２を作動さ
せ、アーム２４を第１図のO₂点を中心として反
時計方向へ旋回させ、炉本体４直上部に来たらア
ーム２４及び炉蓋８並に電極６を下降させ、炉蓋
８によつて炉本体４上部を遮蔽し、予熱用炉蓋着
脱装置２６を作動させてアーム２５を第１図のＯ
点を中心として時計方向に旋回させ、炉本体３直
上部に来たらアーム２５及び予熱用炉蓋２７を下
降させ、予熱用炉蓋２７によつて炉本体３上部を
遮蔽し、排ガスエルボ１０と排ガスダクト１２を
連通させ、排ガスエルボ２９と排ガスダクト１１
を連通させ、バルブ１６，１７を開き、バルブ１
５，１８を閉止させ、上述と同様にして炉本体４
内のスクラツプの溶解、炉本体３内のスクラツプ
の予熱を行う。

No.１、No.２アーク炉１，２の何れをも同時にス
クラツプ溶解に使用する場合には、溶解用炉蓋着
脱装置２１，２２を作動させ、炉蓋７，８により
炉本体３，４上部を遮蔽し、予熱用炉蓋着脱装置
２６により予熱用炉蓋２７をNo.１、No.２アーク炉
１，２間に位置させ、バルブ１７，１８を開き、
バルブ１５，１６を閉じて作業を行う。

なお、本考案の実施例においては、スクラツプ
溶解用及び予熱用の炉蓋と炉本体との間に環状シ
ール部材から成るシール機構を設ける場合につい
て説明したがシール機構がなくとも実施できるこ
と、シール機構としてはスクラツプ溶解用及び予
熱用の炉蓋と炉本体との間に、内部に冷却水を循
環させ得るようにした環状管を設け、該環状管の
外周にゴム材又はフエルト等のシール部材を巻付
けたものでも或いは環状水封トラフ内に環状部材
を没入させたものでも良いこと、その他、本考案
の要旨を逸脱しない範囲内で種種変更を加え得る
こと、等は勿論である。

［考案の効果］ 本考案の製鋼用アーク炉によればスクラツプ溶
解用及び予熱用の炉蓋の着脱を迅速に行うことが
できるため生産能率が向上し、又炉蓋着脱時に作
業環境の悪い場所での玉掛け作業等がなくなるた
め作業の安全性が向上し、更には予熱用の炉蓋は
電極用の貫通孔がないため外気の流入が少なくて
排ガスの温度降下が少なくしかも予熱を行うアー
ク炉内では、ガスはスクラツプ内を下方から上方
へ向けて流れつつスクラツプの予熱を行うため、
予熱効率が向上し、更には両方の炉を同時にスク
ラツプの溶解にも使用できるため、必要に応じ生
産能率を上昇させることも可能となる、等種々の
優れた効果を奏し得る。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案の製鋼用アーク炉の平面図、第
２図は第１図の正面図、第３図は本考案の製鋼用
アーク炉における炉蓋と炉本体との間のシール機
構の説明図、第４図は第３図の−方向矢視図
である。 図中１はNo.１アーク炉、２はNo.２アーク炉、
３，４は炉本体、５，６は電極、７，８は溶解用
炉蓋、９，２９は排ガスエルボ（排ガス口）、１
１，１２，１９，２０，４０は排ガスダクト、１
３，１４は出滓口、１５，１６，１７，１８はバ
ルブ、２１，２２は溶解用炉蓋着脱装置、２３，
２４，２５はアーム、２６は予熱用炉蓋着脱装
置、２７は予熱用炉蓋、４１はブロワー、４３は
熱風流通風装置を示す。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. ２基の各アーク炉側部に、スクラツプ溶解時に
   炉本体を遮蔽する炉蓋を昇降自在に支持する溶解
   用炉蓋着脱装置をそれぞれ配設し、前記アーク炉
   間に、スクラツプ予熱時に炉本体を遮蔽する予熱
   用炉蓋を旋回自在且つ昇降自在に支持ししかも前
   記アーク炉のうちいずれかに予熱用炉蓋を着脱し
   得るようにした予熱用炉蓋着脱装置を配設し、溶
   解用炉蓋は電極及び排ガス口を有しており、予熱
   用炉蓋は排ガス口を有しており、一方のアーク炉
   をスクラツプ溶解に使用したときは他方のアーク
   炉をスクラツプ予熱に使用できるように、スクラ
   ツプ溶解を行つている一方の炉本体からの排ガス
   を溶解用炉蓋の排ガス口からスクラツプ予熱を行
   つている他方の炉本体下方に設けられた出滓口に
   導きスクラツプ予熱を行つている炉本体を上昇し
   た排ガスを予熱用炉蓋の排ガス口からブロワーで
   吸引する熱風流通装置を備え、該熱風流通装置は
   バルブの切換えにより、一方のアーク炉で発生し
   た排ガスを前記ブロワーにより他方のアーク炉へ
   導き或いは両方のアーク炉で発生した排ガスを前
   記ブロワーにより外部へ排出するための排ガスダ
   クトを備えていることを特徴とする製鋼用アーク
   炉。