JPH0228013B2 - Saamomojureetofuansochi - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 本発明はサーモモジユレートフアン装置、詳し
くは自動車のラジエーター冷却用フアンの回転数
をフアン雰囲気温度に応じて制御するためのサー
モモジユレートフアン装置に関する。

従来のサーモモジユレートフアン装置として
は、フアンベルト等により駆動される駆動軸と共
に回転する駆動部材と、駆動軸上に回転自在に取
付けられ、冷却用フアンを有する被動部材との間
の動力伝達部を、相互に間隙を残して嵌合し合う
ラビリンス構造とし、この間隙内に供給するシリ
コンオイル等の粘性流体の多少により被動部材の
回転速度を制御するいわゆるフアンカツプリング
が知られている。

しかし、かかるサーモモジユレートフアン装置
においては、フアンケース内の空間を仕切るセパ
レータに設けた連通孔の開閉を、ラジエーターの
水温あるいはフアン雰囲気温度を感知するバイメ
タルにより回動される弁体によつて直接行なうた
め、フアンの回転数をラジエーターの水温やフア
ン雰囲気温度に適応した適度な回転数に制御し得
ない欠点があつた。

そこで、セパレータの連通孔を順次半径方向及
び円周方向にずらせて設け、これら連通孔内に出
入して連通孔を開閉するための栓部材をセパレー
タに取付けることにより、上記の欠点を解消した
サーモモジユレートフアン装置が提供されている
（実公昭49−40228号公報）。

しかし、この装置においても従来と同様に、第
１図に示すごとくフアンの回転数特性が、フアン
雰囲気温度の上昇時および下降時において同一の
経路をたどるため、例えばフアン回転数が増加し
てフアン雰囲気温度が低下すると、直ちにフアン
回転数が低下してしまい、フアンの回転数が急激
に変動するいわゆるサージング現象をきたし、駆
音を生じる欠点があつた。したがつて、サージン
グ現象を防止するには、フアン回転数が増加して
フアン雰囲気温度が若干低下しても、直ちにフア
ン回転数が低下しないようにする、換言すればフ
アン雰囲気温度が低下してバイメタルが動作して
も弁体が所定の範囲の間は連動しないようにすれ
ばよい。

本発明はかかる点に着目してなされたもので、
その目的は、セパレータの複数の連通孔をそれぞ
れ開閉する複数の弁体相互間にあそびを設けるこ
とにより、サーシング現象を有効に防止し得るサ
ーモモジユレートフアン装置を提供することにあ
る。

以下、本発明を実施例である添付図面にしたが
つて説明する。

第２図〜第４図は本発明にかかるサーモモジユ
レートフアン装置の第１実施例を示し、１は例え
ばフアンベルトにより駆動される駆動軸、２は駆
動軸１と共に回転する駆動部材、３ａは駆動軸１
にベアリング４を介して回転自在に取付けられ、
駆動部材２により液体を介して粘性駆動される被
動部材、３ｂは被動部材３ａに固定された蓋板で
ある。被動部材３ａには図示しないフアンブレー
ドが形成されている。そして上記被動部材３ａと
蓋板３ｂとによつてフアンケース５が構成されて
いる。フアンケース５内の空間は、第１連通孔７
および第２連通孔８を有するセパレータ６により
第１室９と第２室１０とに仕切られ、第１室９内
には所定量の液体が貯溜されている。

１１はフアンケース５の蓋板３ｂの中央に回動
自在に支持された回動軸、１２は内端を回動軸１
１に結合するとともに外端を蓋板３ｂに固定した
感温部材の一例である渦巻状バイメタルで、上記
回動軸１１はバイメタル１２の熱変形により回動
される。１３は回動軸１１の先端部に固定され、
上記第１連通孔７を開閉する第１弁体、１４は回
動軸１１に回転自在に嵌合され、上記第２連通孔
８を開閉する第２弁体で、これらはばね材で構成
されている。第１弁体１３は自身のばね力でセパ
レータ６の表面に弾性的に圧接し、一方第２弁体
１４は一端部に設けた突起１４ａが第１弁体１３
の上面に圧接し、その反力でセパレータ６に弾性
的に圧接している。第１弁体１３の上面には第４
図に示すごとく突片１３ａが形成され、この突片
１３ａは第２弁体１４に形成した孔１４ｂに遊嵌
合している。したがつて、回動軸１１が回動する
と、これに連動して第１弁体１３は回動するが、
上記突片１３ａが孔１４ｂの側面に当接するまで
は第２弁体１４は該弁体１４とセパレータ６との
摩擦抵抗のため追従回動しないようになつてい
る。

つぎに、上記構成からなるサーモモジユレート
フアン装置の動作を第５図および第６図にもとづ
いて説明する。

フアン雰囲気温度が低い場合には、弁体１３，
１４はセパレータ６の連通孔７，８を閉じてお
り、第１室９に貯溜された液体は第２室１０に流
入し得ない（第６Ａ図参照）。このため、駆動部
材２と被動部材３ａとの間隙に存在する液体が少
量となり、駆動部材２と被動部材３ａとの間の動
力伝達が少なく、被動部材３ａの回転数すなわち
フアン回転数は低い。

いま、フアン雰囲気温度が上昇すると、この温
度上昇を感知するバイメタル１２により回動軸１
１が回動し、第１弁体１３が回動軸１１とともに
回動する。そして、第５図Ａ点に達すると、第１
弁体１３が第１連通孔７を開き始めるが、第２弁
体１４は突片１３ａが孔１４ｂの第６図右側側面
に当接していないため、第２弁体１４は追従動作
しない（第６Ｂ図参照）。この状態で、第１室９
の液体は第１連通孔７を介して第２室１０に流入
し、駆動部材２と被動部材３ａとの間の動力伝達
が大きくなり、フアン回転数も上昇する。第５図
Ｂ点に達すると、第１連通孔７は全開となり、こ
のＢ点からＣ点に至るまでの間、第１弁体１３は
動き続けるが、第２弁体１４は依然として静止し
ている。したがつて、動力伝達率は変化せず、フ
アン回転数も変化しない。

第５図Ｃ点に達する直前で突片１３ａが孔１４
ｂの第６図右側側面に当接し、第１弁体１３と第
２弁１４とが回動軸１１と連動して回動し始める
（第６Ｃ図参照）。そして第２弁体１４が第２連通
孔８を開き始め、第５図Ｄ点で第２連通孔８は全
開となる（第６Ｄ図参照）。この状態でフアン回
転数は最大となる。回動軸１１はそれ以後も若干
回動して第５図Ｅ点に達するが、連通孔７，８は
全開のままであり、フアン回転数は最大のまま変
化しない（第６Ｅ図参照）。

やがて、フアンの冷却効果によつてフアン雰囲
気温度は低下し始め、バイメタル１２に取付けら
れた回動軸１１は逆転する。この回動軸１１の逆
転と連動して第１弁体１３も逆転するが、第２弁
体１４は突片１３ａが孔１４ｂの第６図左側側面
に当接するまでは追従動作しない。したがつて、
フアン回転数は最大値を保持しつづける。

そして、突片１３ａが孔１４ｂの左側側面に当
接すると第２弁体１４は第１弁体１３とともに逆
転し、第５図Ｆ点において、第２弁体１４が第２
連通孔８を閉じ始める（第６Ｆ図参照）。これに
よつて、第１室９から第２室１０に流入する液体
の量が減少する。そのため、駆動部材２から被動
部材３ａへの動力伝達率が低下してフアン回転数
も徐々に低下する。

第５図Ｇ点で第２連通孔８が全閉となり（第６
Ｇ図参照）、これとほゞ同時に第１弁体１３が第
１連通孔７を閉じ始め、フアン回転数は更に低下
して第５図Ａ点にもどる。

一般に自動車の運転中においては、フアン雰囲
気温度は80℃程度に達し、フアンの回転数が増加
して一時的にフアン雰囲気温度が低下することが
ある。このとき本発明のサーモモジユレートフア
ン装置では第５図Ｅ点→Ｆ点に示すように直ちに
フアン回転数が低下することなく、一定回転数を
保持するため、サージング現象を防止できる。し
たがつて、騒音の発生を防止でき、かつエンジン
への悪影響をなくすことができる。

第７図、第８図は本発明の他の実施例を示し、
上記第１実施例と同一部品には同一符号を付して
説明を省略する。この場合には、回動軸１１の先
端に一定範囲の切欠１５ａを有するカム１５を固
定し、このカム１５の切欠１５ａに第２弁体１４
の突起１４ｃを摺動自在に係合させ、この切欠１
５ａと突起１４ｃとで上記第１実施例における孔
１４ｂと突片１３ａとの機能を持たせたものであ
る。

なお、上記実施例では、第１弁体１３および第
２弁体１４を同一巾の板材で構成し、かつ第１連
通孔７および第２連通孔８を同一径の円孔とした
が、これのみに限らず、第１弁体１３と第２弁体
１４との板巾を異ならせ、かつ連通孔７，８を異
なる大きさの円孔、多数の円孔あるいは長孔とし
てもよい。このようにすれば、第５図におけるフ
アン回転数とフアン雰囲気温度の関係も若干異な
ることになる。

以上の説明で明らかなように、本発明によれ
ば、複数の連通孔をそれぞれ開閉する複数の弁体
相互間にあそびを設け、第１弁体が動作した後、
遅れて第２弁体が動作するようにしたので、フア
ン回転数が上昇してフアン雰囲気温度が低下して
も、直ちにフアン回転数が低下せず、フアン回転
のサージング現象を有効に防止することができ
る。

【図面の簡単な説明】

第１図は従来のサーモモジユレートフアン装置
のフアン回転数とフアン雰囲気温度との関係を示
す図、第２図は本発明にかかるサーモモジユレー
トフアン装置の縦断面図、第３図、第４図はその
要部の断面図および斜視図、第５図は本発明にお
けるフアン回転数とフアン雰囲気温度との関係を
示す図、第６図はその動作説明図、第７図、第８
図は本発明の他の実施例の要部の断面図および分
解斜視図である。 １……駆動軸、５……フアンケース、６……セ
パレータ、７……第１連通孔、８……第２連通
孔、９……第１室、１０……第２室、１１……回
動軸、１２……バイメタル（感温部材）、１３…
…第１弁体、１３ａ……突片、１４……第２弁
体、１４ｂ……孔、１４ｃ……突起、１５……カ
ム、１５ａ……切欠。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. １ 駆動手段によつて駆動される駆動軸に回転自
   在に取付けられたフアンブレードを有するフアン
   ケースと、該フアンケース内の空間を第１室と第
   ２室とに仕切るセパレータと、該セパレータに穿
   設され上記両室を連通する複数の連通孔を開閉す
   る複数の弁体と、該弁体を温度に応じて開閉作動
   し上記第１室に貯溜した液体の第２室への流通を
   制御する感温部材とを備えたサーモモジユレート
   フアン装置において、フアンケースに回動自在に
   支持され感温部材によつて回動される回動軸と、
   該回動軸に固定され該回動軸の回動によつて第１
   連通孔を開閉する第１弁体と、上記回動軸に嵌合
   され、開弁作動時に上記第１弁体が設定角度回動
   した後回動して第２連通孔を開くとともに、閉弁
   作動時に上記第１弁体が設定角度回動した後回動
   して第２連通孔を閉じる第２弁体とを設けたこと
   を特徴とするサーモモジユレートフアン装置。