JPH0227869Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔考案の利用分野〕 この考案は脱硫塔循環タンクストレーナに係
り、特に、石灰−石膏法による湿式排煙脱硫装置
の脱硫塔循環タンク内に設けられる吸収液循環ポ
ンプの吸込口のストレーナに好適な脱硫塔循環タ
ンクストレーナに関するものである。

〔考案の背景〕

石灰−石膏法による湿式排煙脱硫装置におい
て、ボイラの燃焼排ガス中に含まれている亜硫酸
ガスを除去する場合、亜硫酸ガスを吸収する吸収
液として使用される石灰石微粉末の懸濁液と亜硫
酸ガスとが反応して亜硫酸カルシウムが生じる。
そして、亜硫酸カルシウムの一部は、燃焼排ガス
中の酸素によつて酸化された石膏（硫酸カルシウ
ム）になる。

第７図は従来の湿式排煙脱硫装置の吸収液が循
環する脱硫塔と脱硫塔循環タンクとを模式的に示
す図、第８図は従来の脱硫塔循環タンクの内部構
造を示す図、第９図および第１０図は従来の吸収
液循環ポンプの入口管にストレーナを取り付けた
状況を示す図である。

第７図および第８図において、図示しないボイ
ラの燃焼排ガスは、排ガス入口管２１によつて脱
硫塔１の下部に導入され、脱硫塔１の上部から下
降する後述の吸収液と接触しながら脱硫塔１内を
上昇して、排ガス出口管２２から排出される。吸
収液は、吸収液循環ポンプ３の出口管４によつて
脱硫塔１の上部に供給され、脱硫塔１内を上昇す
る前述に燃焼排ガスと接触しながら脱硫塔１内を
下降して、降水管５から脱硫塔循環タンク２に排
出される。脱硫塔循環タンク２の中の吸収液は撹
拌機７によつて常時撹拌されており、吸収液中の
石灰石微粉末が底面２４に沈澱しないようになつ
ている。また、吸収液循環ポンプ３の入口管２３
の吸込口が脱硫塔循環タンク２の底面２４の上方
に開口しているが、取付枠２６に取り付けられた
ストレーナ８が入口管２３の吸込口に設けられて
いるので、固形物が吸収液循環ポンプ３の中に吸
い込まれることによつて吸収液循環ポンプ３の羽
根が破損されないようになつている。

湿式排煙脱硫装置の脱硫塔１と脱硫塔循環タン
ク２とが以上説明したように構成されているの
で、脱硫塔１内において燃焼排ガスと吸収液とが
接触し、燃焼排ガス中に含まれている亜硫酸ガス
が吸収液に吸収されて燃焼排ガス中から除去され
る際に、既に説明したように、亜硫酸ガスと吸収
液とが反応することによつて亜硫酸カルシウムお
よび石膏が生じる。したがつて、亜硫酸カルシウ
ムおよび石膏から成るスケールが、吸収液が循環
する機器の壁面に付着するが、排煙脱硫装置の運
転条件の変更や起動停止の繰り返し等によつて剥
離し、脱硫塔循環タンク２の底面２４に堆積す
る。それ故、脱硫塔循環タンク２の底面２４に堆
積するスケールおよびストレーナ８自体に付着す
るスケールによつてストレーナ８が目詰りを起す
ので、吸収液循環ポンプ３，の送液量が減少し
て、脱硫塔１の脱硫効率が低下する欠点があつ
た。

上記の欠点を改善するため、第９図および第１
０図に示すように、吸収液循環ポンプ３の入口管
２３にストレーナ２５を１個または並列に２個設
けて、定期的に吸収液循環ポンプ３を停止してス
トレーナ２５を清掃したり、または、通常は１個
のストレーナ２５を使用していて、目詰りを起し
たら他の１個のストレーナ２５に切替えて、目詰
りを起したストレーナ２５を清掃したりしてい
る。しかし、この方法では、吸収液循環ポンプ３
の周囲の配管系統が複雑になつて広い配管面積が
必要であるとともに、ストレーナ２５を点検保守
する労作量が増える等の欠点があり、従来から問
題になつていた。

〔考案の目的〕

この考案は、上記の問題を解決するためになさ
れたもので、脱硫塔循環タンク内に設けられた吸
収液循環ポンプの入口管の吸込口のストレーナが
目詰りを起した場合に、吸収液の循環量が減少す
ることがなく、排煙脱硫装置の運転中に点検保守
する必要がない脱硫塔循環タンクストレーナを提
供することを目的とするものである。

〔考案の概要〕

この考案は、脱硫塔循環タンク内に設けられた
吸収液循環ポンプの吸込口のストレーナの取付枠
に、ストレーナが目詰りを起した場合に吸収液循
環ポンプの吸引力によつて開口する開口部材を設
けて、ストレーナをバイパスして吸収液を通過さ
せることを骨子とするものである。

〔考案の実施例〕

この考案に係る実施例を図に基づいて説明す
る。第１図〜第３図はストレーナの取付枠にこの
考案の開口部材である破壊板を設けた状況を示す
図、第４図〜第６図はこの考案の他の実施例を示
す図であつて、ストレーナの取付枠にこの考案の
開口部材であるバイパス弁を設けた状況を示す図
である。

第１図において第８図の符号と同じ符号は同じ
部分を示している。第１図において、破壊板９が
ストレーナ８の取付枠２６の上面に設けてある。
破壊板９は、ストレーナ８が目詰りを起した場合
に、吸収液循環ポンプ３の吸引力によつて、脱硫
塔循環タンク２内の吸収液の圧力が加えられて破
壊され、ストレーナ８をバイパスして吸収液を通
過させるためのものである。したがつて、吸収液
が破壊板９の破壊された開口部を通過して吸収液
循環ポンプ３３の入口管２３の吸込口に吸引され
るときに、脱硫塔循環タンク２内に堆積している
スケールが吸収液に同伴伴されないように、破壊
板９がストレーナ８の取付枠２６の上面に設けて
ある。

また、抵抗板１０がシヤフト１２によつて破壊
板９の直下に支持されており、シヤフト１２の上
部は脱硫塔循環タンク２の天井蓋２７を貫通して
脱硫塔循環タンク２の上方に突出している。そし
て、シヤフト１２および抵抗板１０がばね１５に
よつて上方に押し上げられており、シヤフト１２
の上端に取り付けられた指示針１７によつて目盛
１８が指示されている。指示針１７および目盛１
８は、破壊板９の破壊された開口部の開度を指示
するためのものである。すなわち、ストレーナ８
が目詰りを起した場合に吸収液循環ポンプの吸引
力によつて破壊板９が破壊されると、脱硫塔循環
タンク２内の吸収液が、破壊板９の破壊された開
口部を通つて吸収液循環ポンプ３の入口管２３の
吸込口の方に吸引されるが、その際に、ばね１５
の押し上げ力に抗して抵抗板１０を押し下げるの
で、破壊板９の破壊された開口部の開度およびス
トレーナ８が目詰りを起していることが、脱硫塔
循環タンク２の外から判るようになつている。

第２図は、この考案の破壊板９がストレーナ８
の取付枠２６の側面に設けられている状況を示す
図であつて、破壊板９がストレーナ８の取付枠２
６の側面に設けられていること以外の構成は、既
に説明した第１図に示す場合の構成と同じであ
る。

第３図は、図示しない脱硫塔１と脱硫塔循環タ
ンク２とが一体になつた構造の場合に、この考案
の破壊板９がストレーナ８の取付枠２６の側面に
設けられ、抵抗板１０を支持するシヤフト１２が
傾斜して設けられている状況を示す図である。

第４図はこの考案のバイパス弁２８がストレー
ナ８の取付枠２６の上面に設けられている状況を
示す図である。バイパス弁２８は、既に説明した
第１図における破壊板９に替るものであり、シヤ
フト１２によつて支持されている。そして、シヤ
フト１２の上部は、脱硫塔循環タンク２の天井蓋
２７を貫通して脱硫塔循環タンク２の上方に突出
しており、ばね１５によつて上方向すなわちバイ
パス弁２８が閉止される方向に押し上げられてい
る。

ストレーナ８が目詰りを起した場合には、吸収
液循環ポンプ３の吸引力によつて、脱硫塔循環タ
ンク２内の吸収液の圧力がバイパス弁２８に加え
られ、ばね１５の押し上げ力に抗してバイパス弁
２８が押し下げられて開く。そして、脱硫塔循環
タンク２内の吸収液は、ストレーナ８をバイパス
してバイパス弁２８を通過し、吸収液循環ポンプ
３の入口管２３の吸込口に吸引される。なお、吸
収液がバイパス弁２８を通過するときに、脱硫塔
循環タンク２内に堆積しているスケールが吸収液
に同伴されないように、バイパス弁２８がストレ
ーナ８の取付枠２６の上面に設けられている。

また、シヤフト１２の上端に取り付けられてい
る指示針１７によつて目盛１８が指示されるの
で、バイパス弁２８の開度およびストレーナ８が
目詰りを起していることが、脱硫塔循環タンク２
の外から判るようになつている。

第５図は、この考案のバイパス弁２８がストレ
ーナ８の取付枠２６の側面に設けられている状況
を示す図である。この場合、バイパス弁２８は連
結棒２０によつてシヤフト１２に連結されてお
り、シヤフト１２は、エキスパンシヨンベロー１
９によつて上方向すなわちバイパス弁２８が閉止
される方向に押し上げられている。上記以外の構
成は、既に説明した第４図に示す場合の構成と同
じである。

第６図は、図示しない脱硫塔１と脱硫塔循環タ
ンク２とが一体になつた構造の場合に、この考案
のバイパス弁２８がストレーナ８の取付枠２６の
側面に設けられ、バイパス弁２８に連結されてい
るシヤフト１２が傾斜して設けられている状況を
示す図である。

〔考案の効果〕

この考案は、以上説明したように、脱硫塔循環
タンク内に設けられた吸収液循環ポンプの吸込口
のストレーナの取付枠に、ストレーナが目詰りを
起した場合に吸収液循環ポンプの吸引力によつて
開口する破壊板またはバイパス弁を設けて、スト
レーナをバイパスして吸収液を通過させるように
している。

したがつて、ストレーナが目詰りを起した場合
に、吸収液の循環量が減少しないので、脱硫塔の
脱硫効率が低下しない効果があるとともに、スト
レーナの目詰りを脱硫塔循環タンクの外部から知
ることができるので、排煙脱硫装置の運転中にス
トレーナを点検保守する必要がなくなる効果があ
る。

【図面の簡単な説明】

第１図〜第３図はストレーナの取付枠にこの考
案の破壊板を設けた状況を示す図、第４図〜第６
図はストレーナの取付枠にこの考案のバイパス弁
を設けた状況を示す図、第７図は従来の湿式排煙
脱硫装置の吸収液が循環する脱硫塔と脱硫塔循環
タンクとを模式的に示す図、第８図は従来の脱硫
塔循環タンクの内部構造を示す図、第９図および
第１０図は従来の吸収液循環ポンプの入口管にス
トレーナを取り付けた状況を示す図である。 １…脱硫塔、２…脱硫塔循環タンク、３…吸収
液循環ポンプ、４…出口管、５…降水管、７…撹
拌機、８，２５…ストレーナ、９…破壊板、１０
…抵抗板、１２…シヤフト、１５…ばね、１７…
指示針、１８…目盛、１９…エキスパンシヨンベ
ロー、２０…連結棒、２１…排ガス入口管、２２
…排ガス出口管、２３…入口管、２４…底面、２
６…取付枠、２７…天井蓋、２８…バイパス弁。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 湿式排煙脱硫装置の脱硫塔循環タンク内に設け
   られる吸収液循環ポンプの吸込口のストレーナに
   おいて、前記ストレーナが目詰りを起した場合に
   前記吸収液循環ポンプの吸引力によつて開口する
   開口部材と、前記開口部材の開口部を通過する吸
   収液によつて移動する移動部材と、前記移動部材
   の移動量を指示する指示針とを設けてあることを
   特徴とする脱硫塔循環タンクストレーナ。