JPH02274537A - シランカップリング剤を用いた複合鋼板の製造方法 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】本公報は電子出願前の出願データであるた
め要約のデータは記録されません。

Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は、２枚のｆｉ板の間に導電性フィシ（とりわけ
金属フィシ）入り樹脂層を挟み圧着してなる複合鋼板の
製造方法に関し、特に、シラン力・ンプリング剤を用い
ると共に圧着温度の上限を規制することにより、鋼板お
よび導電性フィシと樹脂との間の結合力を高め、且つ圧
着時の樹脂のふくれを抑制して、スポット溶接性に優れ
、板厚、接着強度等の品質が安定した複合鋼板を得るこ
とができるものである。

（従来の技術） 導電性フィラ入り複合鋼板は、鋼板間に介在する粘弾性
プラスチックである合成樹脂層が振動を吸収して熱エネ
ルギーに変換することで振動を抑制するお共に、樹脂層
中に介在する導電性フィシが鋼板間に電気を導通させる
から、電気溶接可能な制振鋼板として自動車部材、土木
建築部材、電気製品部材等に広く利用されている。

このようなサンドイッチ型の複合鋼板の合成樹脂として
は、熱可塑性樹脂と熱硬化性樹脂のいずれも用いられる
。しかして、軟らかい熱可塑性樹脂の方が制振性は良好
であるが、強度は低くなる。

一方、熱硬化性樹脂の場合は硬くて常温での制振性は低
いが、強度が大で成形しやすい。そこで制振性と強度の
相反する性質を満たすために、両樹脂を混合して使用す
ることも行われる。

ところで、を線材料である合成樹脂と無機材料の金属を
複合させる場合は、異質の材料が接する界面の制御が重
要であり、界面改質剤として機能するカップリング剤が
極めて有効である。

従来、このような見地から、例えば塗装調板の場合に塗
料にシランカップリング剤を添加することが知られてい
る。シランカップリング剤は、分子中に金属材料と結合
可能な官能！　（−ＯＲ，アルコキシ基、空気中などの
水分により加水分解されてシラノール基に変化し金属面
と強く結合する）と、有機材料と結合可能な官能基（例
えば、ビニル基、エポキシ基、アミノ基等）とを有する
ことにより、塗料と鋼板の接する界面において両者の結
合剤として作用し、接着強度、耐水性などを改善するも
のである。

〔発明が解決しようとする課題〕

金属材料と合成樹脂（以下、単に樹脂ともいう）材料を
複合使用する導電性フィラ入り複合鋼板にあっても、そ
れら両材料間の結合強度を向上さ廿るのにシランカップ
リング剤の有効性が期待される。

しかし、本発明者らは複合鋼板へのシランカップリング
剤を適用するべく研究を重ねたところ、シランカップリ
ング剤を用いると、鋼板と樹脂層との圧着時に樹脂のふ
くれが著しく、導電性フィシの樹脂層貫入が不十分とな
って、スポット溶接性及び製品板厚が一定しないとの知
見を得た。そしてその原因について検討した結果、導電
性フィラ入り複合鋼板の場合は樹脂層が２枚の鋼板間に
挟まれていることから、上記の問題点が生じることを解
明し得た。

すなわち、シランカップリング剤が樹脂中の残存水分と
反応して発生するアルコールが、ある温度（臨海温度）
を越えると爆発的に揮発Ｍを増し、鋼板に遮られたその
アルコールガスの逃げ場がないため樹脂が急激にふくれ
ることを見出した。そして、これがために、塗装鋼板に
用いられるシランカップリング剤の添加という方法を、
単に、複合鋼板用の芯材樹脂に適用するだけでは、所期
の効果が得られないばかりか、製品に回復し難い重大な
欠陥が生じることが判明した。

そこで本発明は、上記の問題点を解決するためになされ
たものであり、その目的とするところは、シランカップ
リング剤を用いると共に圧着温度の上限を規制すること
により、鋼板および導電性フィシと樹脂との間の結合力
を高める一方で、圧着時の樹脂のふくれを抑制して、ス
ポット溶接性に優れ、板厚、接着強度等の品質が安定し
た導電性フィラ入り複合鋼板の製造方法を提供すること
にある。

〔課題を解決するための手段〕

上記目的を達成するため、本発明は、２枚の鋼板の間に
導電性フィラ入り樹脂層を挟んで圧着する複合鋼板の製
造方法において、前記２枚の鋼板のうちの少なくとも一
方の鋼板の片面に、シランカップリング剤を添加した樹
脂層もしくはシランカップリング剤を介して金属と結合
する樹脂層を形成し、該樹脂層を挟んだ鋼板を１８０°
Ｃを越えない温度で加圧して圧着する。

以下、本発明の詳細な説明する。

本発明にあっては、鋼板と樹脂、及び導電性フィシ（と
りわけ金属フィシ）と樹脂を、シランカップリング剤の
作用によって強固に結合させる。

シランカップリング剤は、一般式ＹＳｉＸｚ（但し、Ｙ
は合成樹脂の有機マトリックスと結合可能な有機官能基
で、例えばビニル基、エポキシ基。

アミノ基、アミド基、メルカプト基等。Ｘはケイ素原子
に結合している加水分解性の基で、例えばＯＲで示され
るアルコキシ基等。）で表され、その作用機構は、例え
ばアルコキシ基ＯＲが、外部の水分により加水分解して
シラノール基に変化し、生成したシラノールＹ　Ｓ　１
　（ＯＨ）ｘが鋼板や金属フィシの表面に結合している
Ｏ　Ｈ基と脱水縮合反応してシロキサン結合をつくり金
属と強固に結合する一方、有機官能基Ｙが樹脂の有機質
表面上反応して橋架けを行うように機能するものとされ
る。

上記有機官能基Ｙは後述する樹脂の種類に応じて選定さ
れる。例えば、有機官能５ｙがビニル基であれば、樹脂
は不飽和ポリエステル、アクリル。

ポリエチレン等が好適であり、有機官能基Ｙがエポキシ
基であれば、樹脂はエポキシ、ウレタン。

メラミン７熱硬化性ポリエステ・ル、変性ポリエチ１／
ン等が好適である。又、有機官能基Ｙがアミノ基の場合
は、樹脂はエポキシ９　ウレタン１　メラミン、熱硬化
性ポリエステル、変性ポリエチレン。

ポリ塩化ビニル等が適用可能である。

上記シランカップリング剤は、有機材料である樹脂中に
、又は樹脂と導電性フィシとの混合物中に直接もしくは
溶剤で希釈して添加することができ、その添加量は樹脂
に対し０．２〜２４％程度とする。

あるいは又、無機材料の方を予めシランカップリング剤
で表面処理しておくようにしてもよい。

すなわち、導電性フィシを樹脂に混合する前、又は鋼板
面に樹脂層を形成する前に、予め鋼板面又は導電性フィ
シ粒子面をシランカップリング剤で表面処理する。導電
性フィシを表面処理する場合は、シランカップリング剤
の水溶液又は溶媒希釈液あるいは原液を撹拌中のフィシ
に噴霧する。又は、フィシを水中へ分散させ、撹拌しつ
つシランカップリング剤を添加し、静置後に固液分別し
て乾燥させる。鋼板を表面処理する場合は、例えば高温
の鋼板面にシランカップリング剤の水溶液を噴霧して処
理すれば、処理後の乾燥工程を省略できる。

本発明に用いる合成樹脂は、エポキシ、ボリウＩ／タン
、アクリル、熱硬化性ポリエステル等の熱硬化性樹脂、
又はポリエチレン、ポリプロピレン熱可塑性ポリエステ
ル、塩化ビニル等の熱可塑性樹脂である。これらの樹脂
は単独で、あるいは混合樹脂として用いることができる
。混合樹脂とする場合は、熱可塑性樹脂と熱硬化性樹脂
樹脂の混合比を調整することにより、室温用、中温用、
高温用など使用環境温度に応じて最適の割振特性を付与
することも可能である。

これらの単独または混合された樹脂は、そのまま、ある
いはトルエン、キシレン、アセトン１、シンナー、塩化
メチレン等の溶媒に溶解した状態で用いられる。鋼板面
に所定厚さの樹脂層を形成するには、ロールコータを用
いて塗布するか、スプレーを用いて塗布し、溶媒に混合
した樹脂であれば塗布後に室）１１又は加熱下で溶剤を
とばす。又は離型シート］追こコーティングした後、溶
剤をとばしてフィルムとしたいわゆるキャスティングフ
ィルｌ、を１、鋼板間に積層する。非溶剤型の樹脂であ
れば、加熱溶融した樹脂を押し出してフィルム状に形成
したものを鋼板間に積層する。

樹脂層は、２枚の鋼板のうちの一方の鋼板の片面（対向
面）にのみ形成してもよく、又は他方の鋼板の片面にも
形成するようにしてもよい。

樹脂層を２枚の鋼板間に挟んで積層したものは、ロール
又はプレス等の加圧手段により加熱圧着する。

本発明にあっては、樹脂層を２枚の鋼板間Ｖご挾んで積
層したちの加熱圧着する温度は、１８０　”Ｃ以Ｆとす
る６　１８０’Ｃを越えると、シランカップリング剤が
加水分解して生成したアルコールが急激に揮発して、顕
著な樹脂のふくれを生じさせる。

圧着は樹脂中に後述するフィシが貫入できる柔軟性を有
するうちに行われる。圧着力の下限は、フィシが２枚の
鋼板に接触し７て電気的に完全に接続させ得る大きさで
、その値は使用した樹脂の性質、樹脂層の厚さ、導電性
フィシの粒径により異なるから、必要に応じてその都度
所要の樹脂針入度等を実測して求められる。

本発明の鋼板は、冷間圧延鋼板、クロメート処理鋼板、
亜鉛処理鋼板、リン酸処理鋼板、ステンレス板などのい
ずれであってもよく、又、コイル状原板、切り板のいず
れであってもよい。

その板厚は、成形加工性の点からみて、０．２〜１．２
鮒のものが好ましい。

本発明に用いる導電性フィシは、鉄１、銅、ニッケル、
ステンレス、亜鉛、アルミニウム等の良導電性金属のほ
ぼ球状の粒子で、その粒径は５０〜１００μｍ程度が好
適である。

上記のフィシを所定の樹脂層中に混合するには、予め樹
脂中にフィシ粒子を分散させておくか、鋼板の片面に形
成した樹脂フィルム面、もしくは塗布した樹脂面に後か
ら散布して付着させる。

〔作用〕

シランカップリング剤は、樹脂と金属（鋼板。

導電性フィシとりわけ金属フィシ）の結合界面に介在し
て両者の結合力を強め、結合状態を安定化させる。しか
して、シランカップリング剤を介して結合する鋼板と樹
脂を加熱圧着する際、加熱温度を１８０°Ｃ以下に維持
することにより、樹脂中の残存水分とシランカップリン
グ剤との反応により発生するアルコールの揮発が抑制さ
れる。その結果、樹脂ふくれが抑制できて、スポット溶
接性や板厚等の品質が安定する。

〔実施例〕

以下、本発明の実施例を示すが、本発明はこれに限定さ
れるものではない。

実施例１〜５および比較例１〜３゜ 導電性フィシは、圧着前高さＺ＝９０μｍの銅粉を用い
た。

樹脂はエポキシ系又はアミノ系又はアミド系シランカッ
プリング剤添加熱硬化性樹脂ポリエステル樹脂、又はエ
ポキシ系シランカップリング剤添加ボ１ノエチレン樹脂
を用いた。

鋼板は厚さ０．４鵬の冷間圧延鋼板を脱脂して使用した
。

上記シランカップリング剤添加樹脂に更に導電性フィシ
を添加した樹脂をロールコータで一方の鋼板の片面に所
定の樹脂膜厚になるように塗布した。同様にして、他方
の鋼板の片面にシランカップリング剤添加樹脂を所定の
樹脂膜厚になるように塗布した。

上記２枚の鋼板の樹脂塗布面同士を重ね、種々の圧着温
度で熱プレスすることにより圧着し、次いで冷却した。

圧着温度を変えて得られた各複合鋼板試料につき、圧着
温度での樹脂ふくれ（μｍ）とスポット溶接性を測定し
て評価した。

実施例は、全て圧着温度を１８０°Ｃ以下で行った。こ
れに対して、比較例の圧着温度はいずれも１８０　’Ｃ
を越える温度とした。

溶接性試験は、得られた導電性フィラ入り複合鋼板同士
のスポット溶接を行い、溶接条件は、チップ８Ｒ球、加
圧力１７０ｋｇ、電流８ＫＡ、通電時間８サイクルとし
、全溶接点に対する良溶接点の百分率比をもって溶接性
を評価した。

評価結果を第１表に示す。

第　　１　表 あり、樹脂ふくれは極めて僅少で、スポット溶接性も完
全であった。

一方、比較例の場合は、圧着温度が１８０°Ｃを越えて
おり、樹脂ふくれが大きく、スポット溶接性も著しく低
下した。

〔発明の効果〕

以上説明したように、本発明によれば、導電性フィラ入
り樹脂層を挟んで圧着する複合鋼板の２枚の鋼板のうち
の少なくとも一方の鋼板の片面に、シランカップリング
剤を介して金属と結合する樹脂層を形成し、該樹脂層を
挟んだ鋼板を１８０″Ｃを越えない温度で加圧して圧着
するようにした。

そのため、樹脂と鋼板及び導電性フィシ（とりわけ金属
フィシ）との結合強度が大きく、しかも圧着時の樹脂の
ふくれが抑制され、スポット溶接性に優れ、板厚、接着
強度等の品質が安定した導電性フィラ入り複合鋼板を提
供することができるという効果が得られる。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. （１）２枚の鋼板の間に導電性フィラ入り樹脂層を挟ん
   で圧着する複合鋼板の製造方法において、前記２枚の鋼
   板のうちの少なくとも一方の鋼板の片面に、シランカッ
   プリング剤を添加した樹脂層もしくはシランカップリン
   グ剤を介して金属と結合する樹脂層を形成し、該樹脂層
   を挟んだ鋼板を１８０℃を越えない温度で加圧して圧着
   することを特徴とするシランカップリング剤を用いた複
   合鋼板の製造方法。