JPH0226959Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 産業上の利用分野 本考案は紙、パルプ業界において紙料の精選に
用いる製紙用スクリーンに関する。

従来の技術 従来、紙、パルプ業界において紙料の精選に用
いたスクリーンプレートは、第６図に示すように
左右と下に山形の突条ａ，ｂ，ｃを備える三角断
面の多数の線材１１を第７図及び第８図のように
左右の突条ａ，ｂの間に狭いスリツトが形成され
るように幾本かの支持棒１２の上へ並べ、これら
支持棒１２へ下側の突条ｃを溶接して形成したも
ので、このスクリーンプレートA′の表側で第９
図に示すようにインペラ１３を高速回転させてス
クリーン面の掃除を行わせ、紙料精選が連続的に
行われるようにしたものである。又、突状のスク
リーンを有するものとして、特開昭54−82409号
公報、特公昭59−1837号公報、実公昭58−31920
号公報記載のものがある。

考案が解決しようとする問題点 しかし前記した従来のスクリーンプレート
A′は、その表面側が第７図〜第１０図に示すよ
うに平坦である。このためインペラ１３の高速回
転によつて起るスクリーンプレートA′の近傍の
紙料流は、第９図に示すようにスクリーンプレー
トA′の表面と平行に近い層流となるから、紙料
がスリツトを通過しにくゝて精選の能力が小さ
く、また前記した層流は各線材１１における上流
側の山形突条ｂに集中的に当り、この突条部ｂを
第１０図のように激しく摩耗させるので、スリツ
トが次第に大きくなつて精選紙料のむらや粗大化
を生ずる問題点があつた。

又、特開昭54−82409号公報、特公昭59−1837
号公報、実公昭58−31920号公報記載のものにあ
つては、インペラに向かう側の山形の突条が突条
の頂点における接線に対して直角に形成され、こ
の面に当たつた紙料中の異物が容易にスクリーン
へ混入する問題点があつた。

本考案は、上記問題点を解決するためになされ
たもので、山形の突部を備える複数の線材と、イ
ンペラに向かう側の山形の突部の一辺を山形の突
部の頂点における接線に対して鋭角に傾斜させる
ことにより、通過性が向上し且つ紙料中の異物が
スリツト側へ混入することを防止した製紙用スク
リーンを提供することを目的としている。

問題点を解決するための手段 本考案は、インペラと、このインペラに対向す
るように設けられると共に山形の突部を備える複
数の線材と、この線材を狭いスリツトが形成され
るように並設すると共に下側で接合する複数の支
持棒とを備え、前記インペラに向かう側の前記山
形の突部の一辺を前記山形の突部の頂点における
接線に対して鋭角に傾斜したものである。

作 用 前記のように構成されるスクリーンプレートＡ
は、第５図のように密開圧力型の製紙用スクリー
ンの一次室４と二次室５との間に取付けて、その
表面近くでインペラ９を高速回転させると、一次
室４内へ供給された紙料はインペラ９の回転によ
り旋回流動され、紙料の流れは強制的にスクリー
ンプレートＡにほぼ平行になり、更にスクリーン
プレートＡの表面近くに層流を形成しようとする
が、スクリーンプレートＡの表面は各線材１にお
ける山形の突部Ｄとその〓間とにより第１図、第
３図、第４図に示すような凹凸となり、この凹凸
により前記した層流を第４図に示すような乱流と
してスリツトに向わせるから紙料がスリツトを通
過し易くなり、精選の能力を大巾に増進されると
共に、乱流化した紙料は山形の突部Ｄのｂ点に集
中的に当らないし、上流側の山形の突部Ｄのｃ点
が紙料の流勢を減衰させるため、山形の突部Ｄの
ｂ点の摩耗が僅少となり、長期間使用してもスリ
ツト巾が変化して精選紙料にむらや粗大化を生じ
させる傾向は認められなかつた。インペラ９に向
かう側の山形の突部Ｄの一辺を山形の突部Ｄの頂
点における接線に対して鋭角に傾斜しているた
め、紙料中の異物（砂、金属等）がインペラ９に
向かう側の山形の突部Ｄの一辺に当たり、当たつ
た異物がスリツト側とは反対側へはねつけられ
る。

実施例 次に本考案に関する製紙用スクリーンの実施の
一例を図面に基いて説明する。

図面第１図及び第２図において１は多数の線材
で、例えばステンレス鋼を用いて、上方に突出し
た山形の突部Ｄが第３図のような断面形状に形成
し、これら各線材１はこれと直交させて所定の間
隔で配置される円形断面等の支持棒２の上に、線
材１を狭いスリツトが形成されるように並設し、
各線材１の下側の突条ｄを支持棒２に溶接してス
クリーンプレートＡを形成させる。インペラ９に
向かう側の山形の突部Ｄの一辺cbを山形の突部
Ｄの頂点ｃにおける接線に対して鋭角に傾斜して
いるため、紙料中の異物Ｆがインペラ９に向かう
側の山形の突部Ｄの一辺cbに当たり、当たつた
異物Ｆがスリツト側とは反対側へはねつけられ
る。

第５図は前記したスクリーンプレートＡを使用
する密閉圧力型スクリーンで、薄形の円形ケーシ
ング３内に前記したスクリーンプレートＡにより
区画される一次室４と二次室５とを設けてあり、
一次室４における外壁の中心に原料の送入口６を
設け、外周にスクリーンプレートＡを通過しない
リジエクトの放出口７を設けてあり、二次室５に
おける外壁の外周側に精選紙料の送出口８を設け
てあり、前記した一次室４内にはスクリーンプレ
ートＡに近接したインペラ９を設けて、このイン
ペラ９を二次室５を通して挿入される回転軸１０
によつて高速回転させ、一次室４に送り込まれる
原料をスクリーンプレートＡのスリツトを通るも
のと、通らないものとに選別させ、スリツトを通
つて二次室５に達したものを放出口８から次工程
へ送らせ、一次室４に残つたリジエクトを放出口
７から図面には示してない受けへ送らせるもので
ある。

考案の効果 本考案の製紙用スクリーンは、インペラと、こ
のインペラに対向するように設けられると共に山
形の突部を備える複数の線材と、この線材を狭い
スリツトが形成されるように並設すると共に下側
で接合する複数の支持棒とを備えているため、ス
リツト前で乱流が生じ、流れ方向が変換され、通
過性が向上する。又、インペラに向かう側の山形
の突部の一辺を山形の突部の頂点における接線に
対して鋭角に傾斜しているため、紙料中の異物が
インペラに向かう側の山形の突部の一辺に当た
り、当たつた異物がスリツト側とは反対側へはね
つけられ、紙料中の異物がスリツト側へ混入する
ことを防止することができる特有の効果を有す
る。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案に関する製紙用スクリーンプレ
ートの実施の一例を示す一部分の斜視図。第２図
は同上の一部分を示す側面図。第３図は同上にお
ける線材の断面形状を示す拡大図。第４図は同上
スクリーンプレートが紙料の乱流を起させる状態
の側面図。第５図は同上のスクリーンプレートを
用いた密閉圧力型スクリーンの縦断正面図。第６
図は従来の製紙用スクリーンプレートを示す一部
分の斜視図。第７図は同上の一部分を示す側面
図。第８図は同上における線材の断面形状を示す
拡大図。第９図は同上スクリーンプレートの表面
が平坦であるため紙料が層流を形成する状態の側
面図。第１０図は紙料の層流によつて線材の突条
が摩耗した状態の側面図である。 １……線材、２……支持棒、Ｄ……山形の突
部。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. インペラと、このインペラに対向するように設
   けられると共に山形の突部を備える複数の線材
   と、この線材を狭いスリツトが形成されるように
   並設すると共に下側で接合する複数の支持棒とを
   備え、前記インペラに向かう側の前記山形の突部
   の一辺を前記山形の突部の頂点における接線に対
   して鋭角に傾斜したことを特徴とする製紙用スク
   リーン。