JPH02235702A - 木材中における流体の移動促進方法 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】本公報は電子出願前の出願データであるた
め要約のデータは記録されません。

Description

【発明の詳細な説明】 （産業上の利用分野） 本発明は、木材に液体、例えば、防腐剤，防虫剤，不燃
剤の他、ポリエチレングリコール，合成樹脂等の液状木
材改質剤を効率的に注入でき、また、本材中の水分等を
効率的に除去できる本材中における流体の移動促進方法
に関する。

（従来の技術と発明が解決しようとする課題）従来、木
材に液体を注入する方法としては、例えば、木材を液体
中に浸漬した後、減圧注入．加圧注入あるいは両者を併
用して注入する方法が行なわれていたが、注入作業に長
時間を要するとともに、液体の含浸が心材部と辺材部で
不均一になるという問題点があった。また薬剤の注入潰
を多くするために木材の表面に刺傷を設ける機械的なイ
ンサイジング処理を行った後、減圧，加圧注入等が行な
われていた。

しかしながら、機械的なインサイジング処理は心材部、
特に大断面を有する丸太．角材の内部にまで行うことが
困難であり、しかも針葉樹は心材部の膜孔が閉じており
、また広葉樹は心材部の細胞内にチロース等の充填物を
含有しているので、心材部内における液体の移動が遅い
。このため、注入作業に時間がかかるだけでなく、辺材
部と心材部との液体の含有率にバラツキが生じやすいと
いう問題点があった。

一方、本材中の水分を除去して乾燥する場合、自然乾燥
では長時間を要するので、例えば木材の表面に水蒸気や
熱風を吹き付けて加熱したり、誘電加熱で木材を内部か
ら加熱することにより、本材中の水分を木材表面から強
制的に蒸発させて短時間に乾燥させる人工乾燥が行なわ
れていた。

しかしながら、前者の場合は、木材表面から水分を急激
に蒸発させるものであるので、木材表面近傍の表層部に
含まれている水分は排出されやすいが、内部に含まれて
いる水分は排出されにくい。

このため、表層郎の含水率と心材郎の含水率とに不均一
が生じ、内部応力が発生する。この結果、乾燥中に表面
割れや内部割れが発生したり、乾燥後の木材にねじれや
反りなどの狂いが生じやすく、乾燥時間の短縮には限界
があった。

一方後者の場合、木材の表層部と内部が同時に加熱され
、表層部の水分は空気中に水蒸気となって放出されるが
、内部の水分は拡散により表層部へ移動してくるために
急激な乾燥条件にすると、表層部と内部の含水率の不均
一のために内部割れ等を発生させる場合があるという問
題点があった。

本発明は、前記問題点に鑑み、木材の辺材郎のみならず
心材部にも液体を均一、かつ迅速に注入でき、また、本
材中の水分を表層部のみならず内部からも迅速に除去で
き、かつ均一に乾燥できる本材中における流体の移動促
進方法を提供することを目的とする。

（課題を解決するための手段） 本発明者らは、前記目的を達成するため、本材中に液体
を効率的に注入すること、および、本材中の水分等を効
率的に除去することについて鋭意研究を行った結果、木
材にレーザビームを照射してレーザ孔を形成すると、而
記レーザ孔を介して流体が本材中を移動しやすくなるこ
とを見い出し、この知見に基づいて本発明方法を完成す
るに至った。

すなわち、本発明の要旨は、木材に液体を効率的に注入
するため、木材にレーザビームを照射してレーザ孔を設
けた後、前記レーザ孔を介して液体を注入することを特
徴とする本材中における流体の移動促進方法にある。

また、本発明の要旨は、本材中の水分等を効率的に除去
するため、木材にレーザビームを照射してレーザ孔を設
けた後、加熱することを特徴とする本材中における流体
の促進方法にある。

前記木材はその樹種を問わず、その形状は丸太．角材．
板材であってもよい。特に、本発明は流体の移動に時間
がかかっていた大断面を育する木材に適用すると、効果
が顕著である。

レーザビームにはＣＯ，レーザ（炭酸ガスレーザ）等の
気体レーザをはじめ、任意のレーザによるものが使用で
きる。

レーザ孔は前記レーザビームを木材表面に照射すること
により、木材実質の一郎を高温加熱で分解，消失させて
形成するもので、その直径．深さは前記レーザビームの
出力，照射時間等を適宜調整することにより、所望の寸
法のものを得ることができ、さらに、単位面積当たりの
数量も適宜選択できる。

本発明によれば、木材の表面にレーザビームを照射する
だけで、従来の機械的なインサイジング処理では得られ
なかった深い孔が簡単に得られるので、作業性が向上す
る。

しかも、レーザビームでレーザ孔を形成すると、木材実
質の一郎が高温加熱で分解，蒸発されて消失するので、
前記インサイジング処理のように木材の細胞壁が破壊さ
れたり、押し潰されたりすることがなく、レーザ孔内で
細胞壁面が露出する。

このため、機械的なインサイジング処理で孔を形成した
場合よりも、気体．液体が本材中を移動しやすくなると
いう利点がある。

液体としては、防虫剤，防腐剤．防蟻剤，不燃処理剤等
の液状木材改質薬剤及び木材の化学的加工剤などを挙げ
ることができ、またこれらのものは単体で使用する場合
に限らず、例えば、含浸を容易にするため、揮発性溶媒
で希釈したものを注入してもよい。

注入方法は浸漬，減圧注入．加圧注入、もしくはこれら
を併用してもよい。

本発明によれば、木材の表面だけでなく、レーザ孔を介
して木材の内部からも液体を直接注入できるので、注入
作業に要する時間を短縮できるだけでなく、木材の心材
郎および辺材郎に液体を均一に注入できる。特に、レー
ザ孔を貫通孔とせず、木材の化粧面近傍までの深さとす
ると、今迄不可能とされていた化粧用木材の薬剤注入処
理が可能になる。

一方、本材中の水分を除去する場合における加熱方法と
しては、例えば、熱気式あるいは除湿式乾燥法、または
、誘電加熱による方法がある。

熱気式乾燥方法によれば、加熱された空気や水蒸気がレ
ーザ孔を介して内部を直接加熱し、木材を均一に加熱で
きるとともに、加熱によって生じた水蒸気が木材の表面
のみならず、レーザ孔を介して木材の心材部からも直接
排出されるため、乾燥時間が短縮するとともに、表層部
と内部との間における含水率のバラツキが小さくなり、
内部応力が発生しにくくなる。この結果、乾燥後におけ
る木材の狂いやひび割れを防止できる。除湿式乾燥方法
においてもほぼ同様な利点がある。

また、誘電加熱による方法によれば、誘電加熱によって
本材中の水分が水蒸気となり、この水蒸気が表層部のみ
ならず、内部からもレーザ孔を介して直接排出されるこ
とになる。このため、木材の表層部および内部を迅速、
かつ、均一に乾燥できるので、乾燥時間を短縮できるだ
けでな《、乾燥後における木材の変形や割れを防止でき
る。

実施例ｌ ホワイトセラヤの心材およびイゲム（ボドカルブス）の
辺材からそれぞれ厚さ４ｚｍ，中４５ｘｍ，長さｌｏＯ
ｘｍの板材を切り出して試験片（Ａ）および（Ｃ）を得
、この試験片（Ａ），（Ｃ）の４ズｉ＋Ｘ　Ｉ　００ｍ
ｍの表面にＣＯ，レーザのレーザビームを適宜照射し、
任意の深さを有する２７個のレーザ孔を一列に設けた。

そして、レーザ孔が露出していない面から水分の移動を
防止するため、レーザ孔が露出していない五面全てをガ
ムテーブで被覆した。

次に、前記試験片（Ａ），（Ｃ）を防虫処理薬剤（ホウ
砂・ホウ酸，神東塗料製、商品名；エバーウッドボロン
）の３％水溶液に浸漬し、常圧で５分．！０分，２０分
，６０分，１２０分経過直後における重量の増加を測定
し、重量増加率を算定した。

算定結果を第１表に示す。

ついで、浸漬後の試験片（Ａ），（Ｃ）を温度６０℃の
恒温乾燥器中に入れ、５分，ＩＯ分．２０分．６０分．
１２０分経過直後における重量の減少を測定し、重量減
少率を算定した。算定結果を第２表に示す。

さらに、乾燥させた前記試験片（Ａ），（Ｃ）のガムテ
ーブを取り除き、レーザ孔が露出する面を鉋で削り、深
さ０屑ｍ，　　５ｘｘ，　　１　０１１，　　ｌ　５ｗ
ｘ，　　２　０ａｘごとに防虫ＪＡＳ規格による呈色反
応試験を行なった。試験結果を第３表に示す。

比較例ｌ 前記実施例１の試験片（Ａ），（Ｃ）を切り出したホワ
イトセラヤの心材およびイゲムの辺材から、同一外形寸
法を有する試験片（Ｂ），（Ｄ）をそれぞれ切り出し、
ＣＯ，レーザでレーザ孔を設ける工程を除き、全て同一
の操作を加えることにより、重量増加試験．重量減少試
験および薬剤呈色試験を行った。それぞれの測定結果を
比較するため、第１表，第２表および第３表に示す。

第１表 重量増加率（％） 第ｌ表より、薬剤の浸透量に関し、ホワイトセラヤの心
材およびイゲムの辺材は、レーザ孔を有する試験片（Ａ
）．（Ｃ）の方が、レーザ孔を有しない試験片（Ｂ）．
（Ｄ）よりも薬剤浸透量が多いことがわかった。

これより、常圧下の浸漬でレーザ孔を設けることによっ
て液体の注入が促進されることがわかったら 第２表 重量減少率（％） 第３表 薬剤呈色試験 第２表より、熱気式乾燥に関し、ホワイトセラヤ心材の
場合は、レーザ孔を有する試験片（Ａ）の方が、レーザ
孔を有していない試験片（Ｂ）よりも水分蒸発量が多い
ことがわかった。これより、レーザ孔を設けることによ
り、本材中の水分の移動が促進され、乾燥効率が高まる
ことがわかった。

これに対し、イゲム辺材の場合は、レーザ孔を有する試
験片（Ｃ）と、レーザ孔を有していない試験片（Ｄ）と
の間に有意差は見い出せなかった。

第３表より、薬剤浸透深さに関し、ホワイトセラヤ心材
の場合は、レーザ孔を有する試験片（Ａ）が深さ５ｘＪ
＋から２０ｚｍにかけて切削面全面で顕著な呈色反応を
確認できたのに対し、レーザ孔を有しない試験片（Ｂ）
は切削面の両側縁部でのみ呈色反応を示し、中央部で呈
色反応を見い出せなかった。

一方、イゲム材の場合は、レーザ孔を有する試験片（Ｃ
）が深さ５１Ｎまでならば、不完全ながらもレーザ孔の
周囲で呈色反応を示すことを確認できたが、レーザ孔を
有しない試験片（Ｄ）は５ｊＩＭ以上の深さでは呈色反
応が全く確認できなかった。

したがって、レーザ孔を有する試験片（Ａ）．（Ｃ）の
方が薬剤の浸透が深いことから、レーザ孔が薬剤の浸透
を促進することがわかった。

実施例２ ミズナラ心材から厚さ３０ｚｘ，中３６ｘｘ，長さ１０
０ｘｘの板材および厚さ３０ｘｘ，中４０３１１，長さ
１００ｉｘの板材を切り出して試験片（Ｅ）および試験
片（Ｆ）を得た。一方、心材部のみからなるスギ材から
厚さ２２ｘｍ，中４４屑ｌ，長さｌ００ｘｉの板材を切
り出して試験片（Ｈ）を得、また、一部辺材を含むスギ
材から厚さ２２ｘｘ，中４６１１，長さ１００３！１の
一部辺材を含む心材からなる板材を切り出して試験片（
１）を得た。そして、試験片（Ｅ），（Ｐ），（Ｈ）．
（１）の厚さを示す側面にＣＯ，レーザのレーザビーム
を照射し、任意の深さを有するｌ列９個のレーザ孔を２
列設けて計１８個のレーザ孔を設けた。ついで、レーザ
孔が露出していない面からの水分の移動を防止するため
、レーザ孔が露出していない五面全てをガムテーブで被
覆した。

そして、前記試験片（Ｅ），（Ｆ）．（Ｈ）．（１）を
防虫処理薬剤（エバーウッドボロン）の２．５％水溶液
中に浸漬し、６００ｘｘＨｇで３０分の減圧注入後、１
５気圧で６０分の加圧注入し、処理直後の重量を測定し
、重量増加率を算定した。算定結果を第４表に示す。

ついで、注入処理後の試験片（Ｅ），（Ｆ）．（Ｈ），
（１）を定格高周波出力５００Ｗ，発信周波数２４５０
ＭＨｚで１分間．２分間，３分間ずつ誘電加熱し、加熱
直後の重量を測定し、重量減少率を算定した。算定結果
を第５表に示す。

さらに、試験片（Ｅ）．（Ｆ）．（Ｈ）．（［）のガム
テーブを取り除き、レーザ孔が露出する面を鉋で削り、
深さＯｘｘ，　　ｌ　ａｍ，　　５ｘｘ，　　ｌＯｘｍ
ごとに防虫ＪＡＳ規格による呈色反応試験を行った。試
験結果を第６表に示す。

坦咬鉱ｌ 前記実施例２の試験片（Ｅ），（Ｆ）を切り出したミズ
ナラ心材から厚さ３（Ｊｔｘ，中５０ｕ＋，長さ１００
ｍｗの板材を切り出して試験片（Ｇ）とする一方、試験
片（Ｈ）を切り出した心材のみからなるスギ材から厚さ
２２Ｒｊ！．中５０ｚｘ，長さ１００３１１の板材を切
り出して試験片（Ｊ）を得、ＣＯ，レーザのレーザビー
ムでレーザ孔を設ける工程を除き、全て同一の操作を加
えることにより、重量増加試験．重量減少試験．薬剤呈
色試験を行った。それぞれの結果を比較するために第４
表．第５表および第６表に示す。

第４表 重量増加率（％） 材を含む心材からなる試験片（１）、レーザ孔を有する
心材のみからなる試験片（Ｈ）およびレーザ孔を有しな
い心材のみからなる試験片（Ｊ）の順に大きな差がある
ことがわかった。

これより、レーザ孔を設けることにより、液体の注入が
促進される場合があることがわかった。

第５表 重量減少率（％） 第４表より、薬剤の浸透量に関してミズナラの場合は、
レーザ孔を有する心材のみからなる試験片（Ｅ），（Ｆ
）とレーザ孔を有しない心材のみからなる試験片（Ｇ）
との間には顕著な差は見い出せなかった。

一方、スギの場合は、レーザ孔を有する一部辺第５表よ
り、誘電加熱による乾燥に関し、ミズナラの場合は、レ
ーザ孔を有する試験片（Ｅ），　（Ｆ）の水分蒸発量が
、レーザ孔を有しない試験片（Ｇ）の水分蒸発量とほぼ
同等以上であることがわかった。

一方、スギの場合は、レーザ孔を有する試験片（Ｈ），
（１）の水分蒸発量が、レーザ孔を有しない試験片（Ｊ
）のそれよりも２．５倍ないし３倍であることがわかっ
た。

これより、レーザ孔を設けることにより、本材中におけ
る液体の移動が促進されることがわかった。

第６表 薬剤呈色試験 第６表より、薬剤浸透深さに関し、ミズナラの場合、レ
ーザ孔を有する試験片（Ｅ），　（Ｆ’）は深さ５＋ｕ
の面までは完全に呈色反応を示し、深さ１０１１ＩＩの
面においてもレーザ孔の列に沿って繊維方向に呈色反応
を確認できたのに対し、レーザ孔を有しない試験片（Ｇ
）は深さ１３１３１の面において完全な呈色反応を示し
たにすぎず、深さ５ｕ＋の而では面積の約半分だけ呈色
反応を示し、深さｌＱｘｚの面においては呈色反応を全
く見い出せなかった。

一方、スギの場合は、レーザ孔を有する試験片（Ｈ），
（　１　）は深さ５ｘｘ，　　ｌ　Ｏｘｘの面において
不完全ながらもレーザ孔の列に沿って繊維方向に呈色反
応を示したのに対し、レーザ孔を有しない試験片（Ｊ）
は深さ５ｊ＋ｘ．　　１　０ｍｍの面において全《呈色
反応を示さなかった。

これより、レーザ孔を設けることにより、薬剤がより深
く浸透することがわかった。

以上の試験結果から明らかなように、木材にレーザビー
ムでレーザ孔を設けることにより、本材中における流体
の移動が促進されることがわかった。

（発明の効果） 本発明によれば、液体を木材に注入する場合には、レー
ザ孔が液体の流通路となり、木材の表面のみならず、従
来より注入が困難であるとされていた心材部にも直接注
入できるので、液体注入の作業時間を短縮できるととも
に、液体を本材中に均一に含浸させることができる。

また、本材中の水分を除去して乾燥する場合、熱気式乾
燥では熱が木材表面のみならず、レーザ孔を介して木内
内部に侵入し、木材全体を均一に加熱できるとともに、
加熱によって生じた水蒸気が木材の表面からだけでなく
、レーザ孔を介して心材部からも直接排出されるので、
乾燥が均一かつ、迅速に行なわれることになる。このた
め、乾燥時間が短縮されるだけでなく、木材にねじれ，
反りなどの狂いやひび割れが生じにくい。

さらに、誘電加熱では本材中の水分が水蒸気となり、こ
の水蒸気が木材表面からだけでなく、レーザ孔からも直
接排出されるので、辺材部の含水率と心材部の含水率と
の不均一が緩和される。このため、狂いやひび割れを生
じさせることなく乾燥することが今迄不可能とされてい
た大断面を有する木材を、乾燥できるという効果がある
。

Claims (2)

【特許請求の範囲】
1. （１）木材にレーザビームを照射してレーザ孔を設けた
   後、前記レーザ孔を介して液体を注入することを特徴と
   する本材中における流体の移動促進方法。
2. （２）木材にレーザビームを照射してレーザ孔を投けた
   後、加熱することを特徴とする本材中における流体の移
   動促進方法。