JPH0223306Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 （考案の目的） ａ 産業上の利用分野 この考案に係る蒸気滅菌器用水封式真空ポンプ
装置は、病院等に於いて各種医療器具等を高温の
水蒸気により加熱する際、滅菌容器中に加熱用の
飽和蒸気を確実に送り込めるようにするため、或
は加熱滅菌した後、水蒸気の付着により濡れた被
滅菌物を乾燥するため、滅菌容器内を真空にする
のに利用される。

ｂ 従来の技術 病院等に於いて使用した各種医療器具等は、付
着した細菌による感染のおそれがあるため、再使
用するに先立つて滅菌処理しなければならない。

このため、従来から容器内に高温（130℃程度）
の水蒸気を充満させ、この容器内に収納した被滅
菌物を加熱し滅菌する蒸気滅菌器が使用されてい
る。このような蒸気滅菌器に於いては、確実な滅
菌を行なうため滅菌工程前に滅菌容器内を真空に
する工程を設けており、更に滅菌工程時に水蒸気
の凝縮により濡れた被滅菌物の表面を乾燥させる
ため、滅菌工程終了後に上記容器内を真空にし、
被滅菌物の表面に付着した凝縮水を蒸発し乾燥さ
せることが行なわれている。

ｃ 考案が解決しようとする問題点 このような真空工程と乾燥工程に於いて容器内
を真空にするには、広く知られている水封式の真
空ポンプが使用されているが、蒸気滅菌器に使用
される水封式真空ポンプは、毎分３程度の水を
消費する。蒸気滅菌器には加熱用蒸気発生用の水
を供給するための水タンクが設けられているが、
容量は５前後と小さい。一方水封式真空ポンプ
は乾燥工程時には連続して30分程度運転されるた
め、このタンク内の水を循環させたのでは水温が
相当に上昇し、真空ポンプの効率を悪化させてし
まう。

このため、従来は真空ポンプの受水口と水道と
を結び、真空ポンプを運転する間中水を流し放し
にするようにしていた。このため、水封式真空ポ
ンプの運転中には多量の水が消費されていた。

本考案は上述のような事情に鑑み、水封式真空
ポンプの運転時に消費される水を節約できるよう
にするものである。

（考案の構成） ａ 問題を解決するための手段 本考案の蒸気滅菌器用水封式真空ポンプ装置
は、図面に示すようにボイラへの給水用の水タン
ク１の上部にオーバフロー管２を設け、この水タ
ンク１に、途中に開閉弁３と流量調節弁４とを設
けた給水管５により水道水を送り込めるようにし
ている。

一方、水タンク１の下端部に一端を接続した送
水管６の他端は、水封式の真空ポンプ７の受水口
に接続しており、この真空ポンプ７の排水口に一
端を接続した排水管８は上記水タンク１に通じて
いる。更に、真空ポンプ７の吸気口に一端を接続
した吸気管９の他端は、内缶１０ａと外缶１０ｂ
とから成る滅菌容器１０の、内缶１０ａ内の滅菌
室１１内に開口している。

上記送水管６の途中から分岐し、途中に送水ポ
ンプ１２を設けた第二の送水管１３は、ボイラ１
４の受水口に通じている。ボイラ１４は滅菌容器
１０の内缶１０ａと外缶１０ｂとの間に形成され
る加熱チヤンバ１０ｃ内に高温の蒸気を送給し、
滅菌室１１内の温度を上昇させてこの滅菌室１１
内に収納された被滅菌物の乾燥を効率的に行なえ
るようにするもので、このボイラ１４の蒸気吐出
口に一端を接続した給蒸管１５の他端が上記加熱
チヤンバ１０ｃ内に開口している。ボイラ１４内
の水位は、図示しない水位センサの働きにより運
転、停止を繰り返す前記送水ポンプ１２の働きに
よつて一定に保たれる。又、この加熱チヤンバ１
０ｃの底部には、チヤンバ１０ｃ内で加熱用蒸気
が凝縮することにより発生する水を外部に排出す
るためのトラツプ１６が設けられている。

ｂ 作用 上述のように構成される本考案の蒸気滅菌器用
水封式真空ポンプ装置により、滅菌容器１０の滅
菌室１１内に収納された被滅菌物の表面を乾燥す
るには次のようにして行なう。

給水管５の途中の開閉弁３を開き、流量調節弁
４により水タンク１内に、真空ポンプ７に吸い込
まれる水の半分程度の量の水を給水しつつ上記真
空ポンプ７を運転し、ボイラ１４から加熱チヤン
バ１０ｃ内に加熱用蒸気を送り込む。

これにより滅菌容器１０の滅菌室１１内が真空
になると同時に温度が上昇し、この滅菌室１１内
に収納された被滅菌物の表面を効率良く乾燥させ
る。

真空ポンプ７から空気とともに排水管８内に吐
出された水は、再び水タンク１内に戻され、循環
使用されるが、水タンク１内には給水管５を通じ
て新たな水が連続的に供給されるため、この水タ
ンク１内の水温が真空ポンプ７の効率を悪化させ
る程上昇することはない。又、水タンク１内の水
は、ボイラ１４にも送られるが、このボイラ１４
内には乾燥行程中にトラツプ１６から排出される
水に見合う量だけの給水が行なわれる。このた
め、水タンク１のオーバフロー管２から排出され
る水量は、給水管５から送り込まれる水量からボ
イラ１４に送られる水量を引いただけの量とな
る。従つて、給水管５を通じて水タンク１内に送
り込む水量を真空ポンプ７に送られる水量の半分
程度としても、オーバフロー管２から排出される
水量は真空ポンプ７に送られる水量の半分以下と
なる。

なお、特開昭58−86164号公報には、水封式真
空ポンプに使用した水を水タンクに戻して循環使
用すると共に蒸気滅菌器から排出される蒸気の白
煙を防止するためにこの蒸気を水タンクに通して
蒸気を凝縮させてから排出し、これにより温度上
昇するタンク内の水を、冷却水をタンクに間欠的
に注入して冷却する構造が記載されていて公知で
あるが、本考案は水タンク内の水を水封式真空ポ
ンプに循環使用すると共に、これにより少し温度
上昇した水をボイラに給水し、このようにしてほ
ぼ一定速さで消費されるタンク内の水を給水管か
ら多目に連続的に補給し、余分の水はオーバフロ
ーさせるようにするものである。この場合は、蒸
気を凝縮させるよりは温度上昇が少ないから、ボ
イラで消費する水を補給するだけで真空ポンプ用
の水の冷却は行なわれるものであり、上記の公知
構造のものとは別異である。

（考案の効果） 本考案の蒸気滅菌器用水封式真空ポンプ装置
は、上述のように水温の上昇を抑えつつ消費され
る水量を少くすることができ、蒸気滅菌器の乾燥
工程時に於ける運転経費の節減と水資源の節約と
を図れる。又、ボイラ１４への給水用の管を直接
水道と連結しないため、水道の圧力が低い場合で
も、ボイラから水道管に熱湯或は蒸気が逆流する
ことがない。

【図面の簡単な説明】

図面は本考案の蒸気滅菌器用水封式真空ポンプ
装置を示す略図である。 １：水タンク、２：オーバフロー管、３：開閉
弁、４：流量調節弁、５：給水管、６：送水管、
７：真空ポンプ、８：排水管、９：吸気管、１
０：滅菌容器、１０ａ：内缶、１０ｂ：外缶、１
０ｃ：加熱チヤンバ、１１：滅菌室、１２：送水
ポンプ、１３：第二の送水管、、１４：ボイラ、
１５：給蒸管、１６：トラツプ。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 上部にオーバフロー管２を開口させた水タンク
   １の下部に一端を接続した送水管６の他端を水封
   式真空ポンプ７の受水口に接続し、この水封式真
   空ポンプの排水口に一端を接続した排水管８の他
   端は上記水タンク１に接続し、この水タンクには
   消費される水量より多い新たな水を連続して送り
   込む給水管５を接続するとともに、上記送水管６
   から分岐し途中に送水ポンプ１２を設けた第二の
   送水管１３の端部を加熱蒸気用ボイラ１４に接続
   して成る蒸気滅菌器用水封式真空ポンプ装置。