JPH022226Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 この考案は両受軸リールに関し、更に詳しくは
ハンドル取付軸部分にクラツチ機構、強制捲込機
構、及びドラツグ捲込機構を集中させてコンパク
トにまとめた両受軸リールに関する。

従来のこの種両受軸リールは、スプールの回転
駆動手段が、ハンドル取付軸とメインギヤーが一
体的に固着された強制駆動タイプと、ドラツグ力
（摩擦力）によるドラツグ駆動タイプの二通りが
ある。

しかしながら、実際の釣り操作にあつては上述
したような両方の駆動手段を必要とすることが多
い。

又、両受軸リールにおいてスプールをフリー回
転させるクラツチ機構は上述した駆動手段の取付
位置とは別の位置に取付けられるのが一般的であ
り、そのためリール全体、特に側板が大きくなつ
たり、構造も複雑化し、クラツチ操作もハンドル
よりいちいち手を離さなければ出来ない等操作性
に欠けるものである。

そこで、本考案は上述したような事情に鑑みて
なしたもので、ハンドル取付軸部分に強制捲込機
構、ドラツグ捲込機構及びクラツチ機構をコンパ
クトにまとめて組込み、使用性、操作性に優れた
両受軸リールを提供せんとするものである。

斯る目的を達成する本考案の両受軸リールは、
スプールを回転可能に軸承した左右側板の一方の
側板に中空のハンドル取付軸を回転自在に取付
け、その取付軸の先部にメインギヤーを遊転自在
に嵌合し、そのメインギヤーの凹所内に位置する
ハンドル取付軸の外側にドライブ軸を一体回転且
軸方向スライド可能に嵌着し、そのドライブ軸の
外周形状と合致する内穴形状を有したドラツグプ
レートとそのドラツグプレートを挾む丸穴ドーナ
ツ状のドラツグワツシヤーとからなる摩擦部材を
前記メインギヤーの凹所内に嵌合収容すると共
に、メインギヤーの凹所上方にはドライブ軸の外
周形状と合致する内穴形状を有したドライブプレ
ートを一体回転する如く嵌合係着し、且つ前記ド
ライブ軸はドイラブプレートと係合する方向に弾
機で付勢し、更にハンドル取付軸の外側には前記
ドライブプレートにおける摩擦部材が接触した面
と反対側の面にドラツグワツシヤーを回転且つ摺
動自在に配置すると共に、該ドラツグワツシヤー
はハンドル取付軸に螺着したドラツグ摘まみの回
動によつてドライブプレートに接離切替え自在と
し、且つドライブ軸はドラツグ摘まみによつてド
ラツグプレートとドライブプレートとの間で係合
切替自在とし、又、ハンドル取付軸の軸芯中空部
にはクラツチシヤフトを弾発摺動可能に挿通し、
そのシヤフト端部をメインギヤーと噛合するピニ
オンギヤーに一端を係着した擺動板に係合させ、
クラツチシヤフトの押動によりピニオンギヤーが
スプール軸から外れるようにした構成を特徴とす
るものである。

以下、本考案の一実施例を図面に基づいて説明
する。

第１図は強制捲込みの状態を示す断面図で、１
はスプール１４を回転可能に軸承した側板で、こ
の側板の一方（Ａ皿側）にハンドル取付軸２が回
転可能に軸承されている。

ハンドル取付軸２は中空軸にして外形を断面小
判形に形成すると共に、側板１内に位置する内方
端には大径の円形軸部を突出形成してメインギヤ
ー３を遊転自在に嵌合軸着している。

又、側板１より外方に突出したハンドル取付軸
２の端部にはハンドルノブを備えたハンドルアー
ム１５を止めネジ１６で一体的に固着している。

メインギヤー３は外周面にピニオンギヤー１１
と噛合する歯部３′を形成しており、内部には一
側より凹所４が切欠形成され、その凹所４の底部
側に摩擦部材５を構成するドラツグワツシヤー
５′とドラツグプレート５″が積層収納されると共
に、ドラツグプレート５′の上方（図面では右側）
にはメインギヤー３と掛合し一体回転するドライ
ブプレート７及びそのドライブプレート７の内周
面とハンドル取付軸２の外周面との間に位置させ
てドライブ軸６を嵌合し、且円形軸部の底面とド
ライブ軸６との間に弾機８を弾圧装着する。

ドラツグワツシヤー５′はドーナツ状に形成し、
そのドラツグワツシヤー５′相互間に挾まれるド
ラツグプレート５″は外形を円形とし、内形をド
ライブ軸６の外形と合致する略十字形の孔を形成
したものである。

ドライブ軸６はハンドル取付軸２と一体回転す
ると共に、軸方向にスライド自在となるように小
判形孔が形成され、外周面には十字状に掛合突部
１７を突設している。

ドライブプレート７は、内形をドライブ軸６の
外形と合致する十字形孔とし、外周面にはメイン
ギヤー３の周壁に切欠した掛合凹部１８に嵌合掛
止する掛合凸部１９を一体に突出形成し、メイン
ギヤー３と一体的に回転するようになつている。

２０はメインギヤー３の凹所に収納したドライ
ブプレート７を定着保持するクリツプリングで、
メインギヤー３の周壁に刻設した環状溝に嵌着さ
れている。

又、ハンドル取付軸２におけるメインギヤー３
より右側の部分には摩擦部材５の締付力を強弱調
節する調節手段が取付けられている。

その調節手段は、ハンドル取付軸２の外周面に
形成したネジ部に螺着したドラツグ摘まみ９、そ
のドラツグ摘まみ９の回動によつて軸方向に押動
スライドするドラツグリング２１、ドラツグスリ
ーブ２２、ドラツグワツシヤー２３，２３′とに
よつて構成している。ドラツグワツシヤー２３′
は小判形の穴を有してドライブ軸６と一体回転す
るようになつている。

２４は抜け止めリング、２５は逆止め歯車でハ
ンドル取付軸２と一体回転する如く嵌着係合して
ある。

更に、ハンドル取付軸２の軸芯中空部にはクラ
ツチシヤフト１０を弾発摺動可能に挿通し、クラ
ツチシヤフト１０の摺動によつてメインギヤー３
と噛合するピニオンギヤー１１をスプール軸１３
に対して係脱させるクラツチ機構を構成する。

そのクラツチ機構は、ハンドル取付軸２、クラ
ツチシヤフト１０、擺動板１２、弓形バネ２６と
から成り、ハンドル取付軸２の中間部周面に環状
の掛合溝２７を凹設し、その掛合溝２７の一部を
更に三日月状に切り欠きて切欠部２７′を形成す
る。

クラツチシヤフト１０は中間部に環状溝２８を
凹設すると共に、その凹設する位置はクラツチシ
ヤフト１０を側板１の内方へ押動した時前記した
ハンドル取付軸２の掛合溝２７と同一線上となる
位置する。

又、クラツチシヤフト１０の外側突出部分には
クラツチボタン２９を一体的に固着すると共に、
そのクラツチボタン２９の内底面とハンドル取付
軸２の側端面とに渉りコイルスプリング３０を弾
圧挾入して、クラツチシヤフト１０が外側方へ常
時付勢されるようにしてある。

クラツチシヤフト１０の内側突出部分は断面小
判形に形成して側板１の内部に軸支した擺動板１
２の一側二股部３１に嵌合係止し、クラツチシヤ
フト１０の押動により擺動板１２が軸３２を中心
として擺動し、ピニオンギヤー１１がスプール軸
１３に対し係脱自在となる。

弓形バネ２６は板バネを略半円状に形成したも
ので、ハンドル取付軸２の掛合溝２７周面に嵌着
し、クラツチシヤフト１０が摺動して該シヤフト
１０の環状溝２８が掛合溝２７と同一線上に位置
した時、弓形バネ２６が掛合溝２７と環状溝２８
の両者に渉つて巻回状となり、クラツチシヤフト
１０の移動した状態が維持されるようになつてい
る。

図中、３３はピニオンギヤー１１をスプール軸
１３と係合する方向に弾圧付勢するスプリングで
ある。

次に、上記した構成の動作について説明する
と、第１図に示す如くドラツグ摘まみ９を緩め、
ドライブ軸６を弾機８の弾発力で右方向に移動さ
せ、ドライブプレート７に係合係止させると、ハ
ンドル取付軸２とメインギヤー３はドライブ軸
６、ドライブプレート７を介して一体的となる。

従つて、ハンドルアーム１５を回動操作しての
回転力はメインギヤー３を一体に回転させ、ピニ
オンギヤー１１、スプール軸１３を介してスプー
ル１４を強制回転させるものである。

次に、ドラツグ摘まみ９を締め方向に回動する
と、それに伴なつてドラツグリング２１、ドラツ
グスリーブ２２がハンドル取付軸２の外周面をメ
インギヤー３側へ移動し、ドラツグワツシヤー２
３，２３′を押動すると同時に、そのドラツグワ
ツシヤー２３はドライブ軸６を左方向へ押しや
り、ドライブ軸６はドライブプレート７との係合
が外れてドラツグプレート５″に嵌着係合する。
そして、ドラツグプレート５″を挾むドラツグワ
ツシヤー５′にはドラツグ摘まみ９の回動で設定
された押圧力がドラツグワツシヤー２３，２３′
を介して付与され、その結果、ハンドル取付軸２
→ドライブ軸６→ドラツグプレート５″と回転力
が伝達され、ドラツグプレート５″，５′からなる
摩擦部材５とメインギヤー３との摩擦係合力でメ
インギヤー３が駆動回転されることになる。

従つて、ハンドルアーム１５を回動操作した場
合、ハンドル取付軸２の回転はドライブ軸６と係
合するドラツグプレート５″及びドラツグワツシ
ヤー２３′を一体に回転させるが、メインギヤー
３の凹所底面側に押圧締め付けられる摩擦力でメ
インギヤー３へ回転力が伝えられ、スプール１４
を回転させるものである。（第２図参照） 尚、この場合は釣糸をスプール１４に捲取る方
向へ作用するのみならず、釣糸がスプール１４か
ら繰り出る逆回転方向にも作用し、スプール１４
の回転にドラツグ制動が働くものである。又、摩
擦力はドラツグ摘まみ９の締め付け量によつて可
変調節することが出来るものである。

第３図は第２図の状態下でスプール１４をフリ
ー回転させるべくクラツチ機構を操作した場合を
示し、クラツチボタン２９を押動してクラツチシ
ヤフト１０を側板１内方へ移動させると、それに
伴なつて擺動板１２が軸３２を中心として揺動
し、ピニオンギヤー１１を右方向へ移動させスプ
ール軸１３との係合が解除される。そしてクラツ
チシヤフト１０の移動状態は弓形バネ２６が掛合
溝２７と環状溝２８とに渉つて巻回状となること
によつて維持される。

又、スプール軸１３とピニオンギヤー１１とを
係合させる時は、ハンドルアーム１５を回動して
ハンドル取付軸２を回転させると掛合溝２７と環
状溝２８とに渉つて巻回状の弓形バネ２６は拡開
されて環状溝２８より外れ、しかもクラツチシヤ
フト１０がコイルスプリング３０の弾発力で外側
方へ付勢されているため、弓形バネ２６が環状溝
２８より外れることにより瞬時に外方へ押し出さ
れ、ピニオンギヤー１１はスプリング３３の弾発
力でスプール軸１３と係合する方向に押圧付勢さ
れる。

本考案の両受軸リールは以上詳記したようにハ
ンドルの回動操作によつて回転するハンドル取付
軸部分にドラツグ摘まみの回動操作で強制捲込
み、ドラツグ捲込みの切換えが可能な駆動手段を
設けると共に、クラツチ機構をも一体に組み込ん
だので、簡便な操作で釣漁に合つた駆動手段を選
択使用することが出来る。

しかも、上記の各機構は１ケ所に集中させて設
けたので製品をコンパクトにまとめることが出来
るものである。

依つて、実用性に富んだ両受軸リールを提供す
ることが出来る。

【図面の簡単な説明】

第１図は強制捲込みの状態にセツトした断面
図、第２図はドラツグ力捲込みの状態にセツトし
た断面図、第３図は第２図の状態下でクラツチを
OFFにした断面図、第４図は第１図の４−４線
に沿える断面図である。 図中、１：側板、２：ハンドル取付軸、３：メ
インギヤー、４：凹所、５：摩擦部材、６：ドラ
イブ軸、７：ドライブプレート、８：弾機、９：
ドラツグ摘まみ、１０：クラツチシヤフト、１
１：ピニオンギヤー、１２：擺動板、１３：スプ
ール軸、１４：スプール。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. スプールを回転可能に軸承した左右側板の一方
   の側板に中空のハンドル取付軸を回転自在に取付
   け、その取付軸の先部にメインギヤーを遊転自在
   に嵌合し、そのメインギヤーの凹所内に位置する
   ハンドル取付軸の外側にドライブ軸を一体回転且
   軸方向スライド可能に嵌着し、そのドライブ軸の
   外周形状と合致する内穴形状を有したドラツグプ
   レートとそのドラツグプレートを挾む丸穴ドーナ
   ツ状のドラツグワツシヤーとからなる摩擦部材を
   前記メインギヤーの凹所内に嵌合収容すると共
   に、メインギヤーの凹所上方にはドライブ軸の外
   周形状と合致する内穴形状を有したドライブプレ
   ートを一体回転する如く嵌合係着し、且つ前記ド
   ライブ軸はドライブプレートと係合する方向に弾
   機で付勢し、更にハンドル取付軸の外側には前記
   ドライブプレートにおける摩擦部材が接触した面
   と反対側の面にドラツグワツシヤーを回転且つ摺
   動自在に配置すると共に、該ドラツグワツシヤー
   はハンドル取付軸に螺着したドラツグ摘まみの回
   動によつてドライブプレートに接離切替え自在と
   し、且つドライブ軸はドラツグ摘まみによつてド
   ラツグプレートとドライブプレートとの間で係合
   切替自在とし、又、ハンドル取付軸の軸芯中空部
   にはクラツチシヤフトを弾発摺動可能に挿通し、
   そのシヤフト端部をメインギヤーと噛合するピニ
   オンギヤーに一端を係着した擺動板に係合させ、
   クラツチシヤフトの押動によりピニオンギヤーが
   スプール軸から外れるようにした両受軸リール。