JPH0218221Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本考案は、例えば金庫室の壁体形成した開口部
に、この開口部と平行な方向に移動する扉体を設
け、前記開口部を手動で開閉するスライド扉に関
するものである。

〔従来の技術〕 引き戸の上縁および下縁にラツクを形成し、そ
れぞれのラツクに噛み合うようにピニオンを設
け、また、壁体の前面から突出するようにハンド
ルを設け、このハンドルの回転によつて回転駆動
する駆動軸の回転力を、伝動部材により前記それ
ぞれのピニオンに伝達する伝動機構を有するハン
ドル式引き戸、すなわち手動によるスライド扉は
公知である（実公昭57−29022号公報参照）。

〔考案が解決しようとする問題点〕

この種の従来のスライド扉は、扉体を駆動する
ためのハンドルの駆動軸を壁体に直接取り付けて
あるため、組立や解体に多くの手数を要し、ま
た、扉体の上縁および下縁にラツクを形成してい
るため、扉駆動機構が複雑となり、大がかりとな
る欠点あつた。一方、スライド扉に制動装置が設
けられていなかつたため、扉体が所望位置に停止
せずに不本意に移動してしまうという問題点があ
つた。

〔問題点を解決するための手段〕

上記の問題点を解決するための具体的手段とし
て、本考案は壁体に開口部を形成し、この開口部
と平行な方向に扉体を移動させて前記開口部を開
閉するスライド扉において、前記扉体の前面にそ
の移動方向と平行に固設したラツクと、前記壁体
の開口端部に前記開口部に臨ませて嵌設した枠体
壁と、この枠体壁の内部に回動自在設けた駆動軸
と、枠体壁の外部に突出させた駆動軸の一端部に
固着したハンドルと、扉体配設側に突出させた前
記駆動軸の他端部に固着され、前記扉体に固設し
たラツクと噛合するピニオンとから構成される扉
駆動機構、および、前記枠体壁の内部における駆
動軸に装着され、周囲に任意数の係合孔を穿設し
た制動盤と、この制動盤の係合孔に挿脱可能なロ
ツク棒と、このロツク棒に連結して、一端はスイ
ツチ機構により進退動作をする押出棒と当接し、
他端は押ボタンとして前記枠体壁の外部に突出さ
せた押込棒とから構成される制動装置を備える手
動によるスライド扉を提案するものである。

〔作 用〕

上記の手段により、壁体と別体の枠体壁に設け
た扉駆動機構は、ハンドルの回転力をピニオンに
伝達し、これをラツクと噛合させて、扉体を移動
させる。また、制動装置は、扉体の所望の停止位
置で、押しボタンを押込み制動盤に穿設した多数
の係合孔の一つにロツク棒が挿入されて、扉体を
制動させる。

〔実施例〕

以下に、本考案の実施例を図面に基き詳細に説
明する。第１図および第２図は、本考案に係るス
ライド扉の正面図および平面断面図を示す。図中
１は金庫室等を囲む壁体で、この壁体１に金庫室
内へ出入口となる開口部２が設けてある。開口部
２は、この開口部２と平行な方向に移動する扉体
（引き扉）３により開閉自在になつていて、開放
状態では開口部２と反対側（右側部）に設けてい
る防盗壁４の裏側に収めることできる。扉体３
は、第５図に示すように、その上端部内側に支持
部材５ａを介して軸設したコロ５が壁体１の天井
溝レール６に収まる。また、第６図に示すよう
に、扉体３の下端部内側に車輪枠８ａを介して設
けた車輪８が壁体１の底部軌条１ａ上を回動し、
さらに車輪枠８ａに取付板９を介して設けている
溝レール９に、底部軌条１ａに突設せる軸に支承
した案内ローラ１０を緩嵌させて、車輪８の走行
をガイドしている。扉体３は、このようにして底
部軌条１ａに沿つてスライドし、壁体１の開口部
２を開閉する。扉体３の正面中央部には、閉扉時
にこの扉体を施錠するための扉施錠装置１１が設
けてあつて、１１ａ，１１ｂ，１１ｃは施解錠用
のダイヤルを示している。なお、扉施錠装置８
は、本考案の内容とは直接関係しないので、その
詳細な説明は省略する。

次に、第３図および第４図に示す拡大断面図を
も参照して、扉駆動機構について説明する。扉体
３における前記扉施錠装置１１を収容しているカ
バー１２の内側に、扉体３の横幅とほぼ同等長さ
のラツク１３を、その取付部１４を扉体３に螺子
１４ａあるいは熔接等の方法により、下向に取り
付けてある。一方前記防盗壁４の開口端部４ａに
は、開口部２に臨ませて上下全長に亘る枠体壁１
５が嵌設されている。この枠体壁１５内には、防
盗壁４の開口端部４ａ固着したベースプレート１
６に軸受部１７，１７が取り付けられ、この軸受
部１７，１７に駆動軸１８を支承してある。７，
７は駆動軸１８に嵌着した軸受であり、７′，
７′はずれ止め部材である。この駆動軸１８の端
部を枠体壁１５の外部に突出させて操作ハンドル
２０を取り付ける。また、駆動軸１８における扉
体３配設側の端部１８ａを前記ラツク１３の下方
に臨ませてピニオン１９を取り付け、このピニオ
ン１９を前記ラツク１３に噛合させる。したがつ
て、前記ラツク１３は、操作ハンドル２０の回転
力が駆動軸１８を介してピニオン１９に伝達され
て、歯送りされる。７″は駆動軸１８に嵌着せる
ピニオンのずれ止め部材である。

また、前記駆動軸１８には、制動装置２１が備
えてある。この制動装置２１は、駆動軸１８に装
着され周囲に任意数の係合孔２２を穿設した制動
盤（円盤状）２３と、この制動盤２３の係合孔２
２の一つ挿脱可能なロツク棒２４と、このロツク
棒２４をスイツチ機構２９により進退動作させる
押込棒２８とから構成される。すなわち、前記ベ
ースプレート１６に取り付けた軸受１７，１７
に、制動盤２３の係合孔２２に対向してロツク棒
２４が支持されており、このロツク棒２４にリン
ク２６を介して押込棒２８が並行して取り付けら
れる。すなわち、ロツク棒２４には、支点軸２５
を中心として槓杆動作するリンク２６の下端を、
その長孔２６ａにピン２４ａを嵌入することによ
り支持させると共に、リンク２６の上端は、前記
ベースプレート１６に取り付けた軸受板２７を介
して押込棒２８を、リンク２６の長孔２６ｂに押
込棒２８のピン２８ａを嵌入することにより取り
付ける。そして、この押込棒２８の一端は、取付
板２９ａを介して支持せる商品名「マグネツク・
キヤツチ」として市販されている一種のスイツチ
機構（ラツチ）２９の磁化している押出棒３０に
吸磁連結して当接し、他端は、受部１５ａを介し
て、押しボタン３１となつて枠体壁１５の外部に
突出している。なお、上記スイツチ機構２９は
は、押ボタン３１の押込により、押込棒２８の先
端の押出棒３０が一度押込まれると、スイツチ機
構２９内部の弾性によりロツクが解除されて、押
込棒２８を押し出す機構となつている。したがつ
て、前記制動盤２９は、押ボタン３１の押込によ
り、ロツク棒２４が第３図の実線の位置から鎖線
の位置に移動して係合孔２２を貫通し、駆動軸１
８を制動する。

次に、上記扉駆動機構および制動装置２１の動
作について説明する。

いま、扉体３が壁体１の開口部２を閉止してい
る状態から開放するときは、操作ハンドル２０を
右方向（時計廻り方向）に回転すると、駆動軸１
８を右回転させる。そして、この駆動軸１８の端
部１８ａに取り付けたピニオン１９を右回転さ
せ、これに噛合しているラツク１３を右方へ歯送
りする。これにより、扉体３は、壁体１の天井溝
レール６および扉体３の側部の下部凹溝６′にコ
ロ５，案内ローラ１０が緩嵌されてガイドされつ
つ、下端の車輪８が底部軌条１ａ上を回動し、右
方へスライド移動され、開口部２を開放する。所
望の位置まで扉体３が開放されたとき、押ボタン
３１を押すと、押込棒２８の一端が、第３図の鎖
線で示すように、スイツチ機構２９の押出棒３０
をその内部に押し込んでロツクする。この動作に
連動して、リンク２６は支点軸２５を中心として
反時計廻り方向に回動して、ロツク棒２４を後退
（右移動）させ、このロツク棒２５の端部が制動
盤２３の係合孔２３の一つに挿入して駆動軸１８
がロツクされ、扉体３は制動される。

次に、開放状態の扉体３を閉止するには、まず
押ボタン３１を再度押してスイツチ機構２９の押
出棒３０のロツクを解除すると、押込棒２８が押
出棒３０によつて押し出されると同時に、リンク
２６が鎖線の位置から実線の位置に回動し、ロツ
ク棒２４を前進（左移動）させ、制動盤２３の係
合孔２２から脱去させて、駆動軸１８のロツクを
解除することができる。その後、操作ハンドル２
０を左方向（反時計廻り方向）に回せば、駆動軸
１８のピニオン１９が左回転してラツク１３を左
方へ歯送りし、扉体３は、同方向にスライド移動
し、開口部２を閉止する。ここで押ボタン３１を
押すと、前記同様に制動装置２１が働き、扉体３
を閉止状態で制動することができる。

〔考案の効果〕

以上説明したように、本考案によれば、操作ハ
ンドルの駆動軸を含む扉駆動機構を、従来の如く
壁体に直接取り付けず、壁体の開口端部に開口部
に臨ませて枠体壁を嵌設し、この枠体壁の内部に
回動自在に設けたので、組立や解体および保守点
検を容易行える。また、扉駆動機構は、操作ハン
ドルの回転力を伝動機構を介して扉体の前面に固
設したラツクに伝達するものであるから簡単であ
り、かつ故障なども生じ難い。さらに、駆動系に
制動装置を設けたことにより、開扉時、閉扉時あ
るいは開閉作動中における扉体の所望位置でこれ
を制動でき、扉体不本意に移動することがなく安
全である。等の効果を奏する。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案に係るスライド扉の一実施例を
示す正面図、第２図は同じく平面断面図、第３
図、第４図、第５図および第６図は、それぞれ第
１図の−線、−線、−線および−
線における拡大断面図である。 １……壁体、２……開口部、３……扉体、４…
…防盗壁、８……扉施錠装置、９……カバー、１
１……扉施錠装置、１２……カバー、１３……ラ
ツク、１５……枠体壁、１６……ベースプレー
ト、１８……駆動軸、１９……ピニオン、２０…
…操作ハンドル、２１……制動装置、２２……係
合孔、２３……制動盤、２４……ロツク棒、２５
……支点軸、２６……リンク、２８……押込棒、
２９……スイツチ機構、３０……押出棒、３１…
…押ボタン。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 壁体に開口部を形成し、この開口部と平行な方
   向に扉体を移動させて前記開口部を開閉するスラ
   イド扉において、 前記扉体の前面にその移動方向と平行に固設し
   たラツクと、前記壁体の開口端部に前記開口部に
   臨ませて嵌設した枠体壁と、この枠体壁の内部に
   回動自在に設けた駆動軸と、枠体壁の外部に突出
   させた駆動軸の一端部に固着したハンドルと、扉
   体配設側に突出させた前記駆動軸の他端部に固着
   され、前記扉体に固設したラツクと噛合するピニ
   オンとから構成される扉駆動機構、 および、前記枠体壁の内部における駆動軸に装
   着され、周囲に任意数の係合孔を穿設した制動盤
   と、この制動盤の係合孔に挿脱可能なロツク棒
   と、このロツク棒に連結して、一端はスイツチ機
   構により進退動作をする押出棒と当接し、他端は
   押ボタンとして前記枠体壁の外部に突出させた押
   込棒とから構成される制動装置 を備える手動によるスライド扉。