JPH02181Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 （産業上の利用分野） 本考案は寝たきり老人、身体障害者の局部を洗
浄する自動洗浄式病人用ベツドに用いる腰部マツ
トと便器との間に配備し、その腰部マツトから落
下する洗浄水を受水して便器へ排水する便器パン
に関するのである。

（従来の技術） 従来、一般に失禁状態にある寝たきり老人や身
障者の排泄処理はおむつを着装して行うか、さも
なくばおむつをつけず単に離被架で被う構造を採
用している。

しかし乍ら、おむつ着装式の場合には排泄のた
びに看病人が病人から脱がして洗わなければなら
ず、看病人が気づかなければいつまでもそのまま
の状態で着用され続け、不衛生であり、離被架で
被う式の場合も同様に排尿や排便が排泄者（寝た
きり老人、身障者）に付着し不衛生であつた。

斯る問題点を解消する為に本願出願人は看護を
必要とせずに排泄者自身（寝たきり老人や身障
者）に付着する尿や大便を自動的に洗い流して排
泄者を常に清潔に保つものとして特開昭60−
188155号を出願中である。

この出願の発明は、排泄者の腰を支持する腰部
マツトを、ベースフレーム間に架設した便器パン
内に収容し、排泄物の落下を感知するセンサーに
連係するコントローラーの働きで洗浄部から洗浄
水を噴出して排泄者の腰部や排泄者の腰部を被う
離被架を洗浄し、その洗浄水を便器パンで受水し
て便器へ排出処理する。

ところが、この先行技術に開示されている便器
パンは、底面をフラツトとする受皿形状に形成さ
れている為、排水効率が良好ではない問題があ
る。

本考案の目的は洗浄水が停溜しない自動洗浄式
病人用ベツドの便器パンを供することにある。

（技術的手段） 上記目的を達成する為に講じた技術的手段は、
ベツド本体の敷設マツトに臥した人の腰回りを被
塞する位置に設けた離被架と、敷設マツトの中間
部を構成し、排泄口とその排泄口回りに散在して
排水小孔を有する腰部マツトと、その腰部マツト
下に配備した便器と、排泄物の落下を感知するセ
ンサーと、排泄者に洗浄水を噴射する洗浄部と、
上記センサーに連係し且つセンサーの感知により
洗浄部を作動させるコントローラーからなる自動
洗浄式病人用ベツドのその腰部マツトを収容する
便器パンであつて、上記腰部マツトの排泄口と連
通する落下口を開口し、ベースフレームに載置し
た床面と、その床面においてベツド本体の長さ方
向と平行する側端一対に立上がり片、上縁片、エ
プロン片からなる隆起部を膨出して隆起部間に形
成された腰部マツト収容用の凹窪部とを備え、前
記床面に、立上がり片の基部から落下口に向つて
下り勾配の排水溝を多数条形成したことである。

（作用） 上記技術的手段による作用は、腰部マツトの排
水小孔から落下する洗浄水を、落下口に向つて下
り勾配とした排水溝で受水して落下口から便器へ
排水する。

（考案の効果） 本考案は以上のように構成したので、下記の利
点がある。

落下する洗浄水を、腰部マツト上に停溜させ
ずに速かに便器へ排水し、ベツド利用者を不衛
生にしない。

隆起部内の空間部を、コントローラーの収容
部や洗浄部に連なる給水管の配管空間として有
効に利用できる。

（実施例） 次に、本考案の実施例を図面に基づいて説明す
る。

本実施例の便器パンは平面方形な床面a₁と、そ
の床面a₁の側端一対に折曲した隆起部a₂とで構成
してなり、合成樹脂やその他の材料を用いて一体
成形する。

床面a₁は腰部マツトB′を載置する為に平面方形
に形成し、その中央部に落下口１を開口すると共
にその落下口１方向に向かつて傾斜する排水溝２
を多数条凹設形成してなり、この床面a₁において
ベツド本体Ｘの長さ方向と平行する前後端部に隆
起部a₂，a₂を折曲形成して両隆起部a₂，a₂間のそ
の床面a₁上に腰部マツト収容用の凹窪部a₃を間接
的に形成している。

隆起部a₂は床面a₁の前後端に立上がり片a₅を介
して上縁片a₆とエプロン片a₇とを夫々連続的に折
曲して形成し、エプロン片a₇と立上がり片a₅との
間、即ち上縁片a₆の下面に空間部a₄を形成する。

空間部a₄は前記隆起部a₂を形成することにより
上縁片a₆と立上がり片a₅との間に間接的に形成さ
れ、片方に自動洗浄装置ＣのコントローラーＤを
隠蔽状に収容し、他方に後述する離被架６上面に
装備した洗浄部c₁への配管を収容している。

凹窪部a₃は前記の如く隆起部a₂を折曲形成する
ことにより、その隆起部a₂，a₂間の床面a₁上部に
形成された空間部分で腰部マツトB′を収容する
機能を有する。

腰部マツトB′はベツド本体Ｘにおけるベース
フレームＥ上の敷設マツトＢを長さ方向に３分割
して形成した中間部分のマツトで、排泄口ｂの回
りに多数の排水小孔b₁を散在して開孔すると共
に、撥水性を具備せしめる。

ベースフレームＥはフツトフレームとヘツドフ
レームとに亘つて架設固定した２本の横フレーム
ｅと、その横フレームｅ，ｅに縦架固定した縦フ
レームe₁，e₁…とで形成し、この横フレームｅ，
ｅにアングル材３を添接固定する。

而して、本実施例の便器パンは第５図に示すよ
うにアングル材３にエプロン片a₇下端を載置する
ことによりベースフレームＥ内に取付け、凹窪部
a₃内に腰部マツトB′を嵌合状に収容して使用に供
する。

尚、この実施例では便器パンは隆起部a₂を折曲
形成していない床面a₁の他側端に腰部マツトB′の
移動を阻止する為に僅かの移動防止用突隆部４を
形成していると共に、落下口１を下端に有するガ
イド筒部１′に自動洗浄装置Ｃにおける洗浄水と、
乾燥風の噴出口５，５を開口し、上部には当然略
半円状等の所望な形状を呈する離被架６を嵌合係
止できるようになつている。

斯る本考案便器パンは自動洗浄装置Ｃによつて
噴出され、排泄口ｂ及び排水小孔b₁から流下する
洗浄水を床面a₁で受水し、溝部２内を通つて落下
口１から便器７へと排出する。

自動洗浄装置Ｃは排泄者の身体に洗浄水を噴出
して付着する排尿を自動的に洗い流した後、排尿
者を乾燥させるもので、洗浄部c₁，センサーc₂、
便器７、温風噴射部c₃、ならびにそれ等c₁，c₂，
７，c₃に電気的に連係するコントローラーＤから
なる。

便器７は温水を噴射する洗浄部c₁と乾燥風を噴
出する温風噴射部c₃を備えた機能部８付きのもの
で、ボール部９を落下口１下に臨ませてベースフ
レームＥの縦フレームe₁に吊持状に固定する。ま
た、この便器７には汚物槽１０と汚物搬出ポンプ
１１を連結している。

センサーc₂は排尿や排便が通過する部分に設け
た光電センサーで、コントローラーＤと電気的に
連係している。

洗浄部c₁は、大便、小便を排泄後、排泄者に付
着した大便、小便を洗浄するためのもので、便器
７の機能部８から突出状に装備したものと、離被
架６上面に装備したものとがあり、センサーc₂が
感知した後コントローラーＤを介して自動的に一
定時間洗浄水（温水）を離被架６内に噴出して局
部を洗浄する。尚、洗浄部c₁において離被架６上
に装備したものは集合本管から分岐する給水技管
１２からの冷水が直接噴射するのを避ける為、ヒ
ーター１３を介して設ける。

温風噴射部c₃は、洗浄部c₁からの洗浄水噴射終
了後、温風を吹き出して排泄者に付着した水滴を
乾燥除去するためのもので、便器７の機能部８内
に装備した周知のもので、洗浄部c₁での洗浄水噴
射終了後コントローラーＤを介して一定時間離被
架６内に温風を噴出する。コントローラーＤはセ
ンサーc₂での受信回路d₁、遅延回路d₂、温水供給
回路d₃、温風供給回路d₄、便器洗浄回路d₅、及び
汚物排出回路d₆を順次電気的に連係した状態で内
蔵する。

尚、便器７は、コントローラーＤ内の便器洗浄
回路d₆によつて電磁弁を自動開閉する電磁弁式の
便器洗浄用ロータンク１４を接続している。１５
はエプロン片a₇表面に設けられたコントローラー
Ｄの操作盤である。

次に自動洗浄装置の作用について説明する。ま
ず排泄口ｂを通過する大便、小便がセンサーc₂で
自動的に感知されたコントローラーＤ内の遅延回
路d₂が受信回路d₁を介して作動する。この遅延回
路d₂はむやみに洗浄部c₁や温風噴射部c₃が始動し
ないように規制する為のもので、設定時間（例え
ば３〜５分間）の経過後に温水供給回路d₃に信号
を送り、離被架６内に洗浄部c₁を介して温水を噴
出する。然る後予め設定していた洗浄時間、例え
ば２分〜４分間が過ぎるとコントローラーＤ内の
温風供給回路d₄が作動し温風噴射部c₃より一定時
間温風を噴射して排泄者に付着した水滴を乾燥除
去する。ちなみに温風供給回路d₃が作動すると共
に便器洗浄回路d₅が作動して自動的に便器７も洗
浄する。また汚物槽１０内に貯められた排泄物は
一定時間間隔毎に汚物搬出ポンプ１１を作動する
汚物排出回路d₆により排便管１６を介して排出さ
れる。

尚、便器７は、例えば超節水便器と呼ばれる周
知の２便器を利用しても良い。この場合フラツ
パー弁を押動する為に電磁弁を用いると共に、圧
縮空気を送出する為に空気タンク付コンプレツサ
ーを用い、便器洗浄回路d₅に夫々連係させて電磁
弁及びコンプレツサーが順次作動するようにす
る。

ちなみに、本実施例では便器洗浄回路d₅、汚物
排出回路d₆をも内蔵したコントローラーＤによつ
て排泄者の局部洗浄及び離被架６洗浄から便器７
内の汚物排出までを自動的に行う自動洗浄式病人
用ベツドについて詳述しているが、便器洗浄回路
d₅、汚物排出回路d₆が内蔵されないコントローラ
ーＤによつて排泄者の局部や離被架６の温風乾燥
までを自動的に行う自動洗浄式病人用ベツドであ
つても良い。その場合には便器７のボール部に抜
差可能な受水溜を設け、汚物がその受水溜に溜つ
た際、看護人が逐次その受水溜を抜き取り、廃棄
する。

【図面の簡単な説明】

図面は本考案便器パンの実施例を示し、第１図
は平面図、第２図は２−２断面図、第３図はベツ
ドに組込んだ状態を示す正面図、第４図は要部の
拡大断面図、第５図は５−５断面図、第６図は離
被架、腰部マツト、便器パンの分解斜視図、第７
図はコントローラー内の回路のチヤート図であ
る。 尚図中、a₁：床面、a₂：隆起部、a₅：立上がり
片、a₆：上縁片、a₇：エプロン片、B′：腰部マツ
ト、a₄：空間部、a₃：凹窪部、Ｂ：敷設マツト、
Ｘ：ベツド本体、ｂ：排泄口、b₁：排水小孔、
６：離被架、７：便器、c₂：センサー、Ｄ：コン
トローラー、c₁：洗浄部、１：落下口、Ｅ：ベー
スフレーム、２：排水溝。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. ベツド本体の敷設マツトに臥した人の腰回りを
   被塞する位置に設けた離被架と、敷設マツトの中
   間部を構成し、排泄口とその排泄口回りに散在し
   て排水小孔を有する腰部マツトと、その腰部マツ
   ト下に配備した便器と、排泄物の落下を感知する
   センサーと、排泄者に洗浄水を噴射する洗浄部
   と、上記センサーに連係し且つセンサーの感知に
   より洗浄部を作動させるコントローラーからなる
   自動洗浄式病人用ベツドのその腰部マツトを収容
   する便器パンであつて、上記腰部マツトの排泄口
   と連通する落下口を開口し、ベースフレームに載
   置した床面と、その床面においてベツド本体の長
   さ方向と平行する側端一対に立上がり片、上縁
   片、エプロン片からなる隆起部を膨出して隆起部
   間に形成された腰部マツト収容用の凹窪部とを備
   え、前記床面に、立上がり片の基部から落下口に
   向つて下り勾配の排水溝を多数条形成したことを
   特徴とする自動洗浄式病人用ベツドの便器パン。