JPH0217448Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔考案の技術分野〕 本考案は直線性補正コイルなどとして使用され
るインダクタンス素子に関するものである。

〔考案の技術的背景とその問題点〕

この種のインダクタンス素子は、磁心にコイル
を巻きこのコイルに永久磁石で磁気バイアスをす
るように構成され、コイルの電流極性によつて電
流値に対するインダクタンスが変化し電流波形を
補正できるようにしたものである。

従来の一般的なものは、コイルが巻装された磁
心の一端面に永久磁石が接着固定されているとと
もに他端面には端子板が接着固定され、この端子
板に所定間隔で設けられた穴にリード端子が挿入
接着され、かつこのリード端子にコイルの端末が
接続されて構成されていた。しかしながらこのよ
うな構造のものにあつては、端子板を用いるため
部品点数が多く、しかもこの端子板に挿入接着さ
れているリード端子はその接着が不十分であつた
り或いは多少引張られるとすぐに抜けてしまうと
いう問題があつた。

また端子板を用いない構造のものとしては例え
ば実開昭49−120125号の公開実用新案公報に記載
されているものが先に提案されている。しかしな
がらここに示されているものはコイルの端末がそ
のままリード端子として使用されているため、コ
イルのワイヤ径が細い場合すなわち巻数を多くす
る必要があるとか小型化しなければならないとい
う場合などにはワイヤの曲げ剛性が低くなり、リ
ード端子が曲り易くプリント基板の穴にも挿入で
きず、たとえプリント基板上に載置されたとして
も振動等によつてリード端子が断線し易く、しか
も該素子自体を安定的に自立保持することもでき
ないといつた種々の問題があつた。

〔考案の目的〕

本考案は上記事情に鑑みてなされたものであり
その目的とするところは、永久磁石にリード端子
を設けることによつて必ずしも端子板を使用する
必要がないとともにこのリード端子が永久磁石か
ら容易に抜脱してしまうことを防止することがで
き、ひいてはプリント基板上に載置し易くかつリ
ード端子の断線防止にも寄与することができるイ
ンダクタンス素子を提供することである。

〔考案の概要〕

本考案は上記目的を達成するため、磁心の端面
に永久磁石が設けられているとともにコイルが巻
装され、このコイルの端末が丸棒状リード端子に
接続されて成るインダクタンス素子において、該
磁心に対向する永久磁石の対向端面から他端面へ
貫通される貫通孔と、この貫通孔に連接すべく永
久磁石の対向端面上に凹設される長溝とを設け、
折曲端部を有するリード端子が該貫通孔に挿通さ
れると共にその折曲端部が長溝に係合した状態で
永久磁石の対向端面と磁心とを接着固定してイン
ダクタンス素子を構成したものである。

〔考案の実施例〕

次に図面を参照しながら本考案の実施例を説明
する。

第１図は本考案の一実施例を示す断面図であ
り、第２図は同実施例に使用する永久磁石の平面
図である。図において１で示すものはフエライト
などから成りドラム状などの適宜形状を有する磁
心であり、その中間段差部１Ａには磁心巻装コイ
ル２が設けられ端末２Ａが引き出されている。ま
た図において３で示すものは該磁心１の端面とほ
ぼ同等の外径を有する永久磁石である。この永久
磁石３には該磁心１に対向する対向端面３Ａから
他端面３Ｂへ貫通された貫通孔４が設けられ、さ
らにこの貫通孔４に連接すべく永久磁石３の対向
端面３Ａ上には長溝５が凹設されている。また図
において７で示すものは略Ｌ型に折曲されて折曲
端部７Ａが形成されているリード端子である。そ
してこのリード端子７は該貫通孔４に挿通される
と共に折曲端部７Ａが該長溝５に係合されて永久
磁石３に装着され、この状態で永久磁石３の対向
端面３Ａが磁心１の一端面に接着剤８で固定され
ている。このようにして固定されたリード端子７
の露出部には該磁心巻装コイル２の端末２Ａが重
ねられ或いは絡げ付けられ、その上からロー付け
等の手段を介して電気的に接続固定されている。

このようにして構成されたインダクタンス素子
にあつては、リード端子７を永久磁石３に設けた
ので従来のような端子板が不要となり部品点数の
減少と小型化が達成される。またリード端子７は
その折曲端部７Ａが長溝５を介して磁心１の端面
と永久磁石３の対向端面３Ａとに狭持されて接着
固定されているので、リード端子７の長手方向に
引張力が作用されても永久磁石３から容易に抜脱
してしまうことを防止することができるとともに
貫通孔４内でのリード端子の回転をも防止するこ
とができ、リード端子及び磁心巻装コイルの端末
の断線防止にも寄与することができる。さらにリ
ード端子７は磁心巻装コイル２の端末の一部によ
つて構成されていないので、磁心巻装コイル１の
ワイヤ径に拘わらずこの素子自体を安定的に自立
保持できるとともにプリント基板への装着も容易
である。

次に本考案の他の実施例について説明する。第
３図は本考案の他の実施例を示す断面図であり、
第４図は同実施例に使用する永久磁石の平面図で
ある。上記実施例と同一の部材には同符号を付し
てその詳細な説明を省略する。異なる構成は貫通
孔４に連接すべく該永久磁石３の対向端面３Ａ上
に凹設される長溝であつて、その一端部が永久磁
石３の側端面へ抜けるようにして長溝１０を構成
した点である。そしてこの長溝１０からは該リー
ド端子７の折曲端部が側方に露出され、この露出
部には該磁心巻装コイル２の端末２Ａが重ねられ
或いは絡げ付けられ、その上からロー付け等の手
段を介して電気的に接続固定されている。このよ
うにしてインダクタンス素子を構成しても上記実
施例と同様の効果を得ることができる。

なお上記実施例は一例であり本考案の要旨の範
囲内において種々の変形実施ができることは言う
までもない。

〔考案の効果〕

以上詳述したように本考案のインダクタンス素
子にあつては、永久磁石にリード端子を設けるこ
とによつて必ずしも端子板を使用する必要がない
とともにこのリード端子が永久磁石から抜脱して
しまうことを防止することができ、ひいてはプリ
ント基板上に載置し易く、かつリード端子の断線
防止にも寄与することができるなどの優れた効果
を有するものである。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案の一実施例を示す断面図、第２
図は同実施例に使用する永久磁石の平面図、第３
図は本考案の他の実施例を示す断面図、第４図は
同実施例に使用する永久磁石の平面図である。 １……磁心、２……磁心巻装コイル、３……永
久磁石、３Ａ……対向端面、３Ｂ……他端面、４
……貫通孔、５……長溝、７……リード端子、７
Ａ……折曲端部、１０……長溝。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 (1) 磁心の端面に永久磁石が設けられているとと
   もにコイルが巻装され、このコイルの端末が丸
   棒状リード端子に接続されて成るインダクタン
   ス素子において、該磁心に対向する永久磁石の
   対向端面から他端面へ貫通される貫通孔と、こ
   の貫通孔に連接すべく永久磁石の対向端面上に
   凹設される長溝とを設け、折曲端部を有するリ
   ード端子が該貫通孔に挿通されると共にその折
   曲端部が長溝に係合した状態で永久磁石の対向
   端面と磁心とが接着固定されて成ることを特徴
   とするインダクタンス素子。 (2) 前記長溝はその一端部が永久磁石の側端面へ
   抜け、この部分にリード端子の折曲部が露出さ
   れてコイルの端末が接続されるものである実用
   新案登録請求の範囲第１項に記載のインダクタ
   ンス素子。